出典:https://www.facebook.com/pg/tudorwatch/
ダイバーズウォッチはスポーティでワイルドなデザイン、見やすさを追求した文字盤など、一種のスタイルとして愛されています。
もっともダイバーズウォッチは回転ベゼルや海洋潜水に耐えるための機能を備えるため、40mm以上のデカ厚モデルが結構多いですよね。
しかしながら最近、スーツにもジャケパンにもカジュアルウェアにも合わせやすい。そんな小さめダイバーズウォッチが注目されています。
そこでこの記事では、ケース直径40mm未満の、小さめダイバーズウォッチをまとめてみました!
目次
小さめのダイバーズウォッチ①オメガ シーマスター プラネットオーシャン
オメガ シーマスター プラネットオーシャン
ケースサイズ:直径 39.5mm
ケース素材:ステンレススティール
搭載ムーブメント:Cal.8800
パワーリザーブ:約60時間
防水性能:600m
40mm以下の小さめダイバーズウォッチ、最初のおすすめモデルはオメガから。シーマスター プラネットオーシャンです!
シーマスターはオメガの代表的なコレクションです。第二次世界大戦時にオメガが供給していた軍用ダイバーズウォッチ「マリーン」をその祖とする歴史的コレクションでもあります。同一コレクションの中で、数々の名作を輩出してきました。
現行はエレガンスな「アクアテラ」,ベーシックなダイバーズウォッチ「ダイバー300M」,1200m防水を誇るプロプロフなど豊富なモデル展開が行われていますが、「小さめダイバーズウォッチ」としてお勧めしたいのがシーマスター プラネットオーシャンです。
「惑星」の名を持つシーマスター プラネットオーシャンは、逆回転防止ベゼル,600m防水に耐えうる堅牢なケースに飽和潜水用ヘリウムエスケープバルブ,そして優れた視認性と独創性を発揮する、ダイナミックな針・インデックスを備えた本格派ダイバーズウォッチです。
非常に肉厚なケース・ブレスレットとなりますが、オメガらしくきちんと鏡面・サテン仕上げが施されているため、高級感も忘れていません。セラミック製のベゼルと併せて、タウンユースにもってこいのダイバーズウォッチと言えるでしょう。
シーマスター プラネットオーシャンは現行ラインナップにケースサイズ43.5mm、クロノグラフの45.5mmと「デカ厚」も抱えますが、2016年には40mmケースを切る39.5mmサイズが登場しました。
厚みは約14.5mmとボリューミーではあるものの大きすぎず、ジャケットの袖口に収まるサイズ感となっております。
出典:https://www.omegawatches.jp/watch-omega-seamaster-planet-ocean-600m-co-axial-master-chronometer-39-5-mm-21530402001001
ちなみに搭載するムーブメントはオメガのマスタークロノメーターCal.8800で、なんと15,000ガウス以上の耐磁性を誇ります。
近年オフィスはPCやモバイルなど、機械式腕時計の精度を脅かす磁気に満ちていますが、オメガのマスタークロノメーターなら安心して使うことができますね。
磁気にも強く耐久性に優れたコーアクシャルエスケープメントは高い精度を保ち、しかもメンテナンスも少なくて済む優れモノです。
なお、このマスタークロノメータームーブメントは、シースルー仕様の裏蓋から鑑賞することが可能です。
アラベスク調のジュネーブウエーブを彫り込んだローターやブリッジは、まるで風に揺れるマーガレットの花のようにエレガントな風情があります。
さらに55時間のパワーリザーブ、デイト機能つきとあって、ビジネスシーンのお供には最適な一本と言えるでしょう。
なお、シーマスター プラネットオーシャンの39.5mmサイズにはバリエーションがいくつかあります。
一番人気はベーシックなブラック,次いでブルーですが、ホワイトやオールブラック基調のオシャレなモデルも。
オメガは本当にバリエーションが豊富ですので、ご自身だけの一本をきっと見つけられますよ!
