「チューダー クロノタイムって何がすごいの?」
「チューダー クロノタイムの魅力について知りたい」
チューダー クロノタイムはロレックスの姉妹ブランドであるチューダーが打ち出した自動巻きクロノグラフです。
そんなチューダー クロノタイムの魅力について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
クロノタイムは本家デイトナを彷彿させるスポーティーなクロノグラフをリーズナブルな価格で購入できることで大きな話題を生みました。
この記事ではクロノタイムの魅力や歴史を、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
クロノタイムが高騰している理由も解説しますので、チューダーの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
そもそもチューダーってどんなブランドなの?
出典:https://www.facebook.com/tudorwatch/
チューダー(TUDOR)は1930年代にイギリスでの市場拡大を目的に作られたロレックスの姉妹ブランドです。富裕層向けのロレックスに対し、チューダーは「一般庶民」向けラインとして作られました。
チューダーの特徴は何といってもその「安さ」。
文字盤やリューズ、裏蓋といったパーツにロレックスのパーツが使われているにも拘わらず、ロレックスに比べ非常にリーズナブルな価格で販売されています。
左:ロレックス 右:チューダー
ロレックスのデイトジャストとチューダー プリンスデイトデイ。
似たデザインの個体を並べましたが、遠目に見るとどちらも同じように見えます。
左:ロレックス 右:チューダー
こちらはロレックスサブマリーナとチューダー サブマリーナ。写真を見てわかるように、チューダーの見た目はロレックスとほとんど同じです。
しかし価格に関してはロレックスより半額以上安く、非常にコストパフォーマンスに優れます。
尚、単に見た目が似ているだけでなく、チューダーのケースにはロレックスで使用されている「オイスターケース」が採用されています。
低価格でありながらも高い防水性と堅牢性を備えていることが特徴です。
まさに全てにおいてリーズナブルであり、ハイスペックな時計。それがチューダーだといえます。
なんでそんなに安いの?
現在のロレックスのムーブメントは全て自社製が採用されていますが、チューダーのムーブメントはETA社の「汎用ムーブメント」を使用しています。自社製ムーブメントは製造に高いコストが伴うため、商品価格が跳ね上がってしまうデメリットが存在します。
そこでチューダーはETA社の汎用ムーブメントを使って製造コストを下げました。
出典:https://www.calibre11.com/history-eta-7750-tag-heuer-calibre-16/
汎用ムーブメントと言っても、ETA社は多くの一流メーカーにムーブメントを供給している実績があり、その品質は非常に高いです。
ただ、独自路線を歩み始めた近年のチューダーは自社ムーブメントの開発に積極的に乗り出しており、ETA製ムーブを使うことは少なくなっています。
チューダー クロノタイムとは?
クロノタイムは1976年に誕生した自動巻きクロノグラフです。
それまで手巻き式しか存在しなかったクロノグラフに自動巻きクロノグラフムーブメントであるETA”バルジューCal.7750″を搭載させ、当時の時計愛好家の心を見事に掴みました。
デイトナをリスペクトしたクロノグラフのお手本とも言える完成度の高い外観、そしてロレックスでは考えられない価格設定。
残念ながら現在は生産終了していますが、当時の時計界においてクロノタイムの高い完成度は非常に話題になりました。
クロノタイムは大きく分けると初期モデル・セカンドモデル・サードモデルに分類され、それぞれベゼルや文字盤に細かな違いが存在します。また、文字盤カラーは本家デイトナと同じくブラック・ホワイトの2種類が同一リファレンスに用意されているのが基本です。
これまでは一部のコアなファンに好まれる古き良き時計というポジションでしたが、近年のチューダー人気によってその価値観は一変。
個体によっては100万円以上の価値を生む超人気モデルとして、最注目されています。
①初期モデル 94xx系
クロノタイムの初期モデルは94xx系と呼ばれるリファレンスナンバーが付けられたモデルです。94xx系はリーズナブルな価格と優れたデザイン性が話題となったモデルであり、ケース側面の形がカマボコを連想させることから「カマボコケース」と呼ばれました。
