タグホイヤーはしばしば「高級時計のエントリーモデル」として語られます。
もちろんそれは間違っていません。
リーズナブルなラインナップを用意し、しかも低価格帯商品であってもタグホイヤーの高い技術力が注がれているため、高級時計として申し分のない使い勝手を楽しむことができるためです。
一方で何本も時計を所有している方や時計専門店で働くプロの中でも、タグホイヤーLOVERは少なくありません。
加えて、カレラやフォーミュラ1もイイですが、推しメンに「アクアレーサー」を挙げる方が目立ちます。
そこでこの記事では、時計のプロ目線で見たタグホイヤー アクアレーサーの魅力を解説いたします!
併せてアクアレーサーの人気モデルもご紹介いたしますので、どれがいいか迷っている方も要チェック!!
目次
タグホイヤー アクアレーサーとは?
アクアレーサーとは高い防水性能を誇るタグホイヤー唯一のダイバーズライン。
さらに実際のプロダイバーがデザイン・開発を手がけたと言う、信頼性には太鼓判を押せる、プロスペック仕様モデルとなります。
アクアレーサーという名称の初出は2000年代からと結構最近ですが、タグホイヤーは防水時計の開発に大変長い歴史を有していることをご存知でしょうか。
まず、1895年に懐中時計用の防水ケースで特許取得。
以来防水ノウハウを蓄積していき、クロノグラフの防水モデルや世界初の角型防水時計モナコを1969年に発表しました。
続く1979年、200m防水を備えた1000シリーズを手掛けます。
画像引用:TAGHEUER
※タグホイヤー1000シリーズ
今でこそロレックスのシードゥエラー ディープシーですとか、オメガのシーマスター プロプロフなど、200mどころか1000m防水を超えるハイスペックダイバーズは珍しくありません。
また、100m、200m防水を有することはもはやスポーツウォッチとしてはスタンダードになりつつあります。
高い防水性と言うのは現代の市場の要請でもあるためですね。
しかしながら1979年当時に200m防水というのは、非常に画期的な仕様として話題になりました。
この1000シリーズは逆回転防止ベゼルや夜光インデックス、ねじ込み式リューズなどダイバーズウォッチにマストな機能を備えており、以降2000シリーズ、3000シリーズ・・・と続きます。
そしてこのシリーズのスペックと意匠を引き継いで2000年代に誕生したのがアクアレーサーです。
2009年に500m防水の飽和潜水可能のアクアレーサー 500Mをヒットさせたことを皮切りに、同シリーズの全モデルで高い防水性(基本は300m防水)を獲得することとなりました。
現在ではおなじみキャリバー5搭載機からクォーツモデル、クロノグラフやGMT機能搭載の多機能機。
そしてレディースラインなど幅広い商品展開をしており、海を象徴する本格ダイバーズの一大コレクションとして高い人気を誇っております。
プロが語るタグホイヤー アクアレーサーの魅力とは?
タグホイヤー アクアレーサーには、ダイバーズウォッチらしからぬ洗練されたデザインや、機能性、コストパフォーマンスの高さなどたくさんの魅力があります。
タグホイヤー アクアレーサーの魅力をプロ目線で解説いたします。
魅力①洗練されたデザイン
ダイバーズウォッチと言うと、とかくゴツくなってしまいがち。
もちろん一目で堅牢性が見てとれるゴリゴリのダイバーズ、と言った外観が魅力の一つでもあります。
実際、ダイビングスーツで存在感を放つ時計というのは、そんなデカ厚が特徴的な一本でしょう。
一方でタグホイヤーのアクアレーサーは、どこまでも洗練されたデザインを有します。
ダイビングスーツというよりもパリッとしたスーツスタイルや、ちょっと特別な日―例えばデートなど―のタウンユースでこそ輝きを発揮する。
そんなデザインのように思います。
ケースサイズは36・40・41・43・45mmの種類があり、36mmはユニセックスサイズ、40mm以上は男性向けサイズです。
厚みはモデルにもよりますが11mm台~16mm台ほどと、決して大きすぎるということはありません。
また、シンプルながら角張ったベゼルや、柔らかな丸みを描いたケースなど、そこかしこにタグホイヤーらしいかっこよさと高級機らしいエレガンスが同居します。
そんな無骨さとは無縁のデザイン。
これは、タグホイヤーの設計力や技術力の高さに比例しているからに他なりません。
スペックを優先するとデカ厚になってしまうものですが、タグホイヤーは前述の通り全てのモデルで300m以上の防水性を確保しております。
また、夜光塗料の範囲を広くとりつつも、インデックスや針はさりげないバータイプで上品さをも大切にしています。
ハイスペック・ハイデザイン。
そんな時計がタグホイヤーのアクアレーサーなのです。
魅力②日常に息づく機能性
2009年に500mの飽和潜水可能アクアレーサーを発表した、と前述しましたが、今では200m~300m防水がレギュラーラインとなります。
