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WEBマガジン, 廣島浩二, その他

ワインディングマシーンによって時計は帯磁するのか?

最終更新日:

自動巻きユーザーにとっての強い味方「ワインディングマシーン」。

ワインディングマシーンは一見収納ボックスのようにも見えますが、自動巻き式時計をセットするだけでスイングや回転でローターに振動を与え、装着せずにゼンマイを巻いてくれる優れものです。

とりわけ何本も時計を所有している方はワインディングマシーンを使ってゼンマイを巻かれている方が目立ちます。

ただ、気になるのはワインディングマシーンを使うことによって時計が帯磁しないのかということ。

ローターに振動を与えていると同時に「強い磁気を与えているのではないか?」と考えることはごく自然なことです。

そこで今回はお客様からの質問も多い、ワインディングマシーンによる帯磁について解説いたします。

出典:https://www.omegawatches.jp/ja/accessories/fine-leather/watch-boxes/7020310001/

ワインディングマシーンによって時計は帯磁するのか?

結論から申し上げますと、ワインディングマシーンによって時計が帯磁することは殆どありません。

ワインディングマシーンの回転源はスピーカーのように強力な磁力を発生させるものではなく、一般的なモーターを使用しているため、発生している磁界のレベルは極わずかです。

また、そもそもワインディングマシーン自体が磁力に強い設計となっているため、磁力が時計に影響を及ぼすことは殆どないと考えられます。

ワインディングマシーン 磁化

磁化するという噂の真意

基本的にワインディングマシーンを使って磁化をすることは考えにくいですが、巷では「ワインディングマシーンを使って帯磁した」という声もチラホラ聞こえます。

磁化することは殆どないとはいえ、それは現代的な時計を一定のスペックを満たしたワインでディングマシーンを使っていることが前提です。

時計とワインディングマーシンの組み合わせによっては絶対に帯磁することはないとは言えません。

帯磁する可能性があるケース① ワインディングマシーンが粗悪品

ちゃんとしたワインディングマシーンであれば、モーターと時計が一定の距離を保つ設計であったり、モーター周囲に細工をすることで帯磁しない設計となっています。

しかし、安価な商品にはこれらの対策が成されていない粗悪品もあります。

粗悪品をずっと使っている場合、帯磁する可能性は無きにしも非ずです。

ワインディングマシーンを購入するのであれば「信頼できる商品」を買うべきですし、予算がないからといって粗悪品を買うぐらいなら、寧ろ買わないほうが良いと思います。

帯磁する可能性があるケース② 時計の帯磁性能が著しく弱い

ワインディングマシーンが原因で帯磁してしまうことより、そもそも時計に問題があることが帯磁の原因であるケースが多いです。

最近発売されるモデルは電化製品による磁力で溢れる現代社会に適応させるため、耐磁機能を持っていることが一般的となっています。

例え、非帯磁時計でも20~30ガウスの耐磁性能を持ちますので、モーターの磁力程度で帯磁することは殆どないでしょう。

しかし、ワインディングマシーンに「アンティーク時計」を入れた場合は、帯磁する可能性があります。

アンティーク時計は製造されてから相当な時間が経っているため、パーツの劣化による防水性・耐磁性が失われていることが殆どです。

耐磁性がないので、微量の磁力でも帯磁してしまうことは十分に考えられます。

帯磁する可能性があるケース③ ワインディングマシーンが故障している

仮に良いワインディングマシーンを購入したとしても、長時間の使用によって本体が故障することがあります。

もし故障したワインディングマシーンをそのまま使用してしまうと、モーターの過剰稼働によって帯磁してしまうことがあるかも知れません。

故障してしまったワインディングマシーンは使わないようにしてください。

帯磁する可能性があるケース④ 粗悪品にアンティーク時計を使用する

これまで解説してきたケースの複合事例なのですが、粗悪なワインディングマシーンにアンティーク時計を使用することが最も帯磁する可能性が高いです。

ただでさえ、耐磁性能に不安がある粗悪品に耐磁性能がないアンティーク時計を使用してしまったら、言うまでもなく帯磁する可能性は格段に高くなります。

時計がお好きであれば、時計に負担をかけることはやめましょう。

もし帯磁してしまったら

ワインディングマシーンで帯磁したとしても、すぐ時計に不具合が生じるほどの磁力であることはまずありません。

ワインダーが発生させる磁界は小さいので、例え帯磁したとしてもごく微弱な帯磁だと思います。

そのため、帯磁したとしても磁気抜き機で磁気を取り除けば何ら問題はありません。

高級時計 磁気抜き

磁気抜きはけっこう簡単です。写真のような磁気抜きの上に時計を置いてボタンを押せば磁気はすぐに抜けます。

尚、磁気抜き機は数千円~1万円程度で購入できるので、時計を趣味とする方であれば持っておいても良いでしょう。

最後に

「動力にモーターを使っているのだから帯磁するはず」と考える方も多いですが、評判の良いワインディングマシーンに現代的なスペックの時計を入れれば、帯磁することは殆どないと思います。

そもそもモーターの微量な磁力で帯磁してしまうのであれば、時計の帯磁性能に問題があるので、メンテナンスを受けたほうがいいでしょう。

しかしながら、アンティーク時計をワインディグマシーンに入れたり、粗悪品を使用した場合、帯磁する可能性を否定することはできません。

そのため、ワインディングマシーンを導入するのであれば、ちゃんとしたモノを購入されることをお勧めします。

当記事の監修者

廣島浩二(ひろしま こうじ)

(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチ コーディネーター
一級時計修理技能士 平成31年取得
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 ロジスティクス事業部 メンテナンス課 主任

1981年生まれ 岡山県出身 20歳から地方百貨店で時計・宝飾サロンで勤務し高級時計の販売に携わる。 25歳の時時計修理技師を目指し上京。専門学校で基礎技術を学び卒業後修理の道に進む。 2012年9月より更なる技術の向上を求めGINZA RASINに入社する。時計業界歴19年

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