「オーヴァーシーズって何がすごいの?」
「オーヴァーシーズの魅力について知りたい」
ヴァシュロンコンスタンタンは、パテックフィリップ,オーデマピゲと並んで世界三大時計ブランドの一つです。
そのヴァシュロンコンスタンタンの中でも近年人気が著しいコレクション、それがオーヴァーシーズではないでしょうか。
スポーティーでありながらも格調高いエレガンス・テイストがデザインコードに盛り込まれており、1997年の発売以来、ラグジュアリー・スポーツウォッチとして名を馳せてきました。
ノーチラスやロイヤルオークと比べると通好みな印象も持ち合わせていましたが、前述の通り最近の人気は凄まじいばかり。
時計市場で確かな存在感を放ちます。
そんなオーヴァーシーズの魅力について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
オーヴァーシーズは時計好きには絶対に外せないラグスポの分野で、今後主役になっていく注目の存在です。
この記事ではオーヴァーシーズの魅力について、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
資産価値についても解説しますので、ヴァシュロンコンスタンタンの購入をお考えの方はぜひ参考にしてください。
目次
ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズを徹底解説
まずは、ヴァシュロンコンスタンタンのオーヴァーシーズの基本的なスペックや歴史を振り返ってみましょう!
①オーヴァーシーズとは?
オーヴァーシーズは、スイスの名門時計ブランド「ヴァシュロンコンスタンタン」の代表モデルとして1996年に発表しました。
ヴァシュロンコンスタンタンの操業は1775年。時計ブランドの中でもブランパンに次いで、歴史あるブランドとして知られています。さらにブランパンは途中、休業状態に入っていますが、ヴァシュロンコンスタンタンは途切れることなく継続経営を続けてきました。「継続経営」といった意味では、最古の時計ブランドと言えるでしょう。
そんなヴァシュロンコンスタンタンの歴史の深さは、ブランドのロゴマーク「マルタ十字」にも現れています。マルタクロスとも呼ばれるこのロゴは、1880年に商標登録されました。キリスト教のマルタ騎士団が掲げたとされるマークで、4つの扇状紋章をつなぎ合わせた8つの角が印象的です。
このように歴史のあるヴァシュロンコンスタンタンの中でオーヴァーシーズは比較的新しいモデルかと思われる方もいるかもしれません。しかしオーヴァーシーズには、前身モデルが存在します。それがヴァシュロンコンスタンタン創立222周年を記念して製造された1977年発表のRef.222です。
※Ref.222コレクションのうちの一つ。SSモデル。
なお、ヴァシュロンコンスタンタン222誕生の背景には、時計の歴史を語る上で欠かせない「クォーツショック」による影響があります。1969年、セイコーが発表したクォーツ時計により、スイスの時計業界は大きな打撃を受けます。なぜなら機械式時計に比べて、一定水準の製品を安価に大量生産することができ、急速に市場のシェアを拡大させていったためです。
雲上ブランドであるヴァシュロンコンスタンタン、パテックフィリップ、オーデマピゲも例外ではなく、打開策の一環として全く新しい時計ジャンル・ラグジュアリースポーツウォッチを生み出すこととなりました。
今でこそ、「ラグスポ」の愛称で時計好きの間では広く知られていますが、1970年当時は高級時計といえば、ゴールド素材のドレスウォッチが一般的でした。そんな中ステンレススティール製かつスポーティな高級時計と言う新たな立ち位置の時計を雲上ブランドが生み出したことは非常に画期的です。なぜならステータス性も、高級機としての風格も、日常使いのしやすさも担保した死角のない時計ジャンルであったためです。
1972年にオーデマピゲのロイヤルオーク、1976年にパテックフィリップのノーチラスに続いて、1977年にヴァシュロンコンスタンタンの222が誕生しました。222は、超薄型の2ピースケースに2針のシンプル機能で、当時のラグジュアリー・スポーツウォッチの中では突出してエレガンスを演出していました。
その後、ヴァシュロンコンスタンタンのスポーツラインは222から333、フィディアスへと移行し、1996年に「エレガントなトラベルウォッチ」オーヴァーシーズとして生まれ変わったのです。
※左:333 / 右:フィディアス。どちらも222の生産終了後の1980年代~1990年代に販売。
②オーヴァーシーズのデザインの礎と作った「ヨルグ・イゼック氏」とは?
