「デイトナ 6263って何がすごいの?」
「デイトナ 6263の魅力について知りたい」
2020年明けてほどなく、ある報道がアメリカ全土を騒がせました。
元米軍兵士だった男性が1974年に約3万8000円で購入したロレックスが、現在価格で4400万円と鑑定された、と。
アンティークロレックスには、えてしてこのような高額モデルが存在します。
創業から100年余、秘密主義を徹底してきたロレックスは、いつも収集家たちの注目の的であったためです。
そんなアンティークロレックスの中でも、最も存在感を放つのがデイトナでしょう。
デイトナもまた数々のレア仕様が存在しますが―あるいはスポーツロレックスの中では製造数が少ないにもかかわらず最も煩雑と言える―、ロングセラーにしてアンティーク市場で不動の人気ナンバーワンを誇るのは、手巻きデイトナ 6263です。
そんなデイトナ 6263の魅力について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
デイトナ 6263は、アンティークロレックスの最高峰といって過言ではありません。
この記事では当店に入荷したデイトナ 6263の魅力を、GINZA RASINスタッフ監修のもと紹介します。
価格についても紹介しますので、ロレックスの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
※掲載する価格は2020年3月22日現在のものとなります。
目次
ロレックス デイトナ 6263とは?
DATA
製造期間:1970年頃~1988年頃
型番:6263
素材:ステンレススティール(YGはRef.6263/8)×ベゼルはプラスティック
※ステンレスベゼルはRef.6265
ケースサイズ:直径37mm
駆動方式:手巻き
ムーブメント:Cal.727/毎時21600振動
防水性:50m(当時。ただし1980年代にはいると100m防水にスペックアップ)
6263は、手巻きデイトナの最終型です。歴代デイトナの中では、第三世代に当たります。
1988年にはロレックス初の自動巻きクロノグラフRef.16520がリリースされると同時にロレックスカタログから姿を消すこととなりましたが、この最終型は約20年にわたって製造され続けていたことを意味し、デイトナで最も息の長いモデルでもあります。
ちなみに、かの有名なポール・ニューマン氏が1969年の映画「レーサー」で着用していたのが6263です。そのためポールニューマンモデルの一つとして挙げられ、コレクターズアイテムとしても非常に高い注目を浴びてきました。
出典:https://www.phillips.com/article/17646996/paul-newman-s-legendary-paul-newman
こういった背景から、第一世代・第二世代を超えて人気の高いデイトナとなります。
収集家でなくとも、1970年代~1980年代頃に製造されてきた個体はメンテナンスされていれば実用に問題のないコンディションを保っているものが多いこと。加えてロングセラーゆえに流通量が少なすぎるといった事象はないこと(もっともハイエンドモデルであるため、エクスプローラーI 1016やサブマリーナ 5513ほどの製造本数ではありませんが)等が大きな理由です。
したがって相場は高め。
もちろんコンディションにもよりますが「どんな個体であっても最低500万円は超える」とも言われています。
大体の相場は1000万円前後~でしょうか。
なお、冒頭でご紹介した元米軍兵士の男性が所有していたのが6263でした。
状態が新品同様で、かつ付属品もオリジナルのまま残されていたことから、4000万円超えの評価を受けることとなりました。
6263のディテールをご紹介いたします。
①外装仕様
6263は、第二世代から外装面で大幅なスペックアップが図られたことが何よりの特徴です。
ぱっと見のデザインは第二世代のRef.6264を踏襲していることがわかりますが、6263より、ロレックス悲願のスクリューロック式(いわゆるねじ込み式)プッシャーが採用されることとなりました。
クロノグラフはリューズの他にスタート/ストップ制御のためのプッシャーを搭載しなくてはならず、防水性の確保が難しいと言われてきましたが、ついに達成。50m防水を確保することとなり、文字盤に「OYSTER」の表記が入るようになりました。
ちなみに当時、50m防水を実現できた世界で最初のクロノグラフといった箔もついております。
ただし、系譜的にはまだ第二世代であった1960年代に防水モデルが開発されており、Ref.6240に分類された当該機械の中には50m防水×文字盤にOYSTER表記有の個体も存在します。
また、1980年頃からさらに防水性がブラッシュアップされ100m防水の6263もリリースされたようですが、公式には50m防水にとどまっています。
文字盤仕様もアンティークロレックスならではといった様相ですね!
