「ノンデイト腕時計が気になっているが、どのモデルが良いか、よくわからない」
「ノンデイト腕時計の情報を集めているが、比較検討できる詳しい情報記事が見つからない」
近年ノンデイト腕時計が注目を集めて、各ブランドでも新作が発表されています。ただ、ノンデイト腕時計とデイト腕時計との違いは理解していても、ノンデイト腕時計の良さを詳しく紹介した記事が少ないという声があるのも事実です。
今回はノンデイト腕時計の魅力をおすすめモデルの紹介と併せて、解説しますので参考にしてください。
目次
ノンデイト腕時計の日付が無い魅力
初期の腕時計は、ノンデイト(日付無し)が必然でした。時代の変化に伴い腕時計のツール化が進み人々が実用性を求めるようになり、デイト機能をはじめ、様々な機能が付いた腕時計が登場します。
しかし近年は腕時計を複数以上所有する人も増えてきました。また、コレクターズアイテムとしてノンデイトの時計が注目されてきた事も、ノンデイト腕時計が増えてきた大きな理由の一つです。
加えて、腕時計ブランドが自社のアーカイブ内から、「かつてのモデルを現代風に再解釈」して、コレクションに加えてきた事も忘れてはいけません。ヘリテージと呼ばれるこの手法は、クラシックなスタイルのデザインがベースになります。
例えば風防がドーム型で、クラシックな雰囲気の腕時計には、必ずと言って良いほどノンデイト腕時計でした。これは、デイト表示の小窓が無い分、文字盤のバランスが良くなりケースもノンデイトの方が、ケース厚を薄く仕上げる事ができます。
以下で具体的なノンデイト腕時計の良さを詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
均整のとれたシンメトリックなデザイン
腕時計において最も重要な事は、文字盤のデザインです。インデックスや針が内部にバランス良く配置されてこそ、美しく見えます。
ノンデイト腕時計は、デイト表示が無い分、シンメトリック(対象的)で均整が取れ、全体の調和が取れていることが特色です。
クリーンで、ミニマルな印象を与えてくれます。
さらに単にスッキリとしているだけでは無く、視覚的にバランスが取れていることも魅力です。そのことで、時計そのものの美観を、一層引き立たせてくれます。
デイト機能が無いことで価格が安い
ノンデイトの優れた点として、デイト機能が無い事で、価格設定が安いことも忘れてはいけません。デイト機能が無い事で、ムーブメントの部品数が少なくなるのが特徴です。
メンテナンス1回あたりの費用は大きく変わりませんが、故障の確率は間違いなく減少します。何10年か経過した後にメンテナンスのトータルコストが減ることを、見逃す訳にはいきません。
文字盤の美しさが最大限に引き立つ
ノンデイトの文字盤は、デザイン的な美しさが、最大限引き立つことが特徴です。ノンデイト腕時計のシンメトリーなデザインは、自然界でよく見かける光景になります。蝶の羽や花びらなどは、人が直感的に美しいと感じられる模様です。
ノンデイト腕時計のように日付小窓が無いと、文字盤に余計な装飾が無くなります。そのため、インデックスやブランドロゴを均一に配置することができ、自然とシンメトリーなデザインに仕上げることが可能です。
視線も自然と中心に集まり、視認性も良くなります。
停止時の時刻合わせが楽
ノンデイト腕時計は停止時の時刻合わせが楽です。デイト腕時計は特に機械式時計では時刻合わせをするとき、午前午後を意識して合わせます。これは機種によっては「日付送り禁止時間帯」があるからです。
一般的なデイト機能では、日付が変わる前と後の時間帯にデイトディスク上に日付送りの歯車の爪がかかります。その理由は日付送りできなくするためです。近年は特に腕時計を複数所有して、着替え感覚で付ける人が増えています。
そのこともあって、時間合わせが楽なノンデイト腕時計の愛用者が増えているのでしょう。
ノンデイト腕時計のおすすめモデル
ノンデイト腕時計はやはりシンプルで、タイムレスな美しさを持っていることが魅力です。クラシックまたはヴィンテージ風のモデルの方が、デザイン的に美しく、ワンランク上の腕時計に見えます。
以下にいくつかのノンデイト腕時計のおすすめモデルを紹介、解説していきましょう。
【機械式】グランドセイコー エレガンスコレクション メカニカル SBGW235
素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 37.3mm (リューズ含まず)
駆動方式: 手巻き / Hand-Winding
グランドセイコー エレガンスコレクション メカニカル SBGW235は、シンプルでクラッシックなノンデイト腕時計です。37㎜のラウンド型ケースと12時の位置にあるロゴだけという、無駄の無いシンプルな三針時計になります。
