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バーゼルワールド2019新作!ロレックス シードゥエラー 126603を徹底解説!
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バーゼルワールド2019において、ロレックスは目玉新作が目白押しでした。
新型GMTマスターII 126710BLNRやヨットマスター42。そして今回ご紹介するシードゥエラー 126603も語らずにはいられません。
シードゥエラーにこれまでなかったイエローロレゾール―ステンレススティール×イエローゴールド―を採用し、ガラッと印象を変えてしまいました。
もちろん外装面に留まらず、そこかしこにロレックスらしい最先端技術を垣間見ることができます。
ロレックスきってのハイスペックモデルはいったいどのような進化を遂げたのでしょうか。
この記事では、新作シードゥエラーについて徹底解説いたします!
出展:https://www.rolex.com/ja
目次
バーゼルワールド2019 新作シードゥエラー 126603 スペック
まず、新作シードゥエラーのスペック詳細をご紹介いたします。
型番:126603
モデル:シードゥエラー
素材:ステンレススティール×イエローゴールド(ロレゾール)
文字盤:黒
ケースサイズ:43mm
ムーブメント:キャリバー3235
パワーリザーブ:約70時間
防水性:1,220m
シードゥエラーは「海の居住者」という意味の名称です。
1967年にサブマリーナの上級モデルとして誕生しました。
「上級」というだけあり、最も特筆すべきことは防水性の高さです。
サブマリーナの基本防水が300mであることに対して(1979年~。シードゥエラーが出た1960年代当時は200m)、シードゥエラーはなんと1,220m!
2008年にさらにハイスペックな3,900m防水のディープシーをシードゥエラーの派生モデルとして誕生させるのですが、1960年代というまだダイバーズウォッチの黎明期に1,220m防水という超スペックを実現していたことに驚きを隠せませんね。
ちなみに正式名称は「シードゥエラー4000」となり、400フィート、つまり1,220mを意味します。
そんなシードゥエラーは2017年、シリーズ誕生50周年という節目の年に、ロレックスファン垂涎の初代モデル「赤シード」の意匠を復活させたRef.126600をバーゼルワールドで発表しました。
※バーゼルワールド2017で発表された赤シード 126600
従来のケースサイズを40mm⇒43mmへアップサイジングしたり、これまでシードゥエラーになかった―できなかった―サイクロップレンズを採用したりと、かなり大胆な進化を果たしたとして、発売当初は賛否両論がありました。
しかしながらシードゥエラーならではの機能性の高さと他モデルと一線を画す精悍さから、コアなファンを中心に厚い支持を獲得。デイトナやGMTマスターIIなどのように価格の大きなアップダウンはありませんが、高値安定を維持しています。
もともと製造数が非常に少ないモデルであることも併せて、決して「定番」ではありません。
そのためこの度バーゼルワールド2019で新型シードゥエラー126603が、あまりに意外なデザインに姿を変えて投下され、驚いた方もいらっしゃるでしょう。
2019年新作の126603の存在は、シードゥエラーの新たなるファン層の開拓にも繋がりそうです。
次項より、その詳細を解説いたします。
バーゼルワールド2019 新作シードゥエラー 126603の特徴
基本スペックはバーゼルワールド2017で発表された126600と大きくは変わりません。
しかしながら今回の新作でかなり大きなインパクトを与えられた要因は、外装デザインではないでしょうか。
ポイントごとにご紹介いたします。
新作シードゥエラーの特徴①イエローロレゾール
出展:https://www.rolex.com/ja
ロレゾールとは、ロレックス独自の造語で、オイスタースティール(904Lステンレススティール。SSの最高ランク)×K18イエローゴールドをコンビネーションで外装素材に使用したモデルです。
いわゆる「コンビモデル」というものですね。
ちなみに近年ではこういった異素材をマッチングさせる仕様を多くのブランドが採用していますが、SS×ゴールドコンビはロレックスが1933年という早い段階に特許を取得したものとなります。
デイトジャストやデイデイトといったドレスラインに留まらず、デイトナ、サブマリーナといったスポーツラインにも採用されてきました。
金無垢の高級時計なんて嫌味だ、そう思う方もいらっしゃるかもしれません。
でも、ロレックスのスタイリッシュなスポーツラインにK18という上質なゴールドが本当に映えて、かっこよさはもちろんエレガンスもまた感じさせます。
SS×YGのサブマリーナ116613LB / SS×PGのGMTマスターII 126711CHNR
そんなロレゾール、もちろん採用されていないシリーズもありました。
