「アンティーク オメガのおすすめモデルはどんなものがある?」
「アンティーク オメガの魅力について知りたい」
近年、時計業界では1960年代~1980年代当時の製品を、最先端技術でリファインして復刻させるブームがあります。
このブームに伴い、オリジナルのアンティークにも注目度が集まるようになりました。
当時のヴィンテージ感溢れるデザインや経年変化による独特の風合いは、最新作にはない魅力がありますね。
一方で、アンティーク時計は購入までの意思決定が難しくもあります。
それはコンディションへの不安や、価格が適正かどうかわからないといった疑問に拠るところが大きいでしょう。
初めてアンティーク時計や高級時計をご購入される方にお勧めしたいのがオメガですが、おすすめのモデルについて知りたいという人は多いのではないでしょうか。
オメガは誰もが知っている超人気ブランドですが、歴史が長く、比較的早い段階から優れた生産ラインを作り上げていたこともあり、上質なアンティーク品が豊富に出回っています。
この記事ではオメガのアンティーク時計の中でもお勧めしたいモデルを、GINZA RASINスタッフ監修のもと紹介します。
オメガのアンティーク時計をお勧めする理由についても解説しますので、オメガの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
オメガのアンティーク(ヴィンテージ)時計をお勧めする理由
オメガは1848年に創業したブランドです。
当時はルイ・ブラン&フィルズという社名でしたが、1894年、今なお傑作と評価される高性能ムーブメント「Cal.オメガ」を製造します。その後同名の時計メーカーとして名を馳せていきました。
この背景からもおわかり頂けるように、オメガは早い段階から「高性能」にこだわってきたブランドです。
当時ヨーロッパ各地の天文台で行われていた精度コンクールでの受賞を総なめしたり、1932年開催のロサンゼルスオリンピック以降、公平かつ緻密な計時が求められる公式タイムキーパーを務めたりと、世間の評価が「オメガの高性能」の証明を行ってきました。
そのため、オメガは年式の古いモデルであっても、メンテナンスを行えばしっかりと日常使いできる機械・外装が基本です。特に1950年代以降、スピードマスターやシーマスターと言った、現在のスポーツウォッチの礎ができ始めてからは、比較的丈夫なムーブメントを製造しています。
また、アンティークの時代から「高性能時計」の量産に成功しており、流通量が豊富なこともミソ。
1969年、セイコーがクォーツ時計「アストロン」をリリースしたことで、1970年代~1980年代と言うのは機械式時計メーカーにとっては冬の時代でした。大量消費社会に突入したこともあり、高額な機械式時計よりも安価でどのメーカーでも精度を出しやすいクォーツにニーズが流れていったためです。
この「クォーツショック」と呼ばれる時代は減産したり、休眠したりといったことを余儀なくされたブランドもあります。オメガも多少は減産した時期があったようですが、派生モデルをリリースする等、試行錯誤の歴史を辿ってきたこともあり、比較的欲しいモデルが手に入りやすい傾向を持ちます。
とりわけ1970年代は個性派クロノグラフを大いに楽しむことができ、「自分だけの一本」を持ちやすいという魅力があります。
出典:https://www.omegawatches.jp/ja/
さらに、よく流通しているということは、それだけ価格が抑えられる、ということを意味しています。
アンティーク時計を買おうと思った時、まずロレックスを候補に入れた方も多いのではないでしょうか。そして、その価格にビックリされた方もいらっしゃるかもしれません。
もちろんモデルにもよりますが、ロレックスは現在需要が集中しすぎており、「100万円出さなくては買えなくなった」と言われています。
一方オメガは、ロレックス並に高い知名度を持っているにもかかわらず、10万円台~30万円台で購入できる個体が少なくありません。コンディションにもよりますが、中には10万円以下で販売されているモデルもあります。
特に、オーデマピゲのロイヤルオークやパテックフィリップ ノーチラスといった名機のデザインを手がけたジェラルド・ジェンタ氏の作品が、安価に手に入れられるというのは時計ファンにとっては嬉しいのではないでしょうか。
出典:https://www.facebook.com/pg/omega/photos/?ref=page_internal
ただし、後述しますが、スピードマスターの初期モデルや初代シーマスター等、価格高騰が著しいモデルも存在します。
また、前述した1970年代の個性派クロノグラフモデルですが、近年オメガから復刻されてきたこともあり、注目度が高まる中でジワジワと人気・相場ともに上昇しています。
ただ、価格が高いということはそれだけ資産価値も高いということを意味します。つまり、高値で買っても、売却時に換金率が高くなる、ということです。
オメガはロレックスと並ぶ勢いの人気を持つブランドでもあるので、今後のさらなる価格高騰に期待できるモデルに焦点を当てて選ぶ、というのもアリかもしれませんね!
