「グランドセイコー SBGW033って何がすごいの?」
「グランドセイコー SBGW033の魅力や特長について詳しく知りたい」
グランドセイコーには多くの限定モデルが存在します。
その中でも、グランドセイコーファンの心を躍らせるのは、「初代復刻」に関する限定モデルではないでしょうか。
SBGW033は時計業界の初代復刻の歩みの中で、母体であった「SEIKO」130周年にあたる2011年、1300本限定でリリースされました。
そんなグランドセイコー SBGW033の魅力や特長について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
SBGW033は1960年代当時のクラシカルなテイストと、最先端スペックを楽しめる名機として、中古市場で存在感を放っています。
この記事ではグランドセイコー SBGW033の魅力や特長を、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
SBGW033を中古市場で選ぶポイントについても解説しますので、グランドセイコーの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
出典:https://www.watchprosite.com/
目次
グランドセイコー SBGW033【SEIKO創業130年記念限定モデル】
SBGW033は1960年に製造された初代グランドセイコーの復刻モデルです。
2011年に発売され、以降グランドセイコーの人気モデルとして注目を集め続けています。
なお、冒頭でも述べたように、初代復刻はこれだけではありません。例えばSEIKO創業120周年にリリースされた「SBGW004」、2017年に発表された「SBGR305」、そして2020年の今年、グランドセイコー60周年記念としてリリースされた「SBGW257」等々・・・
同時リリースされたモデルも加えれば、とても多岐に渡って初代復刻時計は展開されてきました。
そんな中で、なぜ今回セイコー130周年記念の「SBGW033」だけをあえて取り上げるか?
それは、SBGW033の魅力を知れば、見えてくるでしょう。
グランドセイコーメカニカル「SBGW033」
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径 35.8mm
全重量:50g
文字盤:アイボリー
インデックス:バー
ムーブメント:自動巻き cal.9S64
パワーリザーブ:約72時間
防水性能:30m
こちらは、SBGW033のスペックです。
SBGW033が他の復刻モデルと一線を画す理由は、「外装」と「内部機構」にあります。
まず、外装についてご紹介いたします。
SBGW033の素晴らしきデザイン
以下の画像が、初代グランドセイコーです。
出典:https://museum.seiko.co.jp/history/company/period2/index.html
よく言われる「セイコースタイル」(平面を主体とする、鏡面からは歪みをなくす、など)が確立されたのは、1964年です。
しかしながら1960年の初代は、スイスの高級機のような端正な面持ちと風格を既に持ち合わせており、当時から完成された「高級時計」であったことがおわかり頂けるでしょう。
ちなみに、この翌年に国内では腕時計の関税が緩和されたことで、より熾烈となった腕時計市場を勝ち抜くための競争力をグランドセイコーは訴求していくこととなったとか。
ただ、現在の国内でのグランドセイコーの立ち位置を鑑みれば、その試みは成功してきたと言っていいでしょう(もちろん、様々な時代はありましたが)。
「SBGW033」は、2011年の発表の折り、この初代グランドセイコーを忠実に再現することとなります。
忠実ゆえ、ケースサイズは控えめの35.8mmで製造されました。
このサイズ感がミソ!
当時は、パネライやウブロのビッグバンなどが牽引した、デカ厚ブーム真っ最中です。しかしながら1960年代当時のサイズ感をあえて踏襲する。
この心意気、小径薄型ケースが流行りだした昨今、人気が出ないはずがありませんね。このサイズ感こそSBGW033の魅力だといえるでしょう。
なお、後年初代復刻モデルがいくつか出たのは前述の通りですが、35mm台ケースはなかなかありません。
また、文字盤は復刻モデルらしく、レトロなアイボリーダイヤルです。
風防は現代のテイストに合わせてサファイアクリスタルが採用されていますが、オリジナルの世界観を演出するために、弧を描いたドーム型になっています。
時分針は美しきダイヤモンドカットが施されたクラシカルなドルフィン針、秒針は青く焼かれた美しいブルースティールが配されています。
ブラックレザーとの組み合わせも上品で、そこから見ても高級感のある仕上がりです。
「ザラツ研磨」によって歪みなく仕上げられた鏡面主体のケースバックにはセイコーの象徴である獅子のエンブレムが描かれました。
ちなみにダイヤモンドカットもザラツ研磨も、初代にその意匠はありません。しかしながら美しきセイコースタイルを有したことで、初代復刻は「現代らしいヴィンテージ」「現代らしいレトロテイスト」に昇華されることとなりました。
こういったきめ細かい気遣いが、国産高級時計ですね!