小さめのダイバーズウォッチ②チューダー ブラックベイ58
チューダー ブラックベイ58 79030N
ケースサイズ:直径 39.0mm
ケース素材:ステンレススティール
搭載ムーブメント:Cal.MT5402
パワーリザーブ:約72時間
防水性能:200m
次にご紹介するのは、ファンの多いチューダー(チュードル) ブラックベイ58です。
盾のマークが象徴的なチューダーは、ロレックスのディフュージョンブランドとして誕生しました。ロレックスは1905年、イギリス ロンドンで創業します。今でこそ世界中でロレックスの名前は知れ渡っていますが、当時はまだ新興ブランド。そこで1930年代、イギリスでの知名度向上を図り、廉価なチューダーを市場に送り込みました。
なお、チューダーはイギリス市民に親しまれるチューダー朝からその名をちなんだと言われています。
そんなチューダー、ロレックスと同様の外装パーツを用いることで堅牢性や耐久性を担保しつつ、内部ムーブメントは汎用機を用いることでお求めやすい価格を実現。一方でロレックスとはまた異なるスポーティーさやユニークデザインを訴求することで、独自路線を突き進んできたブランドでもあります。
近年では自社の歴史をフィーチャーしたモデルも多く、多くのファンを抱える一大ブランドとなりました。
チューダーのフラグシップはブラックベイです。
ブラックベイは2012年にリリースされますが、1970年代に自社で製造していたダイバーズウォッチ「サブマリーナ」にその範を取ったシリーズとなります。
ブラックベイの中にもいくつかのバリエーションが存在しており、中でも一番人気は本稿でご紹介しているブラックベイ58!
1958年、チューダー初のダイバーズウォッチとして登場した「ビッグクラウン」をフィーチャーしたモデルで、2018年にブラックベイのラインナップに追加されることとなりました。
1950年代の流行だった39mmケースを採用し、今もどこかレトロでノスタルジックな雰囲気を漂わせる点も人気のポイント。また、チューダーのダイバーズウォッチの象徴とも言えるスノーフレーク針(イカ針)が、唯一無二の存在感を醸し出しますね。
200m防水性能を持ち、レファレンスナンバーによってCal.MT5400とMT5402を搭載します。これらはいずれもマニュファクチュールムーブメントです。
ブラックベイ58搭載のマニュファクチュールムーブメントは、どちらもCOSC(スイス公認クロノメーター認定)取得の優れた自動巻きになります。
チューダーブラックベイ58は、ラインナップも豊富です。ブラックとブルーから選べるスチールケースの文字盤&回転ベゼルは、3種のベルトからセレクト可能です。
スチールブレスはレトロなリベットブレスを合わせ、レザーストラップは文字盤に色をそろえてファッション性をアップさせています。
ファブリックストラップはチューダーが誇るジャガード織技術を活かした伝統のアイコンアイテムです。
この他、アンティークテイストなブロンズ、経年変化が楽しみなシルバー925、ゴージャスな18Kイエローゴールドとグリーンカラーを合わせた2021年モデルもそろっています。
本格派ダイバーズでありながらファブリックやレザーベルトもしっかり揃えている点など、タウンユースをきちんと視野に入れてデザインされていると言えるでしょう。
70時間のパワーリザーブも、金曜夜から月曜朝までしっかり動く、ビジネスマンに嬉しい仕様です。
小さめダイバーズウォッチの新たなる定番として、幅広い層から愛され続けています。
小さめのダイバーズウォッチ③セイコー プロスペックス ダイバースキューバ SBDX019
セイコー プロスペックス ダイバースキューバ SBDX019
ケースサイズ:直径 39.9mm
ケース素材:ステンレススティール
搭載ムーブメント:Cal.8L35
パワーリザーブ:約50時間
防水性能:200m
わが国が誇るセイコーは、国産初のダイバーズウォッチを生み出した存在としても知られています。
それは、1965年のこと。
第二次世界大戦後、セイコーやシチズンといった国内時計メーカーはその生産体制を一気に強めていき、著しい成長を遂げました。そして、この時代の中で多くの「国産初」「世界初」腕時計がリリースされていくこととなります。
これを牽引したのが、他ならぬセイコーです。
1964年には国産初のクロノグラフを、同年に国産初のワールドタイムを。そして翌1965年、国産初のダイバーズウォッチを発売するに至りました。
出典:https://www.seikowatches.com/jp-ja/news/20170323_01
1965年に登場したセイコー渾身のファースト・ダイバーズウォッチは、当時から既に150m防水(もっともその2年後、300m防水モデルが、そして1975年には飽和潜水可能な600m防水モデルが登場しています)。
この記念すべきファースト・ダイバーズウォッチを現代技術で忠実に復刻させたのが、SBDX019です!2017年、2000本限定でセイコーからリリースされました。
1965年当時のアイコニックな60分表示式回転ベゼルや夜光がふんだんに使われたスクエアフォルムのインデックス,針がノスタルジー!
