「ロレックス ミルガウスってどんな魅力があるの?」
「ミルガウスについて詳しく知りたい」
ロレックス製品と言うとデイトナやGMTマスターIIなどがフォーカスされがちで、ミルガウスはどちらかと言えば定番外しといった立ち位置のコレクションです。
しかしながらそのコンセプトや有する歴史・スペックが、あらゆる時計機能の製造技術に先鞭をつけてきたロレックスならではの逸品。
誕生した1950年代当時は医師や研究職、エンジニアなどと言った専門分野で活躍するプロフェッショナルをターゲットにした製品でしたが、今では私たちの日常生活で欠かせない機能を持っており、そのユーザビリティは高い評価を得てきました。
そんなミルガウスについて知りたいという人は多いのではないでしょうか。
ミルガウスの最大の特徴は強力な耐磁性能です。
この記事ではミルガウスの魅力や基礎知識を、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
相場についても解説しますので、ロレックスに興味がある人はぜひ参考にしてください。
※掲載する定価・相場は2021年11月現在の情報となります。また、本稿掲載の価格推移グラフは、当店GINZA RASINで販売した中古品価格をもとに平均を算出しております
目次
ロレックス ミルガウスとは?
ロレックスのミルガウスは同社の耐磁時計です。ただ、現在のロレックス製品の多くがデフォで耐磁性能を持っているものも少なくありません。
しかしながらミルガウスだけに採用された特別仕様があること。および他のロレックスとは全く異なる歴史・コンセプト・デザインを持つことから、近年非常に高い注目を浴びている時計でもあります。
そんなロレックス ミルガウスについてをご紹介いたします。
①ミルガウスの誕生
出典:https://www.rolex.com/ja
ミルガウスは1956年に誕生しました。
当時、海・空などと言った過酷な環境下での使用に耐えうるサブマリーナやGMTマスターを製造していたロレックス。次は、高い磁気下においても通常使用に耐えられる実用時計の開発に着手していました。この開発は、同時期に設立された欧州原子核研究機構(CERN)との協同のもと、行われることとなります。
そこで誕生したのがミルガウスです。
ミルとはフランス語で1,000を、ガウスは磁束密度の単位を表します。つまり、1,000ガウス(約80,000A/m)の耐磁性能を持つ時計、という意味ですね。
初代ミルガウス(画像出典:https://www.rolex.com/ja/watches/milgauss/m116400gv-0001/magazine.html)
冒頭でも述べたように、多くのプロフェッショナルがミルガウスを愛用します。実際、CERNなどでその性能を発揮してきました。
しかしながら一般市場にはあまり受けず・・・と言うのも、今でこそ腕時計にとって磁気が大敵、というのは常識です。「多くの時計の不具合は磁気を疑え」と言う方もいるほどです。
携帯電話やタブレット端末など、磁気を発する電子機器が私たちの身の回りに増えた、という時代背景も大きいでしょう。磁気を帯びてしまった金属パーツは互いに引き合ってしまうため、パーツがずれたりスムーズに動かなくなったりしてしまいます。とりわけ精密な設計がなされたムーブメントにとっては大きな課題と言えるでしょう。
しかしながら1950年代~1970年代と言うのは、まだそこまで磁気への認知度が高くはありません。
そのため、残念ながら1987年頃にミルガウスの生産は一時中止となりました。
ちなみに同じ頃、IWCのインジュニアも耐磁時計として売り出していましたが、やはり民生用途には受けが悪かったか、いつしか耐磁時計というコンセプトは無くなっていました(もっとも、IWCのフラグシップ・パイロットウォッチを始め、同社製品は通常モデルであっても耐磁性能を獲得していたという経緯もありますが・・・)。
②ミルガウスの復活
出典:https://www.rolex.com/ja
それから20年の時を経た2007年。ミルガウスの名前がにわかに復活します。
2000年代に入ると多くのブランドが磁気対策をしていた、という背景が大きいでしょう。携帯電話を始めとした磁気を発する製品を使うことが増え、ユーザビリティの追求に耐磁は欠かせないものとなってきました。