エクスプローラーやミルガウスといった、どちらかと言えば質実剛健なプロフェッショナルモデルには存在しません。
シードゥエラーもそんなロレゾールがないシリーズでしたが、この度の新作で改めて仲間入りを果たすこととなりました。
一目見た時、率直に「かっこいいな」と思いました。
ロレゾール自体は、SSモデルに比べるとすっごい人気がある、というラインではありません。
でも、サブマリーナの116613LNですとか、デイトナの116503ですとか。黒文字盤×イエローロレゾールの組み合わせは男らしい中にも色気があって、デザイン面で完成されていることは証明されていました。
加えてシードゥエラーのボリューミーなケースに合わさることによって、この上なくイケメンに仕上がっていますね。
ベゼルやインデックスにもイエローゴールドカラーがあしらわれており、非常に華やか。
ベゼルのゴールドメモリはPVD加工(physical vapor depositionの略。メッキの一種)でイエローゴールドをコーティングしているので、同素材のベゼルにありがちな「傷つきやすい」という弱点が克服されています。
出展:https://www.rolex.com/ja
さらに特筆すべきことは、文字盤ロゴ「SEA-DWELLER」の文字列。
2017年は初代シードゥエラーの初期モデルにごくわずか見られた赤シードを復刻したことで話題となりましたが、今回はイエローロレゾールに合わせて、ゴールドカラーにロゴが彩られているのです。
赤シードならぬ金シードということでしょうか。
これは、サブマリーナのロレゾールモデルにも無い仕様です。
こういったディテールから、新型シードゥエラーは確実にこれまでのロレゾールモデルと同様にオシャレで、確実に一線を画した男気溢れるモデルとなるのではないでしょうか。
新作シードゥエラーの特徴②その他外装
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ロレゾール以外はバーゼルワールド2017で発表された126600のデザインを踏襲しています。
126600は同社の潜水モデルに対する栄光の歴史をシンボライズした存在ですから、この点は大きくは変えてこないのは当然ですね。
改めて細部をご紹介すると、まずはケースサイズ。
シードゥエラーが「定番ではない」と言われる理由は、ボリューミーなケースにあるでしょう。
1,220mという深海の水圧に耐えるためにリングロックシステムと呼ばれる特許取得の堅牢な構造を持ったケースを採用しているため、「上品な薄さ」などとは無縁。
また、ダイビンググローブを着けたままでも操作しやすい無骨なベゼルやしっかりとしたねじ込み式リューズ、ヘリウムエスケープバルブ搭載などといったハイスペックのための要素が重なって、かなりしっかりとしたケースに仕上がっているのです。
もともとボリュームのあったケースを、126600で40mm⇒43mmへと大幅アップサイジング。
ケース厚は15mmにも及びますので、腕に着けるとかなり存在を主張してくれます。
※同ケースサイズの126600の着用画像
それをロレゾールモデルで、ということになるのですから、さらなる存在感は間違いありません。
また、2017年、大きな論争を巻き起こしたサイクロップレンズも変わらず採用されました。
もともとシードゥエラーにはサイクロップレンズはついていません。
なぜかというと1,220mの水圧だと、このレンズは風防破損に繋がってしまうためです。
しかしながら新技術のもとに採用できるようになりました。
「サブマリーナと差別化できていない」とも言われていたようですが、ロレックスらしいデザインになった、とも評価されています。
このように、126600とバーゼルワールド2019新作シードゥエラー126603の大きな違いは素材のみとなります。
新作シードゥエラーの特徴③新世代ムーブメントCal.3235
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最後にムーブメントについてご紹介いたします。
近年のロレックスのムーブメントをご覧いただくと、3200番台のものがすぐに目につくと思います。
これはロレックス社が開発を進めている「新世代」ムーブメントで、2015年にデイデイト40でCal.3255を搭載させたのを皮切りに続々とラインナップに加わるようになりました。
シードゥエラーもご多分に漏れず。
従来のCal.3135からCal.3235に進化を遂げて2017年に改めて誕生となった形です。
新世代ムーブメントの特徴は、何よりもロングパワーリザーブにあります。これまで48時間であったものを70時間に延長。約1日分も延ばすことに成功しているというのは驚きです。
また、耐磁性や耐衝撃性といった実用性、加えて二倍の高精度など、より便利に、より私たちのライフスタイルにマッチした名機として登場しました。
シードゥエラー自体、もともとハイスペックなモデルとして有名ですが、新世代ムーブメントを携えたことによってより機能性が極まった逸品になったと言えます。
バーゼルワールド2019 新作シードゥエラー 126603の相場動向は?
