出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/collections/sbga211
「グランドセイコー SBGA211 雪白って何がすごいの?」
「SBGA211 雪白の魅力や特長について詳しく知りたい」
グランドセイコーで絶大な人気を誇る、SBGA211。
通称「雪白(ゆきしろ)」。
海外でも大変人気の高いモデルで、スノーフレーク(雪片)というペットネームをつけられています。
純白の和紙のようにも見える特殊な文字盤は、雪白だけが持つ魅力です。
崇高さを感じさせるほど研ぎ澄まされたデザイン、デザイナーの思いを形にする匠の技巧が一瞬にして見る者を虜にします。
そんなグランドセイコー SBGA211 雪白の魅力や特長について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
SBGA211 雪白は、世界に名をとどろかせるムーブメント・スプリングドライブ搭載機でもあり、性能の上でも他の追随を許しません。
文字盤の下には、グランドセイコーに相応しいスプリングドライブ9R65が埋め込まれています。
この記事ではグランドセイコー SBGA211 雪白の魅力や特長について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
SBGA211とSBGA011の違いについても解説しますので、グランドセイコーの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
グランドセイコー SBGA211とはどのような時計か?
それではグランドセイコー SBGA211とはどのような時計なのか。どんな魅力を有するのかについて解説いたします。
グランドセイコー SBGA211
ケースサイズ:直径41mm×厚さ12.5mm
素材:ブライトチタン
文字盤:ホワイト
駆動方式:スプリングドライブ自動巻き
ムーブメント:キャリバー9R65
防水性:10気圧防水(日常生活用強化防水)
定価:814,000円(税込)
概要
SBGA211「雪白」は2017年にグランドセイコーからリリースされた、スプリングドライブキャリバー9R65を搭載したモデルです。
なお、2005年10月に発売されたスプリングドライブの初代雪白SBGA011の後継機に当たります。2017年にリファレンスチェンジになり、現行のSBGA211となりました。
この2017年は、グランドセイコーにとって、大いなる革新の年です。
母体であるSEIKOから独立ブランド化が図られ、更なるグローバル展開もスタートしました。独立によって各モデルの文字盤にはグランドセイコーのロゴのみが入り、より洗練された印象に生まれ変わっていることも特徴となります。
出典:https://www.facebook.com/grandseikojapan/photos/
ちなみにSBGA211(および先代機のSBGA011)の何よりの特徴は、純白の文字盤です。「雪白」「スノーフレーク」の呼び名の由来にもなっていますね。
SEIKOは長野県塩尻市に「信州 時の匠工房」を構えています。「信州 時の匠工房」は、スプリングドライブのふるさととしても知られる精密機械工房。
この時の匠工房から見える、穂高連峰の白い峰々が文字盤に落とし込まれているのです。
結果としてSBGA211は類まれな美しさを有する時計として話題になりました。
現在でもその人気は衰えることなく、当店でも非常にお問合せの多い一本です。
グランドセイコー SBGA211のディテール解説
グランドセイコーSBGA211雪白のディテールを細かく解説していきます。
①美しい文字盤
前述の通りグランドセイコーSBGA211雪白の魅力は、一目で誰もが惹かれてしまう純白の文字盤です。
和紙のようにざらつきのある表面は、独特の型押しパターンが基礎となっています。この雪の質感は、0.04mmという凹凸で創り出されています。さらに何度もコーティングを重ね、透明感のある雪の白へと仕上げられるのです。
繊細な凹凸の上にそっと置かれた多面カットインデックスは職人によって手鏡で反射を確認しながら研磨されており、さながらダイヤモンドダストのようにきらめきます。同じく多面カットされた針もわずかな光を受けて輝き、視認性を高めています。夜光塗料を塗布しなくても少しの光で視認できる腕時計は、究極の機能美と言えるのではないでしょうか。
このグランドセイコー雪白の文字盤デザインは、「信州 時の匠工房」から望める穂高連峰の、降り積もった穢れのない雪とされます。極寒の峻烈な山岳を白く染める雪は、美しさとともに神域が持つ荘厳さや清浄さも感じさせるものです。
