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2023年ロレックス新作モデルを発表!by Watches & Wonders Geneve
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2023年も、時計業界最大のイベントWatches & Wonders Geneveが開催されております!
ロレックスやパテックフィリップ、グランドセイコーにウブロなどといった数々の人気ブランドが一堂に会し、その年の新作発表を行う当展示会を楽しみにしていた方は少なくないでしょう。
中でもロレックスは、注目度ナンバーワン!
ロレックスは新作の顔ぶれによって既存コレクションの需要が大きく左右されるということもあり、発表前夜からそこかしこで予想や噂が飛び交いました。
いよいよベールを脱いだ、待望の2023年ロレックス新作モデルとは?
目次
2023年ロレックス新作①コスモグラフ デイトナ フルモデルチェンジ Ref.126500LN他
出典:https://www.rolex.com/ja
スペック
外装
ケースサイズ: | 直径40mm |
素材: | ステンレススティール、ゴールド |
文字盤: | ブラック、ホワイト、チョコレートブラウン他 |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.4131 |
パワーリザーブ: | 約72時間 |
機能
防水: | 100m |
定価: | 1,795,200円(SSモデル) |
60周年おめでとうコスモグラフ デイトナ!
ロレックス人気を、そして近年の時計市場の成長を牽引してきたと言って過言ではないデイトナは、1963年に誕生しました(もっとも1950年代に、後のデイトナ第一世代と同じくバルジュー社製Cal.72Bをを搭載した手巻きクロノグラフRef.6238が既に製造されていました。これをプレデイトナなどと呼びます)。
そのため2023年には何か特別モデルが出るのではないかなどと囁かれていたものですが、フルモデルチェンジとなったようです!
既存のデイトナ同様、ステンレススティールモデルの他にコンビ、金無垢モデルも新リファレンスで登場しております。
先代のデイトナのデザインコード―とりわけセラクロムベゼル搭載モデル―は2016年以降に出たばかりということもあり、大きな変更はないようですが、ディテールを見ると「全く新しいコレクション」であることがわかります。
外装
デイトナの中でも傑出した作品との呼び声高いRef.116500LNの後継にあたるRef.126500LNを見ると、まずセラクロムベゼルに変更点を見出せるのではないでしょうか。
これまでRef.116500LNにはモノブロック・セラクロムベゼルが採用されてきました。セラクロムベゼルはロレックスが2005年以降、プロフェッショナルモデルを中心に採用を進めているハイテクセラミック素材です。耐傷性や耐食性に優れることはもちろん、タキメータースケールがPVDでプラチナコーティング(あるいはゴールドコーティング)されており、えも言われぬ光沢と高級感を備えていますね。
GMTマスターIIやサブマリーナーなどはベゼルインサートにセラクロムを用いてきたのですが、デイトナはオンリーセラクロムベゼルでした。2023年新作デイトナでもモノブロック・セラクロムなのですが、さらにそのエッジ部分に、ケースと同じメタル素材が採用されることとなったのです。
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Ref.116500LNがリリースされた当初は、手巻きデイトナ時代のプラスティックベゼルを彷彿とさせると騒がれたものでした。
この手巻きデイトナはベゼルインサートがブラックのプレキシガラス製で、ベゼル自体はメタルだったこともあり、いっそう手巻きデイトナ時代を感じさせるのではないでしょうか(実際、ロレックスも1965年モデルをイメージさせると言及しています)。
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ラグ形状も変わっているように思われます。
上の画像が、先代Ref.116500LNのケースサイドです。
近年のロレックス動向を鑑みれば、ラグのみならずケースもリファインされているのでしょう。もっともデイトナの、スポーツウォッチでありながらも薄くエレガントなフォルムも健在ですね。
さらに、文字盤も随所が変更されていますことが見て取れます。
※2016年~2023年まで製造されたデイトナ 116503
※新型デイトナ Ref.126503(画像出典:https://www.rolex.com/ja)
ロレックス曰く「アワーマーカーとカウンターのメモリをリサイズ」したとのこと。
確かにインデックスはやや細く、しかし中央に向かってのびやかになっています。またメタルの縁取りが細くなったことで、夜光面積を広げているようです。
