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速報!2023年ゼニス新作モデルを発表!by Watches & Wonders Geneve
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出典:https://www.watchesandwonders.com/en/geneva-2023/brands/zenith
2023年のWatches & Wonders Geneveで発表された、ゼニスの新作をご紹介します。
次々に新たな領域にトライしていく、ゼニスの最先端とは?
目次
2023年ゼニス新作①パイロット ビッグデイト フライバック セラミック
出典:https://www.zenith-watches.com/ja_jp
2023年のWatches & Wonders Geneveでゼニスが展開したのは、パイロットシリーズです。
ゼニスは19世紀後半、創業者ジョルジュ・ファーブル=ジャコの時代から、パイロットウォッチや航空計器類の開発を目指していました。
そんなゼニスは、世界に先駆けて「パイロット」を商標登録していることをご存じでしょうか。1888年にはフランス語「Pilote」、1904年には英語「Pilot」を商標登録しており、パイロットウォッチなどの開発を続けてきたのです。フランス航空界の英雄ルイ・ブレリオが、1909年に初の英仏海峡横断を成功させた時も、彼が相棒に選んだタイムピースはゼニスでした。
ちなみゼニス、というと「エル・プリメロのブランド」というイメージが強いかもしれませんが、エル・プリメロはムーブメントであって時計のモデルではありません。もっともゼニスはその高い技術力から、多くの優れたムーブメントを様々なブランドに提供してきた歴史を有します。その代表格が「エル・プリメロ」なのですが、一方でエル・プリメロの絶大な知名度ゆえに、ゼニスの腕時計コレクションがムーブメントの著名さにかすんでしまうという現象が起きてしまったのです。
そこで、2017年にウォッチコレクションの大改革が行われ、パイロット・デファイ・クロノマスター・エリートの4本を柱とした新たな展開路線が整理されました。各モデルのテコ入れが行われ、現在ではそれぞれの知名度が以前より高まっています。
昨年はトリカラーのインダイアルがクールなクロノマスターと、ステンレススティールモデルのデファイが注目を集めたことを、記憶に新しい方もいらっしゃるでしょう。
出典:https://www.zenith-watches.com/ja_jp
今年2023年は、「天頂」を名に持つゼニスの原点回帰ともいえる、パイロットシリーズがフルモデルチェンジされています。
ゼニスでは「ゼロからの再設計」と「ヴィンテージからの脱却」としていますが、ファンである私たちはそこにゼニスらしさを見出すことができます。
まず最初にご紹介するのは、パイロット ビッグデイト フライバック セラミック。エル・プリメロ3652を搭載しています。
エル・プリメロ3600をベースに、ビッグデイト機能とフライバックを備えた新ムーブメントです。ビッグデイト機能は特許を取得した両輪を0.03秒以内に進めて安定させるという次世代向けの新たな機能です。
出典:https://www.zenith-watches.com/ja_jp
フライバックとはクロノグラフの機能の一種で、タイム計測中に一度リセットボタンを押すと即針が0に戻って、新しいタイムが計測できる機構です。針がまさに「飛んで戻る」ため、フライバックと呼ばれています。同じ動作を行うためには、通常「停止・リセット・再スタート」と3回の操作が必要となります。厚いグローブをつけて操縦するパイロットにとって、1度の操作でOKなフライバックは非常に便利な機能です。
さらに、エル・プリメロ3652には人工水平器ローターを搭載しました。シースルーバックから、半月型のローターを見ることができます。
同モデルはブラックマイクロブラスト仕上げのセラミックモデルと、ステンレススティールモデルがあります。
ここでご紹介したセラミックモデルは、文字盤もブラック&ホワイトのよりシンプルなデザインです。
ブラックとカーキ色のコーデュラ・エフェクトラバーストラップが付属しており、クイックリリースタイプでスピーディーに付け替え可能です。
スペック
外装
ケースサイズ: | ケースサイズ:直径42.5mm |
素材: | ブラックマイクロブラスト仕上げセラミック |
文字盤: | ブラック |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | エル・プリメロ 3652 |
パワーリザーブ: | 約60時間 |
機能
防水: | 10気圧 |
定価: | 1,727,000円(税込) |
2023年ゼニス新作②パイロット ビッグデイト フライバック スチール
出典:https://www.zenith-watches.com/ja_jp/product/pilot-big-date-flyback-03-4000-3652-21-i001
パイロット ビッグデイト フライバックのステンレススチールモデルも、2023年新作として同時ローンチしました!
