「ロレックスのミラーダイヤルって何?」
「アンティークロレックスのミラーダイヤルについて知りたい」
ロレックスの時計は実用性・ステータス性・資産性、どれをとっても最高の時計です。
特にエクスプローラーやサブマリーナ、デイトナといった人気モデルは時計ファンなら誰しもが一度は手にしたいと思うことでしょう。
そして近年は現行モデルに留まらず「アンティークロレックス」に興味を抱く時計ファンも増えてきており、その中でも希少性の高いミラーダイヤルをお探しの方もチラホラいます。
そんなミラーダイヤルについて知りたいという人は多いのではないでしょうか。
アンティークの数には限りがあるので、状態のよいミラーダイヤルを手に入れることは年々難しくなってきています。
この記事ではアンティークロレックスのミラーダイヤルについて、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
ミラーダイヤルが使われたモデルの紹介もしますので、アンティークロレックスの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
①ミラーダイヤルとは?
ミラーダイヤルは、1967年位までに製造されたアンティークロレックスに度々用いられた「鏡のような輝き」を持つ文字盤です。独特の艶があり、文字盤に書かれたロゴや文字がゴールドでペイントされていることも特徴となっています。
ただ、鏡のようのような輝きとはいっても実際は本物の鏡のようにキラキラ反射するわけでもなく、独特の艶と光沢を持つ文字盤の事を指すことが一般的です。
ロレックスのロゴやオイスターパーペチュアルの文字が「少し白みがかったゴールド仕上がり」となっていていることがミラーダイヤルの特徴。シャンパンカラーの上品な色味となっており、この美しさはミラーダイヤルならではの魅力です。
尚、ミラーダイヤル以外にも文字にゴールドが使われたモデルが存在しますが、それらはイエローゴールド感が強く、ミラーダイヤルのゴールド文字とは少し違います。
ミラーダイヤルは個体ごとに色味が雰囲気が大きく異なり、現行モデルにはない個性があります。ケースサイズも直径 35.0mm前後の時計が多く、男女問わず身に着けることが可能です。
文字盤だけでなく、時計全体を見ても強い個性を感じ取れます。気になる価格ですが、安価な個体で20~30万円台、レアな個体になると数百万以上の価格になることも多いです。いずれにしてもアンティークウォッチは一点ものになるため、個体の状態によって大きく価格は異なります。
②実は2種類あるミラーダイヤル
ミラーダイヤルには大まかに2つの種類があります。文字盤自体には違いはありませんが、インデックス外周の目盛部分に以下のような特徴を持ちます。
■サークルがあるミラー・・・1963年位までに作られたミラーダイヤル。外周部に沿う形で円を描くようにラインが入っていることを特徴とし、通称“ミニッツサークル”と呼ばれています。状態の良いサークルミラーは非常に希少価値が高いです。
■サークルがないミラー・・・サークルラインが入っていない一般的なミラーダイヤル。1960年以降によく見受けられます。
基本的にミラーダイヤル自体が貴重なのですが、その中でもミニッツサークルが配されたミラーダイヤルはさらに貴重であると覚えておけば良いでしょう。
③ミラーダイヤルの弱点
ミラーダイヤルは他のダイヤルにはない美しさを誇りますが、経年変化により「ひび割れ」が入りやすいという特徴があります。そのため、現代に残っているミラーダイヤルはひびが入っているものが多めです。
ただ、逆にヒビが入っているということは偽物ではなく本物のミラーダイヤルという証であるともいえます。
ミラーダイヤルは経年劣化しやすく、そもそもの特徴である艶自体が薄れてしまっていることも多いです。しかし、このアンティーク感が逆に素敵だったりもします。
また、ミラーダイヤルは塗料の違いも存在し、下記のような特徴をもちます。
- ラッカー系染料・・・1950年代半ばから1950年代後半にかけて使用され、塗りが薄いことが特徴。その薄さからひび割れが発生する確率が高い。
- ニス系染料・・・1950年代後半から1960年代半ばに使用され、塗りが厚いことが特徴。ひび割れしやすいというデメリットを克服しています。
1950年代のミラーダイヤルはほとんど市場にでないため、現存するミラーダイヤルはニス系染料で作られていることが大半です。
④トロピカルダイヤルについて
ミラーダイヤルの中にはブラウンに変色しやすい文字盤が存在し、実際に変色した文字盤のことをトロピカルダイヤルといいます。
こちらはロレックスの中でも人気のある「Ref.6694」手巻きオイスターデイト。この個体は1959年に製造されたブラックミラーダイヤルです。
この文字盤は変色が少なめですが、変色が強い個体になると文字盤全体が茶色く変色しています。
⑤ミラーダイヤルが使われたモデル
最後にミラーダイヤルが使われたアンティークロレックスを紹介します。全て1点ものなので、ご購入をお考えの方はお早めにどうぞ。
ロレックス オイスターデイト プレシジョン Cal.1225 Ref.6694
1961年頃に製造された手巻きムーブメント搭載の“オイスターデイト”。3時位置には現行のロレックスでは見受けられないデイトジャスト機構ではないカレンダーを備えています。時分針はアルファハンド。アップライトのバーインデックスとミラーダイヤルのコントラストが非常に美しい一本です。
ロレックス オイスターデイト プレシジョン Cal.1210 Ref.6694
ムーブメントにCal.1210を搭載したオイスターデイト。シルバーのバーインデックスとミラーダイヤルの組み合わせがクラシカルな印象を与えます。レザーベルトが使用された珍しい一本です。
ロレックス オイスターパーペチュアル デイト Ref.1500
1965年頃に製造された“オイスターパーペチュアル・デイト”。防水性の高いオイスターケースと、全回転式ローターを搭載したパーペチュアル機構はこの時代から既に完成していました。年代を問わず幅広い層に受け入れやすいデザインに加え、比較的お求めになりやすい価格であることも魅力です。
1965年製の“GMTマスター オリジナルブラックミラー Ref.1675”。独特な艶のあるブラックミラーダイヤルにゴールドレター、24時間針は小針でダイヤルの夜光はトリチウムです。針の夜光はルミノバに変わっていますがヤケの色味はいい雰囲気です。
まとめ
ミラーダイヤルはアンティークウォッチにだけ存在するレア文字盤。どのミラーダイヤルも製造から50年以上経過しているため、状態のよいミラーダイヤルを手に入れることは、どんどん難しくなってきています。
独特の質感は写真では分かりにくいので、是非一度実物を手に取ってみてください。
きっとアンティークウォッチをもっと好きになると思います。
当記事の監修者
田所 孝允(たどころ たかまさ)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 営業物流部長/p>
1979年生まれ 神奈川県出身
ヒコみづのジュエリーカレッジ ウォッチメーカーコース卒業後、かねてより興味のあったアンティークウォッチの世界へ進む。 接客販売や広報などを経験した後に店長を務める。GINZA RASIN入社後は仕入れ・買取・商品管理などの業務に従事する。 未だにアンティークウォッチの査定が来るとついついときめいてしまうのは、アンティーク好きの性分か。
時計業界歴18年。
タグ:GMTマスター, オイスターパーペチュアル, ロレックス, アンティーク