「デイトナ 116519LNってどんなモデル?」
「デイトナ 116519LNの魅力について知りたい」
2017年に発売して以降、圧倒的な人気を誇っているロレックスのデイトナ ホワイトゴールド製116519LN。
金無垢らしい高級感と、それでいてステンレススティール製のようなシンプルな使い勝手の良さから、デイトナナンバーワンの116500LNに勝るとも劣らない支持を集めます。
それに比例して相場も年々上昇しており、発売から4年経過する今なお品薄が続いている現状です。
これは、大変稀有なこと。
なぜなら金無垢モデルはステンレスに比べれば、相場・流通が落ち着いていると言われていたためです。
そんなデイトナ 116519LNの魅力について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
116519LNは、セラクロムベゼルやオイスターフレックスブレスレットという、ロレックスの最新技術を結集したモデルです。
この記事ではデイトナ 116519LNの魅力や特長を、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
実勢相場と今後の予測についても解説しますので、デイトナの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
ロレックス デイトナ 116519LNとはどのような時計か?
まずはじめに、デイトナ 116519LNの概要についてご説明いたします。
①DATA
デイトナ 116519LN
素材:18Kホワイトゴールド
ケースサイズ:直径40mm×厚さ12.5mm
駆動方式:自動巻き
ムーブメント::Cal.4130
パワーリザーブ::約72時間
防水性:100m
定価:3,297,800円(税込)
②概要
116519LNは、2017年のバーゼルワールドでリリースされました。デイトナのゴールド素材のモデルであり、スポーツロレックスの上位モデルにあたります。
ムーブメントは、2000年に登場したCal.4130を搭載。このCal.4130はロレックスの技術を結集した完全自社生産クロノグラフムーブメントです。なお、2007年からは耐磁性と耐久性に優れた独自開発のブルーパラクロムヒゲゼンマイを搭載したことで、より機能性にアップデートが図られました。
ベゼルには、現行デイトナ116500LN(2016年発表)で初めて採用されたセラクロムが116519LNにも採用されています。セラクロムベゼルは116500LNの人気の大きな要因とも言われており、ロレックスが独自に開発し特許取得した素材です。
ダイヤルのバリエーションは三種類。スチール&ブラック、ブラック+8Pダイヤ、シェル+8Pダイヤの3つがあります。このなかでもスチール&ブラックダイヤルは、アンティーク時代の手巻きデイトナを彷彿とさせるとして特に人気を集めています。
116519LNの特筆するべきポイントは、ホワイトゴールドケースとセラクロムベゼル、オイスターフレックスの3つの組み合わせ。ホワイトゴールドのケースに黒色のセラクロムベゼルとオイスターフレックスブレスレットが映えるデザインで登場時から注目を集めていました。
116500LNのデイトナを皮切りに、セラクロムベゼル搭載の時計の人気はますます高まっています。近年素材自体の相場もまた上昇している金無垢素材と、セラクロムベゼルのコンビネーションは人気の高さだけでなく、時計の顔としてのかっこよさを引き上げています。
加えてロレックスが特許を取得したオイスターフレックスブレスレットにより、ラグジュアリーさとスポーティさが融合した新たなデザインとなっています。
ロレックス デイトナ 116519LNのディテールの解説とレビュー
デイトナ116519LNのディテール解説とレビューを行います。
ここではダイヤ付きやシェル文字盤ではなく、定番のスチールブラックの文字盤のディテール解説をしていきます。