それでは次項より、お勧めのアンティーク(ヴィンテージ)オメガをご紹介いたします。
アンティーク オメガ(ヴィンテージ)お勧めモデル①スピードマスター
出典:https://www.youtube.com/watch?v=w8-DdurbLKw
みんな大好きスピードマスター。
NASAの公式装備品として月面着陸に携行された、「ムーンウォッチ」の側面を持つことでも有名ですね。
オメガファンの中でも、特にスピードマスターを愛している、という方は少なくありません。
#SpeedyTuesdayのハッシュタグで、毎週火曜日にスピードマスターに関する話や画像を投稿する、というファンによる楽しみ方があるほどです。ちなみにこのタグが始まったのは2012年ですが、今なお健在。
2018年には、オメガから#SpeedyTuesdayへの感謝を込めた特別モデルがリリースされました。
そんなスピードマスターは1957年に誕生します。
2017年に60周年を迎え、初代の復刻モデルが限定で復活したこと。加えて同年、研究書『MOONWATCH ONLY-60 Years of Omega Speedmaster』が刊行され、スピードマスターについてより体系だった調査・研究が公表されたことから、さらに注目度を上げました。
このように愛され続けてきたスピードマスターですが、人気ゆえに「スピマス被り」しがち。
特に基幹モデルに当たる手巻きクロノグラフのスピードマスター プロフェッショナルは初代から大きく意匠を変えておらず、また現行品が発売から6年経過していることもあり、街中でも結構スピードマスターを身に着けている方を見かけます。
でも、アンティークなら、ちょっと人と違ったスピードマスターが身に着けられるという特典が!
仕様が現行品と異なる、ということもありますし、現在の豊富な派生コレクションを持つオメガの性格は、1970年代のスピードマスターから始まったと言っていいでしょう。
そのため豊富なバリエーションをお楽しみ頂けるメリットがあります。
ただし、スピードマスターは価格が既に高騰しているモデルも少なくありません。
とりわけスピードマスター プロフェッショナル、そして限定モデル等の稀少なリファレンスは、研究が進むにつれて価値が見いだされ、比例するように相場も上がりました。
今後、ロレックスのように、全体の相場が上がる可能性もあります。気になる方は、ますます高騰してしまう前に買っておきましょう!
スピードマスター プロフェッショナル ST145.022 下がり”r”
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径42mm
駆動方式:手巻き
ムーブメント:Cal.861
製造期間:1970年頃~1990年頃
「スピードマスター プロフェッショナル」と言った時、こちらの手巻きクロノグラフを搭載した、ブラック文字盤が精悍なデザインを指すことがほとんどです。
オメガの中で最も有名なデザインコードであり、1957年の登場以来、基本的に初代からデザインを踏襲してきました。
スピードマスター プロフェッショナルは現行を含めて六つの世代に分かれます。
第一~第四世代は流通量がきわめて少なく、一般市場では手に入れづらいのですが、第五世代にあたるST145.022系は狙い目!
