「グランドセイコー SBGN003って何がすごいの?」
「グランドセイコー SBGN003の魅力や特長について知りたい」
グランドセイコーとは、わが国が誇る高級時計ブランド。
ロレックスやオメガなど、海外には働き盛りのビジネスマンたちを魅了する腕時計ブランドが数多く存在しますが、日本も「腕時計大国」の一つです。
日本が発信する素晴らしい腕時計が今、世界的にも評価されています。
そんなグランドセイコーが手掛ける名作は枚挙にいとまがありませんが、その一つが9Fクォーツです。
これは、クォーツムーブメント腕時計最高峰とも呼べる一機。
SBGN003は、その9FクォーツにGMTを搭載させ、かつスポーツコレクションとして2019年にリリースされたモデルです。
そんなグランドセイコー SBGN003の魅力や特長について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
SBGN003は最高峰のクォーツムーブメント9F86を搭載し、デザインやコストパフォーマンスにも優れた時計です。
この記事ではグランドセイコー SBGN003の魅力や特長を、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
搭載ムーブメント9F86や価格についても紹介しますので、グランドセイコーの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
出典:https://www.facebook.com/grandseikojapan
目次
グランドセイコーが誇るクォーツ「SBGN003」とは?
①DATA
グランドセイコー スポーツコレクション SBGN003
ケースサイズ:直径39mm×厚さ12.1mm
素材:ステンレススティール
文字盤:ブラック
駆動方式:クォーツ
ムーブメント:9F86
防水性:10気圧
定価:363,000円(税込)
②概要
SBGN003は、2019年にリリースされたグランドセイコーのGMTモデルです。
ちなみにGMTとは「世界標準時」のことで、「Greenwich Mean Time(グリニッジ標準時)」の略語。イギリス ロンドン南東部に位置する同地の天文台が基準となった共通時刻を指します。転じて腕時計では、第2時間帯や第3時間帯を表示できる機構を意味します。
グランドセイコーではSBGN001が初のクォーツGMTモデルとして2018年に発売されました(メカニカルシリーズでは2002年~)。もっとも、この際にリリースされたのは限定800本。そのため初代クォーツGMTは、非常に稀少価値の高いモデルであり、なかなか市場に出回りません。
そして翌2019年、満を持してグランドセイコースポーツコレクションのレギュラーに登場したクォーツGMTモデルが、今回ご紹介するSBGN003です。
SBGN003には、腕時計を愛するプロがとことん語りつくしたい魅力がたっぷり詰まっています。
次項から、順を追ってSBGN003について解説いたします。
時計のプロが語る グランドセイコー クォーツGMT「SBGN003」の魅力
グランドセイコー クォーツ SBGN003には、究極のクォーツムーブメントと称される9Fシリーズが搭載されています。
さらにセイコースタイルを貫くグランドセイコーならではのスポーツコレクションでしか表現できない、スマートなカッコよさがSBGN003の特徴です。
そしてスペックに加えて、グランドセイコーというステータスを持ちつつもリーズナブル等々…あらゆる魅力をご紹介していきます。
魅力①究極のクォーツ!9F86搭載機
グランドセイコークォーツ SBGN003には、Cal. 9F86というムーブメントが搭載されています。腕時計の名称に“クォーツ”と入っているように、SBGN003はクォーツ時計です。
「高級時計と言えば機械式」というイメージをお持ちの方も多いでしょう。確かに海外ハイブランドの高級腕時計は、その多くが機械式時計です。
一方のクォーツ時計は機械式と異なりその駆動力を電池とするため、前者よりも機械的な稼働部が断然少なくなります。そのため衝撃や磁気に強いためメンテナンス頻度も、機械式と比べると非常に少なく済むメリットがあります。
そしてクォーツ時計の最大の特徴は、高精度を出しやすい、ということ。クォーツ時計は水晶振動子(クォーツ)によって精度を出しますが、電圧印加によって高速振動するクォーツを用いることで、きわめて正確な時計を生み出すこととなりました。
※時計の精度の基準として「振動数」はきわめて重要です。機械式時計は「テンプ(振り子)」と呼ばれるパーツの振動によって精度を取りますが、その範囲は毎時18,000~36,000振動が通常。振動数が高ければ高いほど高精度であることが一般的ですが、対するクォーツは1秒間に32,768振動と言われています。
さらにクォーツ時計は、こういった優れた特性を持つにもかかわらず、大量生産可能で安価に製造できるということも大きな特徴であり、魅力です。クォーツ時計は1000円レベルの製品でも割に精度を出しやすく、ゆえに安価なイメージが付きまとうものです。