同モデル最大の特徴は、さりげなくアクセントとなる「カラフルさ」でしょう。
セラミックモデルはブラック文字盤にホワイトのインデックス・針でしたが、スチールモデルはレーシーな赤いクロノグラフ針に加えて、インダイアルがカラフルに彩られます。
これは、1997年の「レインボーフライバック」へのオマージュとのことです。
レインボー フライバックとは、クロノグラフ分積算計の色を5分ごとに変え、視認性を高めたゼニスの傑作です。カラフルな彩りから、レインボーの名がつきました。今回採用されたレインボーのインダイアルはよりリングが細くなり、カラーも美しく見えるようになりました。
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パイロット ビッグデイト フライバックの2モデルは、いずれもビッグデイトをはじめ、夜光のホワイトマーカー・針など視認性も高められています。
またリューズも大きく操作性が良くなり、パイロットウォッチとしてふさわしい機能を持ち合わせています。
もちろん、特許を取得している「PILOT」の文字も入っていますよ。
腕時計にはブラックのコーデュラ・エフェクトラバーストラップと、ブラウンのレザーストラップが付属しており、いずれもクイックリリース機構で簡単に付け替えられます。
スペック
外装
ケースサイズ: | ケースサイズ:直径42.5mm |
素材: | ステンレススチール |
文字盤: | ブラック |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | エル・プリメロ 3652 |
パワーリザーブ: | 約60時間 |
機能
防水: | 10気圧 |
定価: | 1,463,000円(税込) |
2023年ゼニス新作③パイロット オートマティック セラミック
出典:https://www.zenith-watches.com/ja_jp/product/pilot-automatic-49-4000-3620-21-i001
ゼニスのパイロットウォッチは、Watches & Wonders Geneve 2023にて、合計4種のモデルがリリースされました。
2モデルはすでにご紹介したフライバッククロノグラフ、2モデルはすっきりとしたオートマティックモデルです。
波型のブラックオパライン文字盤は同様ですが、インダイアルがない分シンプルな仕上がりです。
セラミックモデルはケースもブラックセラミック製で、ラウンドケースの上にフラットトップラウンド型ベゼルを乗せたデザインです。全体がマイクロブラスト仕上げのブラックセラミックで、マットなカラーが新鮮な印象を与えてくれます。
出典:https://www.zenith-watches.com/ja_jp/product/pilot-automatic-49-4000-3620-21-i001
安定感のあるデザインと10気圧ある防水性能、クイックリリースタイプのブラック&カーキコーデュラ・エフェクトラバーストラップで、実用性の高い仕上がりです。
高振動エル・プリメロ3620自動巻きムーブメントを搭載しています。世界で初めて10秒に1回転するインダイアルを備えたムーブメントで、目にも楽しいタイムピースです。
シンプルな分、ゼニスやPILOTのロゴ、星のマークが際立ち、アラビア文字のインデックスも見やすいですよ。
カーキとブラックのストラップで印象が変わり、40mmサイズで男女ともに使いやすいデザインです。
スペック
外装
ケースサイズ: | ケースサイズ:直径40mm |
素材: | ブラックマイクロブラスト仕上げセラミック |
文字盤: | ブラック |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | エル・プリメロ 3620 |
パワーリザーブ: | 約60時間 |
機能
防水: | 10気圧 |
定価: | 1,210,000円(税込) |
2023年ゼニス新作④パイロット オートマティック スチール
出典:https://www.zenith-watches.com/ja_jp/product/pilot-automatic-03-4000-3620-21-i001
パイロットオートマティックスチールは、クロノグラフではないタイプのステンレススチールモデルです。
まったく新しく生み出されたデザインと言っても、そこにはゼニスが長らく歩んできた歴史上、作り上げてきた美的コードが活かされています。
ステンレススチールモデルは、フラットトップベゼルにサテン仕上げを施し、面取りをポリッシュ仕上げにしています。サテン仕上げでギラギラとした光の反射がないため、文字盤の視認性を高めますね。
しかし、面取り部分につやめくポリッシュ仕上げを採用したことで、腕を掲げるたびに光と影が躍る美しいデザインとなりました。