また、インダイアルのリング幅も若干変更されています。
こちらが新しいRef.126500LNの文字盤。
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こちらが先代Ref.116500LNの文字盤です。
確かにインダイアルの幅が代わり、細くなっていることが見て取れます。
また新型デイトナにも、近年の新作同様に6時位置に王冠マークが配置されたようです。
ムーブメント
デイトナは60周年を前にして、モデルチェンジが囁かれていました。
なぜなら搭載してきた自社製クロノグラフムーブメントCal.4130は、先々代Ref.116520らとともに2000年に発表された、20年選手であったためです。
Cal.4130は、ロレックス初の自社製クロノグラフです。
ロレックスは手巻き時代はバルジュー社製、自動巻きにシフトしてからはエルプリメロをクロノグラフのベースムーブメントとして採用してきましたが、2000年にデイトナ専用機として完全自社製Cal.4130を発表しました。もちろんロレックスのことですから、Cal.4130もずっと同じままというわけではなく、アップデートを加えています。例えばヒゲゼンマイには耐磁性や耐衝撃性に富んだブルーパラクロムヒゲゼンマイを採用したり、LiGA技術によって高精度パーツを組み込んだりといった点です(初出時よりパラクロムヒゲゼンマイは採用)。
しかしながら2023年、ついにCal.4131として新機種が登場!
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ちなみにヨットマスターIIもベースムーブメントがCal.4130だったのですが、こちらは2023年時点ではまだ変わっていないようです。来年あたりにでもメスが入るのでしょうか。
ではそんなCal.4131がどのようなムーブメントなのでしょうか。
Cal.4131は、ロレックスが2015年以降に順次搭載を進めている新世代ムーブメントCal.3200系と同様、高効率なクロナジーエスケープメントを搭載。もともと高い精度と72時間パワーリザーブが備わっていましたが、Cal.4131もまた高精度クロノメーター認定(±2秒の日差!)と約72時間パワーリザーブを備えます。また、ロレックスの独自耐震装置パラフレックス・ショック・アブソーバーやローターのボールベアリングによって、堅牢性も十二分と言えるでしょう。
なお、後述しますがロレックスとしては大変珍しいシースルーバック採用モデルがリリースされました。
これを見ると、どうもローターやムーブメントの仕上げが変更されています。
技術遺産と革新によって時計愛好家を魅了するロレックスの、最先端技術というわけですね!
価格
新しいステンレススティール製のコスモグラフ デイトナ Ref.126500LNは、国内定価1,795,200円です。先代Ref.116500LNが1,757,800円でしたので、微増といったところでしょうか(もっとも近年は度々の値上げが敢行されており、2023年においても初出時より変わってくる可能性がありますが)。
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また、金無垢やコンビモデルもフルモデルチェンジされており、デイトナらしいバリエーションがお楽しみ頂けるでしょう。
オイスターフレックスモデルではグライドロック エクステンションシステムの搭載によって、微調整がご自身でできるのも素晴らしい点ですね。
とは言え、近年の世界的なデイトナ需要を鑑みると、正規店ではなかなか品薄で入手が難しい側面があります。
2023年新作デイトナも、ロレックスマラソンやむなしか!?
2023年ロレックス新作②コスモグラフ デイトナ アイスブルー Ref.126506
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スペック
外装
ケースサイズ: | 直径40mm |
素材: | プラチナ |
文字盤: | アイスブルー |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.4131 |
パワーリザーブ: | 約72時間 |
機能
防水: | 100m |
定価: | 要問合せ |
今から10年前にあたる2013年、デイトナ50周年記念モデルとして、特別なRef.116506がリリースされました。
このRef.116506はロレックスのスポーツモデル初のプラチナ製であり、特別なチェスナットブラウン(栗色)ベゼルとプラチナ専用のアイスブルー文字盤を備えていることが大きな特徴です。このRef.116506はロレックス屈指のハイエンドモデルであることは言わずもがなですが、さらに市場価格のプレミア化も凄まじく、正規店はおろか並行輸入市場ですら品薄続きを記録してきました。
さらに2023年、Ref.116506の後継機として二種のRef.126506がリリースされましたが、なんとシースルーバックを採用しています!