オーヴァーシーズの歴史を語る上で外せないのが、ドイツ出身のデザイナー「ヨルグ・イゼック氏」です。ジェラルド・ジェンタと並んで非常に高名な時計デザイナーですね。
ヨルグ・イゼック氏はロレックスのデザイン部門に所属し、その後独立。カルティエやブシュロン、ブレゲなど名門時計ブランドからの依頼を多数受けており、デザインの代表作として、ブレゲのマリーンやタグホイヤーのキリウム,ティファニーのストリーメリカが挙げられます。
そんなヨルグ・イゼック氏は、オーヴァーシーズの前身モデル222のデザインを手掛けます。
前項でもご紹介していますが222は、2ピース構造の超薄型ケース,そしてケースとブレスレットが一体型となったフォルム,さらにブレスレットの中央コマが六角形となったユニークな設計…上品ながら独創性に溢れたデザインが特徴の一つです。ちなみにこの薄型ケースは、ジャガールクルト社製ムーブメントをベースとした自動巻きCal.VC1120(または1121)によって実現されています。独特の切れ込み装飾が入ったベゼルもまたアイコニックですね。
当時としては最先端すぎたためか爆発的な人気…というわけではなく、1980年代に生産終了しています。しかしながらオーヴァーシーズのデザイン原型となり、現在ではきわめて高い評価を獲得しています。
なお、かつてこの222のデザインは、ヨルグ・イゼック氏だけでなくジェラルド・ジェンタ氏も関わっていたのではないかという憶測も飛び交っていました。
と言うのも、当時はメーカーとの守秘義務もあり、積極的にデザイナーが名乗りを上げることがありませんでした。1996年頃には、先に登場していたロイヤルオーク、ノーチラスのデザイナーがジェラルド・ジェンタ氏であることが明らかになっていたため、「ヴァシュロンコンスタンタン222」もジェラルド・ジェンタ作なのでは?と推察されたのです。しかし2007年に222はヨルグ・イゼック氏のデザインであることが公となり、この憶測は誤りであることがわかりました。
1996年に登場した初代オーヴァーシーズは、222の基本的なデザインが受け継がれました。すなわち、薄型ケースはブレスレットと一体型となり、さらにはアイコニックなベゼル・・・もっともフィディアスの源流も組んでいるかと思われますが、上品さはそのままにモダン・スポーティーテイストが加味されています。
※1996年登場のオーヴァーシーズ Ref.42042。後述するが、現代オーヴァーシーズの第一世代となる
一方で222では2ピースケース構造でしたが、オーヴァーシーズでは現代的な3ピースケースへと改められています。2ピースケースでは、ムーブメントを脱着する際、ベゼルを開閉する必要がありましたが、3ピースケースではこれが必要ありません。そのため、ベゼルのデザインが後にオーヴァーシーズの象徴となる、マルタ十字に関連した8葉アレンジへと変化しました。
ちなみにオーヴァーシーズ自体は外部デザイナーのティノ・モドーロ氏や社内デザインチームによって、コンセプトがまとめられたとのこと。社内のデザインチームによる製作は、その後の二世代、三世代と一貫しており、チームによる製作もオーヴァーシーズの大きな特徴と言えるでしょう。
ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズの系譜
オーヴァーシーズには、3つの世代が存在し、それぞれデザインが異なります。
初代オーヴァーシーズは、1996年~2004年まで製造されました。前項でもご紹介しているように、222やフィディアスの系譜を組みつつも、よりスポーティーデザインを採用していることが特徴です。
また、初代オーヴァーシーズはバリエーション展開が拡充されたことも特筆すべき点です。3針モデルからクロノグラフ搭載モデル、素材もステンレスからピンクゴールド、ケースサイズは37mmと35mm・・・幅広く展開されていました。ちなみに37mmサイズは「ラージ」、35mmサイズは「ミディアム」と称していました。
「オーヴァーシーズ」の名前の通り、海を超えて活躍するトラベルウォッチというコンセプトを携えます。そのため裏蓋には大海原に出てゆく帆船―イタリアの探検家 アメリゴ・ヴェスプッチ帆船―がエングレービングされており、雄大なイメージをもまとうスポーツウォッチであることがおわかり頂けるでしょう。
