「グランドセイコーSBGA229・SBGA231・SBGH257・SBGH255って何がすごいの?」
「グランドセイコーの人気ダイバーズついて知りたい」
グランドセイコーといえば質実剛健で真面目なイメージがありますが、実はダイバーズウォッチに関しても高い評価を獲得しています。
圧倒的なスペックにセイコーらしからぬダイナミックでスポーティーなデザイン。
ロレックスのサブマリーナやシードゥエラー、オメガのシーマスターといった定番モデルと比較しても決して劣らない魅力をもち、真の時計ファンから厚い支持を集めています。
そんなグランドセイコーの人気ダイバーズついて知りたいという人は多いのではないでしょうか。
グランドセイコーのダイバーズはどのモデルも等しくおすすめできます。
この記事ではグランドセイコー ダイバーズの中でも特に人気の高い、SBGA229・SBGA231・SBGH257・SBGH255を、GINZA RASINスタッフ監修のもと紹介します。
人気の理由も解説しますので、グランドセイコーの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
出典:https://www.facebook.com/grandseikojapan/
目次
グランドセイコー ダイバーズ SBGA229
2008年、グランドセイコーのラインナップに新たに加わったダイバーズウォッチモデル。
いくつかの派生モデルが存在しますが、特に人気・評価ともに極めて高いのが、こちらのSBGA229です!
グランドセイコーダイバーズ「SBGA229」
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径46.9mm×厚さ14mm
全重量:202g
文字盤:ブラック
インデックス:夜光インデックス
ムーブメント:スプリングドライブ キャリバー9R65
パワーリザーブ:約72時間
防水性能:200m
肉厚のケースにブレスレット,きわめて視認性の高い文字盤,そして太めの逆回転防止ベゼル・・・
Thie is the ダイバーズウォッチ!といったこのデザインは、冒頭でも述べたように、グランドセイコーでは珍しいスタイルと思う方もいらっしゃるでしょう。
事実、グランドセイコーはこれまでシンプルでクラシックなモデルをラインナップのメインとしてきました。
スポーツラインがなかったわけではありませんが、ここまでガッツリとアクティブなデザインは、2008年にダイバーズラインが登場するまでは、グランドセイコーには無かったように思います。
その、2008年にリリースされたグランドセイコー初ダイバーズウォッチのデビューを飾ったSBGA029の、後継機がこちらのSGBA229となります。
2017年、グランドセイコーがセイコーから独立した際、文字盤を一新して生まれ変わったことを契機に、リファレンスチェンジも行われました。
何よりもまずSGBA229の特徴は、スプリングドライブムーブメント9R65が搭載されていることにあります。
スプリングドライブは、1999年に誕生したセイコーの独自機構です。
スプリングドライブを簡単に説明すると、機械式時計・クォーツ式時計それぞれのメカニズムを融合させた、というものとなります。
駆動力を機械式時計と同一のゼンマイとし、ゼンマイの調速(精度制御)をクォーツと同一の水晶振動子&ICとした、非常に画期的なメカニズム。
これにより、「機械式時計の永続性および力強さ」と「クォーツ式時計の利便性(具体的には高精度や衝撃への耐性)」の両方を獲得することとなりました。
そんなスプリングドライブを搭載したダイバーズウォッチと言うだけで、胸躍るセイコー好きもいらっしゃるのではないでしょうか。
文字盤にはスプリングドライブモデルのアイコンともなっている、パワーリザーブインジケーターが搭載され、デザインアクセントになっていますね。
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/special/milandesignweek/2019/springdrive/
特筆すべきは、内部機構だけに留まりません。
