「カルティエ タンクマストは何がすごいの?」
「タンクマストの魅力や人気モデルについて詳しく知りたい」
「王の宝石商 宝石商の王」として、世界中のセレブリティから愛され続けてきたカルティエ。
この名声はカルティエがジュエラーとしてのみならず、ウォッチメーカーとしても卓越した手腕を振るってきたがゆえ。
カルティエならではの独創的なデザインと優れた実用性を強みに、例年数々の名作を世に送り出しています。
そんなカルティエから2021年、打ち立てられたタンク マスト。
1970年代に製造されたレ・マスト・ドゥ・カルティエを彷彿とさせつつも、現代カルティエを存分に感じられる新定番コレクションとなっております。
そんなタンクマストの魅力や人気モデルが知りたいという人は多いのではないでしょうか。
タンクマストは、品質・デザイン・価格いずれも素晴らしく、大変バランスの良いコレクションです。
この記事ではタンクマストの魅力や人気モデルを、GINZA RASINスタッフ監修のもと紹介します。
タンクマスト ソーラービートの紹介もしますので、カルティエウォッチの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
カルティエ タンクマストとは?
冒頭でも述べたように、ウォッチメーカーとして名声を博してきたカルティエ。
現行コレクションにも歴史的名作を多く抱えており、メンズ向け本格腕時計の黎明を担ったサントスやアイコニックなパシャ、元祖マニュファクチュール・コレクションのカリブル ドゥ カルティエ等、名前を挙げ始めるとキリがありません。
とは言え、最も代表的なコレクションと言えばタンクではないでしょうか。
三代目ルイ=ジョセフ・カルティエによって1919年に発表されたタンクは、今なおカルティエのフラグシップです。角型をベースに、タンクMCやタンクアメリカン、タンクフランセーズ等、メンズ・レディースラインともに多彩なバリエーション展開がタンク内では行われています。
タンクのアイコニックな角型フォルムは、第一次世界大戦下で使われたルノー製の戦車(tank)のキャタピラからインスパイアされたと言います。
第一次世界大戦は人類史上初と言われる総力戦であり、また、これまでにはなかった新兵器が投入されたことでも知られています。戦車も第一次大戦で、初めて実戦で用いられることとなり、フランスのルノー社による革新的なFT-17は第一次世界大戦でフランスの勝利に大きく貢献し、以降の戦車にも大きな影響を与えました。
余談ですが、第一次世界大戦をきっかけに腕時計の普及が促進されます。もちろんそれまでにも腕時計は使用されていましたが、どちらかと言えば女性用の装飾的な意味合いが大きかったようです。
しかしながら第一次世界大戦は総力戦であったため共通時刻が重宝されたこと。また戦後はモダニズムが流行し、機能や実用を重要視する傾向が出てきたことから、アクセサリーではなく日用品としての腕時計が市民の間で広がっていくこととなったのです。
アール・デコが流行したのもこの時代です。
それまでデザインとして好まれていた曲線的・有機的なアール・ヌーヴォーから、直線的で幾何学模様をモチーフとしたアール・デコが様々なプロダクトに反映されていきます。幾何学的なアール・デコの様式をまとったタンクのデザインは、実用品としてもデザインでも人々の心を掴んでいったのでしょう。それは、今なお。
時代は下って1970年代。
カルティエはディフュージョン製品として、素材に貴金属を用いないレ マスト ドゥ カルティエをリリースします。当時経営不振によって事業再編を余儀なくされていたカルティエですが、レ マスト ドゥ カルティエの大ヒットによって、瞬く間にその名声をまた世界へと広げていきました。
レ マスト ドゥ カルティエは時計のみならずペンやリング、フレグランス等でもリリースされ、カルティエの知名度の普及に大きく貢献していくのですが、とりわけ長らく「マストタンク」として親しまれたコレクションは屈指の名作。2000年頃に生産終了しているにもかかわらず、現在でも中古市場で非常に高い人気を誇るシリーズです。
このマストタンクは、タンクならではのシンプルで控えめな美しさは保ちつつもヴェルメイユと呼ばれるスターリングシルバーに厚さ1.5ミクロン以上のゴールドを貼り付けた加工技術によってケースを製造していることが一つの特徴です(シルバーモデルもあり)。このヴェルメイユは、「金箔を着せた銀」などと称されることもあります。
