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今流行りの復刻腕時計ってどうなの?人気モデルをまとめてみました
最終更新日:
最近腕時計界を、あるトレンドがフィーバーしています。
それは、「ヘリテージ」と冠し、オリジナルや過去のモデルに回帰した復刻腕時計。
この潮流はアニバーサリーを迎えた老舗ブランドが増えたことにも起因しますが、往年の名作そのものへのオマージュが大きいところでしょう。
そこでこの記事では、タグホイヤーやブライトリング・ロンジンなどが手掛ける、最新技術をまとって蘇った名機の数々をご紹介いたします!
アンティークウォッチ愛好家ならずとも魅了されること間違いなしです!
出典:https://www.iwc.com/ja/
目次
復刻腕時計を選ぶべき三つの理由
復刻腕時計の多くが40mm前後のサイズ感、シンプルな機能やデザイン、ヴィンテージテイスト・・・といった特徴を持ちます。
デカ厚やコンプリケーショントレンドの反動でしょうか、奇をてらわず、基本に忠実な腕時計というのが本当に流行っているのです。
そんな復刻腕時計を選ぶべき理由はこちら!
①飽きのこないデザイン
長年に渡り、時代を超えて愛され続けてきたヴィンテージ調というのは、一過性の流行に左右されません。10年後、20年後・・・いつまでも色あせない魅力を有します。
②大人な風格
ヴィンテージの最大の魅力は渋い男に似合うかっこよさ。シンプルなのに、あるいはシンプルゆえ、上品に着けこなせる大人の男というのは一目置かれます。
③ブランドの思い入れが感じられる
復刻腕時計の多くがそのブランドの歴史や伝統を象徴するシリーズからラインナップされます。そのため、ブランドのファンにとっては特別感がありますし、そうでない方でも話のネタになること間違いなし!
それでは、各ブランドの人気復刻腕時計をご紹介いたします!
今流行りの復刻腕時計
①タグホイヤー オータヴィア
出典:https://www.tagheuer.com/ja-jp
1960年代に生まれ、スポーツ界からも時計愛好家からも愛され続けてきたレーシングクロノグラフ。
ロレックスのデイトナやオメガのスピードマスターが有名ですが、立役者を語るうえでタグホイヤーもまた外せません。
とりわけアンティーク市場で根強い人気を誇っていたオータヴィアは、ファン垂涎のモデルでした。
そのため2017年に復刻モデルとしてCBE2110.FC8226が新作発表された時、歓喜した方も多かったのではないでしょうか。
しかも、最新自社製自動巻きクロノグラフムーブメントホイヤー02を搭載していたのですから。
蘇ったのはRef.2446 Mark3(通称リンツモデル、1960年代に活躍したF1ドライバー ヨッヘン・リントが着用していたことによる)。
こちらの時計はファン投票によって復刻が決まりました。
ケースサイズは42mmとオリジナルより3mmアップしているものの、デザインは踏襲されています。
横目クロノグラフにブラック×ホワイトの逆パンダフェイス、そしてブラックアルミニウムベゼルが実に渋い!