①新時代の高級スポーツウォッチ
2000年代にブームとなったデカ厚時計のように、時計のデザインにも流行があります。現在流行の時計デザインの一つは、高級時計×ラバーストラップと言えるでしょう。
高級時計×ラバーストラップは、1980年に「The Art of Fusion(異なる素材やアイデアの融合)」というクラフトシップを掲げ登場した新興ブランドのウブロが採用したことが始まりです。それまでラグジュアリーさとスポーティは、相容れないという暗黙のルールのようなものがありましたが、ウブロの登場によって、ケースとは異なる素材のベルトの組み合わせ、ひいてはラグジュアリーさとスポーティさを組み合わせた新たな時計デザインの潮流が始まりました。
ちなみにロレックスでラバーベルトとなるオイスターフレックスブレスレットを初めて採用したのは、2015年のことです。対象機はヨットマスター116655と268655。
※2015年、初めてオイスターフレックスを搭載して登場したヨットマスター 116655
この二機種は発売するやいなや人気が凄まじく、入荷しても即売り切れてしまい、一時期は市場ですらみかけないほどでした。
なお、ラバーベルト同様、セラクロムベゼルもトレンドの一つです。ロレックスでセラミックベゼルが最初に搭載したモデルは、2005年のGMTマスターⅡ 116718LNであり、その後2016年発売の116500LNでその人気を確固たるものとしました。
従来からデイトナの人気は他のスポーツモデルから突出したものでしたが、116500LNの人気はそれを更に上回るものであり、その大きな要因はセラクロムベゼルと言われています。
またパンダ文字盤(ホワイトの文字盤上にブラックのサブダイアルを備えた文字盤の通称)もセラクロムベゼルと相まって、その魅力をより高いものとしています。
ラバーベルトとセラミックベゼルという時計の二大トレンドを、金無垢素材のデイトナに落とし込んだことによって、デイトナが元来持っていたエレガンスとレーシーの融合が、更に強調されました。
さらに言うと、ケースの厚みも12mmとクロノグラフを搭載した時計としては比較的薄型であるという点も、ラグジュアリースポーツとしての要件を満たしています。
こういった116519LNが持つポテンシャルから、金無垢素材×ラバーベルト×セラクロムベゼルという3つの組み合わせは、新時代の高級スポーツウォッチと言うことができるでしょう。
時代のニーズを汲み取り、時計に反映させることはロレックスのお家芸です。新時代の高級スポーツウォッチに大胆に切り込んでいったことで、デイトナの元来備わっていたデザイン的なかっこよさを昇華させ、更なるファンの獲得につながりました。
②かっこいいだけじゃない!オイスターフレックスの実力
オイスターフレックスの魅力はその美観だけにとどまりません。ここではオイスターフレックスの実力について、詳しく見ていきます。
前項でも言及していますがオイスターフレックスは、2015年のバーゼルワールドでリセールされたヨットマスター116655、268655に搭載されたラバーベルトです。
ロレックスとしては初のラバーベルトであり、一般に使われているラバー素材ではなく、ブラックエラストマーという弾力性のある高分子物質がコーティングされています。ブラックエラストマーがコーティングされたラバーベルトは、メタルブレスレットにも匹敵する堅牢性を誇っています。さらに、手に馴染みやすいというラバーベルトの利点である柔軟性も、併せ持っています。
手に馴染みやすい理由は柔軟性だけでなく、ブレスレットの内側に秘密があります。それは内側に取り付けられたクッションのようなパーツ。「縦方向クッションシステム」と呼ばれるロレックスの特許で、手首にかかる負荷を分散し、ラバーベルト特有の締めつけ感や摩擦による痒みを軽減できます。
なお、オイスターフレックスには、複数のサイズがあります。