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2005年―ちなみにロレックス創業100周年―に角型のチェリーニ プリンスで初のシースルーバック仕様を採用したことはありましたが、ロレックスのラインナップはソリッドバックが主流です。これはプロフェッショナルモデルであろうとクラシックモデルであろうと変わりません。
しかしながら2023年、プラチナ製の、ラグジュアリーでスペシャルでアイコニックなアイスブルーRef.126506によって、シースルーバックの採用に至ったというわけです。
「私たちは平常心を保ち、行動を恐れずに、勇気をもって全身しなければならないのです」という創業者ハンス・ウイルスドルフ氏の言葉とともにアイスブルー文字盤はプレスリリースされていましたが、ロレックスにとっては大いなる偉業の一つなのでしょう。前述の通りローターのデザインが代わり、肉抜きされたゴールド製の華やかなパーツが、裏蓋から覗きます。
ブリッジにも装飾が施されており、またテンプに取り付けられたパラフレックス・ショック・アブソーバーも見て取れます。
シースルーバックであっても100m防水は堅持しているところも、述べておかなくてはなりません。
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なお、ベーシックタイプもダイヤインデックスタイプも、いずれも価格は要問合せ。これまたなかなか入手困難な新作となっていくことでしょう。
とは言え、裏蓋からロレックスのムーブメントを鑑賞できる特権を、ぜひ実機で味わってみたいものですね。
2023年ロレックス新作③エクスプローラー40 Ref.224270
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スペック
外装
ケースサイズ: | 直径40mm |
素材: | ステンレススティール |
文字盤: | ブラック |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.3230 |
パワーリザーブ: | 約70時間 |
機能
防水: | 100m |
定価: | 909,700円 |
2021年にフルモデルチェンジしたことで、ケース直径36mmへとダウンサイジングされたエクスプローラーI。
クラシック回帰の潮流と思いきや、2023年にモダンな40mmケースが登場しました!
ちなみに従来、エクスプローラーI、その上位機種をエクスプローラーIIと区別していましたが、現在はエクスプローラーIはエクスプローラー36またはエクスプローラー40の表記となっております。
40mmサイズの2023年新作エクスプローラー40は、Ref.224270となりました。これは、2010年~2020年まで製造されていた、39mmサイズのRef.214270の後継であることを示唆しています。
既にご存知の通り、2021年に現行コレクションの登場によって、エクスプローラーの39mmサイズは姿を消しました。
当コレクションのレガシーとしては36mmでしたが、モダンなサイズ感の人気は根強く、流通量が比較的豊富なことからも、今なおRef.214270人気は健在です。
この「モダン」へのニーズを察してか、2023年には直径40mmケースをまとった新エクスプローラーが誕生した、ということですね。
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なお、Ref.214270の後継と申し上げましたが、文字盤レイアウトはRef.124270に準じます。
Ref.214270では王冠マークの直下にROLEX、そしてOYSTER PERPETUALが。そして6時位置にモデル名と高精度クロノメーター規格の証明が印字されていましたが、Ref.124270ではモデル名も王冠マーク直下へと移動しました。もっとも、伝統的なレイアウトは後者となります。
※画像はRef.214270
40mmサイズであっても、エクスプローラーらしいシンプルでベーシックなデザインは維持されています。
時分針も、インデックスにきちんと届いているので、40mmサイズ用のパーツが採用されているのでしょう(余談ですが、Ref.214270は2010年の初出時は36mmサイズの先代Ref.114270と針を同じくしていたため、しばしば短いといった指摘がありました。そのため2016年にマイナーチェンジされるのですが、個人的には旧ダイアルの方が好みです)。
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ケースは近年のロレックスの動向を見るに、リファインされているのでしょう。ラグにテーパーがかかっています。画像だけではわかりませんが、コマ数はRef.214270と同じのように思われます。
搭載するムーブメントは、Ref.124270と同様にCal.3230。
ロレックスが最新世代と自負する傑作機で、優れた耐磁性や耐衝撃性、そしてパワーリザーブ約70時間を誇りながらも、高精度クロノメーター規格に認定されています。