そして宇宙の深さを思わせるような、冬の信州ならではの澄み渡る青空を、ブルースチールの秒針が表しています。
グランドセイコー曰く「穂高連峰の近寄りがたい白い峰」にちなんで雪白と名づけられ、海外ではスノーフレークというペットネームもつけられました。
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ちなみに、何度も塗り重ねられざらりとした質感を持つ雪白には、もうひとつの雪物語が隠されています。
SBGA211雪白のデザインを担当したある職人は幼少期、北陸に住んでいたそうです。
北陸はどこまでも雪深く、11月から3月まで雪に覆われる年も珍しくはありません。降り積もった雪に地吹雪が舞えば、砂糖細工のような新雪が毎日景色を覆います。
SBGA211デザインを担当者は、祖父に手を引かれて見た北陸の雪の質感を再現したかったとか。北陸の空はからりとした信州と異なり、いつも水分を含んでガラス細工のような水色をしています。
雪原をなめらかにスイープ運針で動く針の残影に、柔らかな空色を見出したのかもしれません。
雪を知る人間だからこそ表せたのが、雪白の文字盤なのでしょう。
スプリングドライブ9R65
グランドセイコーSBGA211雪白のもうひとつの魅力が、搭載するスプリングドライブ9R65です。
スプリングドライブはグランドセイコーが誇る技術力の粋ともいえるムーブメントです。
その極めて特殊なシステムから、技術革命とも称されています。
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スプリングドライブは機械式時計にもクォーツ時計にも分類されない、全く新しい技術です。
機械式時計はぜんまいのほどける力を動力に歯車を回し、大きなトルクを生み出します。
クォーツ時計は電池の力で水晶振動子とICを動かし、高い精度を出します。
スプリングドライブではぜんまいのほどける力を電気に変え、水晶振動子とICを動かすのです。
スプリングドライブは電池を必要としないクォーツ時計、クォーツの精度を持った機械式時計、両者のメリットを持ちます。
グランドセイコーでは「第三の心臓」と呼ばれるスプリングドライブ。多くのファンたちや腕時計愛好家からは、他社では絶対に真似できないハイブリッドムーブメントとして賞賛されています。
ちなみにスプリングドライブは1977年に構想が立てられたシステムですが、実際に誕生したのは1997年のことです。世界有数の技術力を持つセイコーですら、20年もの歳月を要しました。
そしてグランドセイコーSBGA211雪白に搭載されているスプリングドライブ・キャリバー9R65の製品化は2004年。つまりスプリングドライブ誕生からさらに5年の歳月が経過していることを表します。
そう、スプリングドライブをグランドセイコーの高品質腕時計に搭載するには、まだ足りない部分があったためです。それはパワーリザーブ72時間の壁。
キャリバー9R65はパワーリザーブ72時間を実現したことで晴れてグランドセイコーモデルとして製品化され、超人気モデル雪白にも搭載されました。
スプリングドライブはぜんまいの力を利用し、クォーツ時計では得られない大きなトルクを持ちます。
トルクでICを制御し、日差±0.5秒~±1秒という非常に高い精度をたたき出すこともスプリングドライブの特徴です。さらにICの電気信号で精度調整を行い、より高い精度が望めます。
年差±10秒も可能とされ、実際雪白ユーザーは時間の狂いをほとんど感じないというレビューが多く見られます。
さらにはトルクで重厚な針もつけられ、グランドセイコーに相応しいムーブメントです。
そしてキャリバー9R65は見事な色に仕上げたブルースチール針を、スイープ運針させることができるのです。
きわめて軽量なブライトチタン
グランドセイコー SBGA211 雪白は、素材にブライトチタンを採用しています。
チタンはアレルギーを起こしにくい素材として、近年さまざまな腕時計に使用されています。
しかしチタンはステンレススチールと比較し、少々くすんだ印象がある金属です。
ステンレススチールが時に貴金属並みの美と価値を生み出すことは、スポーツロレックスを見ても明らか。
そこでグランドセイコーは、莫大な手間をかけて仕上げるという方法により、チタンからくすみを低減させました。
グランドセイコーで使用しているチタンは本来の軽さと耐アレルギー性に加え、非常に傷に強いという特徴も持っています。
丁寧なザラツ研磨を施されたブライトチタンの美しさは、雪白文字盤を囲むベゼルで確認できます。なめらかにケースから伸びるラグやケースのなだらかな曲線でも、仕上げの技術力は顕著です。