第二世代は2004年に発表され、2016年まで系譜を紡ぎます。
発表当時のケースサイズは42mm。
第二世代で最も特徴的な進化は、ブレスレットでしょう。中央部分にマルタ十字を模した「ハーフマルテーゼクロス」のモチーフが導入され、見た目の独創性のみならず装着感のアップデートにも一役買うこととなりました。
また、エンドピースの中央コマがベゼルと結合し、かつリューズガードが取り払われたことですっきりとした印象に。なお、裏蓋には引き続き帆船のエングレービングが施されていますが、軟鉄製インナーケースとなったことで高耐磁性をも獲得しています。もっとも8葉ベゼルが受け継がれたことで、初代と同様にアイコニックな表情を堅持します。
第二世代でオーヴァーシーズはクロノグラフのみならず、デュアルタイム搭載機がラインナップに追加されたことも大きな特徴です。第二時間帯表示,昼夜表示,ポインターデイト,パワーリザーブインジケーターが文字盤上にレイアウトされており、オーヴァーシーズのかっこよさをまた一段を押し上げていますね。
レザーストラップやラバーストラップモデルも追加されたことで、人気スポーツウォッチとして知名度を上げていきます。
なお、オーヴァーシーズのデザインは第二世代でいったん完成されたと言われるほど洗練されており、廃盤となった今でも高い人気を持っています。
第三世代は2016年発表の現行モデルです。「第二世代でいったん完成された」と申し上げましたが、オーヴァーシーズ人気に火をつけ、目下需要を高め続けている立役者は第三世代で間違いありません。
まず大きな変化は、オーヴァーシーズを象徴するベゼルは8葉から6葉に変わり、デザインが一新されたことでしょう。この大胆なデザイン変更について、オーヴァーシーズのアーティスティック・ディレクターを務めるクリスチャン・セルモに氏は「第2世代のオーヴァーシーズは、現在では“アグレッシブすぎるデザイン”」であると述べていたとか。また、ケース端までベゼルが広がったことで文字盤も拡大しています。
さらに第三世代ではフォルムがより優美になった印象を受けますね。従来はトノー型が強調されていましたが、ベゼル下にディスクを導入することでラウンドフォルムに主軸を置いたため、このような洗練されたフォルムを獲得しました。
さらにケースバックはシースルー仕様となります。
帆船はなくなったものの新たに22K製ローターにコンパスが取り付けられており、オーヴァーシーズの持つトラベルウォッチとしてのコンセプトがしっかりと踏襲されていることがわかります。
なお、第三世代コレクションは、ムーブメントを一新したことでもよく知られています。
これまではジャガールクルトやジラールペルゴ,フレデリックピゲ製ムーブメントをベースにしたキャリバーが採用されていましたが、満を持して自社製ムーブメントが開発・搭載されています(一部)。
これらに加えてオーヴァーシーズ最大のだいご味となった変革は、ブレスレットに簡単に着脱ができるインターチェンジャブル式を採用したこと。工具いらずでメタルブレスレット⇒革ベルトといった変更が可能で、これに伴いアリゲーターストラップ、ラバーストラップが付属されることとなりました。スタイルにあわせて簡単に時計の印象を変えることができるのは、嬉しいところですね。
なお、第三世代のオーヴァーシーズは現行と言うだけあり、基本の3針やクロノグラフの他にもバリエーションを拡充し続けています。
2016年にワールドタイム,2018年にデュアルタイムを追加。そして2019年にはペリフェラルローターを採用したトゥールビヨン,2020年にはコレクション初となるスケルトン文字盤を採用した超薄型パーペチュアルカレンダーモデルなど、意欲的に新ラインを発表してきました。
サイズ展開は基本の3針またはデュアルタイムが41mm、クロノグラフが42.5mm、ワールドタイムが43.5mm。また、近年では女性をターゲットに入れた製品開発も行っており、37mmサイズのオートマティックモデルや33mmのクォーツモデルが登場しています。
後述しますが第三世代オーヴァーシーズは人気上昇に伴ってどんどん品薄になっており、正規店では購入が難しいと言った状況です。そのため欲しい方は、早めに買っておくのが吉ですよ!