これはスペックダウンしたわけではありません。
現在のアクアレーサーのハイスペックさは、実際のダイビングにおいて、と言うより普段使いに対しての機能に依っているためです。
例えば外装に定番のステンレススティールだけでなく、PVD加工を施したチタンや、セラミック製ベゼルなど軽量かつ強靭な素材を採用しています。
これによって、ダイバーズウォッチにありがちな「重い」といった悩みや、普段使いでの傷が気になる、というような不安を解消してくれることとなりました。
また、セラミック製ベゼルを使用したモデルの、耐衝撃性・耐傷性も嬉しいところですね。
さらに、搭載されるムーブメントはキャリバー5やキャリバー16、そしてクォーツといった、タグホイヤーの中でもおなじみで信頼性高い機械となっています。
ソーラークォーツなど、アウトドアで頼れる機能を搭載したモデルもラインナップされています。
「外装はしっかりしている・かっこいいのに、時計としての精度はいまいち・・・」そんな見掛け倒しなダイバーズウォッチは存在しますが、タグホイヤーのアクアレーサーに至ってはその心配はご無用です。
このように、「ダイバーズウォッチとして」のみならず、ビジネス,タウンユース,アクティブシーン・・・様々なライフスタイルにおける日常でこそ真価を発揮してくれるような機能性が魅力です。
魅力③抜群のコストパフォーマンス
タグホイヤーの大きな魅力と言えばコレ!
アクアレーサーだけに限った話ではありませんが、大きな魅力はコストパフォーマンスの高さにあると言ってよいでしょう。
ただ安い時計は探せばいくらでもあります。
しかしながら、前述のように高級時計らしいデザイン性や完成された機能とリーズナブルな価格を両立できるブランドと言うのはそう多くはありません。
タグホイヤーは独自の生産ラインを確立し、汎用機を上手に使うなど効率良く高品質ウォッチを製造しています。
例えば自動巻きモデルに搭載されているメインのムーブメントキャリバー5は、高性能かつ低コストであるセリタ社のSW200をベースにして作られています。
さらに商品ラインナップが幅広く、リーズナブルなモデルのみならずハイエンドモデルも製造しているため、高級時計としてのノウハウも持ち合わせている、といったことも大きいのでしょう。
タグホイヤーはプロモーション活動にも意欲的で、時計に詳しくない方でも同社の名前やロゴは知っているという方は少なくありません。
そのため、多くの方から「有名な高級ブランドの時計を身に着けている」ということを認識してもらえるという、ステータスシンボルとしても申し分のない役割を果たしてくれます。
この価格帯でこれほどまでのステータス性や知名度があることを鑑みれば、そのコストパフォーマンスの優秀さは一目瞭然ですね。
以上三点が、プロをも唸らせるタグホイヤー アクアレーサーの魅力となります。
タグホイヤー アクアレーサーの人気モデルを紹介
タグホイヤーのさらなる魅力の一つに、「例年多彩なバリエーションモデルを次々とリリースして我々時計ファンを飽きさせない」ということがあります。
とは言え定番どころも当然あって、そちらは何年も変わりません。
アクアレーサーで言えばステンレススティール製のキャリバー5(タグホイヤーの3針自動巻きの基幹ムーブメント)搭載モデルが、いわゆる「定番」となります。
アクアレーサーの特徴でもある300m防水ケースに立体感ある12角形の逆回転防止ベゼル。
バーインデックスと太く見やすい時分針、横縞に太く引かれたギョーシェ文字盤・・・そんな、前述したオンオフ問わず使いやすいファッション性を有したモデルが目をひきます。
その一方で、例年新作を意欲的に発表しており、その中にはユニークなもの・タグホイヤーらしいデザイン性を活かした抜群にオシャレなもの・限定生産のスペシャルなもの等、様々なアクアレーサーをお楽しみ頂けるのです。
ここからは「人と違ったアクアレーサーが欲しい」「タグホイヤー通を自称している」そんな方々にもおすすめの、当店人気モデルをご紹介します。
アクアレーサー キャリバー7 GMT WAY201T.BA0927
型番:WAY201T.BA0927
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径43mm
文字盤:ブルー
駆動方式:自動巻き(キャリバー7・持続時間約46時間)
キャリバー7は、タグホイヤーのGMT搭載キャリバーです。
これまでにカレラやフォーミュラ1にも搭載されており、アクアレーサーでは2017年に登場した赤青ベゼルのRef.WAY201F.BA0927が最も有名かもしれません。
※2017年にリリースされたアクアレーサー WAY201F.BA0927
そして2020年には、青黒ベゼルが登場して人気を博しました。
傷つきづらく、金属とはまた違った質感を持つセラミックベゼルがバイカラーとなったアクアレーサー、パッと見てとてもさわやかなことがわかりますね!