最も有名なのが、パテックフィリップから一般化が始まったシリコン製ヒゲゼンマイ。現在時計業界の主流になりつつあるこの機構、精度の安定などにも一役買いますが、何より時計パーツの中で最も磁気帯びしやすかったヒゲゼンマイにシリコンを使うことで、その弱点を克服することとなりました。
これと同時期、ロレックスでもヒゲゼンマイの改良が行われます。
ただ、ロレックスではシリコンを用いるのではなく、独自にパラクロムヒゲゼンマイを開発します。2005年のことでした。
パラクロムとはニオブとハフニウムなどとの合金素材で構成されており、視覚的に美しくも、耐磁性能や優れた温度特性を持つ素材です。
https://www.rolex.com/ja/watches/rolex-watchmaking/new-calibre-3255.html
現在、このパラクロムヒゲゼンマイはほとんどのロレックスムーブメントに搭載されていますが、大きな目的は帯磁対策であったことは一目瞭然ですね。
このようなお膳立てが整ったところで、20年ぶりにミルガウス Ref.116400として、後述する第一世代・第二世代のデザインを融合させたうえでリバイバルされました。
初代と変わらず1,000ガウスの耐磁性能を誇ります。
なお、磁気の強さの目安を簡単に解説いたします。
ミルガウスの対磁性能は1000ガウスです。
ただ、1000ガウスの対磁性能といわれてもピンとこない方もいると思います。そこで、参考までに日用電化製品が放つ磁力をまとめてみましたので、ご参照ください。
10ガウス ・・・・・ ヘアドライヤー、電気毛布
30ガウス ・・・・・ テレビ用スピーカー
50ガウス ・・・・・ 電話機、電気カミソリ
60ガウス ・・・・・ マイクロホン、黒板用磁石
100ガウス ・・・・・ 大型スピーカー
600~700ガウス ・・・・・ 磁気敷布、磁石付指輪・ブレスレット
700~1000ガウス ・・・磁気付バンソウコウ
1000~1300ガウス ・・・・・磁気腹巻、磁気ネックレス
上記をみると1000ガウスの耐磁性能はかなり強い磁力にも耐えられることが分かります。それと同時に磁気付き商品が如何に強い磁気を放っているのかも分かるはずです。
ちなみに磁気付き絆創膏で危険なのはピップエレキバンのような割とメジャーな絆創膏。そのため手や腕に磁気付き絆創膏を貼り付けたまま腕時計をするのは止めましょう。
ロレックス ミルガウスの特別仕様
ミルガウスはデザインのみならず、仕様もまた他のロレックスと大きく異なる「変わり種」です。
そのディテールをご紹介いたします。
ミルガウスの特徴① 強力な耐磁性を誇るケース
まず、ケース構造が特別仕様です。
ロレックスは現行モデルの全てのムーブメントにパラクロムヒゲゼンマイを採用することで磁化しづらい製品を製造していますが、ミルガウスはそこにさらに二重・三重の耐磁対策が採られています。そして、その最たるものがケースです。
ミルガウスのケースは「高性能磁気遮断システム」という画期的な機構が搭載されています。
これは通例のオイスターケースの中に磁気シールドを備えたもので、シールドはロレックスが厳選した強磁性合金で作られます。強磁性の素材があることでいったん磁気をその素材が引き受け(帯磁)、外部へと受け流す制御の役割を果たしてくれます。
なお、強磁素材であればなんでもいいわけではありません。普通の鉄などは保磁力が高く、いつまでも磁気が残ってしまいます。そこで保磁力が低く、磁気が抜ければすぐに元の状態に戻ってくれる特殊な合金素材を使うのがロレックスのこだわりです。
出典:https://www.rolex.com/ja/watches/milgauss/m116400gv-0001/magazine.html
ちなみに、この機構は時計に耐磁性能を持たせるための一つの基本スタイルです。IWCの軟鉄製インナーケースなども有名ですね。
こういった強化ケースでムーブメントを包み込むことによって、電化製品や電子機器が放つ強力な磁気から繊細なムーブメントを守っているのです。
これを受けてミルガウスの磁気シールドの上には、磁束密度を表す「B」の文字が刻印されています(磁束密度はベクトル量であるため)。また、その上から被せられたオイスターケースバックには、「ROLEX OYSTER MILGAUSS」のロゴがプリントされています。