1970年頃~1990年頃と約二十年に渡って製造された息の長い世代で、時代的には「ポストヴィンテージ」と呼ばれるものも含まれていますが、おおむねアンティークらしいテイストを楽しめます。
ただ、製造年が長いゆえに、様々な仕様の個体が出回っています。
そんな中で今回オススメしたいのが、「下がりr」です。
下がりrとは、文字盤12時位置のspeedmasterロゴの、最後部スペル「r」の書体が下に伸びている仕様を指します。
Sも若干縦に伸びていて、現行にはない味わいがありますね。
上:下がりr/下:現行モデルのロゴ
1980年代頃から製造された個体に見られる仕様です。
なお、第五世代から採用されたCal.861も、このアンティークスピードマスターをお勧めする大きな理由です。
第四世代まではCal.321が採用されてきました。321はレマニア―クロノグラフの大家―が手掛けた紛れもない名機です。特に2020年にはオメガから忠実に再現した復刻モデルが登場したほどです。
Cal.861は、そんな321を性能面でリファインした機械となります。
具体的には、クロノグラフのクラッチが複雑な形状のピラホイールからコラムホイールへ(簡素化されたと言うこと)、そしてテンプのひげゼンマイが平ひげに変更されます。さらに振動数は18,000から21,600とハイビートに。精度の安定化を図りやすくなりました。
1970年代に入って大量生産の時代を迎えたため、より量産しやすくなったことも大きな変更点と言えるでしょう。
Cal.861搭載機は、初めてアンティーク時計をご購入される方にはうってつけです。
なぜなら第五世代のスピードマスターを下支えしたほど量産されていたため、修理ノウハウが出回っているためです。
スピードマスターのムーブメントは比較的丈夫ですが、当然ながら定期的なメンテナンスやデリケートな取扱いが求められます。「修理がメーカーの本国送りで、ランニングコストだけで破産しそう・・・」そんな事態に陥らないためにも、「メンテナンスがしやすい機械を搭載している」ことは、アンティーク時計を買ううえで大切な事項です。
なお、「下がりr」が見られるスピードマスターの1980年代製造個体と言うのは、アンティーク時計にするか否かの境目かもしれません。
しかしながら第五世代はトリチウム夜光が使われていたため(ただし1990年頃の製造個体にはルミノバ個体もあり)、イイ感じに焼けが入っていたりアルミベゼルが変色していたりと、「アンティークらしさ」あるいは「ヴィンテージテイスト」は十二分。
それでいて比較的量産されていたことから40万円台~50万円台で手に入れることが可能とあって、生粋のオメガファンからも評価の高いアンティークと言えます。
ただし、初期型にあたるシーホースマークの裏蓋を持つタイプは既に相場が高騰していますので、注意しましょう。
スピードマスター プロフェッショナル マークII ST145.014
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径42mm
駆動方式:手巻き
ムーブメント:Cal.861
製造期間:1969年頃~1972年頃
この「マークII」のモデルに、見覚えのある方がいらっしゃるかもしれません。このデザインコードは、2014年、Ref.327.10.43.50.06.001としてオメガが復刻を行ったためです。
この復刻モデルが出るまでST145.014は、数あるアンティークスピードマスターの中であまり目立たなかったのですが、一躍注目モデルとして君臨するようになりました。
なお、歴史的にも語るべき点の多いアンティークモデルです。
と言うのも、前述の通り1970年代、クォーツの席巻に押されがちだった機械式時計の再起を図るべく、オメガからは個性的な派生コレクションが数多く生み出されることとなりました。
中でもクロノグラフはデザイン性が高く、現在のオメガデザインのベースとなってると言えます。
その先鋒を担ったのが、こちらの「マークII」とも呼ばれるスピードマスター プロフェッショナル マークII ST145.014でした。
まだオーソドックスなラウンドフォルムのケースが主流だった時代に、ラグ足のない流線形ケースというダイナミックな造り。そしてブラックが基調だったスピードマスターに新たにグレー文字盤×オレンジカラーをデザインアクセントに加えるという、類まれな独創性が全面に押し出されていますね。
当時は新しすぎたのか、わずか3年で生産終了となりましたが、現在ではその稀少性がこのモデルの魅力を押し上げています。
なお、こちらも前項でご紹介した第五世代のスピ―ドマスター プロフェッショナル同様、手巻きクロノグラフのCal.861が搭載されています。
Cal.861はよく出回っており、現行スピプロRef.311.30.42.30.01.005にもCal.1861として受け継がれていることから、性能やメンテナンス性の優秀さは初心者には嬉しいところですね。
実勢相場は30万円~50万円程度です。
ちなみに、シンプルな黒文字盤モデルは、20万円台で販売されている個体もあるので、ぜひ見つけてみましょう!