このカラーリングもまた、初出ではありません。
しかしながら前述の通り、ここ何年か注目を集めてきた色使いなのです。
例えば2013年にリリースされたロレックスのGMTマスターIIが最も有名かもしれませんが、タグホイヤーでもカレラ ホイヤー02のGMT搭載機やフォーミュラ1等でも用いられており、リリース直後から (どちらも発売から数年経過している)大変な人気を集めてきました。
さらに特徴的な横縞ギョーシェの文字盤もブルーに彩られ、さらにサンレイ仕上げが施されることで光の当たり加減で表情を美しく変える、という面白みも。
真夏の太陽光の下で、思う存分使いたいアクアレーサーではないでしょうか。
スペック自体は従来のアクアレーサー同様に300m防水、キャリバー7搭載となりますが、いつ着けても目をひくハイセンスな一本となっております。
また並行輸入品でも30万円前後~で、購入できる気軽さも良いですね。
なお、リーズナブルで使いやすいクォーツ搭載モデルに関しては、中古市場で人気となっています。
アクアレーサー クォーツ WAY101L.FC8222
型番:WAY101L.FC8222
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径43mm
文字盤:ブルー
駆動方式:クォーツ
サンレイ仕上げが施された、グレー文字盤が美しいこちら。
実はグレーもまた、時計業界で注目されているカラーとなっております。
スーツやハット等、ファッションアイテムでは古くから定番カラーであったグレーですが、時計ではそこまでメジャーではなかった理由。
それは、金属素材をグレーにうまいこと色づける技術が確立されていなかったためです。
しかしながら近年、加工技術が飛躍的に進歩すると、グレーをあしらうことはもちろん、そこになんらかの仕上げや装飾を施した、ファッショナブルなのにエレガンスな高級機が続々と各メーカーから輩出されるようになりました。
有名どころだと、ロレックスのヨットマスターやパネライのルミノール,ウブロのクラシックフュージョン等でしょうか。
タグホイヤーは、そんな流行りのグレーに、カーキグリーンベゼルとNATOストラップを合わせるという憎い演出!
グレーは様々な色合いと親和性が高いと言われていますが、カーキグリーンが融合することで、上品さの中にも野趣的でダイバーズウォッチらしい精悍さを醸し出すこととなりました。
クォーツのため、新品であっても15万円以下で手に入る、というのも嬉しいですね。
通ならチェックしておきたいアクアレーサーではないでしょうか。
この他にも、様々な特別モデルが存在し、注目を集めています。
特筆すべきは2020年に発表された、べっ甲柄をベゼルにあしらったこちら。
※タグホイヤー アクアレーサー WAY201N.FT6177
べっ甲自体は、人類が古くから装飾品として用いてきました。
日本ではかんざし、そして現代ではサングラス等が有名ですね。
そんなべっ甲を模したパターン(現在、べっ甲は取引制限されているため、出回るもののほとんどは柄)をベゼルにあしらうことで、アクアレーサーのスポーティーさにエキゾチックテイストが加わります。
さらに汗や水に強いラバーベルトをあしらうことで、正真正銘、アクアマリン楽しめるダイバーズウォッチへと昇華されています。
搭載するムーブメントはキャリバー5。
前述の通りタグホイヤーの自動巻きムーブメントであり、信頼性の高さはお墨付き。
キャリバー5は汎用ムーブメントであるため、こちらの特別なアクアレーサーも、新品でも28万円以下とお値打ち。
タグホイヤーらしくコスパ抜群のモデルといえるのではないでしょうか。
アクアレーサー キャリバー5 WAY2010.BA0927
型番:WAY2010.BA0927
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径43mm
文字盤:ブラック
駆動方式:自動巻き(キャリバー5・持続時間約38時間)
カレラやフォーミュラ1など、様々なモデルに搭載されてきた定番のキャリバー5を用いたアクアレーサーです。
当店で例年人気が高く、アクアレーサー内はもちろん、タグホイヤー全体の人気ランキングから見ても、上位の常連。