さらに、通常のオイスターケースと同様に直径は40mmですが、若干の厚みを持つことが特徴です。
ミルガウスの特徴② Cal.3131を搭載
出典:https://www.rolex.com/ja/watches/milgauss/m116400gv-0001.html
ロレックスの現行製品は全てが自社製ムーブメントを搭載していますが、機能ごとに製造されており、異なるモデルであっても中身が同じ、というケースは少なくありません。例えばデイトジャストとシードゥエラーのムーブメントは同一ですし、GMTマスターとエクスプローラーIIのムーブメントはベースが同一です(ただしGMTマスターIIは2019年に新機械へ移行完了)。
しかしながらミルガウスにはミルガウスのための特別なムーブメントCal.3131が搭載されています(その後2016年に登場した現行エアキングに搭載されていますが、エアキングもまたパイロットウォッチが出自。そのためCal.3131は、ロレックスの耐磁性を考慮したプロフェッショナルモデルに搭載されている、と考えられます)。
このムーブメントの特徴は非耐磁性能のブルーパラクロムヒゲゼンマイを、そして常磁性のニッケル・リン合金をアンクルとガンギ車に使ったこと。ブルーパラクロムヒゲゼンマイは前述の通りですが、それのみならず常磁性素材を使っていることがミソ。常磁性と言うのは常に磁気を帯びている、というものではなく、磁場を加えると磁化し、磁場がなくなると元の状態に戻る素材です。
アンクルとガンギ車はヒゲゼンマイとともに「調速機」と呼ばれる機構を形成しますが、ここが磁気帯びしてしまうと時計の精度を著しく狂わせてしまいます。
そのため、耐磁性能を売りにするミルガウスのムーブメントにおいて、この合金素材が用いられることとなりました。
なお、文字盤側から磁気が内部に入り込むことを防ぐため、デイト機能はついていません。デイト窓によって耐磁性能が損なわれる可能性があるためです。
ロレックス ミルガウスの系譜~初代から現行モデルまで~
ミルガウスは、2007年にリバイバルされるより前の1956年~1987年まで、約30年製造されていたにもかかわらず世代的には二つしかありません。しかしながら一つの世代の中でいくつかの仕様があり、かつファーストモデルとセカンドモデルでデザインが大きく異なります。
これは、ロレックスのシリーズ内では非常に稀有な存在です。なぜならロレックスは基本的に初代意匠を大きく変えることがないためです。
そんな歴史的にもロレックスの「変わり種」ミルガウスの、系譜をご紹介いたします。
①1956年~1960年代前半 Ref.6541
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径37mm
ベゼル:プラスティック製回転ベゼルまたはスムースベゼル
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.1065M、Cal.1066M、Cal.1080/パワーリザーブ約48時間
防水性:50m
画像出典:https://www.instagram.com/rolex/
初代ミルガウスは、実は回転ベゼルが搭載されていました。
また、耐磁性能を保持するためのガッシリとボリュームある37mmケース,イナズマ型の秒針,サブマリーナを思わせる黒文字盤にドットインデックス・・・かなり精悍な印象ですね。なお、後に回転ベゼルはポリッシュ仕上げのスムースベゼルへと変更になりました。
ムーブメントは3度の変遷を遂げていますが、全てミルガウス仕様のものを搭載しています。
1987年の廃盤以前のミルガウスは個体数が少なく、いずれも高値が付いていますが、ファーストモデルは別格。わずか数年しか製造されていなかったこともあり、欧米を中心にコレクターズアイテムとして大人気です。モノによっては1000万円を軽く超えるほどの高値がオークションなどで付けられています。
とは言え、オークションですらなかなかお目にかかれない、超レア個体となりますが・・・
②1959年~1990年前後 Ref.1019
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径37mm
ベゼル:スムースベゼル
