「デイトナはなぜこんなにも人気なの?」
「デイトナって何がすごいの?」
定価よりも遥かに高い相場で取引されているロレックス デイトナ。
ステンレススティールを筆頭に世界中の男性の憧れとして人気を博しています。
ロレックス唯一のクロノグラフだから。
ロレックスのステータス性を味わえるから。
デイトナが支持される理由は様々ですが、何故これ程までに評価されているか知りたいという人は多いのではないでしょうか。
デイトナの魅力は実用的なクロノグラフで、最先端の技術の結晶という部分が大きいです。
この記事ではデイトナの魅力や特長について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
資産価値の高さについても解説しますので、ロレックスの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
実用的なクロノグラフであるということ
正式名称「オイスターパーペチュアル コスモグラフ デイトナ」。
レース用クロノグラフであるデイトナが誕生したのは今から約50年以上も前のことです。
1963年にモーターレース「デイトナ・インターナショナルスピードウェイ」にちなんで生み出され、タキメーターベゼル(時速を測るベゼル)を持つこと、視認性・防水性といった外装仕様が実用的であったことからこと、そしてデザイン性の高さから大きな人気を博しました。
現代においてはロレックスの象徴として、時計ファンであれば誰もが一度は手にしたいモデルと称される存在となっています。
誕生から現在まで6世代に及ぶ改良を繰り替えし、そのたびに進化してきたデイトナ。
デザインこそ大幅な変更は加えられていませんが、技術的ノウハウとそれを紡いできた歴史により、細かな部分で常に実用性が上がっています。
針やリューズといった細かな素材、ゼンマイの素材、そして堅牢性と耐久性へのこだわり。
レーシングクノログラフは他ブランドからも様々なモデルが展開されていますが、実用性に関していればデイトナが世界最高峰の一本だといえます。
スポーツロレックスの中では文字盤デザインや素材に多くのバリエーションを持つデイトナですが、その中でもオールステンレス系は圧倒的な評価を得ています。
ゴールドやプラチナといった素材の高級感ではなく、時計から放たれる「本物のオーラ」。
過度な装飾を施さず、レーシングウォッチとしての本質を極めたデザインであるからこそ、ステンレス系のデイトナに人気が集中しているのかもしれません。
最先端の技術の集合体であること
新作が発表されるたびに進化を重ねてきたデイトナ。現行 116500LNはこれまで用いられてきた技術をブラッシュアップした、まさに集大成ともいえる作品です。
旧作の116520、2世代前の16520も未だに高い需要がありますが、やはり現行デイトナである116500LNはそれらを超越するだけの魅力を秘めています。
40mmという袖口にシックリ収まる絶妙なサイズ感、スマートに着けこなせる12.5mmケース厚、装着感に拘りぬかれたブレスレット、そして身に着けた時の誇らしい気持ち。
この満足感は他のどんな時計を身に着けても味わうことができません。
しかし、なぜこれほどまでにデイトナに惹かれるのでしょうか?
ここでは特徴的なパーツ一つ一つを見ながらその理由を探っていきます。
リューズ
デイトナのリューズにはトリプルロックリューズが採用されています。これは三重構造のパッキンを装備した特別仕様のリューズであり、 パッキンはチューブ側に2つ・リューズ側に1つ配されています。
高い機密性が実現されており、水が時計内部に侵入することはほぼありません。
リューズトップにはその証としてロレックスの王冠マークと3つのドットが刻印されています。 また、リューズを包みこむように設計されたリューズガードにより、リューズが抜けたり破損したりするのを防止しています。
プッシュボタン
ストップウォッチを作動させるためのボタン。2時位置にはスタート/ストップボタン、4時位置にはリセットボタンが配されています。
デイトナのプッシュボタンはネジを開放してからでないと押すことができないネジ込み式リューズが採用されており、高い防水性を誇ります。ボタン1つ1つにも技術が詰まっているのがデイトナの魅力だといえるでしょう。
ブレスレット
デイトナ 116500LNのブレスレットは堅牢性の高い3連ブレスレットです。
中央のコマは鏡面仕上げ、両側のコマはサテン仕上げとなっており、光の反射によって腕元を美しく彩ってくれます。
夜光
出典:https://www.rolex.com/ja/
現行デイトナに採用されている夜光塗料はクロマライト。青く輝くその光はダイヤルを美しく照らします。
発光持続時間が約8時間に進化したことも特徴で、これは旧作で使用されていたスーパールミノヴァの2倍にも及びます。
※画像はディープシー
インデックス
現行デイトナ116500LNのインデックスはシンプルなバータイプ。デイトナはバリエーションによってダイヤインデックスやアラビアインデックスの個体も存在しますが、レーシングクロノの魅力を味わうのであれば、バーインデックスが一番です。
スモールセコンド
クロノグラフ針の代わりに1秒1秒を刻むスモールセコンド。デイトナ116500LNでは見やすい6時位置のインダイヤルに配されています。
30分積算計
クロノグラフ針が1周するごとに1目盛り針が進み、最大30分まで時間の経過を図ることができるメーターです。
クロノグラフにおいては定番の機能ですが、デイトナ116500LNは細部まで作り込まれた精度の高い仕上がりとなっています。
