「パテックフィリップでは購入後すぐに保証書がもらえないの?」
「パテックフィリップの転売対策や相場について知りたい」
世界最高峰の時計ブランドの一つ・パテックフィリップ。
華麗なる名門としての歴史を有する一方で、独自の品質基準のもと、美技ともに卓越した製品を世に送り出し続けています。
そんなパテックフィリップはコレクションも素晴らしく、「カラトラバ」「ゴンドーロ」そして数々の「コンプリケーション」など名作は枚挙にいとまがありません。
しかしながら最近は、コレクションそのものの素晴らしさよりも、世界的な需要の高まり・そして急激な実勢相場の高騰について話題に上ることが、とみに増えつつあります。
ノーチラスやアクアノートといったラグジュアリー・スポーツウォッチのみならず、カラトラバやコンプリケーション等、コレクション全体を通してパテックフィリップの実勢相場が上昇基調となっており、これに伴い「正規店での購入後、即売却する」といった行動も見受けられるようになりました。
これに伴いメーカーは2020年頃から、これら転売への対応策に動いています。
そして転売対策の一環か、2022年には、新たな保証書「預かり」制度も打ち出されることに・・・!
そんなパテックフィリップの転売対策について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
パテックフィリップは世界最高峰の製品を手掛けるからこそ大量生産できず、手に入りにくいとされるブランドです。
この記事ではパテックフィリップが転売対策のために導入している制度について、GINZA RASINスタッフ監修のもと紹介します。
近年の実勢相場についても紹介しますので、パテックフィリップの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
パテックフィリップ 購入後2年間は保証書「預かり」へ
2022年8月頃から、パテックフィリップの購入時の「保証書」について、ある話が流れてきました。
曰く「購入から2年間は保証書を顧客にお渡ししない」と。保証期間にあたる2年間は店舗側で保証書を預かり、2年後に顧客へと発行する制度へとじょじょに変わっていっていると言うのです。
実際にいくつかの店舗で当該制度が導入されており、今後はスタンダードにしていく、とのこと。
「顧客が強く要望すれば、保証書を発行してくれる」といった噂もあるようですが、真偽のほどは定かではありません。
パテックフィリップでは保証書を、同社の厳格な品質基準のもとで製造された真正品であることの証明書とし、2年間の製品保証を謳っています。
保証書がなくとも保証は有効となるため、大切に所有するオーナーにとっては2年後のお渡しでも問題ないことが多いですよね。事実、ウブロやブライトリングなどは電子保証書へと移行しており、カードタイプの保証書は付属しなくなりつつあります。
一方でパテックフィリップを始めとした高級腕時計は、売却時に保証書の有無によって大きな価格差が出ることも事実です(もちろん、電子保証書に移行したウブロやブライトリングの評価額が下がるなどといったことは見受けられません)。
特にパテックフィリップは、ファーストオーナーでなくとも保証やアフターサービスについて明確な差別を設けておりません。保証書のオーナー名が消されているなど、第三者の手が加えられていると無効になってしまうのですが、きちんとオリジナルが保たれている場合は市場における価値は同一、ということになります。
一方で「2年間の保証書預かり」は、すなわちパテックフィリップで購入した腕時計を、購入後2年間は、保証書を付属した状態での売却ができない、ということを示唆しているのです。
パテックフィリップは「生涯にわたって愛せる腕時計」である一方で、一大中古市場を築いており、イニシャルコストは高くとも再販価格もまた高い傾向にあります。そのためパテックフィリップを購入後に売却することは珍しくなく、また時計専門店でも積極的に買取を行いたい商材です。しかしながら、やはり「買ってすぐ売却」となると、本当に欲しい方に行き渡らなかったり、市場価格が吊り上げられてしまうことに繋がります。
そのため近年では「人気モデルの、同一人による同一モデルの購入不可」などといった転売対策が設けられてきたのですが、さらに2022年より保証書の預かり制度が設けられることとなった次第です。
なお、こういった転売対策は、ロレックスを中心とした人気ブランドでも顕著となりつつあります。
パテックフィリップ 近年の右肩上がりの実勢相場【2022】
なぜパテックフィリップは転売対策を行うのか。
それは、冒頭でもご紹介した通り、近年のパテックフィリップの実勢相場にあります。
高級腕時計相場全体が上がっている、という背景もあります。長年続いてきた円安や、新型コロナウイルスによってレジャーや飲食で使われていた消費が高級嗜好品に向けられていることも大きく影響しているでしょう。
一方で為替や社会情勢を超えて、一部の人気ブランドの人気商材に需要が集中し、実勢相場が急騰しているといった現象も見受けられます。
とりわけパテックフィリップのノーチラス Ref.5711/1Aは、この急騰相場を牽引している存在です。
ノーチラス Ref.5711/1Aは2006年~2021年まで(2010年頃にマイナーチェンジ。また、白文字盤は2012年~2020年まで)製造された、パテックフィリップを代表するスポーツウォッチです。
天才時計デザイナー「ジェラルド・ジェンタ氏」によって手掛けられた、アイコニックな薄型ケースにエレガントなブレスレットを持つステンレススティール製モデルであり、当初のコンセプト通りタキシードにもウェットスーツにもマッチするラグジュアリー・スポーツウォッチでした。
近年、このラグジュアリー・スポーツウォッチへの需要が集中。もともとパテックフィリップの代表作の一つだけあり、高い人気を誇ってはきました。しかしながら2021年(および2020年)の生産終了により、人気が加速し、世界的に買いが集中。製造期間は短くないものの、非常に手の込んだ作りであるパテックフィリップ製品。大量生産とは無縁であるがゆえに生産量は多くはなく、そのため流通量が枯渇するのに時間はかかりませんでした。
供給・流通を上回る需要があれば、当然市場価格は上昇していきます。ノーチラスは生産終了(しかも、現行では後継機なし)によって供給ストップしたことも相まって、SS製価格であるにもかかわらず小売り価格は1000万円が当たり前。果ては2000万円超となることもあるのだとか・・・!最終定価が3,872,000円であったことを鑑みれば、凄まじいまでですよね。
ノーチラスほどではなくとも、同じくスポーツウォッチのアクアノートやドレスウォッチのカラトラバも実勢相場は右肩ラインを描いています。パテックフィリップは少量生産を貫いているため、この傾向は今後も続くと思われます。
そのため「購入後即売却」を狙う購買マインドも存在しており、こういった状況を鑑みて、各メーカーの転売対策や購入時の対策はいっそう厳格になっていくことも考えられます。
まとめ
パテックフィリップが2022年よりスタートした、保証書「預かり」制度について。また近年のパテックフィリップの実勢相場についてご紹介いたしました!
世界最高峰の製品を手掛けるからこそ、どうしても大量生産とは無縁となるパテックフィリップ。世界的な需要の高まりによって、今後も価格高騰は必至と思われる一方、資産価値やリセールバリューが取り沙汰され続けていくことも予測できます。
さらに2023年の新作発表も気になるところ。
今後もパテックフィリップの動向を追っていきたいと思います!
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年