「ロレックス サブマリーナとシードゥエラーの人気が高まってるって本当?」
「サブマリーナとシードゥエラーの人気モデルについて知りたい」
日々変動するロレックス相場。
時計専門店では毎日この相場と向き合うことになりますが、最近ある現象に気づきました。
ロレックスのサブマリーナ 116610LV―グリーンサブ―とシードゥエラー 126600―赤シード―が、ここ数か月ほどでかなり価格高騰、いや、急騰しているのです。
相場グラフを覗いてみると、きっかけは2019年3月。
ちょうどバーゼルワールド開催時期で、その影響かと当初は思われました。
新作発表によって注目度が高まり、相場がワッと盛り上がることはよくありますが、サブマリーナとシードゥエラーの人気が急上昇した理由が気になる人は多いのではないでしょうか。
この記事ではこの2モデルの価格急騰の要因を、GINZA RASINスタッフ監修のもと考察しています。
価格急騰の理由としては季節的要因や生産終了の噂などが考えられます。
2モデルの最近の価格動向についても解説していますので、ロレックスの投資に興味がある人はぜひ参考にしてください。
※あくまで考察となり、価格急騰の事象に関する説明をしたものではありません。
※掲載する相場・定価は2019年6月現在のものとなります。
目次
ロレックス サブマリーナ116610LVとシードゥエラー126600の最近の価格動向
サブマリーナとシードゥエラー。どちらもロレックスを代表するダイバーズウォッチとして、不動の人気を誇ってきました。特に近年はダイバーズウォッチのシンボルでもある逆回転防止ベゼルにセラクロム素材を使用し、さわやかさ・精悍さ・高級感全てを兼ね備えることとなった、男の永世定番とも言えます。
そんな人気機種のため、相場は常に高値安定。
近年のロレックスの価格上昇は目を見張るものがありますが、デイトナ,GMTマスターIIなどと並び、この勢いをけん引してきたのも二大ダイバーズウォッチと言っていいでしょう。
しかしながら、バーゼルワールド2019を迎えた3月終わり頃あたりから、グリーンが眩しいサブマリーナ116610LVと赤シードとも呼ばれるシードゥエラー126600が、かなり価格を上げてきているのです。
サブマリーナ 116610LVの価格動向
2018年6月の新品並行相場:150万円前後
2019年6月の新品並行相場:200万円超
シードゥエラー 126600の価格動向
2018年6月の新品並行相場:160万円台後半
2019年6月の新品並行相場:180万円超
冒頭でも述べたように、バーゼルワールド後のいつものお決まりの流れとして、多くのモデルが相場を上げています。特にバーゼルワールドをきっかけにメーカーホームページから姿を消した生産終了(と思われる)モデルは買いに走る層が一気に増え、超高騰することも。
そんな風潮の中で116610LVと126600も高騰しているのですが、おかしいのが別に生産終了モデルでもないのに上昇率が非常に高いこと。価格推移グラフをご覧になっていただくと、サブマリーナは30万円以上、シードゥエラーは20万円以上もの値上がりを見せていることがおわかりいただけるでしょう。この二つともにもともと人気機種ではありましたが、こんな短期間で価格急騰する、という類のモデルではありませんでした(むしろ一世代前の16610LVや116600の価格上昇の方が顕著だった)。
いったいなぜなのか。
次項で、その要因として考えられる事柄をご紹介し、考察していきたいと思います。
ロレックス サブマリーナとシードゥエラー価格急騰の理由考察
サブマリーナ 116610LVとシードゥエラー126600の価格急騰の理由への考察を、三つに分類してみました。
それぞれをご説明いたします。
考察①いつ生産終了してもおかしくないから
ロレックス相場ならではの現象として、「生産終了モデル」が価格上昇する、というものがあります。
例えばバーゼルワールド2019を例にとると、GMTマスターIIの116710LNや116710BLNR。また、噂に終わりましたが、ミルガウスRef.116400GVが今年廃盤する、と囁かれたことがあり、一時期大きく注目されることとなりました。
サブマリーナ 116610LVとシードゥエラー126600も、「生産終了するのではないか」と予期されて、価格が急騰しているのではないか。この理由を考察します。
なぜバーゼルワールド後に?今年は残留決定でしょ?そんな声が聞こえてくるかもしれません。
でも、この二本に関しては、いつ現行ラインナップから姿を消してもおかしくない、と言う話も業界筋にはチラホラとあります。ある時計バイヤーの話では、どちらも「アニバーサリーモデル的立ち位置」だと言うのです。
出典:https://www.instagram.com/rolex/