何度か本稿でご紹介していますが、キャリバー5は3針+デイト(またはデイデイト)のみのシンプル機構。
一方でクロノメーター認定(高精度を証明する時計の工業規格のこと)という高い信頼性を備えており、時計業界から評価する声は少なくありません。
なお、キャリバー5はセリタ社のムーブメントをベースに使っていることから、リーズナブルな価格の秘訣の一つとなっています。
ちなみにひとくちにキャリバー5搭載モデルと言っても、そのバリエーションの多さもさすがタグホイヤー。
一番人気はブラック文字盤ですが、清楚なホワイトやオシャレなブルー文字盤も人気。
特に派手すぎるということもないので、スーツを常用している方にとっても扱いやすい色合いではないでしょうか。
さらにキャリバー5搭載モデルからも、様々な文字盤カラーがリリースされています。
こちらは、シックな印象のブラウン文字盤。
これらのほとんどが新品でも40万円を超えない価格帯のため、初めて機械式時計に挑戦する方にもお勧めです。
アクアレーサーキャリバー5 WAY201B.BA0927
型番:WAY201B.BA0927
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径43mm
文字盤:ブルー
駆動方式:自動巻き(キャリバー5・持続時間約38時間)
同じキャリバー5搭載のアクアレーサーですが、傷つきづらいセラミックベゼルをあしらったモデルです。
こちらはスポーティーな印象が増しますが、メタルベゼルと併せて大人気。
セラミックのみベゼルをあしらう手法もやはり現在時計業界ではメジャーなのですが、アクアレーサーのアイコニックな12角形ベゼルに象られて、特徴的な顔立ちとなります。
こちらのアクアレーサーも、派生モデルが豊富です。
アクアレーサーによく見られる、水平加工を施した文字盤の他、マットタイプや特別な色味をしたモデルも存在します。
2018年からは新しいラバーストラップやNATOストラップタイプが追加され、ますます使い勝手が良くなりました。
アクアレーサー クォーツ WBD1112.BA0928
型番:WBD1112.BA0928
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径41mm
文字盤:ブルー
駆動方式:クォーツ
これまで機械式をメインにご紹介してきましたが、「メンテナンスにあまり時間をかけられない」「予算に限りがある」「利便性を重視する」という方は、ぜひクォーツ搭載モデルをお選びください。
クォーツは機械式と異なり基本的には電池駆動のため、電池が切れない限りはずっと動き続け、かつ機械式よりも高い精度を出しやすいというメリットがあります。
また、機械的な構造が少ないため衝撃に強く(もっとも、アクアレーサー自体が堅牢な造りとなっていますが)、量産しやすいのでリーズナブルというメリットも。
アクアレーサー クロノグラフ CAY2110.BA0925
型番:CAY2110.BA0925
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:直径43mm
文字盤:ブラック
駆動方式:クォーツ
クォーツムーブメントに、クロノグラフ機構を備えたコレクションです。
クロノグラフは大変人気の機構。
実生活で絶対不可欠な機能・・・というわけではありませんが、インダイアルが縦目に並んだ計器然とした顔立ちが、スーツスタイルにピリッとしたスパイスを添えてくれそうです。
なお、クロノグラフ搭載機はどうしても価格が高くなりがちですが、クォーツ機構のため他のアクアレーサー同様に新品でも30万円以下という価格帯が嬉しいところ。
なお、こちらもセラミックベゼルタイプがリリースされており、スタイリッシュさはメタルベゼルと引けをとりません。
まとめ
タグホイヤー アクアレーサーの、魅力と人気モデルをまとめてみました。
アクアレーサーは価格帯や日常に溶け込む機能性を見ると、高級時計のエントリーモデルにふさわしいと思うかもしれませんが、実はプロからも評価が高いという側面も持ち合わせた稀有な存在です。
また、リーズナブルと言うことは、時計好きが二本目、三本目のサブ機としても所有して楽しめるということ。
バリエーションも豊富なので、手ごろな中古市場でもお気に入りの1本を見つけてみてください。