現代の復刻腕時計全てに言えることですが、機能や操作性は最先端技術にブラッシュアップされているため、アンティークを購入するより安心感があります。
オータヴィアも復刻版には最新ムーブメントホイヤー02が搭載されており、80時間のロングパワーリザーブ、高い耐久性や耐衝撃性など、オリジナルより大幅にアップデート。
100m防水も嬉しいですね。
価格帯はブレスレットタイプで定価555,000円(税抜)、レザーベルトタイプで定価540,000円(税抜)。
多くの時計愛好家から高い評価を受けているオータヴィアを50万円台から手に入れられるとは、さすがコストパフォーマンスに優れたタグホイヤーです。
タグホイヤーはオータヴィアの他、「ヘリテージ」と冠したシリーズをいくつかラインナップしています。
代表的なモデルはキャリバー1887 ヘリテージ クロノ。美しいフランケ装飾がアンティーク調たっぷりです。
モナコもまた、1969年の誕生以来オリジナルを踏襲した古き良きレーシングクロノグラフとして有名です。
↑「栄光のル・マン」でスティーブマックイーンが着用していたファーストモデルを再現したCAW211P.FC6356。
今流行りの復刻腕時計
②ブライトリング スーパーオーシャンヘリテージII
出典:http://www.breitling.co.jp/
1957年というのは、多くの名機が輩出された年でもありました。
オメガのスピードマスターやレイルマスター、シーマスター。ロレックスのGMTマスター。
多くの人々が身近にスポーツウォッチを感じるようになった創世期とも言えます。
ブライトリングのダイバーズライン・スーパーオーシャンもその一つで、当時としては珍しい200mという高い防水性を実現していました。
パイロットウォッチのイメージが強いブライトリングですが、海の分野でも死角がなかった、と。
スーパーオーシャン ヘリテージは、そんな往年の名作を現代に蘇らせた人気シリーズ。
2017年に60周年を祝してリニューアルされ、スーパーオーシャン ヘリテージIIが誕生しました。
出典:http://www.breitling.co.jp/
もともとブライトリングにお馴染みの翼のロゴがなかったり秒針のお尻のBがなかったりと「ブライトリングらしさ」という面で賛否両論あったシリーズですが、実はこのデザインこそが1950年代のブライトリングそのものなのです。
ベゼルと文字盤の間のメタルリングは取り除かれましたが、シンプルな3針・デイト窓・視認性に特化した文字盤デザイン・・・奇をてらわず、ダイバーズウォッチの基本スタイルに忠実な仕様となっています。
一方ベゼルはハイテクセラミック製となり、また2018年からは自社製ムーブメントB01を搭載したモデルを発表したことによりハイレベルなスペックに。
復刻腕時計の良さというのは、往年の傑作を最先端の技術で味わえることに他ならないでしょう。
ケースサイズは42mm、44mm(2018年より)、46mmをラインナップ。3針またはクロノグラフ搭載モデルの二展開となります。
価格帯はオールステンレス×3針モデルなら50万円以下で手に入れることも可能。
ヘリテージラインは40mm以下のモデルも多い中、スーパーオーシャン ヘリテージIIは大きめから普通サイズまで選択肢が豊富なので、ヴィンテージ好きのみならず、シンプルなデカ厚時計が欲しい方は必見です。
ちなみにブライトリングは廃盤となったモデルが中古市場で非常に高い人気を持つためか、他にもヘリテージシリーズを展開しており、ナビタイマーもまた有名。
やはり色褪せない魅力があるブランドは強い。そう思います。
今流行りの復刻腕時計
③ロンジン
出典:https://www.facebook.com/Longines/?ref=page_internal
昨今の復刻腕時計というトレンドで真っ先に成功したのは、ロンジンではないでしょうか。
1832年創業とスイス時計界の中でもとりわけ老舗なブランドで、歴史や伝統にまつわるエピソードには事欠きません。
そのためか、ロンジンのヘリテージは一つのシリーズやモデルだけに終わらず、多彩なラインナップを展開していることが特徴。
むしろ、「ヘリテージ」という一大コレクションを確立していると言えるでしょう。
ロンジンのヘリテージは大きく分けて以下のシリーズがあります。
- クラシック
- ダイバー
- ミリタリー