確かにサブマリーナ 116610LVは、一世代前の16610LVに端を発するアニバーサリーでした。
2003年、サブマリーナ誕生50周年を記念し、ロレックスのコーポレートカラーにあたるグリーンで色づけられたモデルとしてリリースされたのです。ちなみに16610LVを契機に、ロレックスの記念モデルにグリーンが使われることとなりました。
116610LVはその後継機に当たります。
※2003年~製造されていたサブマリーナ 16610LV
シードゥエラー 126600もアニバーサリーです。
シードゥエラー誕生50周年記念として、バーゼルワールド2017にて発表されることとなりました。なぜ赤シードと呼ばれるかと言うと、文字盤に記されたモデル名のロゴが赤く色づいているため。初代シードゥエラーの一部個体にのみ見られるレア仕様で、これはコレクター垂涎の逸品でした。同社がシードゥエラーのアニバーサリーに当たって、復活させた形となります。
※初代シードゥエラー1665の赤シード
今回話を聞いたバイヤー曰く、こういったアニバーサリーモデルはレギュラーラインナップではないので、バーゼルワールドなどのタイミングにかかわらず、唐突に製造されなくなる可能性がある、と。
これはあくまで考察であり、時計業界全体での意見ではありません。また、サブマリーナ116610LVに至っては、50周年記念モデルの後継機のため厳密にはアニバーサリーモデルではありません(シードゥエラー126600は、クロノ24などの世界各国が集う高級時計オークションでは「50周年アニバーサリーモデル」との表記がしばしば見られる)。
ただ、こういった「噂」の段階で買いに走る方が増え、結果として相場を底上げする、ということはあり得ます。実際、前述したミルガウスの生産終了も結局は噂でしたが、注目度が上がったことは間違いないでしょう。
もともと二本ともに人気機種と言うこともあり、次に価格を上げるロレックス候補として手に入れてみようか。そんなことを個人的に考えてしまいます。
考察②シードゥエラーのスイスメイド表記の変更
※画像のモデルはシードゥエラーではありません
これは今のところサブマリーナではなく、シードゥエラー126600のみの考察となりますが、ひっそりと仕様変更が進んでいることをご存知でしょうか。
126600の個体の、文字盤6時位置の下にある「SWISS MADE」ロゴ。今年の3月あたりから入荷してくるモデルに、王冠マークが入るようになったのです。実はバーゼルワールド2018あたりから見られるようになった仕様で、必ずしもシードゥエラーだけの話ではなく、今後サブマリーナ含む多くのモデルで採用されることとなるのかもしれません。
でも実は、海外市場などでは、シードゥエラー126600の「王冠マーク無(ノークラウン)」が、顕著に値上がりを見せているのです。
国内市場でも価格差を設ける傾向が強くなってきましたが、まだ明確に差別化しているわけではありません。そのため、ノークラウンのシードゥエラー126600への需要が集中し、結果として126600の相場全体を押し上げている。このように考えられるのではないでしょうか。
考察③季節的要因
出典:https://www.instagram.com/rolex/
ロレックスに限らず、ダイバーズウォッチは春~夏にかけて人気を集める傾向にあります。
オメガのシーマスター,セイコーのプロスペックス,タグホイヤーのアクアレーサー・・・多くのブランドが魅力的な製品をラインナップしており、マリンアクティビティや夏の爽やかなファッションに合わせたくなりますね。
こういった、ダイバーズウォッチのシーズンだから、という理由でサブマリーナとシードゥエラーの価格が上がっているのではないか、ということも考えられます。
もちろん例年よりも上昇率は高いのですが、やはり毎年3月~5月は回転率が良くなり、市場が動きやすいことは無関係ではないように思います。昨年に続き今年も猛暑が予想されますので、ダイバーズウォッチへのニーズが高まったことも一つの要因として考察いたしました。
まとめ
バーゼルワールド2019をきっかけに、価格が急上昇中のサブマリーナ116610LVとシードゥエラー126600。文中で何度か述べているように、どちらも高級時計界きっての人気モデルとなります。そのため、いつ需要が集中してもおかしくないとも言えますが、やはりここ数か月の値上がり率の高さは気になるところ。その理由を、時計業界で囁かれる噂を交えつつ、考察してみました。
相場は抜きにしても、これから夏を迎えてますますサブマリーナとシードゥエラーが映えるシーズンとなります。さらなる値上がりを期待しつつ、夏らしいモデルを楽しんでみるのも良いですね。
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年