モデルによって配置される位置は異なりますが、デイトナは3時位置に配されるのが基本です。
12時間積算計
9時位置に配されているのは12時間積算計。クロノグラフ針が60周すると1目盛り針が進む設計となっています。
日常生活において長時間の時間計測を行うことは稀ですが、長時間のレースを計測する為には必要な機能です。
クロノグラフ針
ストップウォッチの計測を行う針。スタートボタンを押すことで作動し、精密に時間を刻みます。
針は文字盤の美しさを邪魔しない控えめなデザインとなっていますが、細部までこだわり抜かれた設計となっており、ズレが生じるリスクも最小限に抑えられています。
シンプルイズベストをまさに体現したクロノグラフ針です。
クロノメーター表記
ロレックスロゴの下に配された2つの英字が記されています。1つは防水ケースを採用した自動巻きであるという意味を持つ「OYSTERPERPETUAL」、そしてもう1つは厳しい精度チェックのテストをクリアしたことを証明する「SUPERLATIVE CHONOMETER OFFICLLY CERTIFIED」。いずれもロレックスの技術力の高さを証明しています。
タキメーターベゼル
116500LNの大きな特徴であるセラミック製のタキメーターベゼル。タキメータースケールはスピードを計測するメーターとなっており、レース用クロノグラフであるというデイトナのアイデンティティーを体現しています。
旧作ではステンレス製のベゼルが採用されていましたが、今作では耐久性・耐食性、そして資格的な美しさをもつブラックセラミックを採用。高級感がまし、高い評価を得る要因となりました。
王冠マーク
王冠透かしマークはロレックスの象徴である王冠を点線で描いているのが特徴です。
その大きさは 肉眼ではほとんど見えず、ルーペ等を使って初めて分かるくらい細かなものです。
デイトナ116500LNでは円部分が2重になった新マークが採用されており、更に繊細なマークとなっています。
高性能キャリバー cal.4130を搭載
デイトナ専用機として開発されたCal.4130。歴代デイトナに搭載されたバルジュー、エルプリメロといった名機の良さを取り入れ、それを自社ムーブメントとして理想形に昇華した最高品質のムーブメントです。
普段は堅牢性の高い裏蓋に隠れてその姿を見ることは叶いませんが、圧倒的なスペックを有します。
振動数:28800振動(毎時)
石数:44石
パワーリザーブ:72時間
伝達方法:垂直クラッチ
作動方式:コラムホイール
Cal.4130には2つの技術的な強みがあります。
1つはキャリングアーム方式から垂直クラッチ構造に変更が加えられたことにより、クロノグラフの針飛びが解消されたこと。各積算計の動きも同期させることも成功しており、コンパクトな設計となっています。
もう1つの強みは時計の精度を決めるテンプを支えるブリッジというパーツがダブルブリッジ式に変更されたことです。
これにより、精度の安定性と堅牢性が大幅に向上しました。
メンテナンス性も向上し、故障しても一生使い続けやすくなったのもポイントです。
常にプレミア価格で推移する圧倒的な資産価値の高さ
116500LN は2016年に発表された直後から常にプレミア価格となっており、それは現在も変わっていません。
手に入れることが難しいからこそ、資産価値とステータス性は上がり続けています。
また、世界中で人気のあるデイトナは116500LNに限らず、どのモデルも相場が高いです。特にステンレス系は殆ど例外なくプレミア価格で取引されており、定価の2倍以上の価格になることも珍しくありません。
実用的な時計として楽しめるだけでなく、資産にもなる。
これもデイトナが高く評価される理由だといえます。
なぜこれほどまで高騰するのか?
デイトナが常にプレミア価格である理由。それは需要に対して供給が追い付いていないからです。
デイトナはスイス本国からの流通量が抑えられているため、正規店にて定価で購入することは殆どできません。そのため、市場取引相場を基に定められた価格で時計を購入することになります。
これはエクスプローラーやサブマリーナといった他の人気モデルにおいても同じですが、クロノグラフという複雑機構を搭載したデイトナはその中でも特に流通量が少なく、モデルの人気も相まって相場が高値をキープしているのが現状です。
定価:1,309,000円
市場価格:約270万円
116500LNの現在(2020年2月時点)の相場は270万円ほど。
高騰のピークを終え、やや相場が落ち着いては来ましたが、未だに定価の2倍近い相場となっています。
現行モデルでこれ程までに高騰するモデルは他に見当たりません。
だからこそ「デイトナを手にすることは成功者の証である」という価値観が定着したのでしょう。
資産価値が高いからロレックスを買うという方も多いですが、デイトナが支持される理由はデイトナを手に入れること自体の満足感にもあるのかもしれません。
まとめ
実用的クロノグラフとしての歴史、他社を圧倒するステータス性とデザイン性、数々の名機を基に作り込まれたCal.4130の搭載。
デイトナはまさに男のロマンと憧れが詰まった最高の一本です。
現在デイトナには素材違いによるバリエーションが9種類ほど存在しますが、やはり王道である116500LNは格別な存在感を放ちます。
いつかは手に入れたい憧れの時計。
その代名詞として、現行デイトナはこれからも輝き続けるでしょう。
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年