グランドセイコーのダイバーズウォッチは、世界的に見てもきわめて高い評価を得ているのですが、その理由は「ダイバーズウォッチとして非常に完成されている」ことに理由があります(もっとも、これはSBGA229のみならず、全てのグランドセイコーが手掛けるダイバーズウォッチに言えることですが)。
まず第一に、「ダイバー」にとっての実用性がきわめて高いこと。
当たり前に思うかもしれませんが、現在スポーツウォッチ人気が高まって、逆回転防止ベゼルや堅牢性の高いケース等を、デザインコードとして採用しているブランドは少なくありません。つまり、見た目はダイバーズウォッチだけど、実際はタウンユースを想定している、といった具合です。
しかしながら、「実用時計の最高峰」と名高いグランドセイコー。
ダイバーの使用を大前提としており、ベゼルはダイビンググローブを身に付けながらも操作しやすい形状です。さらに細かく回転制御することができ、30秒刻みでのダイビングタイム計測が可能に!加えて、逆回転防止機構が付いているのに、実は分解可能な造りです。リューズ形状などと併せて、海水や砂が付着しがちなダイバーズウォッチをきちんと洗浄できることで、末永くキレイな状態で愛用していけることに繋がりますね。
フォールディングバックルも10段階で調整可能ですので、ダイビングスーツから水着へ移行する際も、着脱が容易ですね。
ちなみにインデックス・針に塗布された夜光は、これまたセイコー独自開発のルミブライト(高輝度蓄光塗料)。
太陽光や照明器具からの光を蓄えることで機能する夜光ですが、蓄光が約10分ほどであることに対し、従来の夜光塗料よりも約10倍の5~8時間発光する、とのこと。
このように、ダイバーズウォッチとしても「高精度のグランドセイコーウォッチ」としても、全く死角のない一本がSBGA229と言えるでしょう。
ただ、定価が税込704,000円と、グランドセイコーの中では若干高め設定とはなります。
グランドセイコーは2017年の独立で高級化に舵を切り、かつスプリングドライブはハイエンドであるため、高価格帯になってしまっていることは否めません。
もっともSBGA229は2017年登場と、発売から約3年が経っており、並行市場にも比較的豊富に流通しております。
また、もともとの性能が良いため、状態の良い中古もよく出回っていることから、価格を抑えたい方は信頼できる中古販売店を利用しましょう!!
ちなみに中古相場は状態にもよりますが、50万円台半ば~です。
グランドセイコー ダイバーズ SBGA231
同じくスプリングドライブを搭載したダイバーズウォッチですが、SBGA231では、ケース・ブレスレット素材に人気のブライトチタンを採用しています!
グランドセイコー ダイバーズ 「SBGA231」
素材:ブライトチタン
ケースサイズ:直径44.2mm×厚さ14mm
全重量:137g
文字盤:ブラック
インデックス:夜光インデックス
ムーブメント:スプリングドライブ キャリバー9R65
パワーリザーブ:約72時間
防水性能:200m
グランドセイコーの12時位置のロゴが、金色に輝くこちらのモデル。前述の通り、ブライトチタンを採用していることが大きな特徴です。
ブライトチタンは文字通りチタンなのですが、セイコーが独自合金した革新素材となります。
最大の特徴は、きわめて高い硬度を実現しているにもかかわらず、とても軽量であること。その重量はステンレススティールの約30%ほど。
SBGA231も、直径44mmオーバー、厚み14mmとダイナミックですが、重量はわずか137g。
同サイズのダイバーズウォッチだと220g前後が当たり前ですが、この軽量感は嬉しいですね。
サイドからご覧いただくとわかりやすいですが、SBGA229と変わらずケース・ブレスレットともに肉厚。ダイナミックなカッコよさはそのままに、着け心地をアップさせていると言えます。
ただ、ステンレススティールやゴールド特有のずっしりしたモデルもカッコイイので、この辺りは好みの問題もあることを付け加えておきます。
さらにチタンは、耐蝕や変色に強く、経年劣化が少ないこと。