スピードマスター マークV TVスクリーン ST176.0014
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.1045
製造期間:1970年代
数々の個性派モデルが出回る今見ても、その独創性に目を奪われるこちらのアンティークオメガ。1970年代に製造されていたスピードマスターの派生コレクションの一つです。
この大胆なスクエアフォルムケースから、「TVスクリーン」の愛称で親しまれました。
自動巻きであること。加えて非常に多機能であることから厚みがしっかりしており、確かにひと昔前のブラウン管テレビのようなフォルムですね。
まずもって、多機能なことが、アンティークには珍しいですよね。
クロノグラフはもちろんデイデイト機能も付随しており、メカニカルな表情が古さを感じさせません。ちなみに曜日表示はフランス語です!これもすごい珍しい仕様です。
「人と違ったオメガが欲しいけど、アンティークはドレッシーなモデルが多すぎる・・・」そんな風に思っている方にこそ、一度お手にとって頂きたい銘品です。
なお、搭載するムーブメントも、スピードマスターらしくストーリーがあります。
こちらは自動巻きなのですが、レマニア5100をベースにしたCal.1045。オメガの中では約30年に渡って採用されてきました。2004年に生産終了となった時には、惜しんだファンもいらっしゃったでしょう。
レマニア5100がジンやチュチマといったハイスペックウォッチにも搭載されてきた歴史ある汎用機であるため、メンテナンス性は非常に高いと言えます。
なお、長年製造されていたため、実勢相場はピンキリです。
ただ、上質な個体でも20万円台~手に入れられるものもあり、まだお手頃価格で買えるアンティークオメガと言えるでしょう。
フライトマスター ST145.026
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径43mm
駆動方式:手巻き
ムーブメント:Cal.911
製造期間:1969年~1970年代
フライトマスターをご存知でしょうか。
スピードマスターの派生コレクションとして1969年に誕生したシリーズで、パイロットウォッチがコンセプトとなります。
先ほどの「TVスクリーン」と、負けず劣らずボリューミーなケースが特徴ですね。反対色を交えたカラーリング等、近未来的な印象もあります。
また、多機能機であるため、パイロットウォッチらしい計器然とした顔立ちから、スポーツウォッチとしての完成度の高さも伺えます。
当アンティークモデルは、クロノグラフに加えて、文字盤中央にブルーで彩られたGMT針を備えています。
このGMT針は10時位置のリューズで単独稼働できる優れもの。8時位置のリューズでインナーベゼルが回転するため、現代のGMTウォッチに繋がる高機能を持ち合わせていると言えるでしょう。
搭載するムーブメントは手巻きCal.861をベースとしたCal.911です。
レマニア社製らしく、美しくも高性能な機械となっております。
ちなみに上記画像のモデルは9時位置のインダイアルがスモールセコンドです。
ただし、フライトマスターは「前期」「後期」に分けられており、前期型は9時位置が24時間計でした。
前期型は製造期間がわずか2年程のため、なかなか市場に出回らないのが惜しいところ。
後期型であれば比較的見つけやすく、大体の相場は30万円台~40万円程度です。
アンティーク オメガ(ヴィンテージ)お勧めモデル②シーマスター
出典:https://www.omegawatches.jp/ja/
スピードマスターと並んでオメガの顔を張るシーマスター。
登場はスピードマスターと同年にあたる1957年ですが、その約10年前にあたる1948年、プロトタイプが既に出来上がっていました。
このプロトタイプは第二次世界大戦中、イギリス軍へ供給されていた軍用ダイバーズウォッチ「マリーン」が原型となっています。
そのため1957年の「シーマスター」は、この当時から既に200m防水を確立していました。
ただ、現在はシーマスターは「オメガのダイバーズウォッチ」と言った立ち位置ですね。
確かにシーマスターは誕生以降、防水ケースがスタンダードとなるのですが、それは必ずしもスポーツウォッチであることを示しません。
シーマスターは、防水性といったスペック面が留意されながらも、ドレッシーさやクラシックテイストを大切にしたオーセンティックなモデルが少なくないのです。
一方でスピードマスターを上回る派生コレクションの持ち主で、1970年前後からはスポーティーモデル,個性派モデルも市場に送り出されました。
こういった背景は、スピードマスター以上に「今は無いオメガ」を楽しめるという側面があります。
また、シーマスターもスピードマスター同様に、年式の古いモデルでも今なお現役で活躍している個体が豊富です。
防水性が考慮された造りのため(現在は当時の防水性を維持しているものは少ないですが)、日常で扱いやすいと言えるでしょう。
さらに、シーマスターにも様々なムーブメントが搭載されてきましたが、おおむね実用性が高く、メンテナンスすれば問題なく動くものばかりです。
特に1958年に開発されたCal.550/560系(550がノンデイトで560がデイト付き)は精度と実用面で評価が高く、オメガ自動巻きの傑作とまで称されるほど。
巻き上げ効率にも優れ、かつシーマスターのオシャレな雰囲気に合うよう薄型設計で作られているのもアンティーク好きには堪りません。
クロノグラフ等のコンプリケーションがないシンプルな機構ということも、故障しづらさに繋がりますね。
そして、アンティークシーマスターの何よりの魅力は、価格面ではないでしょうか。
もちろん人気ものの宿命か、価格が既に高騰しているモデルもありますが、それはまだ一部。シーマスターは前述の通りシンプルな機構が多く量産に適していたため、様々なデザインの多様なモデルがアンティーク市場を賑わせています。
アンティーク相場が軒並み上がっている中でも10万円台~20万円台が相場で、中には10万円以下で買えてしまうものも!