国内定価は909,700円。36mmサイズのRef.124270が860,200円ですので、サイズ分の上げ幅といったところでしょうか。
エクスプローラーはベーシックな分、幅広い層から人気を得ているコレクションです。40mmサイズがバリエーションに加わったことで、また裾野を広げてくれそうです。
2023年ロレックス新作④ヨットマスター42 Ref.226627
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スペック
外装
ケースサイズ: | 直径42mm |
素材: | RLXチタン |
文字盤: | ブラック |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.3235 |
パワーリザーブ: | 約70時間 |
機能
防水: | 100m |
定価: | 1,670,900円 |
なんともツール感の強いヨットマスターが、2023年新作モデルとして発表されました。
と言うのも、ヨットマスター初となる(そもそも、一部モデルを除いてまだ採用されていない)RXLチタンで構成されたモデルなのです。
ヨットマスターは1992年に追加されたコレクションです。
回転ベゼルを備えつつも、サブマリーナーやシードゥエラーのような「ダイバーズウォッチ」ラインではなく、ヨッティングを楽しむ大人向けのラグジュアリー路線で売り出され始めました。
そのため発表当初はゴールドモデルのみ。もっとも1999年になってステンレススティール使用モデルがバリエーション追加されたことで飛躍的に人気が高まりますが、SSモデルであってもベゼルにプラチナを用いて差別化を図っておりました。すなわちヨットマスターは、他のプロフェッショナルモデルとは異なる、贅沢なイメージを基調としていたのです。
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しかしながら2023年、なんとRXLチタン製で登場、と!
ヨットマスターはポリッシュ仕上げによって光沢をもつ外装が多かったものですが、新作を見ると、サテン仕上げが基調となり、あえてつや消しされています。
2022年にゲリラ的に登場した、ディープシー チャレンジ RLXチタンモデルをも、どこか彷彿とさせますね。
この新作ヨットマスターを語るには、ディープシー チャレンジの話題も欠かせないでしょう。
例年Watches & Wondersのような国際見本市で新作発表することの多いロレックスですが、前述の通りディープシー チャレンジはゲリラ的に2022年11月にローンチされました。ディープシーチャレンジは直径50mmの巨大ケースであること。また11,000mもの防水性能を誇示していることでも大騒ぎになったものですが、かてて加えてRLXチタン製であることにも驚かされたものです。
チタンは今や腕時計として珍しい素材ではありません。
しかしながらことロレックスは高性能オイスタースティールが主流。シードゥエラー ディープシーの裏蓋にチタンが用いられてきましたが(そして2022年に新型ディープシーリリース時にRLXチタン表記を使い始めましたが)、全面チタンは異例中の異例。
一方でロレックスが手掛けたチタン素材ということもあり、今後のバリエーション展開に胸が躍ったものでしたが、まさかヨットマスターで採用に至るとは・・・!
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チタン製として選ばれたモデルはヨットマスター42です。
2019年にヨットマスターはフルモデルチェンジしますが、その際に42mmサイズが新たに追加されました。
これまではホワイトゴールドまたはイエローゴールドのヨットマスター42がラインナップされていたのですが、2023年にフルチタンで登場した、と。従来オイスターフレックスであったことに対し、メタルブレスが使われているのも特筆すべき点ですね。オイスターフレックスは金無垢モデルにのみ取り付けられるため、新作ヨットマスター42ではメタルブレスとなったのでしょう。
チタン製となったものの、ヨットマスター42の特徴である、マット仕上げのセラミック製ベゼルインサートによって、他のプロフェッショナルモデルとの差別化が見られますね。ツヤ消し仕上げされたケース・ブレスレットも、随所にポリッシュ仕上げがあしらわれることで、高級感と立体感がいや増します。
見た目は無骨ですが、チタン製ゆえに軽量で快適な装着感を実現していることでしょう。
なお、イージーリンクが備わっているので、コマを外さず5mmの微調整が可能なのも素晴らしい点です。
搭載するムーブメントは従来のヨットマスター42と同様に、自社製Cal.3235です。高い精度と信頼性、そして約70時間のパワーリザーブを誇ります。
国内定価は1,670,900円。
SSモデルが(ベゼルプラチナ)1,458,600円であることを鑑みれば、高すぎるということはないでしょう。ディープシー チャレンジは今なお実機を見れていませんが、ロレックス渾身のチタンモデル、一度は手にしてみたいですね!
