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プラスチック風防とは?その特徴と知識まとめ
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腕時計には必ず文字盤を保護するガラスが備えられていますが、このガラスにはいくつかの種類が存在することをご存知でしょうか?
現代の腕時計には「サファイヤクリスタルガラス」という非常に硬い素材で作られたガラスが大半のモデルに採用されており、アンティークウォッチには「プラスチック風防」という黎明期から使用され続けてきたものが使われています。
プラスチック風防はサファイヤクリスタルガラスに比べ強度は劣るものの、プラスチック風防にしかない味わいがあるため、時計ファンに根強く愛され続けています。
今回はそんなプラスチック風防について解説致します。
目次
1.プラスチック風防とは?
もともと風防という言葉は「風による悪影響を防ぐ器具」として作られた部品のことを指します。そのため、風防という言葉自体は時計専門用語ではなく、バイクや自動車などにも幅広く使われる用語です。
基本的に腕時計の風防としては、「サファイヤクリスタルガラス・ミネラルガラス・プラスチック風防」の3種類が使われています。現在の主流は天然宝石のサファイヤと同等の硬度をもち、傷が付きにくいという特徴をもつサファイヤクリスタルガラスです。
また、サファイヤクリスタルガラスはミネラルガラスに比べると高価なので、主に高級腕時計に使用されます。逆に、安価な時計にはミネラルガラスが採用されます。
対して、プラスチック風防はその名の通り「プラスチック素材」で作られた風防のことです。アクリルガラスやプレキシガラスと呼ばれることもあります。
安価で加工がしやすい素材であり、1940年代~60年代ごろの腕時計に多く使われました。
ただ、1970年頃から文字盤を覆う素材としてガラスが普及したことをキッカケに、次第にその姿は見られなくなります。
そのためプラスチック風防は、基本的にアンティーク品に多く採用されています。
ロレックス GMTマスター 1960~70年頃の個体
2.プラスチック風防の特徴
傷に強いという点では圧倒的にサファイヤクリスタルガラスに分があります。プラスチック風防は傷がつきやすいだけで、メリットなんてないのでは?と思われる方もいるでしょう。
しかし、そんなことはありません。プラスチック風防にはプラスチック風防にしかない特徴が存在するのです。
プラスチック風防の特徴① 透明性が高く、文字盤が見やすい
意外なことにプラスチック風防は「透明性・光の透過性」が高く、文字盤が非常にクリアに見えます。そのため、視認性が高いのです。
キングセイコー 45KS 45-7001 / ロレックス デイデイト 1803
プラスチック風防の特徴② 万が一割れても安心
プラスチック風防は粘性・弾力性があり、割れにくいという特徴があります。ガラス素材の風防は割れたときの破片がとても鋭いので、万が一の場合に危険です。その点、割れても危険性が少ないプラスチック風防は安心感があります。
また、割れにくいということは文字盤が傷つくリスクも少ないので、時計の価値をより保ちやすいというメリットも兼ね備えます。
プラスチック風防の特徴③ 傷を取り除くことができる
サファイヤクリスタルガラスは硬度が高いため傷が付きづらいですが、逆に傷がついてしまった場合は取り除くことが難しいです。取り除く場合はガラスを交換することになり高額な費用が発生します。
対してプラスチック風防は傷は付きやすいものの、ポリッシュすることで取り除けるというメリットがあります。オーバーホールに出した際、風防の磨きも依頼すれば綺麗な状態になって戻ってくるでしょう。
プラスチック風防の特徴④ 個性的な形状
ガラスは硬く加工が難しい素材であるが故、表面がフラットな形状をしています。
逆にプラスチック風防は強度を上げるためにカーブを描いたドーム型の形状をしていることが多く、この形状はとても個性的です。
ドーム型の形状はアンティークウォッチの象徴ともいえ、コレクターの方には、このエッジ部分の雰囲気を好まれる方が多くいらっしゃいます。
オメガ コンステレーション ST168.017 / IWC インヂュニア Cal.853 666
尚、現行モデルでもプラスチック風防を採用しているモデルは見受けられます。とくに有名なのはオメガ スピードマスターとパネライ ルミノールです。
オメガ スピードマスター311.30.42.30.01.006
まとめ
プラスチック風防はアンティークの趣を感じる独特な魅力をもつ風防です。サファイヤクリスタルガラスにはない「味」があるため、アンティークウォッチに興味がある人だけでなく、個性を重視する方にも最適だと思います。
是非、時計を購入される時は風防にも注目してみてください。
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