しかしながら「高級クォーツ」ともなれば話は変わってきます。元来、高級時計と言えば機械式であった風潮は、大きく変わってきています。10万円~数十万円の価格帯を採る、内外ともに研ぎ澄まされた高級クォーツ時計が、一つのジャンルとして現代では認知されています。
このジャンルを牽引するのが、グランドセイコーと言えるでしょう。
ちなみにクォーツを世界で初めて市販化したのはグランドセイコーの生みの親でもあるセイコーであるため、中心にいるのは当然と言えばそうかもしれませんね。
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/about/movement/quartz/9f86
そんなグランドセイコーが手掛ける9Fムーブメントのコンセプトは、「クォーツを超えたクォーツ」「最高級クォーツ」。この究極の9Fムーブメントは1993年に生み出されて以来、グランドセイコーの一つのアイデンティティとして君臨してきました。
まず、9Fクォーツは大量生産可能な低価格帯クォーツと異なり、緻密な組み立てを擁します。グランドセイコー曰く「手作業でしか組み立てられない」とのこと!また、数々の他社にはない革新機構を搭載していることでも、非常に高級機らしいこだわりが感じられる機構となっております。
今回ご紹介しているSBGN003は、この革新的9Fクォーツに、さらにGMTという複雑機構を搭載させています。ちなみに9Fクォーツ誕生25周年記念として、2018年にリリースされました。
このGMT、なかなかクォーツに載せるのが難しいと言われてきました。
それは、トルク(ムーブメントが針を回す力)が関係しています。前述の通り機械式時計は巻き上げたゼンマイのほどける力を利用して動きますが、クォーツ時計の動力は電池です。機械式時計はトルクが強く、電池式クォーツ時計のトルクは弱いことが一般的です。
そのためクォーツ時計の多くはプラスチックやアルミのような軽い素材の針しか動かすことができません。さらにそこにGMT針を載せるとなると、計4本の針をクォーツのトルクで動かさなくてはなりません。しかもグランドセイコーは高級時計ブランドなので、プラスチックの針を使うことなどあり得ません。
でも、グランドセイコーならそれができます。なぜなら前述した革新機構の一つツインパルス制御を用いているためです。
これは、針を1秒間に2回動かす機構で、針の動く距離を半減させるものです。針が動く距離が短ければ、それだけ回す力が少なく済むため、4本の針―しかも機械式と遜色のない重厚な―を動かすことに一役買いました。なお、ツインパルス制御の針は1秒間に2回動きますが、一般的な動体視力ではSBGN003の針はなめらかな動きにしか見えません。
ちなみに4軸独立ガイド構造と呼ばれる革新機構にも言及しなくてはなりません(従来の9Fクォーツは3軸独立ガイド)。これは4針が独立して回転する構造のことで、それぞれの針がお互いを干渉せず、スムーズに回転する仕組みです。
さらにSBGN003が搭載する9F86は、使用しているクォーツ―水晶振動子―の質が違います。と言うのも、9Fムーブメントにはエイジングさせた特殊な水晶だけを使用しており、一般のクォーツと比較しても精度がはるかに高いのです。
また緩急スイッチと呼ばれる部品で、年±10秒という非常に少ない誤差でさえも調整してしまいます。
この他にもデイト機能を瞬間的に切り替える瞬間日送りレバーや、クォーツ時計の中にひげぜんまいを組み込むバックラッシュ・ オート・アジャスト機構を搭載し、針の微細な動きまで調整可能にしました。
すなわちSBGN003が搭載する9F86は「時刻がズレにくい」通常クォーツ時計に満足せず、極限まで精度を高めた上にトルクの強さも生み出している、まさに究極のクォーツムーブメントなのです。
日本のものづくりならではの「かゆい所まで手が届く」仕上がりを誇っていると言えるでしょう。
魅力②スポーツコレクション特有のかっこよさ
出典:https://www.facebook.com/grandseikojapan
SBGN003は、グランドセイコーのスポーツコレクションとしてリリースされています。
後述しますがグランドセイコーは2017年に母体のセイコーから独立した折、コレクションを「ヘリテージ」「スポーツ」「エレガンス」に三分割しました。スポーツコレクションは中でも洗練されたスポーティーデザインを持つことが特徴で、従来渋い印象も強かった同ブランドのイメージを一掃します。
このスポーツコレクションからリリースされているがゆえに、SBGN003は、ビジネスマン用の堅実な時計というイメージが強いヘリテージやエレガンスラインと比べ、スタイリッシュでクールな印象が前面に押し出されているのです。
シンプルなメタルベゼルにブラックの文字盤という、ごてごてしさを一切排除したスマートなデザイン、どこまでもなめらかなスタイルが目を引きます。
SBGN003の文字盤に入るGMTの文字とGMT針だけが明るいオレンジ色で、唯一の差し色です。