またブライトチタンを使用することで、ステンレススチール仕上げよりも30%の軽量化に成功しました。そのため重量100g程度に抑えられていることも魅力です。
上品なザラツ仕上げは雪白文字盤との相性もぴったり。
ツヤ消し仕上げによって傷を目立たせない、細やかな心遣いも嬉しいところですね。
空から舞い降りるひとひらの雪が、重さも感じさせることなくすっと水になるように。41mmケースとメタルブレスレットはすんなりと腕に馴染みます。
相場
グランドセイコー SBGA211 雪白の美しさとスプリングドライブ9R65の傑出した出来栄えについてご紹介してきました。
手仕事でしか表せない雪の質感、チタンの輝き、そして秘密の香箱に収められた「第三の心臓」スプリングドライブ。
世界で人気が弾け、日本でも多くの人々を魅了し続ける特徴を、ご理解いただけたでしょうか。
でも、ここで気になってくるのがお値段ですね。SBGA211の相場はどのくらいなのでしょうか。
グランドセイコー SBGA211 雪白の定価は814,000円。対して並行輸入店での未使用価格は70万円程度~になります。なお、中古価格は、コンディションによって異なりますが50万円台前半~が相場です。
スプリングドライブ自体が構造が複雑でハイエンドということもあり、価格は高い傾向にありますね。
一方で SBGA211 雪白は非常に人気の高い機種で、安定的に需要があります。そのため価値が落ちづらく、値崩れしにくいというメリットにも繋がります。
もっとも、高性能かつ外装にもこだわられたスプリングドライブ 雪白 SBGA211ですから、決して高すぎるということはありません。
グランドセイコー SBGA211とSBGA011、どちらを買うべきか?
左:SBGA211 右:SBGA011
グランドセイコー雪白と呼ばれるモデルには、SBGA211とSBGA011という2つのモデルが存在します。
上の項でもご紹介しましたが、SBGA211は2017年にリファレンスチェンジしたモデルです。SBGA011は2005年10月に発売されたロングセラーモデルです。
いずれもスプリングドライブのキャリバー9R65を搭載しており、雪白の文字盤が美しいブライトチタン製です。
ケースバックがシースルーバック仕様になっている点も同じです。
スペックは同じですが、唯一異なる点がロゴになります。
SBGA011は文字盤上部にSEIKOのロゴが入り、文字盤下部にグランドセイコーのロゴが入ります。SBGA211はSEIKOのロゴが消え、文字盤上部にグランドセイコーのロゴが入ります。
好みではありますが、SBGA211の方がよりすっきりと洗練されています。よりミニマルな機能美を求めるのであれば、現行モデルがおすすめです。
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価格では、より古いタイプになるSBGA011の方が若干お安い価格相場です。
しかし腕時計は購入してからも長く付き合う相棒です。
機械時計ではオーバーホール、クォーツ時計では電池交換が必要なように、スプリングドライブもメンテナンスが欠かせません。
グランドセイコーでは基本的にスプリングドライブのオーバーホールをメーカーで行います。そのため維持費が思ったより高かった、なんてことも。
中古でグランドセイコー雪白を購入する際、特に古いものの場合はしっかりとコンディションを見極めましょう。
オーバーホールされているか?されていない場合は点検を受けているか?中古のグランドセイコーをご購入する際の良い選択肢は、信頼できる時計専門店を選ぶことです。
そのためには口コミや実績をきちんと確認したうえでお店選びを行いたいですね。
まとめ
雪の穂高にも、北陸の雪景色にも例えられるグランドセイコー SBGA211 雪白。
北陸・金沢の詩人、室生犀星に「ゆきふらばわがつみがゆるされむ」という言葉が残っています。
音もなく淀みなく流れ過ぎる時だけを残して、降り積もる雪。
人の営みも自然の息吹もすべて包み込み純白に染める雪には、琴線に触れる荘厳さがあります。
グランドセイコーSBGA211雪白は日本を飛び出し、世界でも愛されています。
古来中国では水墨画に五彩を感じ、空白にさまざまな哲学を見出してきました。
ペットネームと同じ名前を持つ花、スノーフレークには「みなを惹きつける魅力」という花言葉があります。
見る者の心を惹きつけてやまない、グランドセイコー雪白そのままではないでしょうか。
高精度スプリングドライブとイノセントな文字盤は、これからも世界中の腕時計ファンを魅了し続けることでしょう。
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年