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.1580/パワーリザーブ約48時間
防水性:50m
第二世代のミルガウスです。初代とかなり意匠が違いますよね。とりわけ回転ベゼルとイナズマ秒針が取り払われ、当時のエアキングやエクスプローラーIを思わせるようなシンプルデザインに収まりました。
約30年ほど製造された型番ですので、文字盤仕様などにいくつかの変更があり、とりわけ1019の初期個体にのみ見られたヘアライン仕上げ文字盤(下画像)は稀少性からコレクター垂涎の逸品となっています。
ちなみに文字盤色はシルバーの他、ブラックも製造されていました。
また、ムーブメントもやはりミルガウス仕様となります。
ムーブメント自体を耐磁シールドで覆うことで磁気帯びを防ぐだけでなく、ヒゲゼンマイやテンプに耐磁素材を使用することでさらにこだわりの耐磁性能を有することとなりました。ちなみに1970年代以降はハック機能搭載へ。
「初期ダイアルがレア」と申し上げましたが、30年の製造期間があるにもかかわらず二代目ミルガウスも超稀少。前述の通り一般受けしていなかったため、製造本数がそう多くはないためです。
しかしながら2007年にミルガウスが復活したこと。ロレックス人気が世界的に高まったこと。ヴィンテージ人気が高まったことなどから、ジワジワと価格高騰。稀少性と相まって相場を上げ続けています。
状態の良い個体が年々少なくなっていることもあり、もし幸運にも時計店で出会えたなら、買いの一本と言えるでしょう。
③2007年~2015年頃 Ref.116400
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40mm
ベゼル:スムースベゼル
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3131/パワーリザーブ約48時間
防水性:100m
2007年、「ミルガウス」がロレックスカタログに戻ってきます!その際ローンチされたのが、Ref.116400です。2007年当初は、黒・白文字盤がリリースされました。ちなみに白文字盤の方はその色合いから、「トロピカルマンゴー」などといったニックネームで親しまれています。
初代モデルのイナズマ秒針と、二代目のシンプルでスタイリッシュなスムースベゼルが組み合わさったかのような逸品と話題になりました。
ちなみにイナズマ針をオレンジにしたことに賛否両論あった、なんて言われることもありますが、今ではミルガウスのシンボルとなる大切なカラーリングです。
ケースサイズは40mmと、前世代より3mmアップサイジング。前述の通りミルガウス特有の厚みがあるケースのため、かなり男らしい印象です。
とは言えポリッシュ仕上げが施されることで高級感をも備えており、ロレックスらしさは失われません。
また、ムーブメントも現行に採用され続けているCal.3131が誕生したのも、116400と同時になります。ちなみにこのムーブメントをして「最も性能の高い」と称する愛好家もいるほど!
2015年に黒文字盤が・次いで2016年に白文字盤が生産終了となり、しばらくは落ち着いていたものの、後述する理由のためにミルガウス全体への注目度が上がったことから、116400も価格高騰。詳細な相場に関しては後述しますが、年式を経たモデルであっても、なかなか100万円を切ることが少なくなってきました。
もっとも、他の生産終了スポーツロレックスと比べれば、まだまだ上げ切っていません。
そのため性能面の高さと合わせて、初めてロレックスをご購入になる方にもお勧めしたい逸品です。
④2007年~現在 Ref.116400GV
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40mm
ベゼル:スムースベゼル
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.3131/パワーリザーブ約48時間
防水性:100m
実は2007年のリバイバルで、従来のロレックスでは採用したことがなく、かつミルガウスが変わり種と呼ばれるに至る珍しい一本がリリースされました。