ブレスレットのバックルの内側にアルファベットが記載されており、サイズ展開はD,E,F,G,Hの5つ。
※以前は“ E-D ”や“ E-E ”など『E-〇』となっていましたが、近年では、アルファベット1文字で表示されています。
※Eサイズのオイスターフレックス
それぞれのサイズは下記の通りです。
D=50mm
E=55mm
F = 65mm
G = 75mm
H = 85mm
基本は上記サイズですが、バックルの3段階の微調整を行うことで、最大5mm増やすことができます。
詳細な腕回りについては、下記の記事をご確認下さい。
なお、オイスターフレックスの金額は、サイズによって異なりますが片側だけで3万円~4万円、さらに取付技術料として3,300円がかかります。決して安くない上に、現在のところ日本ロレックス社のサービスセンターでしか購入することができません。
③上質なホワイトゴールドケース
ホワイトゴールドは、一般的には、金75%に対し銀やパラジウムなどの白色金属を混ぜて作られます。そのため純金よりも重さは軽くなりますが、それでもステンレススチールを普段から着用している方にとっては、ずっしりと感じるかもしれません。
このずっしり感こそが金無垢モデルの魅力ではあるものの、「日常使いで腕が疲れないかな?」とご不安になる方もいらっしゃるかもしれません。
しかしながら116519LNは、ベルトが軽量のオイスターフレックスを使用しているため、通常の金無垢素材を使用したモデルよりも、圧倒的につけ心地が良いことが特徴です。前述の「縦方向クッションシステム」により、ずっしりとしたケースでも手首を優しく包んでくれることでしょう。
またホワイトゴールドは、金色のゴールド素材のように、ひと目で金無垢素材とわかるような派手さはなく、むしろデイトナの持つ洗練された上品さを引き立てるのに一役買っています。
金無垢素材特有の上品な輝きは、ステンレスモデルにはない大きな魅力です。
ワンランク上のビジネスマンや初めて金無垢ロレックスに挑戦する方にお勧めです。
④自社製ムーブメント4130
出典:https://www.rolex.com/ja/watches/cosmograph-daytona/m116519ln-0027.html
116519LNに搭載されているムーブメントは、Cal.4130。この存在も、現行デイトナを語るうえでは欠かせません。
Cal.4130はロレックスが完全自社開発のクロノグラフムーブメントであり、旧型デイトナ116520がリリースされた2000年より搭載されています。2世代前のデイトナ16520に搭載されていたゼニス社のエル・プリメロベースであるCal.4030をあえて選ぶ方も多いですが、当然性能面ではCal.4130が格段に上がっています。
多くなりがちなクロノグラフムーブメントの部品を60%減らし、軽量化を実現。さらに時計の心臓部分であるテンプを支えるブリッジを、シングルからツインに変更することで、テンプの精度や強度が増しました。
またスモールセコンドの位置を9時位置から12時位置へと変更することで伝導効率が向上し、メンテナンスが容易となったこともこの機会の優秀さを如実に表します。
パワーリザーブは72時間。秒針を止めるハック機構も追加され、より実用的になりました。さらに2007年以降のムーブメントには、ブルーパラクロムヒゲゼンマイを搭載し、耐磁・耐衝撃性を高めておりキングオブロレックスのデイトナにふさわしいムーブメントとなっています。
ロレックス デイトナ 116519LN 実勢相場と今後の予測
これまでデイトナ 116519LNの魅力やディテールについてご紹介してきました。
しかしながらロレックスファンとしてはもう一つ気になること!それは、デイトナ 116519LNの実勢相場ではないでしょうか。また、今後どのような相場を描いていくのかも気になるところ。
そこで最後に、GINZA RASINの中古販売価格から116519LNの実勢相場と今後の予測について解説します!