ノンデイトであることで、文字盤のシンメトリーさが美しく一層引き立つ、モデルです。
【ダイバーズ】オメガ シーマスター コーアクシャル マスタークロノメーター 234.30.41.21.01.001
素材: ステンレススティール / SS
ケース:縦 41mm × 横 41mm
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
シーマスター300は1957年に発表されたモデルの復刻版のダイバーズウォッチです。当時のデザインをそのまま再解釈して、ムーブメントやケースは最新の物へアップグレードしています。
大きなブロードアロー針が印象的で、このモデルもノンデイトの良さを活かして無駄な装飾や機能が無い、タイムレスなデザインです。
【ソーラー】カルティエ タンクマスト LM ウォッチ ソーラービート WSTA0059
素材: ステンレススティール / SS
ケース:縦 34mm × 横 26mm
駆動方式: ソーラークォーツ / Solar Quartz
カルティエ タンクマスト LM ウォッチ ソーラービート WSTA0059は、2021年に発表されたカルティエの光発電ムーブメント(ソーラー発電クォーツ)を搭載したモデルです。クォーツムーブメントですが、カルティエらしい「違い」を出してきました。
これまでのカルティエの光発電では、文字盤はポリカーボネート製でしたが、このモデルでは金属製の文字盤を採用しました。これによって時計の高級感を出すことに成功して、クラシックなノンデイトのタンクマストの美しさを損なうことなく、表現しているモデルです。
セイコー キングセイコー SDKS001
素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 37mm (リューズ含まず)
駆動方式: 自動巻き / Self-Winding
サイズ感と着け心地、シルバーのシンプルで上品なサンレイ、ノンデイトとどんなシーンでも使いやすい「キングセイコー SDKS001」。
顔であるケースは鏡面仕上げで歪みなく腕元を光らせ、ブレスは規則的な光を生み出す質感重視のヘアライン仕上げで、あらゆる光の質感が絶妙に調和している満足感の高いモデルです。
ケースの曲、ブレスの直、そして文字盤サンレイの円が織りなす光というものを余すことなく表現した一品で、いつ腕元を見ても「買ってよかったな」と思わずにんまりしてしまうような腕時計だといえます。
特筆すべき点はその価格。20万円前後でこの腕時計を手に入れることができるというのは、高級時計に手の届かない人でも満足度指数は最高レベルといっても過言ではありません。
上品さとまるっとした可愛らしさもあるので、女性にもおすすめです。
ノンデイト高級ブランド別おすすめモデル
ノンデイトモデルはこれまで、ロレックスが特に力を入れてきたような気がします。理由はデイト表示の小窓が無い事で、耐磁機能をアップすることができ、故障頻度も減らせられることが、考えられる理由です。
強い衝撃が想定されるプロフェッショナルモデルでは、なおさらノンデイトの方が最適かも知れません。
パテックフィリップやオーデマ・ピゲはノンデイトモデルをデザイン性と歴史的なデザインのモデルへのリスペクトから、採用している可能性が強いと考えられます。
代表的なおすすめモデルを紹介しますのでぜひ参考にしてください。
ロレックス
ロレックスでノンデイトモデルといえば、プロフェッショナルモデル(かつてのスポーツモデル)です。
耐久性がアップするという事と、特殊時計にそもそも日付表示は不要という考えがあったかも知れません。
現代では腕時計の機能性が向上したこともあって、特殊時計というジャンルはほぼ無くなりました。逆にデザイン面の良さが再認識されたことが、近年人気を集めている要因になると考えています。
エクスプローラーⅠ
エクスプローラーⅠ、通称「エクワン」はロレックスを代表する人気ノンデイトモデルです。国内で人気になった理由は、人気ドラマの主人公が装着していた事も理由になります。しかしグローバル目線で見ると、デザイン性が評価されてきたことが理由です。
1953年の発売開始以来、エクスプローラーⅠのノンデイトは、変わりません。369と逆三角形のインデックスで構成されており、シンプルなこのデザインは70年以上年月を重ねてもこのデザインは決して、揺らぐ事はありません。
デイト機能は弟(エクスプローラーⅡ)に任せて、時代に相応しいケースサイズに調整して、改良を重ねたムーブメントを搭載して、今日もロレックスの人気定番ノンデイトモデルとして君臨しています。
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サブマリーナーノンデイト