Column;第三世代オーヴァーシーズの文字盤にマイナーチェンジ?
左: 2020年7月ギャラ個体 / 右:2019年以前の個体
前述の通り、現行オーヴァーシーズは2016年から始まった第三世代です。しかしながら2020年以降販売個体 Ref.5500V/110A-B148(クロノグラフ 青文字盤)で、なんでも文字盤デザインが若干異なるものが見受けられるのです。もしやマイナーチェンジ?と思ってメーカーに問い合わせてみたところ、「個体差」とのことでした。
しかしながら個体差と言うにはなかなか大きな違いとも思われます。
異なる点は、以下の通りです。
・インダイアルの色が従来は紺であったものが、グレーがかった青に
・ダイアルの青が淡くなっている
↑2019年以前の個体
↑2020年7月ギャラ個体
・メーカーロゴやGENEVEの書体が縦長に変更されている
・12時位置マルタ十字がフラットに
・カレンダーの淵の幅が細くなっている
↑2019年以前の個体
↑2020年7月ギャラ個体
その他タキメーター部分の素材感(2020年以降の個体は光沢感・透明感が強い)やフォルムに丸みが増した…等の変化が見受けられます。
前述の通りメーカーは「個体差」と言っていること。加えてまだ確認できたのはこちらのRef.5500V/110A-B148のみのためマイナーチェンジと断言することはできませんが、今後の入荷個体の仕様を注視していきたいと思います。
ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズの人気シリーズ
ヴァシュロンコンスタンタンオーヴァーシーズの中でも、当店GINZA RASINでよく売れる人気モデルを4つご紹介します。
①オーヴァーシーズ オートマティック 4500V
ケースサイズ:直径41mm
素材:ステンレススティールまたはピンクゴールド
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.5100
防水性:150m
参考定価:2420,000円(SS)
オーヴァーシーズ オートマティック 4500Vは、2016年に登場した第三世代のモデルです。
こちらはシンプルな3針で、ケースサイズは41mmと日常使いしやすいデザインがポイントとなります。
前項でもご紹介したようにケースバックはシースルーになっており、ムーブメントと22Kを覗けます。ムーブメントのCal.5100は、2つの香箱を搭載することで、超速脱進機に安定したトルクを供給し、約60時間のパワーリザーブを実現しました。
ベルトは、ステンレスストラップの他に、アリゲーターストラップとラバーストラップが付属。インターチェンジャブル式を採用し、簡単に着脱できるため気分によって気軽にストラップ交換ができます。
文字盤カラーは現行でブラック,シルバー,ブルー。また、過去にはブラウン文字盤もリリースされており、オーヴァーシーズコレクションの基幹モデル的存在です。
②オーヴァーシーズ クロノグラフ 5500V
ケースサイズ:直径42.5mm
素材:ステンレススティールまたはピンクゴールド
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.5200
防水性:150m
参考定価:3,498,000円(SS)
現行のクロノグラフ搭載モデルです。第二世代のRef.49150から、日付の位置が変更されました。先代では12時位置にデイト窓が配されていたためクロノグラフ針と重なっていたのですが、4時位置へと移動したことで視認性が増しています。またインダイヤルに分刻みが追加されていることも、見やすさを意識した変化と言えますね。
ムーブメントは、Cal.5200。シースルーのケースバックからマルタ十字がデザインされたコラムホイールが楽しめます。コラムホイールとは、高級時計に採用されているクロノグラフの方式。自社ムーブメントならではの美しさを堪能できます。こちらもレザー、ラバーの替えベルトが付属しており、好みの時計にパーソナライズできます。
文字盤カラーはブラック,シルバー,ブルー。
③オーヴァーシーズ デュアルタイム 7900V
ケースサイズ:直径41mm
素材:ステンレススティールまたはピンクゴールド
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.5110DT
防水性:150m
