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「チューダー レンジャー 79950って何がすごいの?」
「レンジャー 79950の魅力について詳しく知りたい」
現代チューダーでは、ブラックベイが最も著名かもしれません。
ブラックベイはチューダーの古き良きサブマリーナーを復刻した、紛れもない傑作モデルです。
しかし、チューダーはブラックベイのみにあらず。
そんなことを改めて思わせてくれたのが、2022年7月に突如発表された、新生レンジャー79950です。
そんなレンジャー 79950の魅力について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
新作レンジャーはロレックスのエクスプローラーを彷彿とさせるデザインながら、独自の世界観を存分に発揮しています。
この記事ではレンジャー 79950の魅力について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
レンジャーの歴史についても解説しますので、チューダーに興味がある方はぜひ参考にしてください。
目次
2022年新作 チューダー レンジャー Ref.79950 スペック
スペック
外装
ケースサイズ: | 直径39mm |
素材: | ステンレススティール |
文字盤: | ブラック |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | Cal.MT5402 |
パワーリザーブ: | 約70時間 |
機能
防水: | 100m |
定価: | 347,600円(SSブレス)/311,300円(ストラップ) |
2022年新作チューダー レンジャー Ref.79950の実力
2022年7月に発表された「レンジャー」。
全くの新コレクションというわけではありません。ロレックスのエクスプローラーを彷彿とさせるデザインで以て、1960年代にチューダーが製造していたモデルの、DNAを受け継ぎます。チューダーはロレックスの姉妹ブランドゆえ、そのコレクションにはしばしばロレックスへのオマージュやインスパイアが見受けられます。
そして新作レンジャーを見ても、日付表示を持たない3針にブラック文字盤、そして堅牢さを思わせるサテン仕上げのケース等々・・・エクスプローラーのようなシンプル、そして洗練を感じさせますね。
なお、ロレックスは2021年に新生エクスプローラーを発表するにあたり、ケースをこれまでの直径39mmから36mmへとダウンサイジングしました。チューダーの新作レンジャーが直径39mmとなっておりますので、このちょうど良いサイズ感に喜ばれる方も多いのではないでしょうか。
本項ではそんな新作レンジャーについて、解説いたします。
①レンジャーとはどのような腕時計なのか
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現代レンジャーのオリジナルとなるモデルが製造されていたのは、前述の通り1960年代です。
しかしながらチューダー史によると、「レンジャー」の名前自体は1929年から同社で用いられているのだとか。もっとも、当時は特定のモデルを指したわけではなく、チューダーウォッチに「冒険的要素」を添えるための用語であったようです。
そして、このチューダーの「冒険的要素」の一つが、1952年から1954年にかけて行われた英国北グリーンランド遠征探検にて、チューダーウォッチが携行されたことでした。
今で言う「レンジャー」そのものではなくオイスタープリンスとはなるものの、同探検隊員の腕にはチューダーウォッチが着用されていたと言います。チューダーでは、この遠征探検開始の70周年にあたる2022年、新しいレンジャーを発表するに至りました。
余談ですが、ロレックスもまたエクスプローラーを語る際に欠かせない、「歴史的偉業」があります。
そう、1953年の世界初エベレスト登頂です。この偉業を成し遂げたエドモンド・ヒラリー卿率いる英国エベレスト探検隊が着用したロレックスウォッチもエクスプローラーではなくオイスターパーペチュアルとのみ発表されています。しかしながらロレックスにとってこの歴史的偉業は、歴代エクスプローラーシリーズ及びロレックスウォッチの堅牢性・冒険魂の背景にいつもあることが伺えます。
なお、ロレックス エクスプローラーがローンチされたのは1953年となります。
1960年代に製造された初期レンジャー Ref.7995を見ると、やはりエクスプローラーのようなツールウォッチ感が全面に押し出されています。
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ケース直径は34mm。ロレックス譲りのステンレススティール製防水ケースを有しつつも、一方で汎用ムーブメントETA2483を搭載することで、より幅広い層に手の届く冒険ウォッチであったことが大きな特徴です。
その後レンジャーはデイトモデルや、いっそう個性的な「レンジャーII」などといったバリエーションやアップデートを経つつ、1980年代まで製造され、いったんは生産終了となりました。
さらに時代を下って2014年。
時計業界の新作見本市バーゼルワールドにて、レンジャーが再びチューダーのラインナップに返り咲くこととなります。
1960年代の初期レンジャーのデザインを踏襲しつつも、直径41mmにアップサイジングされたモダンなケースはいっそうの丸みが強調されていること。また秒針が赤く彩られレーシーなこと。150mと高い防水性を獲得していたことに代表されるように、現代的なアップデートが図られたレンジャーは、定番ではないものの再びチューダーのカタログを彩っていきます。実勢相場が20万円台~30万円台と、高級スポーツウォッチとしては相も変わらず手の届きやすい価格帯に収まっていたことも、当該レンジャーの大きな魅力ですね。
このレンジャーも生産終了となっておりましたが、英国北グリーンランド遠征探検から70年、再びのアップデートを経て、チューダーからローンチされたというわけです。
②新作レンジャー Ref.79950の実力
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それでは2022年に時を戻して、新作レンジャーを見ていきましょう!