なお、裏蓋エンブレムの横にはシリアルナンバーが刻まれており、リューズには昔なつかしいSマークが採用されています。
腕にしなやかに巻き付く装着感の良さも評価されており、まさに最高品質の復刻時計といえます。
搭載ムーブメント:キャリバー9S64
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/about/movement/mechanical/9s64
オリジナルが手巻き式であったことから、SBGW033も初代と同じく手巻メカニカルムーブメントが搭載されています。グランドセイコーのメカニカルシリーズは自動巻きが主流であるため、こちらも大きな個性となっています。
さらに、このムーブメントもまたSBGW033を魅力的にする大切なエッセンスです。
搭載される「キャリバー9S64」はグランドセイコー専用高精度手巻メカニカルムーブメント です。
前年にあたる2010年、自動巻「9S65」が誕生していました。これは現在もグランドセイコーのメカニカルラインの、基幹ムーブメントとして活躍している名機です。
従来の36,000振動というハイビートによって実現した高精度はそのままに、3日間ものロングパワーリザーブを獲得したことが特徴です。
この9S65から自動巻きモジュールを取ったものが9S64で、高精度とロングパワーリザーブを継承しています。ちなみにグランドセイコーがこの時手巻きムーブメントを開発するのは、10年ぶりだったとか。
なお、ムーブメント単体の精度を6方向の姿勢と3段階の温度に設定した環境で17日間にわたって検定する「グランドセイコー規格」の基準も満たしており、高い精度と共に実用性に優れます。
手巻き式のメリットリューズを使って機械を動かす楽しみを味わえること、そしてケースの厚みを抑えることができることです。
「SBGW033」はこのキャリバー9S64を搭載することで、上品で美しい薄型ウォッチとして製造することができました。
このように、SBGW033は内外ともに初代のスピリットを大切にしつつ、当時のグランドセイコーの最先端技術を取り入れた紛れもない銘品だったのです。
SBGW033の定価と実売価格
オリジナルの世界観を見事に再現した復刻モデル「SBGW033」。新品・未使用を手にすることは難しく、現在は中古でのお買い求めが基本となります。
中古相場は概ね約70万円前後で取引されており、限定生産のレアモデルだけあって高騰傾向にあります。ちなみに当時は定価451,500円でしたので、プレミア化と言っていいでしょう。
ただ、SBGW033は流行に左右ない普遍的なデザインを持つモデルです。一生モノの時計として使えるため、買って後悔することはないモデルと言えるでしょう。
出典:https://www.seikowatches.com/jp-ja/news/20110324-20879742077
ちなみに、同時に発売されたイエローゴールド製「SBGW040 (画像左。右はSS製のSBGW033)」とプラチナ製「SBGW039」はそれぞれ130本生産と、さらなるレアリティを有しており、なかなか市場に出回りません。
でも、いつか実機を手にしてみたいですね!
良いコンディションのSBGW033を買うには
「SBGW033」は2011年に発売されたモデルなので、主な購入先は中古時計を扱う時計店となります。
ただ、中古で時計を買う際に気を付けたいのは安さだけで選んではいけないということです。
中古の時計は店舗によって品質にバラツキが生じやすく、相場よりも安い個体を買った場合、キズが多かったり、汚れが目立ったりもします。
少しでも良いコンディションのSBGW033をお探しの方は、口コミに優れる本当に信頼のできる店舗で購入するのがオススメです。
評判のよい中古店は外装研磨や機械点検が徹底されており、新品と見間違えるほど状態の良い品を手に入れることも可能です。
「SBGW033」などレアリティの高いモデルを購入する場合は「コンディションの良し悪し」に特に注意してください。
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年