2023年ロレックス新作⑤GMTマスターII Ref.126713GRNRおよびRef.126718GRNR
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スペック
外装
ケースサイズ: | 直径40mm |
素材: | イエローロレゾールまたはイエローゴールド |
文字盤: | ブラック |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.3285 |
パワーリザーブ: | 約70時間 |
機能
防水: | 100m |
定価: | 1,958,000円または4,626,600円 |
ロレックス創業100周年を迎えた2005年、現代スポーツロレックスを語るうえで欠かせないセラクロムベゼルがローンチされました。その主演として選ばれたのが、イエローゴールド製GMTマスターIIです。
Ref.12系へとアップデートされてからは、金無垢GMTマスターII(あるいはコンビ)というとエバーローズゴールドにお株を奪われていましたが、イエローゴールドにGMTマスターのレガシーを感じる方も少なくないでしょう。
実際、イエローゴールド製GMTマスターは、1960年代という早い段階にバリエーション展開されていました。余談ですが、1970年に行われたNASAのアポロ13号のミッションで、酸素爆発の危機からオメガのスピードマスターを使って脱出したエピソードはご存知の方も多いでしょう。このミッションに参加し、地球に見事生還したジョン・レナード・”ジャック”・スワイガート・ジュニアが、イエローゴールド製GMTマスターを身に着けている写真が撮影されています。
2023年、そんな歴史あるイエローゴールド製およびイエローロレゾールのGMTマスターIIが、復活しました!
しかも、ブラック×グレーというツートン配色のセラクロムベゼルを伴って!
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現行GMTマスターIIは、レッド×ブルーやブラック×ブルー等、ツートン配色が採用されています。そのため2023年新作GMTマスターIIもこれが踏襲されたのですが、ブラックとグレーというこれまでにないデザインによって、ラグジュアリーながらシックな印象をも持つ顔立ちに仕上がりました。リファレンスもベゼルの配色を示す「GRNR」が付されています。
ちなみに先代イエローゴールドまたはイエローロレゾール製GMTマスターIIのブラック文字盤ではGMT針がグリーンでしたが、新作ではイエローゴールドです。ジュビリーブレスレットと相まって、どこか往年のアンティークGMTマスターを彷彿とさせますね。
スペックは既存のGMTマスターIIと同じく、Cal.3285を搭載しています。
ラグジュアリーな一方で高精度かつ高性能、そして100m防水であるため、普段使いにも最適です。
国内定価はイエローロレゾールが1,958,000円、イエローゴールドモデルが4,626,600円です。
近年GMTマスターIIはデイトナに次ぐ価格高騰を記録しています。今回の新作がさらなる高騰の起爆剤になるやもしれません。
2023年ロレックス新作⑥1908 Ref.52508およびRef.52509
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スペック
外装
ケースサイズ: | 直径39mm |
素材: | ゴールド |
文字盤: | ホワイトまたはブラック |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.7140 |
パワーリザーブ: | 約66時間 |
機能
防水: | 50m |
定価: | 2,619,100円または2,768,700円 |
残念ながらチェリーニは完全に生産終了となってしまったようですが、代わって全く新しいドレッシーなコレクションも2023年に追加されました!
これがまた、本当にエレガント&クラシック!ノンデイトにスモールセコンドというデザインコードをロレックスが新作として採用したことに、ブランディングの巧みさを感じざるをえません。
実際コレクション名が「1908」とあることから、レガシー的なコレクションなのでしょう。
この1908年は、ロレックスの名称が商標登録された年です。ちなみに2008年にはロレックスメモリアル100年として話題になったように記憶しています。
記念すべき年を名前に冠した当コレクションは、前述の通り驚きのノンデイト&スモールセコンド!