サブマリーナノンデイトは、モダンダイバーズウォッチの始祖です。1953年の登場以降、多くのバリエーションを生み出し、その中には当然デイト付きモデルも存在します。
しかし、70年以上経過しても、ノンデイトモデルは健在です。このことはサブマリーナノンデイトが最早アイコンと化していると、言っても過言ではありません。どこか日付表示の小窓が無い事で、デザインに落ち着きと調和を感じさせてくれます。
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ロレックス オイスターパーペチュアル41
ロレックス オイスターパーペチュアル41は、ロレックスのノンデイトモデルの中でも最もカラーバリエーションの多いモデルです。
41㎜と大型のケースで視認性が良く、シンプルなバー・インデックスを採用しています。全て自動巻きで、防水性も100M以上と実用的な腕時計です。ノンデイトの良さであるシンメトリックでバランスの良いデザインで、シーンを問わず使える万能時計であると言えます。
→GINZA RASIN WEBショップ「オイスターパーペチュアル41」商品一覧はこちら
パテックフィリップ
海外の愛好家からは、Holy Grail(聖杯)と呼ばれる程、神格化されているパテックフィリップには、多くのノンデイトモデルがあります。パテックのノンデイトモデルは、誕生から半世紀以上経過しているモデルが多くなっています。
長い年月を経ても現存しているシリーズは、これまで培ってきたノウハウが蓄積されて改良を重ねて今日まで辿り着いています。長きにわたって継続されているモデルは信頼性が高いことが特徴です。
それでは代表的なパテックフィリップのノンデイトモデルにフォーカスして、紹介します。
パテックフィリップ カラトラバ 6119G-001 中古 メンズ
素材: ホワイトゴールド / WG
ケース:直径 39mm (リューズ含まず)
駆動方式: 手巻き / Hand-Winding
カラトラバ 6119G-001はノンデイトの良さを継承している6119シリーズの現行モデル(2024年11月)です。ノンデイトに加え、極薄の手巻き式ムーブメントを搭載しているため、可能な限りケース厚を薄く仕上げる事に成功しています。
伝統的なスモールセコンドモデルは、やはりノンデイトの方が文字盤のインデックスやロゴが均一に配置され、デザインに一体感ができる事が特徴です。そのため審美性に優れて気品が溢れた仕上がりになっています。
パテックフィリップ カラトラバ 3796J
素材: イエローゴールド / YG
ケース:直径 30.5mm (リューズ含まず)
駆動方式: 手巻き / Hand-Winding
歴代カラトラバの中でも最高傑作と定評があるのが、3796シリーズかも知れません。カラトラバ 3796Jは、30.5㎜のサイズでノンデイトゆえ日付小窓も無く、そのことで時計全体が整然と見えます。
コンパクトなドレスウォッチということを考慮すれば、カラトラバにはノンデイトが相応しいです。
パテックフィリップ ゴールデンエリプス 3748J
素材: イエローゴールド / YG
ケース:縦 32mm × 横 27mm
駆動方式: 手巻き / Hand-Winding
楕円形(エリプス)という呼び方が、そのままモデル名になっているゴールデンエリプスは、縦横の比率が黄金比であることが特徴です。古(いにしえ)から伝承されている無駄の無いデザイン手法は、ノンデイトであることもあって一段と映えます。
一目見て誰もがゴールデンエリプス とわかる、この力強いケース形状と文字盤を発案した当時のデザイナーチームの力作です。パテックフィリップ社のデザインチームの高いデザインスキルが、伺い知れます。
オーデマピゲ
オーデマピゲはパテック同様にHoly Grail(聖杯)と呼ばれているブランドです。ルブラッシュに本拠地を構えて、伝統的なブランドでありながら革新的な時計造りが愛好家から高く評価されています。
しかし、クラシックな時計づくりにも定評があることを忘れてはいけません。
オーデマピゲ ジュールオーデマ 15093BC.OO.A002CR.01
素材: ホワイトゴールド / WG
ケース:直径 38mm (リューズ含まず)
駆動方式: 手巻き / Hand-Winding
ジュールオーデマ 15093BC.OO.A002CR.01は、ラウンドケースで秒針の無い2針時計です。クラシックかつ上品なデザインで、ノンデイトであるため文字盤全体が隅々まで楽しめます。
シンプルですが針は流線型のリーフハンドというように、手の込んだパーツを採用していることが、オーデマピゲの拘りかも知れません。ケースもホワイトゴールドを採用して手巻きムーブメントで薄い仕上げになっています。