- アヴィゲーション(パイロットウォッチ)
- テクニカルマイルストーン
- レディース
かなり豊富ですね。
いくつか代表的なものをご紹介いたします。
ロンジン フラグシップ ヘリテージ60周年モデル
出典:https://www.longines.jp/
スーパーオーシャンと同窓生のロンジン フラグシップを復刻させた2017年新作です。
当時の名作というとスポーツモデルが多かった中で、フラグシップは正統派の魅力で勝負。
38.5mmケース、アンティーク調のクリーム文字盤とゴールドインデックスと、いかにもな大人の風格を醸し出します。
定価は206,280円(税抜)。
このクラスのドレスウォッチとしては、かなりのお値打ち価格と言えます。
ロンジン レジェンドダイバー
1960年代に手掛けた伝説のダイバーズウォッチを再現した復刻モデルで、実は当店でも飛ぶように売れる人気商品。
当時は軍用ダイバーズとしての側面が重要視されており、当時のままの大きく見やすい長短針や風防内に備えられたインナー回転ベゼルがヴィンテージの趣を醸し出します。
ちなみにこのベゼルは2時位置のリューズをまわすことで作動。
42mmとやや大きめですが、アウターベゼルがないためダイバーズウォッチとしてはかなりスタイリッシュに着けこなせます。
定価は274,320円(税抜)。
ロンジン アヴィゲーション ビッグアイ
出典:https://www.longines.jp/
古き良きクロノグラフ好きにはたまらない、ロンジンのパイロットウォッチシリーズ。
1971年のモデルを復刻したヘリテージシリーズです。
ドーム型風防やヴィンテージ加工されたストラップがいい味出します。
定価は341,280円(税抜)。
このほか一部のモデルではサンティミエロンジンミュージアムに展示してあった時計を復刻させたハイエンドラインもありますが、20万円~30万円台で買えるものがほとんど。
そう、ロンジンは由緒正しい老舗ですが、実は私たちに身近な価格で購入できることが最大の魅力なのです。
今流行りの復刻腕時計
④ボーム&メルシエ ケープランド
出典:http://www.baume-et-mercier.com/ja/home.html
ボーム&メルシエはロンジン同様、1830年創業と老舗ながら比較的リーズナブルで高いパフォーマンスを発揮してくれる嬉しいブランドです。
同社自身も「お手頃価格」を謳う珍しい高級時計メーカー。
ロレックスやオメガなど華やかなブランドの陰に隠れている感はありますが、実は均衡とれた美しい時計で定評があり、実際ボーム&メルシエのブランドシンボルはギリシャ文字Φ「理想的な均衡や調和のとれた美」を表すもの。
ケープランドは1948年当時に同社が制作したクロノグラフにインスピレーションを得たもので、針やインデックスなど文字盤デザインが非常にレトロ。
美しく仕上げられたケースと合わせて、かなりのイケメンに。
出典:http://www.baume-et-mercier.com/ja/home.html
最近ではラバーストラップを採用したよりスポーティーなケープランドもあり、選択の幅が増えています。
ちなみに「知る人ぞ知る」といったボーム&メルシエですが、実は日本に輸出されたのは1968年とかなりの歴史を持ちます。
今年は上陸50周年を記念した日本限定のケープランドがラインナップされたりと、浅からぬ仲。
シンプルで上品なオールドクロノグラフは、日本人にとってはたまらなく魅力的ですね。
今流行りの復刻腕時計
⑤チュードル ヘリテージ ブラックベイ
ロレックスの弟分的な立ち位置だったチュードルですが、近年では独自路線を開拓し、ロレックスとはまた違った人気モデルを多く製造しています。
中でも2012年からラインナップしているヘリテージ ブラックベイは、もはやチュードルのフラグシップ。
むしろ、ヘリテージ ブラックベイがチュードルの世界的な知名度を高めたと言って過言ではありません。
初出Ref.79220は1970年代のサブマリーナを復刻したモデルで、「独特なカラーリングのベゼル」、「イカ針」、「バラモチーフのロゴ」といったロレックスサブマリーナにはない特徴をもつダイバーズウォッチとして人気を獲得しました。
ロゴに1970年以前に使われていた「チューダーローズ」を使用していることも特徴的。
この薔薇モチーフが、ヴィンテージファンやチュードル愛好家の心をわしづかみ!