もっともSBGN003はステンレススチールのシンプルなデザインですが、よく見るとただの「シンプル」とは違うことが分かります。筋目磨きのつや消し仕上げベゼルも、面取りされている部分は細いながらつややかな鏡面仕上げです。
さらにラグ部分は鏡面仕上げとつや消し仕上げを組み合わせており、観察すればするほど繊細な細工が隙なく施されていることがわかります。
細やかな手仕事が作り出すシャープでスタイリッシュな曲線と、光と影が織りなす美しいフォルム。
SBGN003の無駄のないデザインの放つ輝きは、日本古来の武道が重視する「折り目の正しさ」を感じさせるのではないでしょうか。
魅力③グランドセイコーなのに!リーズナブルな価格帯
SBGN003のもうひとつの魅力が、コストパフォーマンスの高さです。
グランドセイコーは日本を代表する腕時計のハイブランドで、100万円を超えるモデルも存在します。記念モデルや限定モデルの中には、1000万円を上回る雲上時計もあるほどです。
しかしSBGN003は、究極のクォーツムーブメントとGMT機能、さらにスポーティなカッコよさを持ち合わせながら、なんと定価363,000円(税込)です。
SBGN003のクオリティでグランドセイコー製ということを考えると、非常にリーズナブルと言えるでしょう。
SBGN003は新品の並行相場であればさらに価格が抑えられ、33万円前後で購入可能です。
上品かつスタイリッシュ、そしてスポーティなSBGN003のデザインは、スーツにもカジュアルにも合わせやすく、1本持っていればとても便利な腕時計になるでしょう。
価格がリーズナブルということ、1本でオン・オフいつでも使えることを考えると、SBGN003は非常にコストパフォーマンスの高い腕時計なのです。
Column;知っておきたい。今世界的にグランドセイコーが評価されている
グランドセイコーはこの数年でぐんぐんブランド力を伸ばしており、国内外でさらに高い評価を得るようになってきています。
一つのきっかけとしては、セイコーからグランドセイコーがブランドとして独立したことが挙げられるでしょう。2017年のことです。
グランドセイコーが独立したブランドとして生まれ変わった背景には、グローバルなブランドになることを含め、ブランドとしての成長という目標がありました。
セイコーからの独立を皮切りに、グランドセイコーはブランディングの革新や海外市場に向けた様々な戦略を展開します。グランドセイコーが持つ経験と技術力、セイコースタイルなどのコンセプトは強力な武器となり、確かなブランド力となって、海外進出を順調に進めることに成功したのです。
特にクレバーにブラッシュアップされたデザインが魅力的なスポーツコレクションの充実は、海外でも高く評価されています。
もちろん、日本での支持率も言わずもがな。
メディアでも、とみにグランドセイコーを見かけます。
例えばグランドセイコーの腕時計は2020年公開の人気ドラマ『半沢直樹』の中で、主人公の新たなライバル、証券営業部部長を演じた市川猿之助さんや、航空会社の財務部長役を演じた石黒賢さんが着用しています。やはり話題となったドラマ『獣になれない私たち』では、大手デベロッパー勤務の会社員を演じた田中圭さんが着用していました。
メガバンクや大手航空会社、大手デベロッパーなどに勤務する30代半ばからのエリート社員が身に着けるに相応しいブランドとして、グランドセイコーが選ばれていることが分かります。
他にも舘ひろしさんをはじめ小栗旬さんや竹野内豊さん、市川海老蔵さんなども愛用しており、大谷翔平選手がCMに起用されて話題になりました。
グランドセイコーは確かな品質と技術力、極め続ける職人の心意気をもって、日本国内外から愛されるブランドへと成長を続けています。
以前のグランドセイコーは、セイコーのハイブランドとして「渋く通好みな高級品」というイメージが強く、あまり若者に受けるタイプではありませんでした。
SBGN003などスポーツコレクションの発信や海外での成功が日本にも紹介され、逆に今、若い年齢層からもグランドセイコーが注目されつつあるのです。
今後、ますますそのファン層を拡大しそうですね。当店でも、グランドセイコーの入荷を頑張っていきたいと思います!
まとめ
グランドセイコーが誇る9FクォーツにGMTを搭載した、SBGN003についてご紹介いたしました。
SBGN003は最高峰のクォーツムーブメント9F86を搭載、デザインも洗練された素晴らしい逸品でありながら、30万円台前半で買える高いコストパフォーマンスが特徴であることをお伝えできたでしょうか。
もし質実剛健なGMTウォッチをお探しであれば、ぜひSBGN003をご検討下さいませ。
当記事の監修者
田中拓郎(たなか たくろう)
高級時計専門店GINZA RASIN 取締役 兼 経営企画管理本部長
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB、システム系全般を担当。スイスジュネーブで行われる腕時計見本市の取材なども担当している。好きなブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年