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速報!2022年パネライ新作モデルを発表!by Watches & Wonders Geneve
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出典:https://www.panerai.com/jp/ja/home.html
軍用時計にルーツを持つパネライは、機能美溢れる名作の数々を民生市場においても輩出してきました。
パネライには根強いファンが多いことでも知られており、彼ら―自分自身も含めて―は「パネリスティ」として同社のアイコニックな製品を愛し続けています。
そんなパネライ、2022年に開催されたWatches & Wonders Geneveにて、新コレクションを投入してきました!
パネライの至極の2022年新作情報をお届けいたします!
目次
2022年パネライ新作①サブマーシブル クアランタクワトロ Ref.PAM01229等
出典:https://www.panerai.com/jp/ja/home.html
スペック
外装
ケースサイズ: | 直径44mm |
素材: | ステンレススティールまたはカーボテック |
文字盤: | ブラック/ホワイト/ブルー |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.P.900 |
パワーリザーブ: | 約3日間 |
機能
防水: | 300m |
定価: | SS:1,144,000円/カーボテック:2,178,000円 |
2019年、ルミノールから独立したサブマーシブル。パネライのダイバーズウォッチとして大変人気の高いコレクションです。
サブマーシブルは1956年にパネライが製造した、エジプト海軍潜水特殊部隊用のダイバーズウォッチ「エジプシャン」の系譜を引いており、ボリューミーなケースや幅広でドットの打たれた逆回転防止ベゼル,軍用時計由来の視認性高い文字盤などを特徴としています。
従来はルミノールの中の派生モデルだったのですが、前述の通り独立コレクションとなり、独自路線を突き進むこととなりました。
そんサブマーシブルから、2022年に44mmケースサイズ―イタリア語でクアランタクアトロ―が追加されることとなりました!これまでは47mmか42mmサイズのラインナップであったため、その中間ができたという形になりますね。
出典:https://www.instagram.com/panerai/
追加コレクションは、計3つ(さらにもう別素材のモデルも追加されていますが、そちらについては後述)。
ステンレススティール製ケースにブラック文字盤を備えたPAM01229とホワイト文字盤―ビアンコ―のPAM01226。そしてカーボテック製ブルー文字盤―イタリア語で深海を意味するアビッソ―がまず用意されております。
出典:https://www.instagram.com/panerai/
サブマーシブルらしくシンプルなドットインデックスに3時位置のデイト、9時位置のスモールセコンド。パネライが特許取得済のリューズプロテクター。そして一部が肉抜きされた力強い時分針が搭載されており、一目でパネライとわかるアイコニックな意匠も健在です。
もちろんパネライ製品であるため、インデックスや針、そしてベゼル12時位置にもしっかり夜光があしらわれており、太陽光の射さない深海のような暗所においても、正確な時間をオーナーに提供してくれることでしょう。
※余談ですが、パネライのフラグシップ「ラジオミール」「ルミノール」は同社がかつて特許出願した夜光塗料の名前にちなみます。サンドイッチダイアル(夜光塗料を塗ったプレート上に、インデックス部分を穴開けしたプレートを重ねた仕様の文字盤のこと)も全ての製品ではないもののパネライのアイコンといって過言ではなく、このように夜光に関して一家言持っているパネライは、自社のウォッチにたっぷりの夜光を施していることが特徴です。
300m防水と、既存コレクション同様に高いスペックを備えているのも嬉しいところです。
なお、カーボテックとはパネライが誇るハイテク素材です。
軽量かつ強靭、耐蝕性にも優れるカーボンの一種ですが、この成形時に薄いシート状にしたカーボンをランダムに重ね、原子構造を複雑にすることで一般的なカーボンよりも堅牢性を高めていることが特徴です。またシートをランダムに重ねるという工程ゆえ、木目を思わせるような独特の模様が表面に出来上がることとなり、しかも一つとして同じ個体はできません。
このカーボテックは近年ではパネライが積極的に用いているハイテク素材となり、海中での使用も多いサブマーシブルを中心に、素材として重宝されています。
カーボテックの性能もさることながら、模様が良い味わいですね。
搭載するムーブメントは約3日間ものロングパワーリザーブを誇る自動巻きキャリバーP.900です。
パネライの薄型コレクション「ルミノール ドゥエ」でもお馴染みのキャリバーであるため、サブマーシブル クアランタクアトロもダイバーズウォッチらしい堅牢性を保ちつつも、上品な厚みをも維持していると思われます。これはぜひ、実機を見て腕に装着してみたいですね!