新作シードゥエラー126603の価格動向はどのようなものになるのでしょうか。
ロレックスの国内入荷は、例年5月~6月頃となります。
入荷してしばらくは、多くの時計店が在庫を確保したり、実際に欲しい方が購入したりと、需要が集中するため価格は高騰するでしょう。
では、将来的な相場動向はどのようなものなのでしょうか。
前述のように、シードゥエラー自体が製造本数がとても少ないです。
これは裏を返せば、需要が集中した時プレミア化となりやすい、ということ。
一方で定番になりきれず、売上数は限定的、ということも意味します。
ただ、バーゼルワールド2018でシードゥエラーの派生モデルディープシーの新型126660をラインナップしたりと同社がシードゥエラーの定番化に力を入れているところが見てとれます。
2018年新作シードゥエラー ディープシー 黒文字盤 / D-BLUE文字盤
加えて、シードゥエラーの生産終了モデルが大幅に値上げを続けています。
例えば先代の116600。
2019年4月現在の販売相場は200万円前後となっております。
126600が2017年に出たことにより、生産期間わずか三年で終止符を打たれたことによる買い注文の殺到が大きな要因でしょう、プレミア化目覚ましい一本と言えます。
最後の40mmサイズ、最後のサイクロップレンズなしのシードゥエラーということも大きいですね。
ロレックスのシードゥエラーの定番化、および生産終了モデルのプレミア化といった、この二つの出来事から見ると、新型シードゥエラーも需要集中するポテンシャルは十二分と言えます。
また、相場は抜きにしても、シードゥエラーはロレックスきってのハイスぺモデルだけあって機能性や堅牢性は抜群。
そのため長年使用しても質が落ちづらく、つまり中古であっても価値がなかなか落ちません。
デイトナやGMTマスターIIほどの相場高騰とはならないでしょうが、そういった「売りやすさ」という意味では、確かな実力を持っており、それが資産価値として注目され相場を上げる、というシナリオは十分考えられます。
ちなみに予価は15,300スイスフランで、現在為替では日本円で約170万円前後となります。
新作シードゥエラー126603の、国内入荷を待ちましょう。
まとめ
バーゼルワールド2019で発表された、新作シードゥエラー 126603について解説いたしました。
質実剛健なイメージが強いシードゥエラーに初となるイエローロレゾールが採用され、非常にオシャレで洗練された装いとなり、2019年かなり注目度の高いモデルと言えます。
文中でもご紹介したように、例年ロレックスの国内入荷は5月~6月頃です。
実物を見たらもっとかっこいいのでしょう。
入荷が待ち遠しいですね!
各ブランド2020年新作 速報ページはこちら!
※当店ではバーゼルワールド2020の、現地レポートを予定しておりました。
展示会自体は中止とはなりましたが、各ブランドの新作を順次発表させて頂きます!
当記事の監修者
池田裕之(いけだ ひろゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン 課長
39歳 熊本県出身
19歳で上京し、22歳で某ブランド販売店に勤務。 同社の時計フロア勤務期に、高級ブランド腕時計の魅力とその奥深さに感銘を受ける。しばらくは腕時計販売で実績を積み、29歳で腕時計専門店へ転職を決意。銀座ラシンに入社後は時計専門店のスタッフとして販売・買取・仕入れを経験。そして2018年8月、ロレックス専門店オープン時に店長へ就任。時計業界歴17年
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