それは、サファイアクリスタル風防をロレックスのコーポレートカラーに当たるグリーンで彩ったRef.116400GVです。ちなみにGVはフランス語で「ガラスが緑」を意味します。
後にラインナップされたグリーンサブマリーナ 16610LV(2010年より116610LV)などのように、当時は「久々のミルガウス復活」と言った、アニバーサリー的なモデルであったため同社にとって特別なカラーリングが用いられたのでしょう。
ちなみにロレックス製品の風防6時位置には、王冠の透かしマークが入っていることが通例です。これは2000年前後から、偽造防止のために用いられている仕様ですが、ミルガウスグリーンサファイアガラスには見られません。ガラスの色味が損なわれるから、など色々諸説ありますが、ハッキリとした理由はわかりません。
普通のロレックス製品と異なるのは、イナズマ秒針や風防だけではありません。インデックスの夜光の塗り方も異なります。Ref.116400GVは、3時・6時・9時のインデックスにはオレンジ夜光が塗布されており、そこだけ色味を変えているのです。
この色使いが本当にオシャレ。イタリアンスタイルでおなじみのアズーロ・エ・マローネ(青系と茶系の組み合わせのこと)を時計デザインとして採用した形ですが、そこにロレックスらしいクラス感が光る、イケメン顔を発揮しています。
2014年には、Zブルー文字盤と呼ばれる、美しい青系の新カラーが登場しました。
ゴールド製サブマリーナやシードゥエラー ディープシーなどでもブルー文字盤は採用されていますが、そのいずれとも全く異なる淡い色味を携えたこちら。ジルコニウムが含有された文字盤に下処理・メッキ加工を施すことで、ジルコニウムが持つ青色を発色させる、という仕様が用いられています。
本当に美しく、グリーンのガラス越しに見るとまるで一つの宝石のような色味を湛えていますね。
2015年・2016年に通常ガラスモデルが廃盤となり、現在は116400GVの二本柱でミルガウス人気を牽引します。
しかしながら、2022年に、この二本も廃盤になり、新生ミルガウスが出るのでは・・・という噂が!!これが、前述した「ミルガウスへの注目度が高まっている理由」です。
次項で解説いたします。
ロレックスが2022年、新型ミルガウスを発表する?
近年、ロレックスは次世代型ムーブメントを開発し、順次モデルチェンジとともに製品への搭載を続けていっています。従来は3100番台のムーブメントが採られていましたが、新開発は3200番台に。大きな変更点としてはパワーリザーブの延長ですが(主に48時間⇒70時間)、加えて耐久性や安定性がアップしています。
この波が、そろそろミルガウスにも来るのではないか、と言われています(ちなみに、2019年頃から言われ続けています)。
その理由は様々なのですが、昨年あたりからロレックスのミルガウス推しが激しいため、そんな予想を生むようになりました。
と言うのも、ロレックスはバーゼルワールドなど新作見本市の直前に新作が出るシリーズ(つまり生産終了が濃厚な既存モデル)をSNS上などで頻繁にアップします。
そして2019年の初頭、ロレックスのインスタグラムにミルガウスがよく並ぶようになりました。
ROLEX (@rolex) • Instagram photos and videos
なお、結局2019年はおろか2020年も、2021年もモデルチェンジとはなりませんでした。
ただ、2020年明けは、代わってエアキングがしょっちゅうロレックスのSNSや公式ホームページに登場・・・エアキングとミルガウスはムーブメントを同一にするため、あるいは2020年新作としてこの二者が新作として打ち出されるのでは?と予想されていました。
社会情勢等でバーゼルワールドは廃止となり、ロレックスの新作発表もオンラインがメインとなりつつあります。一方で2021年新作モデルは変わらず活気を帯びていたため、2022年も、ロレックスからの発表を待つばかりです。
ちなみに当店のロレックスに精通したスタッフによると、初代ミルガウスの回転ベゼル仕様がリバイバルされるのでは?とのこと。
蓋を開けてみなければその真相はわかりません。また、新作が出ても、現行116400GVは廃盤とならず、据え置きになる可能性もあります。
しかしながら相場や人気に影響する可能性はあるため、気になる方はまだ流通量が豊富な今のうちにチェックしておきましょう!