金属アレルギー耐性に優れており、肌の弱い方にもオススメの素材であることも魅力です。
一方でチタンはステンレススティールに比べると加工が難しく、精密な設計や仕上げがしづらいというデメリットも有します。
そこでグランドセイコーは独自合金により、加工面の問題をクリアしました。
そのため、SBGA231も、グランドセイコーのハイエンドモデルでおなじみの「ザラツ研磨」が施されます。
前項のSBGA229では機能面が主な紹介となりましたが、このザラツ研磨もグランドセイコーのダイバーズウォッチを語るうえで欠かせない要素です。
「セイコースタイル」と呼ばれるものの一つですが、熟達した職人が専用機械を使って研磨を行い、鏡面下地を形成します。
ザラツ研磨が施された個体は歪みがなく美しく、グランドセイコーを「高級機」に押し上げます。
このザラツ研磨によってグランドセイコーのダイバーズウォッチは完成していると言えるでしょう。
なお、ブライトチタンはステンレススティールよりも高価な素材のため、SBGA231は定価が税込814,000円と、やはりハイエンドの位置づけとなります。
オメガのシーマスターやIWCのアクアタイマーと言った、中価格帯のダイバーズウォッチ(3針×自動巻きと仮定して)が50万円台~70万円台ですので、それらよりちょっと高い、ということにもなります。
しかしながらグランドセイコーならではのスプリングドライブ。実用的な機能。そして美しいザラツ研磨を持った、どこに出しても恥ずかしくない高級機であることを鑑みれば、決して高すぎるということはありませんね。
ちなみに中古相場は60万円台半ば~です。
グランドセイコー ダイバーズ SBGH257
SBGH257は2017年バーゼルワールドにて発表された500本限定モデルです。
直径46.9mm×厚さ17.0mmという男らしいディティールをもち、文字盤カラーにはセイコーブルーと呼ばれる深みのあるブルーが採用されています。
グランドセイコー ダイバーズ「SBGH257」
素材:ブライトチタン
ケースサイズ:直径 46.9mm×厚さ17.0mm
全重量:175g
文字盤:ブルー
インデックス:夜光インデックス
ムーブメント:自動巻き キャリバー9S85
パワーリザーブ:約55時間
防水性能:600m
「2008年にグランドセイコーにダイバーズラインが加わった」と前述しましたが、200m防水時計にスペック面では留まっていました。
「最高の普通」「実用時計の最高峰」がグランドセイコーのコンセプトですので、オーバースペックを必ずしも求めていなかったのでしょう。
しかしながら2017年に独立して新生グランドセイコーとなったことで、より幅広いターゲティングーとりわけ海外市場に向けてーが行われることとなりました。そんな背景で生まれたのが、600mという飽和潜水を可能としたダイバーズウォッチです。
その処女作のうちの一つが、こちらのSBGH257でした。
直径 46.9mm×厚さ17.0mmと、非常にダイナミックなことがおわかり頂けるでしょう。
また、コーポレートカラーでもあるグランドセイコーブルーを文字盤色とし、かつ輝きながら上昇していくバブル群を表現したドットパターンが、とても鮮烈。グランドセイコーのダイバーズの中でも、かなり異色の存在と言えるのではないでしょうか。
ちなみに「ロレックスのディープシーと似ている」という声が聞こえますが、実機を見てみるとその限りではありません。
と言うのも、素材にブライトチタンが採用されており、とても軽量なのです。
また、ザラツ研磨によって派手ではない、でも独自の美しさを獲得しており、セイコースタイルが変わらず継承されていることが見てとれます。
4時位置のリューズやデイト窓が、どちらかと言うとセイコーのプロスペックスのDNAを踏襲しているように思います。
完成されたプロフェッショナル仕様のダイバーズウォッチとして、国内外で高い評価を獲得したことは言うまでもありません。
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/about/movement/mechanical/9s85
なお、搭載するムーブメントも大切な特記事項です!