ツヤ消しケースやチャコールグレー文字盤が非常に渋く、また往年のボックス型ガラスも併せて復刻することで、現代ダイバーズウォッチとは異なるテイストを獲得することとなりました。
出典:https://www.seikowatches.com/jp-ja/news/20170323_01
とは言えスペックは現代風にリファインされていることもミソ。
防水性は200mへ向上され、またムーブメントにはセイコーが誇るダイバーズウォッチ専用メカニカルムーブメントCal.8L35が搭載されました。
このムーブメントは耐磁性や耐久性に優れ、また高いエネルギー効率を有することから、50時間と十二分なパワーリザーブを有しています。
2000本限定ということもあり、市場に豊富に出回る・・・というわけではありません。とは言えセイコーのダイバーズウォッチは堅牢性に富んでいることから経年に強く、上質な中古個体が出回っていることも事実。
本当に欲しい方は、見つけた時に即買ってしまいましょう!
小さめのダイバーズウォッチ④タグホイヤー アクアレーサー WBP231C.BA0626
出典:https://www.tagheuer.com/jp/ja/
タグホイヤーからは、2021年の新作アクアレーサー WBP231C.BA0626をご紹介します。
スイス屈指の老舗ながら、アヴァンギャルドな発想力と優れた生産体制を武器に、ハイコストパフォーマンスな腕時計をリリースするタグホイヤー。カレラが一番人気とはなりますが、ダイバーズウォッチ・アクアレーサーもまた同社のラインナップを語るうえで欠かせない存在です。
タグホイヤーのアクアレーサーは2000年代からシリーズ化されました。カレラなどと比べると比較的新しいコレクションとはなります。とは言えもともと防水時計には一家言持ってきたタグホイヤー。1979年から製造していた200m防水の「1000シリーズ」を引き継ぎつつ現代風にリファインしたモデルがアクアレーサーとなり、やはり歴史深いことがおわかり頂けるでしょう。ちなみにアクアレーサー開発にあたり、実際のプロダイバーがデザイン・開発に協力したとか。
そんなアクアレーサーに2021年、なんと36mmケースサイズが新登場しました!
2021年にアクアレーサーはフルモデルチェンジを果たしますが、36mmサイズが出たことには驚きを禁じえませんでした。
そんな新生アクアレーサーのムーブメントにはタグホイヤーが誇るキャリバー5を搭載し、防水性能は300mを誇ります。ベゼルは逆回転防止仕様になっています。
文字盤には波の模様を刻み、ラッカー仕上げを施しました。
動きのある波模様は美しく、打ち寄せる波音や砂の海底に反射する水面の陰影が浮かんでくるようなリアル感があります。
カラーはホワイト文字盤&ブラックセラミックベゼル、ブラック文字盤&ブラックセラミックベゼル、ブルー文字盤&ブルーセラミックベゼルの3色です。
人間工学に基づいてデザインされたセラミックベゼルは回しやすさを考慮していますが、その多角形の独特な形状がスタイリッシュなアクセントとなりました。
またケースにはサテン仕上げとポリッシュ仕上げを組み合わせ、品のあるたたずまいが男性、女性問わず高く評価されています。
ちなみにブルーモデルにだけアワーマーカーにダイヤがセッティングされており、華やかさを添えています。
またタグホイヤーのダイビングウォッチは、コスパの高さも魅力です。
デイリーユースはもちろん、アーティスティックにも楽しめる、本格ダイバーズです。
小さめのダイバーズウォッチ⑤ブランパン フィフティファゾムス バチスカーフ 38mm
出典:https://www.blancpain.com/ja/fifty-fathoms/bathyscaphe-5000-1110-b52a
最後にご紹介するのはブランパンの人気ダイバーズ、フィフティファゾムスから登場したバチスカーフ38mmです!高性能とスマートなボディを両立する小さめダイバーズウォッチの、金字塔的存在です。
