「スピードマスターのムーンフェイズって何がすごいの?」
「スピードマスター ムーンフェイズの魅力について知りたい」
月に到達した伝説を持つスピードマスター。
その歴史を機構として文字盤に表現したモデルこそ「スピードマスター ムーンフェイズ」です。
ムーンフェイズ搭載モデルは多岐に渡って存在しますが、オメガが作り上げるムーンフェイズは他社のモデルとは一線を画すクオリティを誇ります。
そんなスピードマスター ムーンフェイズの魅力について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
6回の月面着陸プロジェクトすべてに携行されたスピードマスターはムーンフェイズを最も魅力的に見せるコレクションです。
この記事ではスピードマスター ムーンフェイズの魅力について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
歴代モデルの紹介もしますので、スピードマスターの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
出典:https://www.omegawatches.jp/ja/watches/speedmaster/moonwatch/moonphase/product
目次
月とスピードマスターと関係性
月とスピードマスターが初めて関係を持ったのは1963年頃。宇宙での過酷な環境にも耐えうる丈夫な腕時計を探していたNASAの要望に応え、過酷なテストにエントリーしたことが最初の一歩でした。
宇宙飛行士のための腕時計を求めるNASAが行ったテストは高圧、真空、無重力、衝撃、そして-18度から+93度におよぶ温度変化など、宇宙空間での使用を想定した厳しいもの。
ライバルであるロンジンやロレックスの時計が脱落していく中、スピードマスターは見事にこのテストに耐え抜き、コンペにエントリーした時計の中で唯一正常に稼働し続けたといいます。
出典:https://www.omegawatches.jp/ja/planet-omega
それから数年が経過した1969年。スピードマスターは人類初の月面着陸に同行し、唯一月に到達した時計となります。
1970年にはアポロ13号における酸素爆発の危機から乗務員救ったことで、「ムーンウォッチ」としての地位を確立。
最終的に6回の月面着陸のミッションすべてに携行され、伝説の時計と称されるようになりました。
ムーンフェイズ機構について
ムーンフェイズは美しさを誇る機械式時計の「複雑機構」です。日常生活において必須な機能というわけではありませんが、ロマンティックな魅力を持つため、時計愛好家から人気があります。
出典:https://www.facebook.com/omega/
ムーンフェイズは新月から満月、再び新月に戻るまでの1周期を「月の形の変化」で表示する機構です。
オメガを含む大半のムーンフェイズは小窓左側から月が顔を出し、12時位置で”満月”に達し、そして右側に隠れていきます。
新月を含む月が見えない時は窓に隠れますが、満月が近づくにつれ再び小窓左側から月が現れます。
ちなみに月の満ち欠けが一巡する周期は「29.5日」が基準です。
オメガ スピードマスター ムーンフェイズ 歴代モデル
オメガ スピードマスターのムーンフェイズは大きく分けると「初代」「2世代」「3世代」に分けられます。それぞれに異なる特徴を持つので、その代表的なモデルを詳しく見てみましょう。
①オメガ スピードマスタームーンフェイズ ST3450809
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径40mm
文字盤:ブラック
インデックス:バー
針:ペンシル
ムーブメント:手巻きCal.866
パワーリザーブ:43時間
1985年に1300本限定で発売されたST3450809。ムーンウォッチとして有名なスピードマスターにCal.866(Cal.861の改良版)を搭載し、ムーンフェイズを採用した特別なスピードマスターです。
ムーンフェイズ搭載モデルの歴史はここから始まりました。
スピードマスターの基盤デザインである3時位置に30分積算計、6時位置に12時間積算計、9時位置にスモールセコンド。それに加え12時位置にムーンフェイズとポインターデイトが搭載されました。
月は金色で表現され、漆黒に煌めくダイヤルのアクセントして美しく浮かびます。
ムーブメントは手巻き“Cal.866”を搭載。ブレスレットには今となってはレアな存在となったカマボコブレス(1450/FF809)が装着されています。
ヴィンテージモデルとして希少価値が高まっているST3450809は、現行モデルとは違った味を持つ通な一本だといえるでしょう。
②オメガ スピードマスター プロフェッショナル ムーンフェイズ 3576.50
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径42mm
文字盤:ブラック
インデックス:バー
針:ペンシル
ムーブメント:手巻きCal.1866
パワーリザーブ:43時間
ムーンフェイズ 3576.50は1985年に限定発売されたムーンフェイズモデルを復刻版です。スピードマスターらしいクラシカルなデザインはそのままに、月を銀色で描いたムーンフェイズを配しました。
ST3450809よりもインダイヤルのフォントが小さくなっており、より洗練されたイメージとなっています。
出典:https://www.omegawatches.jp/ja/watch-omega-speedmaster-moonwatch-professional-chronograph-42-mm-35765000