前述の通り基本的には第一・第二世代のDNAを踏襲しており、さらに特徴的なDAYTONAロゴを持ちます。このロゴは現行品に比べて大きいサイズのフォントで表記されていることから、6263(あるいは6265)を「ビッグデイトナ」「ビッグロゴ」などと称することも。
ちなみに1970年ころという6263黎明期に製造されていた一部個体から表記なしのレア個体が見つかっています。
また、DAYTONAロゴが大きくない文字盤は、交換されている可能性がきわめて高くなります(スモールデイトナと呼ぶ)。
さらにプラスティックベゼルも、6263を以て生産終了となりました。
以前はメタルベゼルをよしとする向きもありましたが、「プラスティックベゼルこそがアンティークデイトナではなかったか」といった風潮が強まっており、今ではメタルベゼルの6265に比べて6263のほうが相場は高めです。
②ムーブメント
ムーブメントは第二世代と同一のCal.727を搭載しています。
これは、バルジュー社製クロノグラフムーブメントCal.72をロレックスが独自にチューンアップしたものとなります。
1960年頃~1988年頃と、約30年ほどにもわたってデイトナの基幹ムーブメントを担った名機で、当時としては最新技術が詰め込まれることとなりました。
ちなみにこの時代のデイトナが今なお実用に耐えるのは、このムーブメントの存在が小さくないでしょう。
具体的には、もともと18,000振動/時であった振動数を21,600振動/時までにハイビート化して精度を向上させました。また、キフ・ウルトラフレックスと呼ばれる最新の耐震装置を搭載させ、かつヒゲゼンマイも合金素材を用い耐磁性能を高めるなど、手巻きクロノグラフの最高傑作の呼び名をほしいままにしております。
当店入荷デイトナ 6263(ビッグデイトナ)をお勧めしたい4個の理由
冒頭でもご紹介しているように、6263が今手元にあります!
当店のバイヤーは「時計好きにも、コレクター様にもご満足頂ける」と太鼓判を押すほどの個体で、手前味噌ですがかなりレア度も状態も良いと自負しております。
当店入荷モデルの、お勧め理由とそれぞれのポイントをご紹介いたします!
理由①高いオリジナリティとレアリティ
当店の入荷個体、1981年に国内正規店で販売された個体なのですが、きわめてオリジナルに沿ったコンディションが保たれていることが、何よりの特徴であり魅力です。
その最たるものはプッシャーの仕様です。
ブレスやバックルなどと同様に、実はプッシャーも幾度かのマイナーチェンジを経ており、古い個体ほどメーカーにオーバーホールに出した際に交換されてしまうケースがほとんどです。
しかしながらこの個体、実はオリジナル当時の溝なしプッシャー(後期製造モデルに見られる、スクリューロックの内部にあるボタンに溝がないタイプ)のままなのです。
もちろん文字盤も交換された形跡はなく、ビッグロゴが現存されております。
また、プラスティックベゼルは「反転Zベゼル」と呼ばれる仕様で、3時位置の「UNITS PER HOUR」のSがZのような形状をしており、かつすぐ下の「200」の2がやや角張っているような印象を与えます。これもまた、オリジナルの証拠となります。
ブレスレットは78350-19FF571、クラスプVCです。このFF571はアンティークデイトナ 6263にのみ使用されていたきわめて稀少な仕様で(78350自体はRef.1500などにも用いられていた)、これが交換されずに残っていた、というのもまた驚きに値します。ブレスレットは消耗品と捉えられることもあるため、昔は結構気軽にパーツ交換の対象となっていたためです。
このように、コレクターがこだわってやまない要所を抑えている、きわめてレアリティの高い個体と言えるでしょう。
理由②トリチウム夜光が良い具合にエイジングされている
アンティーク時計好きが最もこだわるポイントでもある夜光。
多くのアンティークロレックスはトリチウム夜光が使用されていますが、トリチウムは欠落しやすく、完全な状態で現存しているものは何にも増して稀少と言えます。
もっとも、「夜光が落ちてしまっている個体こそ、オリジナルのままであることの証明」といった逆説的な意見もありますが(キレイな場合、交換をまず疑うため)、実は当店入荷モデル、かなりキレイな状態でトリチウム夜光が残っています!