ブランパンは世界最古の時計ブランドのうちの一つです。また、機械式時計しか作らないという確固たる信念でも知られています。
創業は1735年。上質んは懐中時計を製造するブランドとして名を馳せていったブランパンは、欧州を中心に連綿とものづくりを続けていきます。しかしながら1970年代、クォーツ式腕時計が市場のシェアを大きく占めると、一時休眠。10年余と長らく市場から姿を消しますが、1983年にジャン・クロード・ビバー氏とジャック・ピゲ氏が「ブランパン」を買収したことで復活を果たしました。
現在はオメガやロンジン属するスウォッチグループの傘下となります。スウォッチグループでは屈指の高級ブランドとして、プレステージ・ラグジュアリ レンジに位置します。
そんなブランパンのフィフティファゾムスは、1953年、同社がフランス海軍に供給していたダイバーズウォッチよりその歴史が始まります。ちなみにロレックスのサブマリーナの、公式での登場は1954年。そのためフィフティ ファゾムスこそがダイバーズウォッチの原型になったモデルでは、といった声も存在します。
なお、フィフティファゾムスとは「50ファゾムス」。
シェイクスピアの戯曲から由来する長さの単位「ファゾムス」を用いており、1ファゾム=1.829mを意味します。すなわち91.45mですね。それだけの防水性に耐えうるモデルといった思いが込められているのでしょうが、こちらのモデルは300m防水と、現代ダイバーズウォッチとして存分なスペックを発揮しています。
出典:https://www.facebook.com/Blancpain/photos/
そんなブランパン ファゾムスの中のバチスカーフシリーズは、細身のベゼルが特徴的なモデルになります。ブラックとブルー、ホワイトから選べる文字盤はサテンソレイユ仕上げになっており、光の加減で美しくきらめきます。
特徴はステンレススチールケースにカラーを合わせたセラミックインサート逆回転防止ベゼルで、つやめく表面にはリキッドメタル目盛りがふられています。
リキッドメタル目盛りは耐性が高く、視認性も高いことが認められています。
Cal.1150を搭載し、パワーリザーブは100時間。クラシカルかつミニマルな中にもデイト機能を備えており、ビジネスシーンでの実用性も期待できるでしょう。
またダイバーズウォッチには必須といえる大きなアワーマーカーが無いことも、ブランパン フィフティファゾムス バチスカーフ 38mmの特徴のひとつです。
文字盤のシンプルさがセラミックインサートベゼルの繊細な美しさや、ファブリックストラップの魅惑的な色合いを引き立たせる、ファッション性の高いダイバーズです。
厚みもわずか11mm以下。ブランパンが誇るウルトラスリムウォッチです。
ファブリックストラップはフィフティファゾムス バチスカーフの特徴のひとつ。
ストラップにはセイルキャンバスを使用しており、シンプルな中にもしっかり「海」を感じさせてくれるデザインが魅力のひとつとなっています。
まとめ
小さめのダイバーズウォッチを5選、ご紹介致しました!
ダイバーズウォッチは耐水性能や堅牢度の他、逆回転防止ベゼルなどを備えているため、どうしても大きなサイズになりがちです。
しかし最近はスーツ&ビジネスシーンにも合うスタイルが人気を高めつつあり、各ブランドから小さめダイバーズが続々登場しています。
技術向上から内部構造にシリコンを使用するなど軽量化・耐磁性能向上も図られ、軽くて薄い小さめダイバーズも少なくありません。
2021年の新作にも見られるスタイリッシュでスマートなダイバーズウォッチは、腕時計のドレスコードの幅を広げてくれる、可能性に溢れた新たなファッションアイテムです。
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年