オメガの利点はしばしば優れたコストパフォーマンスだと語られますが、アンティーク市場でもそれは健在です。
30代・40代で、初めてアンティークに手を出す。あるいは愛機とは別のサブ機で買いたい。
そんな方々も、肩ひじ張らずに買える相場と言えるでしょう。
それではアンティーク(ヴィンテージ)シーマスターの、いくつかのモデルをご紹介いたします!
シーマスター 166011
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径35mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.562
製造期間:1960年代
直径35mmと小径ケースにシルバー文字盤を合わせた、「これぞアンティーク時計!」といった様相の一本です。
現在小径薄型ケースが時計業界で流行っていますが、これは「クラシック回帰」という流れの一つ。ビジネススーツや小物などを中心に、重厚でクラシックなスタイルへの人気が高まっています。
こういった流れの中で、高級時計ブランドでも往年のスタイルが見直されてきており、アンティーク市場はますます拡大しています。
そんな流れの中で、166011のような時計は、とても重宝されます。
フォーマルシーンにも身に着けていける正統派であり、汎用性の高さも嬉しいところですね。
なお、搭載されるムーブメントは前述した560系のCal.562。とても扱いやすくメンテナンス性に富むため、民間修理業者にもメンテナンスノウハウが出回ります。
信頼できる時計店で購入すれば、きちんと機械点検やオーバーホールが施されているものばかりですので、ぜひ最初の一本にご検討してみてはいかがでしょうか。
相場はコンディションにもよりますが、10万円台前半~です。
シーマスター 2849 ブラックミラー
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径33mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.503
製造期間:1950年代後半~1960年頃
美しいドルフィン針にくさび型のアプライド・インデックスがオシャレなアンティークシーマスターです。
さらに、ブラック文字盤が経年によって鏡のようになった「ブラックミラー」と呼ばれる個体で、このような美しい風合いを醸し出すのはとても珍しいことです。
こういった経年による楽しさこそ、アンティーク・ヴィンテージの楽しみ方の一つではないでしょうか。
なお、こちらに搭載されているムーブメントは、シーマスターにカレンダー機構が備わり始めた頃に基幹機として活躍したCal.503です。後に560へと移行していきますが、Cal.503もまたアンティークオメガを代表する名機です。
初代カレンダー搭載シーマスターは6時位置にカレンダー窓が配置されましたが、二代目に当たる当2849より、3時位置に変更となりました。
「Seamaster」ロゴの下に「CALENDAR」と表記されているのも、そんなムーブメントのストーリーを感じさせる一幕です。
相場はブラックミラーが美しい個体は20万円台~となりますが、通常モデルであれば10万円台前半~のご購入が可能です。
シーマスター 120 ディープブルー 166.073
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径41mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.565
製造期間:1969年~1970年代
「シーマスターは必ずしもダイバーズウォッチではなかった」と前述しましたが、歴史的に顧客を広げることに長けていたオメガ。
ガッツリとスポーティーなモデルも、1970年代頃からリリースされるようになりました。
その代表格が、こちらのシーマスター120 ディープシーではないでしょうか。
シーマスター120は、1980年代頃から現行のアクアテラに系譜を引くようなエレガント・スタイルがメインデザインとなりましたが、それ以前は特にデザインが一本化されていたわけではなく、種々のバリエーションが存在しました。
ただ、共通点としては120m防水を有していた、ということにあります。
樽型のバレルケースのインパクトもさることながら、美しいディープブルーを文字盤・ベゼルに使用したデザインが特徴的です。
搭載するムーブメントはCal.565ですので、扱いやすさもひとしおでしょう。
平均的な相場は40万円台~50万円台ですが、あまり数多く製造された個体ではないため、欲しい時に必ず探せるとは限りません。
見つけた時に買っておきたいアンティークオメガです。
シーマスター60 ビッグクラウン 166.062