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現代腕時計の多くは利便性の高いデイト窓やセンターセコンドが搭載されているものですが、当然ながら歴史が古いのはノンデイト&スモールセコンドです。直径39mmのモダンサイズのケースでこのコードを採用したことで、従来のロレックスとはまた違った存在感あるクラシカルコレクションを確立しました。ちなみに余談ですが、3時位置にデイト窓をセッティングしたレイアウトは、ロレックスのデイトジャストによって普及したと言われています。
コインエッジ装飾とスムース仕様によって二段となったベゼルは、ロレックス屈指のエレガンスコレクション「チェリーニ」から受け継がれていることがわかりますね。ちなみに前述の通り、チェリーニはカタログから消えてしまったようです。
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立体的なインデックス、文字盤外周のレイルロード、そして独特の形をした時針が、美しくもユニークなドレスウォッチに仕上がります。ドーム型サファイアクリスタルガラスも、古典的です。
一方で、1908コレクションでもシースルーバックが採用されていることも、特筆すべき点です。
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1908には新しい自動巻きムーブメントCal.7140を搭載しておりますが、この機械もクロナジーエスケープメントとパラフレックス・ショック・アブソーバーを備えており、堅牢性は言わずもがな。約66時間というパワーリザーブと高精度クロノメーター認定を両立します。また、ヒゲゼンマイはシリコン製のシロキシ・ヘアスプリングです。やはり耐磁性や耐衝撃性に優れており、エレガンスな顔立ちながら実用性はしっかりと考慮されました。
なお、オイスターパーペチュアルコレクションと比べると、おおよそ3分の1の薄さとなっているとのこと。
デュアルクラスプを備えたアリゲーターストラップと相まって、ドレスウォッチの分野でもロレックスの実力を感じられる銘コレクションではないでしょうか。
イエローゴールド製モデルとホワイトゴールド製モデルがリリースされており、前者が2,619,100円、後者が2,768,700円の国内定価となっております。
2023年ロレックス新作⑦スカイドゥエラーもフルモデルチェンジ! Ref.336934等
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スペック
外装
ケースサイズ: | 直径42mm |
素材: | ステンレススティール×ゴールド他 |
文字盤: | ホワイトまたはブラック他 |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.9002 |
パワーリザーブ: | 約72時間 |
機能
防水: | 100m |
定価: | 1,857,900円~ |
デイトナと並び、スカイドゥエラーもフルモデルチェンジが敢行されました!嬉しいのが、デザインバリエーションが増えている、ということです!
スカイドゥエラーは2012年に誕生した、比較的新しいコレクションです。また、ロレックス初のコンプリケーション(複雑機構)モデルでもあります。「ロレックスが開発した、最も複雑なムーブメントの一つ」などと称されています。
この複雑機構は、アニュアルカレンダー(年次カレンダー)およびデュアルタイムです。
アニュアルカレンダーとは、2月末を除いて、大の月・小の月を自動日送りしてくれる機構です。一般的に30日までしかない月は、リューズ等を使って手動で日送りしなくてはなりません。半永久的に手動での日送りがいらないパーペチュアルカレンダーも存在しますが、これは非常に複雑な造りとなっており、パーツも膨大となります。そこで1996年にパテックフィリップがより簡易的なアニュアルカレンダーの特許を取得し、現在では比較的ポピュラーな機構となっております。
ロレックスの凄いところは、このアニュアルカレンダーを実現するために、従来の機構にたった四つの歯車のみの追加で対応してのけたこと。このカレンダー機構をロレックスでは「サロス」と命名。サロスは天文周期にちなみます。
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さらに見るべきは、デュアルタイム機能です。
ロレックスはGMTマスターIIが有名ですが、スカイドゥエラーでは文字盤中央の24時間インダイアルで第二時間帯を表示。さらに文字盤外周の小窓で月を表示させることで、いっそう利便性の高い機構となりました。
このサロス・デュアルタイム操作ともに、リングコマンドベゼルを用いて、リューズ一つで容易に設定できるのだから、恐れ入ります(ベゼルの位置によってリューズで操作できる箇所を変えられる仕様)。
そんなスカイドゥエラー、ムーブメントが従来のCal.9001から、Cal.9002へとアップデートを果たしました!
スカイドゥエラーの便利で複雑な機構はそのままに、高効率なクロナジーエスケープメントを搭載。高精度クロノメーターと約72時間パワーリザーブはそのままに、新世代機の仲間入りです。
さらに新しいスカイドゥエラーは、バリエーションもいっそう楽しくなりました!
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SSモデル×ホワイトゴールド製ベゼルやジュビリーブレス、ゴールド×オイスターフレックスモデル等と従来からのバリエーションも踏襲されているのですが、なんとグリーン文字盤が登場!