なお、デイトナ 116519LNにはスチールブラックとダイヤ付き、シェル文字盤の3つの文字盤がありますが、ここでは定番のスチールブラックの文字盤について解説します。
※新品の流通量は極めて少ないため中古相場を基にしております。
デイトナ 116519LNの実勢相場は長らく300万円台後半から400万円前後でした。
定価が2,959,200円(当時。2021年8月~は3,297,800円)であることを鑑みると圧倒的プレ値!まだ今ほど金無垢ロレックス相場が上昇していなかった当時から勢いがあったことをご覧頂けるでしょう。
さらには2021年に入り、新品に近い個体などは530万円前後をつけることに…!中古であっても、500万円前後~が当然の相場感と言った様相です。
以下は、直近4年間のデイトナ 116519LNの販売価格推移です(スティール文字盤のみ。当店GINZA RASIN販売の中古品をもとに平均相場を算出)。
年 | 付属品 | 平均相場 |
2018年 | 箱/保証書 有 | 3,266,000円 |
2019年 | 箱/保証書 有 | 3,649,000円 |
2020年 | 箱/保証書 有 | 3,998,000円 |
2021年 | 箱/保証書 有 | 4,941,000円 |
2021年明けて1月現在は年末が過ぎ、若干落ち着きを取り戻しつつあるものの、非常に高騰していることがお分かり頂けるのではないでしょうか。とりわけ2020年の上昇幅を見ると、一気に大きくなっていますね。
この要因は様々です。
まず、もともとのデイトナ 116519LNの人気はもちろんのこと、SS製116500LNの相場が上がりすぎて需要が流れてきている、ということが挙げられます。116500LNはSS製ですので、定価1,457,500円。当然、金無垢よりも安価に設定されています。
しかしながら世界中から高い需要が集中したことから供給が追い付かず、当然相場も上がっていくこととなります。2021年現在では、その相場は470万円超(白文字盤。黒文字盤は420万円前後~)を記録。むしろ、金無垢モデルの方がお得感が強いという逆転現象が起こってしまったのです。
そのため、よりSSモデルに近い雰囲気のデイトナ 116519LNがSSモデルよりもお得と言うことで、まず相場を上昇させることとなりました。
さらには、2020年から世界を震撼させている新型コロナウイルスの影響も相場高騰に大きく関与しています。
コロナ禍が始まった直後の3月~4月にかけては消費が落ち込み、一時相場は下落傾向にありました。しかしながら5月あたりから経済が再開するにつれてじょじょに需要は回復。しかしながら海外との交流が制限されている今、仕入れしづらい状況やメーカーの減産が続き、供給量はかつてよりも低減している状況にあるのです。
需要は相も変わらず―否、むしろ高くなっているのに流通は激減・・・相場が上昇してしまうことは致し方なし。
一方でロレックスのすごいところは、ある程度価格が高騰すると消費者の買い控えが出てくるものなのですがそれが確認できず、むしろ「高くても欲しい」というマインドが顕在。そのためデイトナ 116519LNは入荷即売り切れが続いており、2021年もしばらくこの「相場高値」の状況が続くと予測しております。
もっともイニシャルコストは高いですが、その分リセールバリューも大きいため、手放す際に大きく損をしないと言ったマインドもこの需要を底支えしています。
まとめ
ロレックスデイトナ116519LNを買うために知っておきたいことを解説致しました!
116519LNは、これまでの人気モデルのデイトナのデザインを受け継ぎながらも、セラクロムベゼル、オイスターフレックスブレスレットという、ロレックスの最新技術を結集しています。
ホワイトゴールド素材にスチールブラックの文字盤、セラクロムベゼル、オイスターフレックスのバランスが非常によく、外観、機能ともにデイトナのなかでもワンランク上の1本と言えるでしょう。
そして何と言っても、過去から受け継がれるデイトナの意匠と時代のニーズを生かしたデザインは新時代のスポーツウォッチの先駆けと言えるでしょう。最新の技術力を結集したセラクロムベゼルと、パンダ文字盤の組み合わせは、手巻きデイトナを彷彿とさせます。
オイスターフレックスブレスレットは、外観だけでなく、機能面でも優れており、金無垢素材でありながら、オイスターフレックスによる心地よい着良い感を実現しています。
また実勢相場も高く、個体数が少ないため、今後もさらなる相場高騰が予測されます。イニシャルコストは高いですが、リセールバリューもその分高いため、大きく損をしない優秀な時計と言えるでしょう。
気になる方はこれ以上価格が上がってしまう前に、一度ご検討下さい!
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年