ベゼルはベイクライトという硬化プラスチックで作られており、クラスプには初期モデルにしか見られない王冠クラスプが採用されています。
カマボコケース
カマボコケースと呼ばれる所以はなんといっても「分厚く・武骨に真っすぐ切り立ったライン」。
これはロレックスにはないチューダーだけの特徴といえます。
カマボコケースはセカンドモデルまで採用され、サードモデルからは現在のシャープなオイスターケースに変更となりました。
しかしながら、カマボコケースは現在「レア個体」として崇められており、その初期モデルである94xx系は数年前と比較すると格段に高騰しています。
②セカンドモデル 791××系シリーズ
1990年頃にはベゼルがステンレス製となった791××系シリーズが登場。この時期のクロノタイムは数々のマイナーチェンジと進化を重ね、認知度と人気を高めていった時期でもあります。
左:ロレックス デイトナ 6265 右:チューダー クロノタイム 79180
このシリーズはデイトナに一番似ていると言われており、ケース・リューズは本家デイトナ(4桁リファレンス)と同じパーツが採用されています。
デイトナが横目クロノグラフ、クロノタイムが縦目クロノグラフという大きな違いがありますが、全体的なフォルムはそっくりです。
左:ロレックス デイトナ 6265 右:チューダー クロノタイム 79180
非常に厚みのある”バルジューCal.7750″を搭載しているクロノタイムのケースは初期モデル同様カマボコケースが採用されているため、デイトナと比べて分厚いことが分かります。
この厚さこそ、この年代までのクロノタイムの特徴であり個性ともいえるのです。
セカンドシリーズのバリエーション
セカンドシリーズにあたる791××系シリーズには”Ref.79170″と”Ref.79160″と”Ref.79180″の3種類のラインナップがあります。
この3種類のクロノタイムにはそれぞれ「79160:プラスチックベゼル」「79170:回転ベゼル」「79180:ステンレスベゼル」という異なる特徴をもちます。
チューダー クロノタイム 79160 / チューダー クロノタイム 79170 / チューダー クロノタイム 79180
また、791××系シリーズは前期・後期の文字盤があり、それぞれに以下の特徴が存在します。
前期文字盤 | 後期文字盤 |
カレンダー表示に枠がある | カレンダー表示に枠がない |
T SWISS T 表記 | T SWISS MADE T 表記 |
インデックスバーの形が台形 | インデックスバーが長方形 |
③サードモデル 792××系シリーズ
1995年に製造されたクロノタイムの最終モデルがこの792××系シリーズ。風防がプラスチックからサファイアクリスタルに変更され、ベゼルやベルトも変更されました。
チューダー クロノタイム 79260 / チューダー クロノタイム 79270 / チューダー クロノタイム 79280
セカンドシリーズ同様に下2桁60・70・80の違いによってベゼルが異なります。また、サードモデルは3連のオイスターブレス以外にも5連のジュビリーブレスが採用されているモデルも存在しています。
尚、サードモデルはこれまでのクロノタイムの特徴であったカマボコケースではなく、デイトナと同じようなケースフォルムに改良されています。
そのため使い勝手は良くとも、レアモデルとしての価値はファースト・セカンドモデルよりも低めです。
デイトナを彷彿させるクロノタイムは約10年もの間、多くの時計ファンに愛されましたが、2004年~2005年に惜しまれつつ製造終了を迎えます。
そして、このシリーズを最後にクロノタイムはチューダーの公式カタログからその姿を消しました。
コラボモデル クロノタイム タイガー
クロノタイムには大人気モデルが存在します。それはゴルフ界のスター「タイガーウッズ」とのコラボレーションモデルです。
チューダーは当時絶頂期を迎えていたタイガーウッズの公式スポンサーに名乗りを上げ、1998年に「ブランドの広告塔」として彼をアンバサダーに採用しました。
一時はウッズ選手が公私ともに不調に陥り、時計の価値も下がりましたが、現在は彼の復活と共に時計の人気も高まっています。
クロノタイムタイガーの特徴① コラボモデルとしては実用的なデザイン
タイガーウッズとのコラボモデルは792××系シリーズをベースに作られた中央針の真上に「TIGER」と印字されたクロノタイムです。通称「クロノタイム タイガー」と呼ばれ、タイガー・ウッズの人気との相乗効果を生み大ヒットしました。日常使いに適したデザインをしていることから、ゴルフファン以外からも高い評価を得ています。