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径36mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.565
製造期間:1970年代前半
リューズガードを持たず、ねじ込み式リューズによって防水性を獲得した、とても稀少なシーマスターです。
大きめサイズのリューズから、「ビッグクラウン」の名前でも知られています。
1970年代前半頃に製造されており、平均相場は30万円台前半~ですが、当時のキャタピラブレスレットが現存した個体はさらに稀少性が高まります。
こちらもCal.565を搭載しておりますので、扱いやすいアンティークオメガでもあります。
アンティーク オメガ(ヴィンテージ)お勧めモデル③コンステレーション
出典:https://www.instagram.com/omegamuseum/
スピードマスターやシーマスターが現行品では人気の主役ですが、オメガの歴史を語るうえでコンステレーションの存在は欠かせません。
1952年にコンステレーションの名は誕生しました。これは、従来「オートマチック・クロノメーター」とよばれていた、自動巻き×クロノメーター規格認定機モデルを、メンズ専用にシリーズ化したものとなります。
そう、発売当初、シリーズ全てがクロノメーター認定であったというところが、コンステレーションの驚くべき点です。
クロノメーターとは時計の工業規格の一つで、認定機は主に高精度の証として扱われます。
今でこそ新素材の採用や工程のオートメーション化等によって、ある程度の精度を出すことは容易です。しかしながら1950年代初頭という早い段階で、全シリーズクロノメーター化する、というのは、オメガのように高度な時計製造技術を伝統的に有していたメーカーでなくてはできません。
なお、コンステレーションは英語で星座を意味します。そしてコンステレーションの裏蓋には、高精度の象徴として精度コンクールが行われてきたジュネーブ天文台の観測ドームと、それを取り囲む8つの星がエングレービングされました。
人類が歴史的に、天体の動きで時刻管理していたことを思い起こさせるシリーズにもなっていますね。
ちなみに、現行コンステレーションを象徴するベゼルの「爪」ができたのは、1982年~です(コンステレーション マンハッタンとして登場)。
それ以前は年代によって様々なデザインバリエーションが存在しますが、最も有名なものはCラインケースではないでしょうか。
卵のように湾曲したラインが特徴のこちらは、天才時計デザイナー「ジェラルド・ジェンタ」氏がケースデザインを手掛けたものです。コンステレーションは、ジェンタ氏の出世作とも言われています。
1962年登場のコンステレーションから採用されており、シーマスターにも用いられるなど、オメガのアンティークで一時代を築いたケースとなります。
コンステレーション Cラインは、「手軽にジェンタデザインを楽しめる」という点でもオススメです。
ジェラルド・ジェンタ氏はオーデマピゲのロイヤルオークやパテックフィリップのノーチラス等、現在に続く銘品の数々を手がけました。この二機種を筆頭に、現行にしろアンティークにしろ価格高騰が著しいモデルが数多く存在することも事実です。
とりわけジェラルド・ジェンタ氏の初期作品はその傾向が強いと言えるでしょう。
一方でコンステレーションのCラインであれば、製造数が豊富ゆえにお手頃価格で入手しやすいメリットがあります。
時計愛好家は、ぜひ押さえておきたいヴィンテージの一つと言えるでしょう。
コンステレーション 168.017
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径34mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.564
製造期間:1960年代~1970年代
こちらが、ジェラルド・ジェンタ氏の手掛けたCラインケースが美しいコンステレーションです。
Cラインは、以降、様々なブランドのケースデザインに影響を与えることとなりました。
今でこそ様々なケースフォルムが存在しますが、当時としてはラウンドが主流。Cラインもラウンドとはなりますが、中央部を湾曲させることで独創性を獲得していますね。
前述の通り製造量が豊富ですので、カラーや素材にバリエーションがあります。
ステンレススティールやゴールドプレートが多いですが、稀に稀少なホワイトゴールドやローズゴールド素材も存在しており、ファン垂涎です。
コンステレーションは当時のオメガのハイエンドラインであったため、大切に所有されてきた個体も多く、そういったものはメンテナンスを行えば今でも高い精度を誇ります。
扱いやすいCal.560番台ムーブメントと言うのも嬉しいですね。
平均相場は素材やコンディションによってかなり異なりますが、10万円~購入できる個体もあります。