上の画像の個体には「20M」とあり、20ミクロンもの厚みを持つことがわかります。
金無垢モデルよりも低コストで販売できる一方で、メッキよりも厚くゴールドをコーティングしており、ゴールド特有の輝きや質感、風格をお楽しみ頂けます。マストタンクはこれまでのタンクのデュフュージョンモデルということになりますが、カルティエらしい高級感を保つために、こういった手間のかかる製法を採用してきたのでしょう。
事実、年式を経たマストタンクでも、外観を損ねるような傷や凹み、変色を伴ったような個体はそう多くありません。
さらにマストタンクはクォーツ式ムーブメントを多く採用したり、多彩な文字盤バリエーションを加えたりといった試みによって、幅広い年齢層のファンを獲得していきました。
2021年に発表されたタンクマストは、このマストタンクのように比較的お手頃価格ながら、タンクの歴史的な素晴らしさを十二分に落とし込んだ銘品です。
出典:https://www.facebook.com/cartier.jap/?brand_redir=203621737645
アール・デコ調の直線的な角型ケースを採用する一方でラグは丸みを帯びて優雅な形状に。よく2021年に生産終了してしまったタンクソロと引き合いに出されますが、タンクソロがフラットでよりモダニズムを感じさせる意匠であったことに対し、タンクマストはこの「丸み」によって優美さが強調されているように思います。
なお、自動巻きモデルであってもケース厚8.4mmに抑えられておりますが、この薄さもカルティエのエレガンスを感じさせますね。
カルティエらしくエレガントなローマンインデックスに青のスティール針、ブルーシンセティックスピネルカボションのリューズも健在で、The カルティエな腕時計が欲しいと思っている方にとって、最適な選択肢になってくれることでしょう。
メンズモデルには7時位置に「隠れCartier」が確認できるのも、カルティエらしさですね。
ラインナップは自動巻き、クォーツ、ソーラービートの計三種。
自動巻きはXLサイズとして縦41mm×横31mm×厚さ8.4mmが、クォーツはLMサイズの縦33.7mm×横25.5mm×厚さ6.6mmおよびSMサイズの縦29.5mm×22mm×厚さ6.6,,が、ソーラービートはLMサイズまたはSMサイズが展開されており、価格帯は310,200円~489,500円(ベゼルダイヤモデルを除く)となっております。
さらにはインデックスやレイルウェイを持たず、洗練したレッド・グリーン・ブルー文字盤を有したモデルや、2022年に発表されたシンプルなブラックダイアルモデルもリリースされてきました。
カルティエ タンクマスト ソーラービートとは?
出典:https://www.facebook.com/cartier.jap/?brand_redir=203621737645
前述の通り、豊富なラインナップが魅力のカルティエ タンクマスト。
バリエーションやサイズ展開を豊富に行い、幅広いターゲット層に訴求するのはカルティエの十八番ですが、それでもこのソーラービートの登場に驚かされた方も多いのではないでしょうか。
ソーラービートはその名の通り光起電発電によって駆動する時計です。ボタン電池などの一次電池と異なり、二次電池は充電・放電を繰り返し利用可能なことで知られており、ソーラー充電はその代表格ですね。もちろん二次電池にも寿命はあるものの、一般的なソーラー時計は約10年程度は使えると考えられており(モデルや使用環境下によって異なります)、その間は電池交換いらず。
メンテナンスの手間が省けることはもちろん、使い捨てではないためサスティナビリティの面でも注目度を高めており、近年では腕時計の電池としても採用するブランドが増えてまいりました。
そんな中でカルティエが、同社初となるソーラー充電式モデルを新しいタンクマストで実現しました。
出典:https://www.facebook.com/cartier.jap/?brand_redir=203621737645
実機を手に取ってみると、自動巻きモデルなどと大きな違いは見受けられません。
しっかりと作り込まれた外装は言わずもがな。端正な文字盤もカルティエらしい美しさと上品さを備えます。
この文字盤、一般的なカルティエウォッチ同様に金属製となっているとのこと!