グリーンは近年の時計業界のトレンドの一つです。パテックフィリップ ノーチラスやロレックス デイトナあるいはオイスターパーペチュアル、オーデマピゲ ロイヤルオーク等でその魅力は証明されていますが、スカイドゥエラーの特徴的な顔立ちとサンレイ仕上げのグリーン文字盤が、非常によくマッチしていますね!
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エバーローズゴールド製モデルの深みあるブルーも美しさ満点!
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また、ホワイトゴールドケース×オイスターフレックスモデルも追加されています。
複雑機構は取り扱いが難しいため躊躇しがちですが、実用性に長けたロレックスのスカイドゥエラーであれば、初めての方でも良い選択肢となることでしょう(もちろんどのブランドのどんな機構であっても、正しい取り扱いは重要ですが)。
バリエーションが豊富なため、好みの一本を見つけやすいのも嬉しいところ。
早く実機を見てみたい、2023年新作のうちの一つです!
2023年ロレックス新作⑧オイスターパーペチュアル セレブレーションダイアル
出典:https://www.facebook.com/rolex
スペック
外装
ケースサイズ: | 直径41mm/直径36mm/直径31mm |
素材: | ステンレススティール |
文字盤: | ターコイズブルー |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.3230/31mmはCal.2232 |
パワーリザーブ: | 約70時間/31mmは55時間 |
機能
防水: | 100m |
定価: | 761,200円/723,800円/673,200円 |
デイト表示やアウターベゼルを持たない、シンプルさが特徴のオイスターパーペチュアル。現代モデルはステンレススティール製ということもあり、ロレックスの中ではベーシックな価格帯のコレクションです。そのため、気軽に楽しめる高級腕時計といったポジショニングを確立してきましたね。なお、デイトジャスト同様にバリエーションが豊富な一方でブルーやブラック、ホワイトなどといった定番カラーがメインでラインナップされてきました。
しかしながら2020年に出た新バリエーションで、そのポジショニングは大いに変わっていきます。
オイスターパーペチュアルに、キャンディピンク・ターコイズブルー・イエロー・コーラルレッド・グリーンの、これまでに見られなかったユニークでポップなカラーバリエーションが追加されたのです。
※2020年に発表されたターコイズブルーのオイスターパーペチュアル Ref.124300
新カラーのオイスターパーペチュアル人気は発表以来ずっと高いままを維持しており、これに伴い、二次流通価格が驚きのプレミア化を記録。特にターコイズブルーモデルは、スポーツロレックスも顔負けの実勢相場を記録し続けています。
あれから3年(2020年の新作発表は新型コロナウイルスの影響で9月であったため、厳密には2.5年ですが)、この5色のカラーを全て盛り込んだ、特別なオイスターパーペチュアルが新作として登場しています!その名も、セレブレーションダイアルです!
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ターコイズブルーを基調に、黒線で囲われた大小様々なカラー―2020年発表モデルのカラフルなモデルに準じた―が楽しくユニークな一本です。セレブレーション、お祝い事のよう賑やかさを有しますね。
この新しい文字盤は、オイスターパーペチュアルの41mm、36mm、31mmサイズでラインナップされることとなりました。
ロレックスはこれまで、オイスターパーペチュアルやデイトジャストで遊び心溢れる文字盤もリリースしてきましたが、ここまでポップな新作というのは珍しいのではないでしょうか。ただしロレックスらしく外装や文字盤の作りこみは高いので、高級感は損ねていないのでしょう。
スペックは従来モデル(41mmであればRef.124300、36mmであればRef.126000、31mmであればRef.277200)と同一です。
Ref.124300とRef.126000には、前項でご紹介したエクスプローラー40等にも搭載されているCal.3230を搭載。パワーリザーブ約70時間で、耐磁性能に優れたブルーパラクロムヒゲゼンマイ、高性能パラフレックス ショック・アブソーバ(ロレックスの最新の耐震装置のこと)を搭載しております。
Ref.277200には、やはり耐磁性に優れたシリコン製シロキシ・ヘアスプリングと高性能パラフレックス ショック・アブソーバー付Cal.2232を搭載。パワーリザーブは約55時間です。
いずれもロレックスが誇る、最先端ムーブメントですね。
防水性は100m。また、イージーリンクを備えているため、コマを抜かずともバックル部分で5mmまでの微調整が可能です。
国内定価は41mmサイズが761,200円、36mmサイズが723,800円、31mmサイズが673,200円です。もっとも、2020年モデルがそうであったように、この楽しいセレブレーションダイアルモデルも
2023年ロレックス新作⑨デイデイト36 カーネリアン等の新ダイアル
出典:https://www.rolex.com/ja
スペック
外装
ケースサイズ: | 直径36mm |
素材: | プラチナまたはゴールド |
文字盤: | 詳細は下記 |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.3255 |
パワーリザーブ: | 約70時間 |
機能
防水: | 100m |
定価: | 要問合せ |
デイデイト40からも、新しくユニークで、それでいてラグジュアリーラインらしい極上の新ダイアルがリリースされました!