クロノタイム タイガーの特徴② 斬新なカラーリングをもつモデルがある
チューダー クロノタイム 79280(ボルドー) / チューダー クロノタイム 79280(グリーン)
「クロノタイム タイガー」にはチューダーの中でも異質なギョーシェ彫りのカラーダイヤルが存在します。
それぞれボルドー・グリーン・ブルーが用意されており、斬新で個性的なクロノグラフとして、時計ファンの間でも話題を生みました。
クロノグラフタイガーの特徴③ Tiger印字が無い方が人気
絶大な効果を生んだタイガーウッズとのコラボにより、「ロレックスの廉価ブランド」というイメージが強かったチューダーは独立した時計ブランドと世間に認知され始めました。
最終的にタイガーウッズとのスポンサー契約は2002年5月まで続き、チューダーの躍進に大きく貢献したといえるでしょう。
実はコラボモデルにはTiger印字がないモデルも存在しており、印字がないモデルの方が人気です。
生産終了から10年以上も経過しているため、今となっては時計ファン垂涎の一本として知られています。
クロノタイムが高騰している理由
チューダー クロノタイムはデイトナの廉価モデルとして誕生したモデルです。そのためデイトナが買えない人が買うモデルというイメージが強く、価格も50万円以下で買えることが大半を占めていました。
しかし、ここ数年、クロノタイムは異様な高騰を見せています。
チューダーのモデルは全体的に高騰傾向にありますが、クロノタイムに関してはその傾向が顕著です。
ヴィンテージデイトナに似ている?
クロノタイムが高騰した理由としては、やはりロレックス人気の高騰が大きな理由を占めるでしょう。近年のロレックス人気は凄まじく、デイトナに至っては、ここ数年の間に100万円以上相場が上がったモデルも存在します。もちろんそれだけデイトナの人気が高騰すれば、デイトナをリスペクトして作られたクロノタイムの評価も上がるわけです。
また、クロノタイムのデザインはデイトナのヴィンテージモデルに似ているともいわれています。
左:ヴィンテージ ロレックス デイトナ 6263 右:チューダークロノタイム 79160
現行デイトナもさることながら、ヴィンテージ デイトナの価値は今尚上がり続けていて、留まるところを知りません。
近年のクロノタイムの価格高騰は、このヴィンテージデイトナの高騰に引っ張られている言えるでしょう。
チューダーの知名度・ステータス性の向上も要因
クロノタイムの高騰はロレックス人気の影響を大きく受けていますが、要員はそれだけではありません。
そもそもチューダーのステータス性が依然と比べ物にならないほど向上していることも重要です。
以前のチューダーはロレックスの廉価モデルであるという印象が強く、ロレックスが買えないからチューダーを買うという価値観が根付いていました。
しかし近年はヘリテージブラックベイを中心にチューダー独自の魅力を持つモデルを展開し、ロレックスの廉価モデルという位置づけから脱却を果たしています。
安いからチューダーを買うのではなく、チューダーがカッコイイから買う。
2018年10月に日本初の正規店が誕生したことも相まって、チューダーの知名度・ステータス性そのものが高まっています。
まとめ
“チューダー クロノタイム”は約30年間製造された自動巻きクロノグラフです。大きく分けると初期モデル・セカンドモデル・サードモデルに分類され、発売時期によって特徴が異なります。
ここ数年どのモデルも価値が上がっており5年前は50万円以下だったモデルが2019年現在は80~120万円程度まで高騰しています。
2018年に国内に正規店ができたこともありアフターサービスに関しても安心できるようになりました。今後さらに価値が上がる可能性があるため、今が買い時かもしれません。
当記事の監修者
田所 孝允(たどころ たかまさ)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 営業物流部長/p>
1979年生まれ 神奈川県出身
ヒコみづのジュエリーカレッジ ウォッチメーカーコース卒業後、かねてより興味のあったアンティークウォッチの世界へ進む。 接客販売や広報などを経験した後に店長を務める。GINZA RASIN入社後は仕入れ・買取・商品管理などの業務に従事する。 未だにアンティークウォッチの査定が来るとついついときめいてしまうのは、アンティーク好きの性分か。
時計業界歴18年。
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