参考定価:2,926,000円(SS)
第三世代のデュアルタイムモデルです。デュアルタイムとは、2つの時間帯を一つのダイアルで確認することができる時計です。9時位置の「AM/PM」表示では第二時間帯の午前午後をひと目で確認できます。
第二世代では6時位置のインダイアルでデュアルタイム表示をしていましたが、当世代よりGMT針を設けることですっきりしたデザインとなりました。
ムーブメントCal.5110DTは、ゼンマイ駆動時間を長くするツインバレル機構を採用し、約60時間のパワーリザーブを実現しています。また25,000 A/mもの耐磁性と、高い機能性を搭載。
こちらもシースルーバックでムーブメントの美しさを楽しむことができ、かつ替えストラップとワンタッチ式の交換機能を採用しています。
④オーヴァーシーズ ワールドタイム 7700V
ケースサイズ:直径43.5mm
素材:ステンレススティール
駆動方式:自動巻き
ムーブメント:Cal.2460WT
防水性:150m
参考定価:4,268,000円(SS)
世界の主要37都市の時間を同時に表示する、ワールドタイムモデルです。リューズ一つでタイムゾーンを表示できる利便性もさることながら、耐磁性能や150mの防水性など、高い機能も嬉しいポイントです。またタイムゾーンは、デリーやネパールといった15分、30分単位の時差を持つ地域にも対応しており、世界中を旅するトラベラーに欠かせない1本です。
文字盤中央には世界地図が投影法によって描かれており、24時間ディスクと連動しながらデイ・ナイト表示が行われます。
シースルーバックからはムーブメントCal.2460WTが覗けます。22Kローターに施されたポリッシュとグレイン仕上げを組み合わせた美しい仕上げにも注目です。ビジネスにもバカンスにもフィットするデザインも嬉しいポイントです。
ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズの価格と今後の資産価値
オーヴァーシーズの相場と今後の資産価値について解説します。
基幹モデルにあたる3針 Ref.4500Vが定価242万円に対し、新品並行相場では黒文字盤が270万円~、シルバー文字盤が300万円前後~、青文字盤が330万円台~。いずれも定価を上回る高相場ですが、特に青文字盤の高騰が顕著ですね。
もともとオーヴァーシーズはパテックフィリップ ノーチラスまたはオーデマピゲ ロイヤルオークに比べると相場が落ち着いていると言われてきました。しかしながらこの二機種の需要が高まりすぎて並行市場ですらなかなか手に入らなくなったこと(とりわけノーチラスの基幹モデル5711/1Aの廃盤は大きいでしょう)。これに伴い相場が急騰していること。さらにもともとのオーヴァーシーズの魅力から、近年凄まじい相場の上昇を遂げています。
今後もますます時計市場が広がっていくことやコロナ禍で時計の供給量が低減されることを鑑みれば、オーヴァーシーズの値上がりはまだ続くと容易に予測できますね。
数年後には「あのときオーヴァーシーズを買っておけば……」と言われているかもしれません。
※掲載する定価・相場は2021年3月末時点での情報です。
まとめ
注目されているラグスポのジャンルのなかで、人気をじわじわと集めているオーヴァーシーズについて、ご紹介いたしました。
1996年登場とロイヤルオーク、ノーチラス比べると遅れての登場でしたが、オーヴァーシーズならではのエレガンスさと、スポーティさを兼ね備えています。
初代、2世代、3世代とデザインが変わるため、自分好みのオーヴァーシーズを見つけてみるのも楽しいですね。とはいえ、確実に人気を集め、不動の地位を築きつつあります。今はまだ定価に近い価格帯を保っていますが、今後手の届かない雲の上にいってしまう可能性も十分あるでしょう。
三大ブランドかつラグスポという2つの高スペックを備えたオーヴァーシーズを手に入れるなら、今のうちかもしれませんよ!
当記事の監修者
田中拓郎(たなか たくろう)
高級時計専門店GINZA RASIN 取締役 兼 経営企画管理本部長
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB、システム系全般を担当。スイスジュネーブで行われる腕時計見本市の取材なども担当している。好きなブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年