ロレックス ミルガウスの相場
ここ数年、ロレックス相場は右肩上がりに上昇し続けています。とりわけスポーツモデルへの需要が凄まじく、正規店で定価購入することはほとんど不可能・・・そんな状態となります。
2020年に入り、新型コロナウイルスを始めとした様々な社会情勢が要因となって相場が一時下落していたものでした。しかしながら2021年、市況の回復とともに再び右肩上がりを続けており、手に入れづらいモデルが増えてきました。
そんな中で気になるミルガウスの相場。結論としては、他のスポーツロレックスに比べれば断然手に入れやすい価格帯。確かにアンティークミルガウスはプレミア価格となりますが、2007年以降のRef.116400系の多くは比較的落ち着いた相場を記録しきました。
とは言え前述の通り、モデルチェンジの噂が関係してか、2022年3月末から予定されている新作見本市を前に、ジワジワと実勢相場の上昇が見受けられます。
下記グラフは、116400GV 黒文字盤およびZブルー文字盤の当店中古販売価格をもとに算出した、過去6年間の価格推移です。
■116400GV 黒文字盤の価格推移
年 | 付属品 | 平均相場 |
2017年 | 箱/保証書 有 | 684,000円 |
2018年 | 箱/保証書 有 | 752,000円 |
2019年 | 箱/保証書 有 | 817,000円 |
2020年 | 箱/保証書 有 | 873,000円 |
2021年 | 箱/保証書 有 | 1,123,000円 |
■116400GV Zブルー文字盤の価格推移
年 | 付属品 | 平均相場 |
2017年 | 箱/保証書 有 | 760,000円 |
2018年 | 箱/保証書 有 | 816,000円 |
2019年 | 箱/保証書 有 | 864,000円 |
2020年 | 箱/保証書 有 | 974,000円 |
2021年 | 箱/保証書 有 | 1,286,000円 |
定価はどちらも920,700円(2022年1月~1,014,200円へ改定)ですが、黒・Zブルー文字盤の2021年11月現在の実勢相場はともに100万円超。もう少し具体的に述べると、黒文字盤の方が中古であっても130万円前後~、Zブルー文字盤に至っては中古でも140万円台~といった相場感です。
かつて70万円台で購入できていたことを思うと、なかなかの上昇ぶりですよね。
さらに気になるのが、2015年頃まで製造された先代Ref.116400の相場感です。
■116400 ブラック文字盤の価格推移
年 | 付属品 | 平均相場 |
2017年 | 箱/保証書 有 | 598,000円 |
2018年 | 箱/保証書 有 | 664,000円 |
2019年 | 箱/保証書 有 | 747,000円 |
2020年 | 箱/保証書 有 | 787,000円 |
2021年 | 箱/保証書 有 | 1,067,000円 |
■116400 ホワイト文字盤の価格推移
年 | 付属品 | 平均相場 |
2018年 | 箱/保証書 有 | 713,000円 |
2019年 | 箱/保証書 有 | 782,000円 |
2020年 | 箱/保証書 有 | 862,000円 |
2021年 | 箱/保証書 有 | 1,366,000円 |
ホワイト文字盤の方は中古モデルの入荷実績が2018年以降だったため、2017年の平均相場は記載しておりませんが、どちらも起点年度と比べると2021年は凄まじいまでの高騰を描いていることをご確認頂けるのではないでしょうか。
特に白文字盤は現在、高年式個体であれば180万円に手が届くのではないかといった相場感です。
生産終了の噂により、グッドコンディションの個体に買いが集中していると言うのはあるでしょう。ちなみに2021年に新作発表されたエクスプローラーIおよびエクスプローラーIIも、長らく安定した価格を誇ってきた生産終了個体が、にわかに急騰したものです。
とりわけミルガウスはデザインが歴代でそこまで一貫していないことから、新型がどの世代に範を取るのか決めかねる点があります。結果として、歴代ミルガウスで全体的に相場上昇しているのですが、特に顕著なのがこの116400 ホワイト文字盤というわけです。
2022年の新作発表まで、もちろんその後も含め、新旧ミルガウスの相場動向には目が離せませんね。
もっともこういった生産終了は抜きにして、ミルガウスは堅牢な設計のため、経年による劣化が少なく、状態の良い中古が多いのも消費者には嬉しいところですね。
ミルガウスファンも、今後の価格高騰に期待する方も。これ以上相場が上昇する前に、気になるモデルはできるだけ早めにご購入になることをお勧め致します!
まとめ
強力な耐磁性能をもつミルガウス。医師や医療関係者、パイロット、研究職、エンジニアといった専門職の方はもちろん、日常でガンガン使える時計が欲しい、と言った方々にぜひ選んでいただきたいプロフェッショナルな逸品です。近年では生産終了の噂から相場もどんどん上昇しており、目が離せないコレクションとも言えます。
WEBマガジンでは、今後もミルガウスの動向について追っていきたいと思います!
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年