ソーラーウォッチは効率的に受光ユニットを備えており、ここで光エネルギーを電気エネルギーへと変換させます。
光を効率的に取り込む必要があるため、一般的なソーラーウォッチは文字盤に透光性のある素材を用います。そのため文字盤の質感にどうしても制約が出てきてしまい、あまり高級機には用いられないなどと言われることもかつてはありました。
近年ではシチズンやカシオ等、高級感ある文字盤を持ったソーラーウォッチが出回りつつありますが、カルティエもまた、そこに名を連ねることとなります。
なんとタンクマストはインデックス部分をくり抜いて光をユニットまで通すことで、文字盤自体は従来の金属製を維持することに成功したのです。
もっとも、光が当たる面積が小さければ小さいほど、電気エネルギーは小さくなってしまうものです。
実用化のための、並々ならぬカルティエの情熱を感じさせる逸品です。なお、カルティエではタンクのデザインを損ねることなく光起電発電を適用させるのに、2年の開発期間を要したとのことです。
さらに驚くことにこの二次電池は、約16年間の寿命を備えているとのことです!
クォーツのため充電さえしっかり行われていれば時刻合わせの必要もなく、日常で扱いやすく親しみやすい高級腕時計であることは間違いありません。
出典:https://www.cartier.jp/
なお、ストラップにもサスティナビリティへの取り組みが垣間見えます。
タンクマスト ソーラービートのストラップはカーフ調になっていますが、こちらは非動物性素材となっております。約40%をリンゴの廃棄物などから構成したストラップとなっており、環境への配慮が細部に渡って届いていることを感じさせる逸品です。
国内定価はSMサイズが310,200円、LMサイズが325,600円。
日常生活防水となっており、デイリーユースに一本欲しいカルティエウォッチです。
カルティエ タンクマスト 人気モデル
最後に、当店GINZA RASINに入荷したカルティエ タンクマストの人気モデルをご紹介いたします。
カルティエ タンク マスト XL WSTA0053
ケースサイズ:縦41.0mm×横31.0mm
素材:ステンレススティール
文字盤:シルバー
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.1847 MC/パワーリザーブ約40時間
防水性:日常生活防水
定価:489,500円(税込)
タンクマストの自動巻きモデルです。前述の通り、自動巻きとはいえ厚みは8.4mmに抑えられているため、どこまでもエレガント。
なお、この自動巻きムーブメントはカルティエの自社製キャリバー1847 MCが搭載されています。サントスやパシャなどにも搭載されてきた信頼性の高いムーブメントとなり、カルティエのウォッチメーカーとしての実力を感じられる逸品でもあります。
カルティエ タンク マスト LM WSTA0041
ケースサイズ:縦33.7mm×横25.5mm
素材:ステンレススティール
文字盤:シルバー
駆動方式:クォーツ
防水性:日常生活防水
定価:325,600円(税込)
クォーツを搭載したタンクマストです。
一回り小さいサイズ感とはなりますが、ドレッシーなモデルが好みの男性にも、女性にもお勧めできる逸品です。
なお、自動巻きモデル同様に7時位置にCartierのロゴが隠されています。
カルティエ タンク マスト LM WSTA0055
ケースサイズ:縦33.7mm×横25.5mm
素材:ステンレススティール
文字盤:ブルー
駆動方式:クォーツ
防水性:日常生活防水
定価:339,900円円(税込)
インデックスやレイルウェイ文字盤を持たない、洗練されたタンクマストです。
2針のみという大胆さが、どんなファッションもオシャレに引き締めてくれる効果があります。
なお、カラーバリエーションがあるのも魅力。
文字盤と同系色になったストラップがまた、粋ですね。
まとめ
カルティエの新たなる定番タンクマストについてご紹介いたしました!
品質・デザイン・価格いずれも素晴らしく、大変バランスの良い逸品ではないでしょうか。
2022年もブラックダイアルが追加されるなど、今後のバリエーション展開からも目が離せませんね。当店でも、入荷を頑張ってまいりたいと思います!
当記事の監修者
新美貴之(にいみ たかゆき)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 店舗営業部 部長
1975年生まれ 愛知県出身。
大学卒業後、時計専門店に入社。ロレックス専門店にて販売、仕入れに携わる。 その後、並行輸入商品の幅広い商品の取り扱いや正規代理店での責任者経験。
時計業界歴24年