またシンプルな分、オートマティックシリーズはリューズの大きさがデザイン上のポイントとなっています。
もともと視界の悪いコックピットで、操縦桿を操りながら腕時計の操作もしなければならないパイロットのために開発された大きなリューズ。現在では扱いやすさはもちろん、パイロットウォッチが持つ魅力のひとつとして認識されています。
さらに付け加えると、ゼニスのパイロットウォッチや計器類の特徴のひとつが、オーバーサイズのアラビアインデックスです。
ホワイトのスーパーミノルバが塗布され視認性が高まっているだけでなく、フォントも見直されてより洗練されたものになりました。6時位置のデイトの上には、地平線のような白いラインが引かれています。これはパイロットウォッチによく見られる三角形マーク同様、パイロットが瞬時に時計の上下を認識するためのものですが、デザインのアクセントにもなっています。
いずれのモデルもシースルーバックとなっており、オートマティックモデル2種はエル・プリメロ3620を見ることができますよ。
セラミックとの違いはストラップにもあります。
クイックリリース機能搭載ですが、ブラックのコーデュラ・エフェクトラバーストラップとブラウンのカーフスキン製ストラップの2本が付属しています。
スチール製のケースと、ブラウンカーフスキンストラップの相性は抜群!
ラバーストラップとはまた違った、レトロなパイロットウォッチを味わえます。
スペック
外装
ケースサイズ: | ケースサイズ:直径40mm |
素材: | ステンレススチール |
文字盤: | ブラック |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | エル・プリメロ 3620 |
パワーリザーブ: | 約60時間 |
機能
防水: | 10気圧 |
定価: | 968,000円(税込) |
2023年ゼニス新作⑤デファイ スカイライン セラミック
出典:https://www.zenith-watches.com/ja_jp/product/defy-skyline-49-9300-3620-21-i001
2023年、パイロットウォッチと並び、デファイ スカイラインの新作がローンチされました。
デファイ スカイラインは、昨年2022年のLVMHウォッチウィークで発表された、新生デファイのフラッグシップモデルです。
デファイ スカイラインの源流には、1969年に登場した名機「デファイ A3642」の存在があります。
デファイ A3642のデザインを現代風に再解釈し、新たな機能を備えたスポーツウォッチシリーズが、デファイ スカイラインです。
ハイクオリティなスポーツウォッチとして登場したデファイ スカイライン。デファイには「挑戦」という意味があります。スカイラインとは山の稜線などが描く空の境界線のこと。つまり、地平線や水平線です。どこまでも走り、飛び、活躍する方のために開発されました。
出典:https://www.zenith-watches.com/ja_jp/product/defy-skyline-49-9300-3620-21-i001
八角形のケースの上に十二角形のファセットカットベゼルを乗せたデザインで、ブレスレットも含めブラックセラミック製です。
ブラック セラミックは、弾力性があり付け心地が良いにも関わらず、金属や合金よりもはるかに硬く、傷や摩耗への耐性が高いという特徴があります。
搭載しているのは高振動エル・プリメロ3620自動巻きムーブメント。
出典:https://www.zenith-watches.com/ja_jp
ブラックのサンバースト仕上げ文字盤には、昨年登場したデファイ スカイライン同様、ダブルZと呼ばれる四方手裏剣のような四芒星が刻まれています。4つの点を結んでできるこの星は、かつてゼニスの象徴として使用されていたマークの復刻です。
ハイクラススポーツウォッチらしく、ブラックセラミックのケースとブレスレットが一体化したデザインも特徴です。
しかし、こちらもクイックリリース機構を搭載しており、付属のブラックラバーストラップと簡単に交換できます。
スペック
外装
ケースサイズ: | ケースサイズ:直径41mm |
素材: | ブラックセラミック |
文字盤: | ブラック |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | エル・プリメロ 3620 |
パワーリザーブ: | 約60時間 |
機能
防水: | 10気圧 |
定価: | 1,914,000円(税込) |
2023年ゼニス新作⑥デファイ スカイライン スケルトン セラミック
出典:https://www.zenith-watches.com/ja_jp/product/defy-skyline-49-9300-3620-78-i001