代表的なものは、オレンジのカーネリアン、グリーンアベンチュリン、そしてターコイズです!これは「カラー」ではなく、実際の鉱石を切り出して作られた、唯一無二の逸品となっております。
もともとロレックスは、様々な天然素材を取り扱ってきた長い歴史を有します。
デイデイトであればダイヤモンドやルビーといったジェムは言わずもがな。文字盤素材としてメテオやラピスラズリ、珍しいところでは木材のウォルナットが挙げられます。こういった天然素材はまず入手が難しく、そのためこれらを用いたモデルというのは、どうしたって稀少性が高まるものです。
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そんな稀少価値が高く、一方で美しさでも我々を魅了する文字盤が三種もリリースされるとは・・・!
なお、ラインナップはデイデイト40のみですが、素材としてはプラチナまたはエバーローズゴールド、イエローゴールド、そしてホワイトゴールドでラインナップされています。またはダイヤモンドがベゼルや、あるいはブレスレットのセンターリンクにまでセッティングされた贅沢なモデルも同時リリースされました。
出典:https://www.rolex.com/ja
搭載するムーブメントは最新世代のCal.3255です。約70時間のパワーリザーブを実現しており、また耐磁性や耐衝撃性といったロレックスらしい実用性にも配慮されています。
もっとも、いずれも価格は「要問合せ」。
もともとデイデイト自体がラグジュアリーラインゆえに、現行モデルが多彩に流通するといったコレクションではありません。さらにこれら天然素材デイデイトであれば、なかなか一般市場に出回ってくれないでしょうが、一目見たら虜になるロレックスであることは間違いありません。
2023年ロレックス新作⑩デイデイト40 新ダイアル
出典:https://www.rolex.com/ja
スペック
外装
ケースサイズ: | 直径40mm |
素材: | プラチナまたはゴールド |
文字盤: | 詳細は下記 |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.3255 |
パワーリザーブ: | 約70時間 |
機能
防水: | 100m |
定価: | 4,939,000円他 |
デイデイト40からも、新ダイアルがいくつか登場しています!
チョコレートブラウンやシルバー、そして2022年新作で話題となった、フルーテッドベゼルを用いたプラチナ×アイスブルーの、シンプルなバーインデックスモデル等がリリースされました(2022年新作モデルはローマンインデックスとバーが組み合わさった文字盤でした)。
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こちらも最新世代のCal.3255が搭載されており、パワーリザーブ約70時間と実用的な高性能ムーブメントとなっております。
スポーツモデルに注目が集まりがちですが、ロレックスは例年デイデイトの新作にも力を入れてきました。
2023年新作も、ずっしりとした重厚感や腕元で存在感を発揮するプレジデントブレスレットとマッチした銘品の数々です。
まとめ
2023年、待望のロレックス新作モデルについてご紹介いたしました!
ちなみにミルガウスの新作発表はなく、どうもホームページからは消えてしまったようですね・・・ミルガウスは大好きなコレクションの一つなので残念な気持ちを抱くとともに、今後のミルガウス相場から目が離せないだろうことをひしひしと感じます(多くのロレックスに言えることですが)。
そんな風に、物思いや感動が今年も溢れかえったロレックスの新作モデル。当店でも、入荷を頑張っていきたいと思います!
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年