Time to Move(タイム・トゥ・ムーブ)スウォッチグループ2019年新作見本市, WEBマガジン, 田中拓郎
スウォッチグループの新作見本市Time to Move開催中止。バーゼルワールドはどうなる?
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2020年2月3日、スウォッチグループが新作見本市の開催中止を正式に発表しました。
スウォッチグループの新作見本市とは、Time to Moveを指します。2018年、世界最大の時計・宝飾品の新作見本市「バーゼルワールド」を電撃撤退して、すぐ翌年から催行されるようになった独自見本市。
「独自」とは言え、時計業界の中でも存在感の強いブランドばかり―オメガやブレゲ、ハリーウィンストンにブランパン、ロンジンなど―を傘下に加える同グループですから、その見本市への注目度は非常に高いものがありました。
時計メディアのみならず、各国の新聞なども大きく報じたものです。
そんな好調なTime to Moveが、なぜ中止となったのか?
その要因の一つに、新型コロナウイルスが挙げられています。
では、Time to Moveに続くバーゼルワールド、Watches & Wonders(旧SIHH)などの世界級の見本市どうなるのでしょうか。
この記事では、Time to Move開催中止の詳報と、今後の各新作見本市の動向について考察してみました!
※掲載する情報は2020年2月現在のものとなります。
目次
スウォッチグループの新作見本市Time to Move開催中止の詳報
アメリカ合衆国のビジネス・経済メディア『Forbes(フォーブス)』によると、スウォッチグループがメディアや小売業者に向けて、同グループの独自新作見本市『Time to Move』開催中止をメールにて伝えた、とのことです。
冒頭でも簡単にご紹介しましたが、スウォッチグループは時計業界を代表するコングロマリットの一つ。オメガを中心に低~高価格帯のブランドが広く所属する大手で、これまでバーゼルワールドを中心に新作発表を行っていました。
しかしながら2018年、バーゼルワールドの出展費用が高額なことなどを理由に、電撃撤退。続く2019年より『Time to Move』を開催し、オメガ、ブレゲ、ハリーウィンストン、ブランパン、ロンジン、ハミルトンの計6ブランドが参画することとなりました。
このTime to Moveが好調を博していたため、2020年の開催も早い段階で決まっていたようです。
期間は2020年3月4日~3月6日(プレスで2月28日~3月2日)、場所はスイスのチューリッヒでした。
しかしながら、この度開催中止が決定・・・
理由としては、新型コロナウイルスが猛威を振るっていることが大きい、とのことです。
とりわけ中国での感染者の報告が日に日に多くなっており、わが国や他アジア地域でも検査で陽性が出た、という報道を耳にするようになってきました。もちろん欧州も無関係ではありません。
そんなコロナウイルスから来場者や出展者側の健康を守るために、この度中止を決断することとなりました。
また、中国・香港を中心としたアジア市場への懸念も大きな判断材料であったでしょう。
と言うのも、時計業界はアジア市場での売上に大きく依存している側面があります。
スウォッチグループは2019年12月決算における営業利益が前期と比べて11%ほど減少していますが、これを「スマートウォッチの台頭」の他、「香港デモ」および「新型コロナウイルスの脅威」により、アジア市場が縮小している、と断じている海外メディアもあるほどです。
そのため今回の新作見本市を、危険を顧みずに行うメリットが無いと判断し、中止の結論を出したのでしょう。
ただし、公表されたメールによると、Time to Moveの代わりに各ブランドは何らかの形で見本市を行うつもりである、ということがわかっています。
日程や場所等は決まり次第アナウンスされる、とのことでした。
バーゼルワールド、Watches&Wonders Geneve(旧SIHH)はどうなる?
当店でも現地レポートする予定のバーゼルワールド。そして名前を変えて「新しくなった」と話題のWatches&Wonders Geneve(旧SIHH)。
こちらの開催はどうなるのかと言うと、主催者側も催行の可否を検討中とのこと。
どちらも世界最大級の時計・宝飾品の新作見本市ですが、やはり中国、香港を中心としたアジア圏の来場者が大きいところを占めています。
この来場者が見込めないのであれば、多くのブランドにとって高額な出展料を支払ってまで参加する旨味は激減してしまいます。
しかも、新型コロナウイルスは4月~の春以降、さらに猛威を振るうのではないか、と言われていることも考えなくてはなりません。
開催中止となった場合、各ブランドは一体どこで新作発表を行うのか?中止ならまだしも、延期となったら新作発表はさらに夏にずれ込む可能性も?
そうは言っても、まだこちらは中止とは断言されていません。
続報が入ってきたら、またお伝えいたします!
バーゼルワールド・WWGの2020年開催見送りについて
【2020年2月29日 追記】
バーゼルワールド2020およびWatches & Wonders Geneve(旧SIHH)は開催見送りとなりました。
なお、ロレックスやチューダー、パテックフィリップ、ウブロ、タグホイヤー、ゼニス等各ブランドの2020年新作発表は、順次お伝えしていきます。
当記事の監修者
田中拓郎(たなか たくろう)
高級時計専門店GINZA RASIN 取締役 兼 経営企画管理本部長
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB、システム系全般を担当。スイスジュネーブで行われる腕時計見本市の取材なども担当している。好きなブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年