大きい薔薇に「デカバラ」、小さい薔薇に「チビバラ」という愛称がつけられているのが特徴で、中には現行のロゴである「盾」と「薔薇」を交えた「盾バラ」と呼ばれるものも存在します。
加えて針にはチュードルの象徴であるイカ針が採用されているため、ロレックスのオイスターケースを使用し200mと高い防水性を確保しているにもかかわらず、ロレックスとは異なる魅力が感じられます。
2016年にRef.79230が登場し、チューダーローズは姿を消します。
そのことから旧型である79220の価格が高騰。
2018年には日本人にはちょうどよいサイズ感の39mmサイズがラインナップされたりと、現行・旧型問わずファンの心をつかんで放しません。
現在ヘリテージ ブラックベイは素材、ベゼルや文字盤カラーなどが多彩にラインナップされています。
今流行りの復刻腕時計
⑥IWC ビッグパイロットウォッチ
出典:https://www.iwc.com/ja/
パイロットウォッチの歴史がIWCの歴史と言っても過言ではないほど、その関係性は密接です。
そのため、IWCのパイロットウォッチ全てがトレンドに左右されない、プロのための「パイロットウォッチ」であり続けています。
視認性を優先した文字盤、無駄な装飾はなく、しかし高く作りこまれたタフなケース・・・
もちろん見た目だけでなく、高い耐磁性や正確性高いクロノグラフなど、一貫して機能性を大切に守り抜いてきたことが一目でわかりますね。
現在の復刻腕時計ブームにかかわらず、IWC自体が古き良き時代を大切にしてきている証でしょう。
ビッグパイロットウォッチはその象徴とも言うべき存在で、同社が初めてパイロットウォッチを製造した4年後の1940年、飛行監視要員に向けて「ビッグ・パイロット・ウォッチ 52 T. S. C.」に由来する一大シリーズです。
その名の通りかなりボリューミーなケースが特徴で、現行モデルは46mmまたは48mmのラインナップとなります。
過去には、55mmもの大型ケースを採用したヘリテージモデルも存在しました。
オニオンシェイプのリューズがアンティーク感抜群。
搭載するムーブメントはもちろん最先端で、現行モデルではいずれも7日間または8日間の超ロングパワーリザーブ。
ビッグパイロットウォッチは定価100万円前後のものが多いですが、並行輸入や中古であればかなり価格を抑えることができます。
また、タフな作りこみのため、ガンガン使えてしかも長く愛用でき、一生ものとしてもおすすめです。
今流行りの復刻腕時計
⑦グランドセイコー SBGH265 V.F.A
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/
「復刻腕時計」という分野で、スイス勢にも俄然負けていない日本の獅子グランドセイコー。
特に昨年に誕生した「初代グランドセイコー」は、アンティーク好きも納得の出来栄えでしたね。
2018年の今年は、伝説のVFAが復活したことで話題を呼んでいます。
V.F.Aとは、Very Fine Adjusted、セイコー独自の呼称で、1969年、これまで機械式時計につきものだった「精度」に関する常識を大きく変える驚異の超高精度を実現した伝説のモデルのこと。
機械式時計の精度改良は多くのブランドにとって課題であり続けてきましたが、他社より頭一つ抜きんでているといえばグランドセイコーでしょう。
その幕開けとなったのがV.F.Aで、その復刻となります。
ただのコンセプトウォッチに留まらないところがグランドセイコー。
復刻腕時計の最たる醍醐味である、最先端技術へのアップデートが細やかに施されていることは見逃せません。
出典:https://www.grand-seiko.com/jp-ja/
搭載されたメカニカルハイビート36000 キャリバー9S85は、かつて世界一を誇った「61GS V.F.A.」に匹敵する平均日差+3秒~-1秒を実現。
ベースとした9S85は平均日差+5秒~-3秒という高精度ですが、それをV.F.Aの名にふさわしいようにとさらに追い込みました。
ちなみにハイビートな時計はどうしてもパーツの摩耗やパワーリザーブの短さがついて周ります。
そこをヒゲゼンマイに新素材スプロン610を採用し耐衝撃性・耐磁性を上げる、MEMS技術によってパーツを増やすことなく安定した高振動化と耐久性を両立する、トルクにもスプロン530を使い精度や性能は保ちつつパワーリザーブを約5時間も向上させる等で次々と克服していったのです。
この名作は、素材や仕上げも現代的にブラッシュアップされていることも要注目。
ケースにはプラチナ950を使用し、さらにグランドセイコーの匠の技・ザラツ研磨と美しい鏡面仕上げにより躍動感ある仕上がりになっています。
デザイナーは「現代の名工」受賞・小杉修弘氏。
定価550万円、数量限定20本と気軽に買える時計ではありませんが、復刻腕時計の魅力全てが詰まった一本と言えます。
まとめ
往年の名作を踏襲した復刻腕時計の数々。
各ブランドの栄光がズバリと再現されており、そのストーリーに思いを馳せる方も少なくないでしょう。
経年によって味わいを増した実際のアンティークも魅力的ですが、なかなか欲しいモデルが中古市場に出回らない。
コンディションが気になる・・・
そういった方々は、ブランド渾身の復刻腕時計を一度選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。