なお、ストラップはPAM01229がブラック、PAMPAM01226がカーキグリーン、PAM01232にはブルーのラバーストラップが搭載されています。
このストラップはリサイクル素材で構成された部分が30%に及んでおり、さらに替えベルトは68%がリサイクル素材のファブリックストラップになっているようです。
また付属品も、少なくとも約72%がリサイクル材料となったFSC(森林管理協議会認証)紙を用いるようになったとのこと。下記画像はルミノールですが、順次このボックスで出回っていくのでしょう。
出典:https://www.panerai.com/jp/ja/home.html
環境に配慮を欠かさない、パネライらしい気遣いですね!
税込定価はステンレススティールモデルが1,144,000円、カーボテックモデルが2,178,000円です。
2022年パネライ新作②サブマーシブル クアランタクアトロ ESteel Ref.PAM01288等
出典:https://www.panerai.com/jp/ja/home.html
スペック
外装
ケースサイズ: | 直径44mm |
素材: | eSteel |
文字盤: | グリーン/グレー/ブルー |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.P.900 |
パワーリザーブ: | 約3日間 |
機能
防水: | 300m |
定価: | 1,342,000円 |
サブマーシブルに2022年、新しく加わった中間サイズのクアランタクアトロ。eSteelモデルも併せて3機種、追加されました!
eSteelとは、昨年パネライがローンチした独自スティールです。
最近では高性能スティールを独自に採用するブランドも増えてまいりましたが、パネライの場合はリサイクルスティール合金!時計の総重量の60%前後を再生素材で構成したスティールとのことです。
パネライは数ある時計ブランドの中でも、SDGsに意欲的に取り組んでいることが見て取れます。前項でもストラップや付属品について言及しましたが、これは今年に限った話ではありません。例えば2020年には「マイク・ホーンエディション」として、冒険家のマイク・ホーン氏が使ってきた帆船のパーツからリサイクルした新素材で新作発表を行ったり、ストラップににPET素材を用いたりといった具合に、と、その事例は枚挙にいとまがありません。
eSteelもまた、パネライがサスティナブルな時計のために開発した新素材ということです。
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リサイクル素材とは言え、堅牢性や耐久性は維持されています。また写真を見ると、高級機らしくしっかりと仕上げられていることも垣間見えますね。もちろんダイバーズウォッチとして、300m防水も変わりはありません。パネライの環境配慮への情熱が生み出した、至高の素材であると言って良いでしょう。
ラインナップは計3種です。
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グリーン(ヴェルデス エメラルド)文字盤,グレー(グリジオ ロッチャ)文字盤,ブルー(ブルー プロフォンド)文字盤となっており、いずれも文字盤6時位置にeSteelのロゴがあしらわれました。
ストラップもリサイクルPETが用いられたファブリック製で、それぞれの文字盤に合わせたカラーリングが高いデザイン性をも誇ります。なお、替えベルトもリサイクルラバーとのことです。
搭載するムーブメントはCal.P.900、パワーリザーブ約3日間。
パネライの社会に対する姿勢にも共感できる、2022年新作となっております。
2022年パネライ新作③サブマーシブル クアランタクアトロ ルナ・ロッサ Ref.PAM01391
出典:https://www.panerai.com/jp/ja/home.html
スペック
外装
ケースサイズ: | 直径44mm |
素材: | ステンレススティール |
文字盤: | ブルー |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.P.900 |
パワーリザーブ: | 約3日間 |
機能
防水: | 300m |
定価: | 1,188,000円 |
国際ヨットレースの権威『アメリカズ・カップ』。その挑戦者代表チームであるルナ・ロッサ・プラダ・ピレリとパネライはパートナーシップを結んできた歴史があります。
2022年、パネライは第37回アメリカズ・カップ開催を受け、そして再び公式スポンサーが決定したことを祝して、新しいサブマーシブル クアランタクアトロより、ルナ・ロッサの特別モデルをリリースしています。
そんなパネライのルナ・ロッサをオマージュしたモデルは、同チームのセーリング技術やコンセプトを時計に落とし込んだかのようなデザイン・性能を有していることが特徴です。
2022年新作のPAM01391も、300m防水の堅牢なステンレススティールケースを基調とした、精悍な一本となっております。海上での競技を繰り広げる、ルナ・ロッサを彷彿とさせますね。
一方でブルー文字盤に赤を差し色と入れていることも大きな魅力。ルナ・ロッサはイタリア語で「赤い月」を意味しており、AC75ルナ・ロッサ艇やユニフォームにも随所に赤が用いられますが、パネライのウォッチでもまた再現されました。
