「チューダーの年式はどうやって確認するの?」
「チューダーのシリアルナンバーの読み方について知りたい」
自分のチューダー(チュードル)がいつ作られたものか知りたいと、お問い合わせを頂くことがよくあります。
メーカーの公式発表がありませんので、正確にいつ作られたということを言うことは難しいのですが、大まかには知ることができます。
そんなチューダーの年式の調べ方について知りたいという人は多いのではないでしょうか。
どの方法でも正確な年代を割り出すことは難しいのですが、時計の各所に製造年代を確認するための手がかりが潜んでいます。
この記事ではチューダーのシリアルナンバーの読み方を、GINZA RASINスタッフ監修のもと解説します。
シリアルナンバー以外の年式の確認方法も紹介しますので、チューダーに興味がある方はぜひ参考にしてください。
目次
①チュードルについてのおさらい
チュードルは日本での正規販売店がなく、並行店や海外でしか手に入らないブランドですので日本での知名度はそこまで高くはありません。
チュードルは1926年に誕生したブランドで、創始者はハンス・ウィルスドルフ氏。ロレックスの創始者です。
ロレックスは創設当初、高い製造技術を持ちながらも製造コストが高いために認知度が上がらないことに悩まされていました。
そこで多くの人に受け入れられるような普及用廉価版ブランドを生み出しました。それがチュードルです。
こちらの写真をご覧ください。
ロレックス サブマリーナ 16610 / チュードル サブマリーナ 75190
この2つはロゴ以外、そっくりな外見をしています。
チュードルには文字盤やリューズ、裏蓋といった大半のパーツにロレックスのパーツが使われています。
世界初の腕時計用防水ケースであるオイスターケースが使われており、低価格でありながらロレックスの性能を持った時計と言えます。
チュードルの人気が出たことでロレックスも急速に認知度が高まり、立派に勤めを果たしたチュードルは1990年代から独自のブランドとして歩み始めました。
②シリアルナンバーから製造年代を知る
チュードルの製造年代を知る要素はロレックスと同様シリアルナンバーです。
創業より順に付与されていたシリアルは1984年に数量が1,000,000に達したため一度リセットされました。
その後1990年からは頭に「B」の文字が付き、その数量が1,000,000まで達したので今度は「H」がつけられています。
その後は頭に「I」や「J」が付くものが登場していますが具体的な年代はわかっていません。
シリアル 年代
24xxxx 1956
25xxxx 1957
26xxxx 1958
27xxxx 1959
28xxxx 1960
34xxxx 1961
34xxxx 1962
39xxxx 1963
43xxxx 1964
46xxxx 1965
50xxxx 1966
57xxxx 1967
62xxxx 1968
68xxxx 1969
74xxxx 1970
75xxxx 1971
77xxxx 1972
79xxxx 1973
81xxxx 1974
83xxxx 1975
84xxxx 1976
86xxxx 1977
88xxxx 1978
90xxxx 1979
93xxxx 1980
95xxxx 1981
97xxxx 1982
98xxxx 1983
99xxxx 1984
1xxxx 1984
14xxxx 1985
17xxxx 1986
19xxxx 1987
21xxxx 1988
26xxxx 1989
B33xxxx 1990
B36xxxx 1991
B39xxxx 1992
B50xxxx 1993
B56xxxx 1994
B58xxxx 1995
B79xxxx 1996
B85xxxx 1997
B99xxxx 1998
H10xxxx 1999
H17xxxx 2000
H24xxxx 2001
H30xxxx 2002
しかしながらロレックスはシリアル以外にも、クラスプに刻印された「クラスプコード」で製造年代を大まかに知ることができます。
ブレスレット交換が行われている場合には刻印も変更になってしまうので確実とは言い切れませんが、チュードルはクラスプコードがロレックスと共通であるのでこちらからも年代を読み取ることができます。
③ロゴデザインから製造年を絞る
また、ロゴデザインやケースの形状などでも大まかに年代を絞ることができます。
チュードルは様々なロゴマークが使われており、そのデザインによって判別が可能とされています。
チュードルのロゴマークは現在は盾のマークですが、創業初期はバラを模したマークが使われていました。
「チュードル」のブランド名はイギリスの「チューダー(TUDOR)」家に因んで付けられました。
チューダー家はエリザベス女王一世を始めとする5人の歴代イングランド王を輩出した名家であり、その家紋が「チューダー・ローズ」と呼ばれるバラを模したものでイギリス国民にとても親しまれている紋章です。
その紋章をアレンジしたバラのマークを12時のインデックス位置に大きく配置されたものは「デカバラ」と呼ばれています。
その「デカバラ」よりももっと前に作られた、最も歴史の深いロゴは「コバラ」と呼ばれるもので、12時のインデックスの下にさりげなく配置されていました。
また、チューダー家の盾とバラのエンブレムを組み合わせた「タテバラ」と呼ばれるデザインも60年代後半まで見られました。
1970年代、ハンス・ウイルスドルフ氏の死を境に、現在の盾のマークのロゴになります。
バラのマークは繊細な仕上げでコストが高いため、シンプルな盾のデザインになったといわれています(諸説あり)。
④ケースの形状から製造年を絞る
チュードルの製造年式はケースの形でも判別することができます。
チュードルの人気モデル「クロノタイム」。
現在は生産が終了しているものの、1976年に誕生した自動巻きクロノグラフで、それまで手巻きしか存在しなかったクロノグラフモデルに
自動巻きクロノグラフムーブメントであるETA「バルジューCal.7750」を搭載し、精悍なデザインで人気を集めました。
初期モデルは型番が「94**」のものです。
「バルジューCal.7750」は7㎜にも及ぶムーブメントですので、ケースも非常に分厚いものになっています。
ケースの側面がかまぼこを連想させることから「カマボコケース」と呼ばれました。
1990年頃にはセカンドモデルと呼ばれる「791**」が登場します。
このシリーズはデイトナに一番似ているといわれており、ケースやリューズは本家のデイトナのパーツが使われています。
ムーブメントには初期モデル同様「バルジューCal.7750」を搭載しているため、カマボコケースが使われています。
1995年にはクロノタイムの最終モデルである「792**」が登場しますが、これまではケース側面が切り立った形状の直線的なデザインでしたが、曲線を生かしたデザインになっています。
続く1999年に登場した「792**P」ではラグ正面の仕上げがサテン仕上げからポリッシュ仕上げに変更になっています。
最後に
いずれの方法でも正確な年代を割り出すことは難しいのですが、時計の各所に製造年代を知るための要素が潜んでいます。
お手持ちの時計をじっくり見つめて、いつ作られたものかに思いを馳せるのもいいかもしれません。
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。
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