3時位置は欠落してしまっていますが、前述の通り「完璧ではないからこそオリジナルの証明」。また、ヴィンテージらしく良い感じにエージングされており、これがまた6263を魅力的にしてくれています。
なお、ルミノバが悪いわけではありません。むしろ性能の良さはご存知の通り。
ただ、えてして「オリジナリティ」そして「アンティークらしい風合い」において、トリチウムという要素は欠かせないと言えます。
なお、近年では「復刻時計」が流行っていて、あえてこのエージング感を色付き塗料で演出するブランドもあるほど。
美しく色づいた個体はきわめて稀少ですので、当モデルの「奇跡」をより如実に感じられるのではないでしょうか。
理由③付属品の見事さ
実は、付属品もオリジナリティが守られていることが魅力です!
これは、時計そのものの状態よりも稀有な現象です。
まず特筆すべきは外箱の型番シール「6263/0」。
また、シリアルタグが付いており、購入日やシリアルなどが印字されたサービスクーポンも現存します。しかも、未使用のままですからね。
さらにデイトナの説明書はそれだけで貴重なものですが、非常に珍しい日本語版で付属!
状態もよく、読み取れない箇所があるわけでもありません。
よくこの状態で残っていたな、と舌を巻く思いです。
理由④きわめて少ない使用感
一部の超レア個体を除いて、やはりアンティークは状態の良いものほど高い価値を持ちます。
いくら年式が古いとは言え、実用に適さないものは買いたくありませんよね。
当モデル、保証書日付が1981年4月で、1979年頃の製造と思われますが、約40年も経っているとは思えないほどの美品なのです!
使用感があまりなく、恐らく以前のオーナー様が大切に扱ってきた証拠でしょう(付属品の状態の良さからみても、一目瞭然ですね)。
もちろん新品同様というわけではありません。
プラスティックベゼルの一部分はややこすれてしまっていたり、クロノグラフ針は塗料が剥げてシルバー部分がさらされてしまったりしてはいます。でも、前述の通り、こういった経年変化こそがオリジナルの証明です。
なお、外装はステンレススティールですので研磨で傷を目立たなくすることはできますが、こういった価値のあるアンティークロレックスはオリジナリティを重視してあえて仕上げは行いません。しかしながら当モデルは、仕上げをしていないにもかかわらず、ケース・ブレスレットともに比較的良好な状態を保っており、その点でもきわめてレアと言わざるをえません。
ロレックス デイトナ 6263 気になるお値段は?
ロレックス デイトナ 6263 ビッグデイトナ アンティーク
型番:6263
製造年:1979年頃
文字盤:シルバー
付属品:BOX,保証書,取扱説明書,サービスクーポン他
当モデルの気になるお値段は、9,800,000円です!
相場が1000万円前後とのことだったので、「1000万円超えないんですか?」とバイヤーに聞いたところ、本来は1000万、あるいは1100万円の値付けを行うケース、とのこと。しかしながら「ハイクオリティをロープライスで」という当店理念のもと、この価格に抑えました。
恐らくこのコンディションのアンティーク デイトナ 6263で、この価格帯を実現できるというのはなかなかないでしょう。
しかしながら現在、アンティークロレックスの相場はぐんぐん上がっております。
あるいは今後、値上がりする可能性もございますので、お早めのご決断をお勧めいたします!
【2020年4月2日追記】
上記デイトナ 6263は完売となりました。
ただ、アンティークデイトナは当店でも力を入れている商品の一つです。そのため、また6263など稀少ロレックスが入荷次第、販売サイトや当マガジンで順次ご紹介していきたいと思います!
まとめ
当店に入荷した、アンティークロレックスの最高峰といって過言ではないデイトナ 6263についてご紹介いたしました!
アンティークは一点ものであるため、こちらのモデルも現品のみ。売り切れ御免です。
外装仕上げはしておりませんが、内部点検は行っており、状態も良好です。
気になる方は、ぜひ一度お問い合わせくださいね!
当記事の監修者
田所 孝允(たどころ たかまさ)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 営業物流部長/p>
1979年生まれ 神奈川県出身
ヒコみづのジュエリーカレッジ ウォッチメーカーコース卒業後、かねてより興味のあったアンティークウォッチの世界へ進む。 接客販売や広報などを経験した後に店長を務める。GINZA RASIN入社後は仕入れ・買取・商品管理などの業務に従事する。 未だにアンティークウォッチの査定が来るとついついときめいてしまうのは、アンティーク好きの性分か。
時計業界歴18年。