気軽に始められて、それでいてオメガの伝統と粋が詰まったアンティークとなります。
コンステレーション パイパンダイアル 14381/2 SC-1
素材:イエローゴールド
ケースサイズ:直径34mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.551
製造期間:1950年代~1960年代
Cラインも有名ですが、こちらの「パイパンダイアル」もまた、アンティークオメガと言えばコレ!なデザインコードです。
パイパンダイアルはインデックスごとに区切られた12角の文字盤と、アプライドされたくさび型インデックス・上品なドーフィン針が特徴です。パイパンはパイを焼くフライパンのことですが、日本国内では蜘蛛の巣文字盤とも呼ばれます。
34mmという小径薄型ケースはいかにもアンティークらしい装いです。
ビジネスにもタキシードにもマッチしますので、上品に着けこなしたい紳士は一本持っておいて損のないコンステレーションではないでしょうか。
平均相場は、ゴールド素材だと40万円前後するモデルもありますが、ステンレススティールやゴールドプレートは10万円台~となっております。
コンステレーション 166.0252
素材:ステンレススティール×ホワイトゴールド
ケースサイズ:縦40.5mm×横36.5mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.752
製造期間:1970年代
1970年頃から製造され始めた、スクエアフォルムが特徴的なコンステレーションです。
デザインは定番外しとなりましたが、ベゼルにホワイトゴールドを採用するなど、高級機の王道らしいディテールを感じられます。
なお、搭載するムーブメントCal.752は、560番台キャリバーに曜日機能をつけたものです。
シーマスターのデイデイトモデルにも搭載されてきた名機で、扱いやすさもひとしお。
実用性の高いアンティークオメガとなっております。
コンステレーション 168.0059
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:縦39mm×横33mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.1001
製造期間:1960年代~1970年代
同じくスクエアフォルムが鮮烈なコンステレーションですが、ムーブメントも刷新されたモデルです。
1968年に開発されたデイト機能付きムーブメントで、Cal.560番台をハイビート化。19,800振動/時⇒28,800振動/時となり、さらにハック機能(秒針停止)も追加されました。
高精度&高性能となったにもかかわらず薄くスタイリッシュな設計になっているのが、嬉しいところですね。
操作性の高さは現行にも通ずるところがあるため、初めてアンティークを所有する方も入りやすい一本です。
まとめ
オメガのアンティーク(ヴィンテージ)について、スピードマスター・シーマスター・コンステレーションから、お勧めモデルを12選ご紹介いたしました!
お気に入りの一本は見つかったでしょうか?
1950年代~1970年代のこれらのアンティークオメガは本当に派生モデルが豊富なため、今回ご紹介した時計以外にもまだまだ魅力的な個体が溢れています。
ただし、購入の際に気をつけてほしいのが、アンティーク品は「アンティークウォッチの売買に実績がある、信頼できる店舗で購入する」ということです。
アンティークを始めとした中古品は「ここまでのコンディションに仕上げなくてはならない」という規定がありません。そのため同一年代の同一モデルであってもお店によってコンディションはまちまちです。中には機械点検すらせず、仕入れた状態そのままで販売する、なんてところも・・・
そのため、購入の際は「信頼できるお店か」をしっかり確認しましょう。
信頼できるお店であれば、オーバーホールはいつしたか・外装はどのような状態か等、コンディションについて明記されていますので、併せてご確認ください。
また、ご不明点等あれば、とことん販売員に聞いてみましょう。
良いアンティークウォッチライフをお過ごしください!
当記事の監修者
田所 孝允(たどころ たかまさ)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 営業物流部長/p>
1979年生まれ 神奈川県出身
ヒコみづのジュエリーカレッジ ウォッチメーカーコース卒業後、かねてより興味のあったアンティークウォッチの世界へ進む。 接客販売や広報などを経験した後に店長を務める。GINZA RASIN入社後は仕入れ・買取・商品管理などの業務に従事する。 未だにアンティークウォッチの査定が来るとついついときめいてしまうのは、アンティーク好きの性分か。
時計業界歴18年。