出典:https://www.panerai.com/jp/ja/home.html
ファブリック製ストラップにも、ブルーの地に赤のラインが引かれており、洗練された印象を有します。
搭載するムーブメントは約3日間のロングパワーリザーブを誇る自動巻きキャリバーP.900。
国内定価は1,188,000円。世界限定1,500本生産となっております。
2022年パネライ新作④ルミノール ゴールドテック カレンダリオ ペルペト Ref.PAM01269
出典:https://www.panerai.com/jp/ja/home.html
スペック
外装
ケースサイズ: | 直径44mm |
素材: | ゴールドテック |
文字盤: | ブラック |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.P.4100 |
パワーリザーブ: | 約3日間 |
機能
防水: | 50m |
定価: | 9,988,000円 |
軍用時計にそのルーツを持つパネライは、いつでも堅牢でどんな過酷な状況下でも正確な時刻をオーナーに提供してきました。こういったツールウォッチの側面が強かったためか、あまり複雑機構(コンプリケーション)を製造しているイメージはも持たないかもしれません。
しかしながらパネライでは2002年より、スイス ヌーシャルテルに自社時計工房を設立(2014年には同地に新工房を竣工)。自社製ムーブメントの研究・開発・製造を行ってきており、コンプリケーションウォッチの製造にも意欲的に取り組んでいます。
とりわけ2016年に公開された、「ラジオミール 1940 ミニッツリピーター カリヨン トゥールビヨン」はパネライ史上最も複雑な時計と称賛されたように、三種のリピーター機能を搭載した驚きの銘品となります。
2021年には同社初となるパーペチュアルカレンダーをリリース。この時、搭載されていたP.4100によって、2022年にまたパネライの新たな歴史を感じさせる新作が登場しているのです。
出典:https://www.panerai.com/jp/ja/home.html
それが、このルミノール ゴールドテック カレンダリオ ペルペト PAM01269です。ちなみにゴールドテックもパネライによるカラーゴールドで、銅を含有することで深い赤みを帯びつつ、さらにプラチナを含めることで酸化を防ぎ、末永い美しさをオーナーに提供してくれる素材となっております。
加えて言うとパーペチュアルカレンダーとは、時計が動き続けている限りは基本的にカレンダーの手動修正がいらない、という機能です。通常は31日までの月(大の月)・31日までない月(小の月)の区別はつかず、小の月の末日は手動で「1日」にカレンダー修正している方が多いと思います。
しかしながらパーペチュアルカレンダーはこういった大の月・小の月に加えて閏年をも自動で判別して切り替えてくれる、という優れものです。なお、パーペチュアルカレンダーには日付のみならず曜日や月も同時搭載されていることが多く、これらも自動送りをしてくれるというわけです。
パーペチュアルカレンダーは利便性が高い一方で「世界三大複雑機構」に数え上げられるほど製造難易度が高く、どのブランドでもラインナップできる代物ではありません。しかしながらパネライでは2021年にローンチし、さらに早くも第二弾を投入してきたことを意味します。
文字盤には時分針・スモールセコンド・日付・曜日の他、GMT針とスモールセコンドと同軸となった昼夜表示が整然と並びます。複雑機構に見づらさがないのは、さすがパネライですね。
さらにこのパネライのパーペチュアルカレンダーが素晴らしいのは、曜日・日付・月の操作がリューズ一つで行える、ということ。加えて、この修正に禁止時間帯はなく、月末や深夜であっても操作OKとのこと!複雑機構でありながら、約3日間のロングパワーリザーブが健在なのも素晴らしいですね。
スモーク状となった文字盤から日付ディスク・曜日ディスクが鑑賞できるため、機械好きにとってもたまりません。
出典:https://www.panerai.com/jp/ja/home.html
裏蓋もシースルー仕様となっており、美しいゴールド製のマイクロローターの他、年・月・閏年・パワーリザーブインジケーターも垣間見ることができます。
超絶複雑機構ということもあり、価格は9,988,000円。さらに33本の限定生産となっております。
なお、購入者にはパネライの伝統を直接体験できる、イタリア フィレンツェへの旅が付属しています。パネライは製品に、こういった体験型のオプションを付けるのが面白いですよね。ちなみに日本人初のパネライアンバサダーとなった反町隆史さんとのスペシャルエディションが昨年リリースされましたが、これには反町隆史さんとの琵琶湖ツアーが付いていたことでも話題になりました。
時計としての面白みも、パネライの時計製造技術へのこだわりも教えてくれる。そんな2022年新作ではないでしょうか。
まとめ
パネライから2022年新しくリリースされた、サブマーシブル クアランタクアトロおよびルミノール ゴールドテック パーペチュアルカレンダーについてご紹介いたしました!
既存モデルの改良に留まらず、親ラインも続々発表しているパネライ。
また新たに「パネリスティ」を増やし続けていくことでしょう!
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。