デファイ スカイライン スケルトン セラミックは、デファイ スカイライン セラミックの文字盤をスケルトン仕様にしたモデルです。
41mmケースは八角形のケースと十二角形のベゼルを組み合わせたデザインで、あえてつやを抑えたベゼルからスケルトン文字盤がのぞいています。スケルトン文字盤には、雪の結晶のような形があしらわれており、ブラックとメタルの構造から、ルビーの赤が垣間見えます。
また、注目していただきたいポイントは、9時位置よりも少し上に置かれたガンギ車です。小さな部品ですがあざやかなスカイブルーが動くさまは、ずっと見ていられる美しさですよ。
1/10秒を計測できるインジケーターを搭載した、高振動エル・プリメロ3620SK自動巻スケルトンムーブメントを採用しています。10秒に1回転するインジケーターもデファイ スカイラインの目玉のひとつ。やはり見ていて飽きない機構です。
スケルトンモデルも見た目はH型ブレスレットと一体型ですが、クイックリリースで簡単に外せるため付属のブラックラバーストラップと付け替えて楽しめます。
スペック
外装
ケースサイズ: | ケースサイズ:直径41mm |
素材: | ブラックセラミック |
文字盤: | ブラック |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | エル・プリメロ 3620 SK |
パワーリザーブ: | 約55時間 |
機能
防水: | 10気圧 |
定価: | 2,178,000円(税込) |
2023年ゼニス新作⑦デファイ リバイバル シャドウ
出典:https://www.zenith-watches.com/ja_jp/product/defy-revival-shadow-97-a3642-670-21-m3642
2022年に、ゼニスから登場したデファイには、2つの潮流がありました。
ひとつはデファイ スカイライン、そしてもうひとつがデファイ リバイバルシリーズです。
2017年から続くゼニスの改革において、2022年はデファイのリ・ポジショニングの年でした。デファイの名機「デファイ A3642」を軸に、ゼニスは2つのデファイを世に送り出します。それがデファイ スカイラインとデファイ リバイバルシリーズでした。
デファイ リバイバルは、1969年に生まれた「デファイ A3642」をより忠実にリバイバルしたモデルとされています。とはいえ、まったく同じデザインを踏襲しているわけではなく、ヴィンテージを敬いながらもモダンなスタイルを確立しました。
デファイ リバイバル シャドウは、昨年登場したステンレススチール製のリバイバルシリーズとは一線を画す、チタン製のタイムピースです。チタンが持つ独特のダークなカラーやトーンの低いテクスチャーが、カラーリングよりも雄弁にモダンなスタイルを実現させました。
デファイ スカイラインでは十二角形になったベゼルも、元のモデルに忠実な十四角形のままです。八角形のケースにはカーブが施されており、ケースとベゼルの陰影が織りなす幾何学模様が、無機質なマットチタンに落ちて、独特な印象を生み出しています。
シャドウの名の通り、影が重要な役割を果たすデザインです。
ケースとブレスレットがマイクロブラスト加工されたチタンのため、金属でありながら光を反射するのではなく、陰影を強く生み出すことで様々な表情を見せてくれます。そして、ブラックの文字盤が、まるで光を吸収するブラックホールのように視線を集めます。
昨年発表されたリバイバルシリーズは、いずれもグラデーションカラーが美しいデザインでした。並べてみると、新モデルが「シャドウ」と名づけられたことがよく理解できます。
デファイ リバイバル コレクションの他機同様、シャドウにもマニュファクチュールムーブメントのエリート670が搭載されています。
マイクロブラスト仕上げチタン製のラダーブレスレットを備えており、針に乗せられたスーパーミノルバが淡いベージュカラーという点も、モダンなイメージをプラスしています。
また、30気圧防水という優れた防水性能も持ち合わせています。
スペック
外装
ケースサイズ: | ケースサイズ:直径37mm |
素材: | チタン |
文字盤: | マットブラック |
ムーブメント
駆動方式: | 自動巻き |
ムーブメント: | エリート670 |
パワーリザーブ: | 約50時間 |
機能
防水: | 30気圧 |
定価: | 951,500円(税込) |
当記事の監修者
田中拓郎(たなか たくろう)
高級時計専門店GINZA RASIN 取締役 兼 経営企画管理本部長
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB、システム系全般を担当。スイスジュネーブで行われる腕時計見本市の取材なども担当している。好きなブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年