こちらは昔ながらの機械式(メカニカル)機構の「キャリバー9S85」を搭載しているのですが、これまた優れた名機として評価されております。
2009年に登場して以来、グランドセイコーの基幹ムーブメントとして君臨しています。
特筆すべきは、1秒間に10振動(36,000振動/時)という高速振動。これは、ゼンマイの精度制御を行うテンプの振動数を示した数値ですが、高ければ高いほど高精度を叩き出す一方で、パーツが摩耗しやすく劣化も早くなります。
ハイビートと耐久性を両立できるブランドは、時計業界でもそう多くはありません。
しかしながらグランドセイコーでは、1968年に既に10振動を実現していました。
その1968年当時のハイビートメカニカルムーブメントを現代風にリファインしたのが、9S85となります。
日差+8~-1秒という機械式時計としてはトップクラスの精度を誇りつつ(通常、日差+20秒~-10秒くらいまでは許容範囲内)、安定した往復運動を繰り返します。
一方でパーツ摩耗を防ぐために潤滑油を一定量に保ちつつ、また、パワーリザーブ約55時間という実用性も堅持します。
このように内外ともに優れたダイバーズウォッチがSBGH257ですが、スペシャルエディションの立ち位置であったためか、製造数はわずか500本でした。
そのためSBGH257に関しては現在は中々手に入りにくいモデルになってしまいましたが、それだけに所有欲を大きく満たしてくれるモデルです。
ちなみに当時の定価は1,101,600円、現在の中古相場はだいたい90万円前後です。
グランドセイコー ダイバーズ SBGH255
最後にご紹介するのは、同じくハイビートメカニカルのキャリバー9S85を搭載した、SBGH255です!
SBGH257と同時リリースされましたが、こちらはレギュラーモデル。マスターショップ限定の販売とはなりますが、比較的よく出回っております。
グランドセイコー ダイバーズ「SBGH255」
素材:ブライトチタン
ケースサイズ:直径 46.9mm×厚さ17.0mm
全重量:175g
文字盤:ブラック
インデックス:夜光インデックス
ムーブメント:自動巻き キャリバー9S85
パワーリザーブ:約55時間
防水性能:600m
ダイナミックなケース・ブレスレットはそのままに、ブラックカラーを基調としたことでより精悍となったグランドセイコー ダイバーズです。
スプリングドライブ搭載のSBGA231と同様に、ゴールドカラーが差し色となっており、ラグジュアリーな印象が強くなったことも特徴です。
グランドセイコーのデザインに奇抜さはなく、わかりやすい華美さはありません。
しかしながらさりげない色使いをあしらうことで個性的なモデルに仕立て上げるところに、長年時計製造で名を馳せてきたブランドとしての実力を感じますね。
なお、こちらの文字盤にもドットパターンが採用されており、おしゃれなことはもちろん、光の加減によって視認性を妨げません。
出典:https://www.grand-seiko.jp/professionaldivers/
直径46.9mm×厚さ17.0mmの迫力満点のフォルムを持つことはブルーと同じ。ザラツ研磨が施されたケースにより、歪みのない鏡面仕上げを実現しており、やはり高級感が満載です。
ハイビートのメカニカルムーブメントを搭載しているため、ビジネスユースでも徹底したスケジュール管理に役立ってくれることでしょう。
レアリティでいえば「SBGH257」が上ですが、「SBGH255」も負けず劣らず人気があり、セイコーのダイバーズウォッチの中でもトップクラスの売り上げを誇ります。
気になる定価に関しては、税込110万円とこちらもハイエンドもでるとなっております。
中古であれば100万円を切る価格で購入することも可能ですが、「まだ発売して三年ほど」かつ「グランドセイコー初の飽和潜水モデル」、ということもあってか手放すオーナーが少なく、なかなか市場には出回りません。
少しでも安く手に入れたいという方は、中古時計店の情報をよくチェックしてみてください。
まとめ
グランドセイコーのダイバーズウォッチSBGA229・SBGA231・SBGH257・SBGH255をご紹介いたしました!
繰り返しになりますがグランドセイコーのスタイルは「シンプル」なため、一見するとどのモデルも似たり寄ったりだと思う方もいらっしゃるでしょう。
でも、内部機構や実用性は四者四様。
素材や価格面、手に入れやすさも異なってきます。
ただ、「グランドセイコーのダイバーズウォッチが欲しい!」といった方には、どのモデルも等しくオススメできます。
ロレックスやオメガも優れたブランドですが、ぜひ一度国産ダイバーズウォッチの魅力をお楽しみ頂ければと思います。
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年