ケースは直径39mmへとダウンサイジングされており、また全体的なフォルムが、オリジナルに近くなった印象です。ケース・ブレスレットはサテン仕上げが基調となっておりますが、随所にポリッシュ仕上げを施しコンビネーションとすることで、高級機らしい立体感も醸し出します。
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ブラック文字盤の3・6・9・12のアラビア数字が特徴的なところは変わりませんが、6時位置のロゴが「RANGER」のみとなっているところにヴィンテージらしい雰囲気を感じますね。もっともSELF-WINDINGがカーブになった「スマイリーダイアル」も、チューダーらしさを感じられて個人的には大好きでしたが。
ちなみに2014年発表のレンジャーはチューダーローズが用いられていますが、新作では2016年頃から採用されている盾マークへと変わりました。
ダイナミックな時分針と同様に発光塗料がたっぷりと施されているのが見て取れますが、ベージュの色合いによってこれまたヴィンテージな風合いに仕上がります。なお、秒針は先端のみが赤く彩られることとなりました。
ドーム型のサファイアクリスタルガラスが、またいい味を出していますね!
さらに特筆すべきは、新作レンジャー ブレスレットモデルの「“T-fit”セーフティキャッチ付きフォールディングクラスプ」です。
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近年、バックル部分のみでブレスレット内寸を微調整できる仕様のモデルが増えてきています。しかしながら、何らかの工具が必要といったケースは少なくありません。新作レンジャーでは“T-fit”セーフティキャッチ付きフォールディングクラスプを搭載することで、工具なしに8mm、全5段階の微調整をバックル部分で行えるよう仕上がりました。ある程度重量を持つ腕時計は、微調整の有無ができると快適な装着感を実現しやすいもの。実用性を重んじる、チューダーらしい機能だと言えます。
搭載するムーブメントはCal.MT5402です。
MT5402はブラックベイ58にも搭載された、ミドルサイズ用の自動巻きムーブメント。シャネルやブライトリングでもお馴染みのケニッシと共同開発した当ムーブメントは高い精度と信頼性、そして約70時間パワーリザーブという、利便性をも誇ります。非磁性シリコンバランススプリングを備えていることも、この利便性をいや増しますね。
ラインナップされたのはステンレススティールモデルの他、レザー×ラバーストラップ及びファブリックストラップの計3種です。防水性はいずれも100mとなっております。
レザー×ラバーストラップのレザー面にはファブリック調の型押しがあしらわれ、エレガンスとスポーティーが両立しています。
またチューダーのファブリックストラップはフランスの老舗ジュリアン・フォール社製であることは既にご存知の方も多いかもしれません。ジュリアン・フォール社製の、新作レンジャーに採用されたオリーブグリーンにベージュ&レッドストライプが走った粋なデザインは、チューダーの冒険魂を引き立てる逸品ではないでしょうか。
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国内定価は347,600円(SSブレス)または311,300円(ストラップ)。この良心的な価格設定、さすが私たちのチューダーです!
とは言え、最近はチューダー人気の高まりもあり、新しいモデルは品薄ゆえに実勢相場も上がりがちです。
既に販売がスタートしているようですが、しばらくは争奪戦が予想されます。
とは言え、チューダーの歴史と冒険魂を象徴する新作レンジャー、早く実機を手に取って、眺めてみたいものです!
まとめ
2022年、チューダーが発表したレンジャーについてご紹介いたしました!
ロレックスのエクスプローラーを彷彿とさせるデザインながら、チューダーらしい独自の世界観を存分に発揮している新作レンジャーは、今後の同社の新たなる定番となっていくことでしょう。
とは言え、レンジャーを一目見るに、その人気は必至。レンジャー及びチューダーの動向を、今後も追っていきたいと思います!
当記事の監修者
田所 孝允(たどころ たかまさ)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 営業物流部長/p>
1979年生まれ 神奈川県出身
ヒコみづのジュエリーカレッジ ウォッチメーカーコース卒業後、かねてより興味のあったアンティークウォッチの世界へ進む。 接客販売や広報などを経験した後に店長を務める。GINZA RASIN入社後は仕入れ・買取・商品管理などの業務に従事する。 未だにアンティークウォッチの査定が来るとついついときめいてしまうのは、アンティーク好きの性分か。
時計業界歴18年。