風防は内側に無反射処理を施した、強化サファイアガラスを採用。ケースバックもスケルトン仕様となりました。
現代的なスペックとなったことにより、3576.50は発売後すぐに人気となります。
時計を裏返すとメカニカルな意匠を味わえる極上のムーブメント「手巻きキャリバー1866」の精密な動きを楽しめます。
この美しさも人気の秘訣だといえるでしょう。
実用的なスペックを有し、定番モデルの仲間入りを果たした3576.50。2006年に発売されたモデルではありますが、未だに需要は高く、中古相場でも活発に取引されています。
③オメガ スピードマスタープロフェッショナル ムーンフェイズ 3575.20
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径42mm
文字盤:ホワイト
インデックス:バー
針:ブロードアロー
ムーブメント:自動巻きCal.1866
パワーリザーブ:48時間
定番デザインとは異なる異色のムーンフェイズ3575.20。1stモデルに採用されていたブロードアロー針とレマニア製手巻きムーブメントを採用した初代の風格を受け継ぐモデルです。
ホワイト文字盤に浮かぶブルースチールがお洒落な雰囲気を醸し出します。
サファイアクリスタル風防、手巻きキャリバー1866搭載機であることは3576.50と同様。ただ、3575.20はステンレス裏蓋が採用されており、堅牢性重視となっています。
中央にはシーホースのエンブレムが配されており、オメガの歴史をその目で味わえます。
④オメガ スピードマスター ムーンフェイズ マスタークロノメーター 304.30.44.52.01.001
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径44.2mm
文字盤:ブラック
インデックス:バー
針:ペンシル
ムーブメント:コーアクシャル Cal.9904
パワーリザーブ:60時間
2016年新作として発売されたスピードマスター ムーンフェイズの新作モデル。デザインはスポーティーになり、ムーブメントにはシリシウム製ひげゼンマイを使用した新開発コーアクシャルムーブメント キャリバー「9904」が搭載されました。
出典:https://www.facebook.com/omega/
今作は3カウンターから2カウンターに変更されており、3時位置に12時間積算計及び60分積算計、9時位置にはスモールセコンドとポインターデイトが搭載されています。
ムーンフェイズは6時位置に配されるようになり、実写に近い精密なデザインとなりました。
全面スケルトン仕様となっており、METASの認証を受けたマスタークロノメーター9904の魅力を最大限に味わうことができます。
cal.9904は両方向巻き上げ式ローターによる60時間パワーリザーブ、シリコン“Si14”製のフリースプラングテンプによる15,000ガウス以上の耐磁性能を誇り、実用性も抜群です。
また、コーアクシャル脱進機が採用されているため、通常3年~5年に一度行わなくてはいけないオーバーホールが8年~10年に一度で済むことも魅力。維持コストが1/2になります。
バリエーション
最新のムーンフェイズはブレス・カラー違いのモデルが多数ラインナップされています。
素材もステンレススティール・コンビ・ゴールド・プラチナなど豊富に用意されており、予算に応じて好みのモデルを選ぶことが可能です。
どのバリエーションも基本的なデザインや機能性は同一です。ゴールドがあしらわれたモデルはローターに18Kゴールドを採用したcal.9905が搭載されていますが、スペック自体はcal.9904から変更はありません。
また、ケース素材に合わせて月の素材と色味が異なるモデルも存在するので、そちらもよくご覧ください。
⑤オメガ スピードマスター ムーンフェイズ マスタークロノメーター ブルー サイド オブ ザ ムーン 304.93.44.52.03.002
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径44.25mm
文字盤:ブルー
インデックス:バー/セドナゴールド
針:ペンシル/セドナゴールド
ムーブメント:コーアクシャル cal.9904
パワーリザーブ:60時間
2018年に発表されたムーンフェイズ搭載モデルの最新作。ダークブルーの空の色をイメージして作られた今作は「ブルー サイド オブ ザ ムーン」という名が付けられました。
ブルーセラミック製ケースにブルーセラミック製ベゼルリング。ストラップにはブルーレザーがあしらわれ、クラスプはブルーセラミックとセラミックス加工チタン製フォールディングクラスプが付属。
まさにブルー尽くしの一本です。
文字盤にはブルーアベンチュリンガラスが配され、それに合わせて18Kセドナゴールド製インデックスと針が採用されています。
ムーンフェイズは月の表側と裏側が描かれたブルーエナメルのアベンチュリンガラス製ムーンフェイズディスク。
世界一美しいムーンフェイズといっても過言ではない出来となりました。
ムーブメントはcal.9904。これは2016年モデルから変わりありません。
「ブルー サイド オブ ザ ムーン」は機能性はそのままに、素材とムーンフェイズのデザイン性がブラッシュアップされた作品だと言えます。
まとめ
6回の月面着陸プロジェクトすべてに携行されたスピードマスターはムーンフェイズを最も魅力的に見せるモデルです。世代によって異なる特徴を持ちますが、どれを選んでも後悔することはないでしょう。
また、デザイン性だけでなく実用性にも長けているため、日常使いにも適しています。
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。