オーデマピゲ カナペ 14934OR.00.A002XX.01
素材: ローズゴールド / RG
ケース:縦 39mm × 横 23.6mm
駆動方式: 手巻き / Hand-Winding
カナぺはオーデマピゲには珍しい、スクエアなケース形状が特徴です。この時計もノンデイトで手巻き、スモールセコンドという王道的なドレスウォッチになります。クラシックな装いですが、1980年代から1990年代のモデルです。
文字盤が密になっていて、インデックスや針が、文字盤をフルに活用しています。ノンデイトであることで、文字盤がスッキリとした印象に仕上げていることが特徴です。
オメガ
オメガも前述した3ブランドに負けない、歴史と名作を多く輩出してきた名門ブランドです。それだけでは無く、時計の技術革新に大きく貢献してきたブランドでもあります。
オメガ スピードマスター ムーンウォッチ プロフェッショナル コーアクシャル マスタークロノメーター クロノグラフ
310.30.42.50.01.002
素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 42mm (リューズ含まず)
駆動方式: 手巻き / Hand-Winding
スピードマスター ムーンウォッチはオメガを代表する人気モデルです。人類史上初めて月面に降り立った腕時計になります。1964年NASAの厳しい「採用テスト」をパスしたのは、このスピードマスター だけでした。
たくさんの指針を持つクロノグラフですが、デイト付きを採用しているブランドも多いです。3カウンターのため、文字盤のスペースを考えるとノンデイトである方が理にかなっています。
しかし、このスピードマスター ムーンウォッチは耐久性を考慮して、ノンデイトになっている可能性が極めて高いです。クロノグラフは部品数も多く、故障リスクを避けるためには自動巻きよりも手巻き、日付機能が無いノンデイトの方が安心できます。
オメガ デヴィル アンティーク
素材: ステンレススティール / SS
ケース:直径 35mm (リューズ含まず)
駆動方式: 手巻き / Hand-Winding
オメガ デヴィル は、「上質なステージの腕時計」と、位置付けられています。このオメガ デヴィル アンティークはレトロな雰囲気のクロノグラフです。ノンデイトでゆえにアンティークな雰囲気をそのままにしています。
日付の小窓が無いため、3カウンターの配置を崩しません。そのため全体のバランスも良く、手巻きムーブメントゆえにケース厚も薄く仕上げる事に成功しています。
まとめ
現代社会だからこそ、腕時計はノンデイトを。
スマホやスマートガジェットの普及で、現代社会では身に付けるもので日付を知るツールは山ほどあります。
腕時計黎明期時代はノンデイトしかなく、時代の経過に伴い腕時計はツールと化してきて、そこにデイト機能が求められ付くように変化しました。
技術革新が進むにつれて、腕時計に多くの機能を搭載できるようになり、それは機械式時計にも及びます。現在ではクロノグラフにデイ・デイト機能だって搭載することも不可能ではありません。
時計愛好家の間でもノンデイト腕時計かデイト腕時計かは、常に議論になっています。ただ、ここに来てさらに「腕時計ならやっぱりノンデイトに落ち着く」とノンデイトに追い風が吹いていることは間違いありません。
さらにもう一つ理由を挙げると時計価格の高騰と、これまで右肩上がりだった時計のセールスがダウンしてきたこと。腕時計ブランドにとって、売上アップのためには、価格を下げることが一番の特効薬になることは理解していると思います。
しかしブランドイメージの維持のため、闇雲に高騰した価格を下げるのは、得策ではありません。同じように各ブランドがマニュファクチュールを促進したことも今となっては、逆に値下げの逆風になっています。
ノンデイトにすると、ブランドイメージを損ねることなく販売価格を合理的に下げる事が可能です。部品数の削減と故障頻度の減少は、トータルでブランドのコストダウンが実現できます。
デザインの優位性とブランドにとってもシンプルなベーシックウォッチを増産できる方が絶対得です。
ぜひ、ノンデイト腕時計も購入を検討してください。
当記事の監修者
田中拓郎(たなか たくろう)
高級時計専門店GINZA RASIN 取締役 兼 経営企画管理本部長
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB、システム系全般を担当。スイスジュネーブで行われる腕時計見本市の取材なども担当している。好きなブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年