2020年4月7日付で、ロレックスより正式に「2020年新作発表の延期」が公表されていました。
バーゼルワールド2020が開催延期となり、各ブランドの新作はどのようにローンチされるのかは、ここ最近時計業界で大きな関心を集める話題でした。
一方で沈黙を貫いてきたロレックス。7月に入るとチューダーが人気ライン「ブラックベイ58」の新色追加をリリースしましたが、それっきり音沙汰無・・・しかしながらこの度、2020年新作発表を9月1日~9月4日にかけて行うことが明かされたようです!
この記事では、ロレックス,チューダーが、パテックフィリップに次いで下した決断について詳報いたします。
目次
【2020年7月10日追記】ロレックスが2020年新作発表情報を解禁!サブマリーナが生産終了!?
7月10日、ロレックスの新作情報が解禁されました。
冒頭でもご紹介したように、9月1日~9月4日にかけて、お披露目が行われるようです。
その一週前、8月26日~8月29日にかけて、ブルガリやブライトリングが中心となって行われるジュネーブ・ウォッチ・デイズの開催が予定されています。そのため、各情報機関や時計業者がジュネーブに集結する機会を狙ったのでしょう。
なお、チューダーでは既にブラックベイ58の新色が発表・販売スタートしていますが、これ以外の新作については何もわかっていません。恐らくこの9月で、ロレックスとともに新作の公開を行うと考えられます。
ちなみに、ロレックスと足並みをそろえて2020年新作発表の延期を決断したパテックフィリップも、6月中旬にカラトラバの世界限定1000本モデルをリリースしましたが、あくまで「新工場竣工のお祝い」的な立ち位置。
7月に新作発表を改めて行う、という話を聞きましたが、新型コロナウイルス等の社会情勢が落ち着いていないことを鑑みると、あるいはこれまたロレックスと同時リリースという可能性もあるかもしれません。
ところでロレックスの新作発表と言えば、気になるのがその顔ぶれですね!
例年、どのブランドも魅力的な新作を発表してきましたが、やはりロレックスは別格のようにも思います。新作発表前夜は、各国のサイトで新作予想が喧々諤々(けんけんがくがく)と議論されます。
今回、どのような新作が生み出されるのか・・・ただ、どうもサブマリーナ説が濃厚だ、という見解が各国で強くなっています。
サブマリーナと言えば、ロレックスの不動の人気ロングセラーであり、ダイバーズウォッチの代名詞的存在でもあります。
現行の116610LNおよび116610LVは2010年より製造が開始されました。
歴代サブマリーナで、おおむね10年スパンで新型発表が行われてきたこと。加えてロレックスが近年力を入れている新型ムーブメント移行が済んでいないことから、Cal.3135⇒Cal.3235へと載せ替えが行われるのではないか、ということが根拠となります。
そうなってくると、現在既に相場高騰が激しいサブマリーナ。とりわけグリーンサブの呼び名で親しまれる116610LVには、買いが殺到してしまいそうですね。
また、弊社の下記「新作予想記事」では、赤サブ(初代デイト付きサブマリーナの一部にのみ採用されたレア個体)が文字盤意匠で復活するのでは・・・といった願望も含めた予測を打ち立てております。
ロレックスからの、新作発表ががぜん待ち遠しくなりましたね!
なお、次項は4月にロレックスから発表された、新作の無期限延期に関する報道となります。
ロレックス&チューダーが2020年新作ローンチを無期限延期
2020年4月7日付で、ロレックスおよびそのディフュージョンブランドにあたるチューダーが、2020年新作発表を無期限延期する旨を公表しました。
理由は新型コロナウイルスの感染拡大により、一切の集会やカンファレンスを避けるため、とのことです。
ご存知の通り、現在世界中で新型コロナウイルス(COVID-19)が蔓延し、猛威を振るっております。
新型コロナウイルスが、時計業界に限らずあらゆる産業に与えた影響は計り知れません。差し当たっての時計業界にとっての危機は、「各社の新作発表の場の喪失」でした。
と言うのも、4月25日~4月29日までに予定されていたWatches & Wonders Geneve(旧SIHH)、および4月30日~5月5日までにやはり予定されていた世界最大級の新作発表見本市バーゼルワールドの、開催が見送られたのです。
もっとも、バーゼルワールドは見送りとは言え「2021年開催」を決定していますが・・・
近年、各社の新作発表の場は必ずしも見本市に留まらず、SNSや独自プレスリリース、あるいは独自見本市開催など多岐に渡ってはいましたが、やはり上記二つの展示会が持っていた意味は小さくはありませんでした。
とりわけバーゼルワールドの大黒柱のような存在であったパテックフィリップとロレックス。この二社の2020年新作発表の場への予測―あるいは憶測は、そこかしこで囁かれていました。
実際のところ、当初はロレックスおよびチューダーは、4月末に公式ホームページで新作公開を予定していたようです。
しかしながらパテックフィリップが2020年開催見送りを発表すると、ロレックスとチューダーもそれに追随することとなりました。
理由としては前述の通り、「世界全体に影響をおよぼしている新型コロナウイルスの脅威を考慮」した結果、少しの集まりも回避することを最優先したものとなります。
とは言えパテックフィリップと異なりロレックス&チューダーは「2020年開催見送り」ではなく、ローンチのタイミングはまだ未定、とも言っています。
つまり、早い段階で新型コロナウイルスが収束すれば、2020年内の公表もありうる、と。
一方でもし年内公表できたとしても、実際に生産が年内に可能かどうかは予測不可能です。
ロレックスやパテックフィリップのみならず、ゼニスやウブロ、タグホイヤーなど多くのブランドが新型コロナウイルスを受けて工場を閉鎖しており、実質供給はストップしている状態であるためです。
当初、3月17日~3月27日と期間を区切っておりましたがスイス国内の情勢を鑑みて、まだ閉鎖は続けているブランドがほとんどです(ブライトリングなどはいち早く再開を決定したようですが)。
これまた既にご存知かもしれませんが、ロレックスやチューダー、パテックフィリップは現行の人気モデルに非常に需要が集中しており、供給が追い付いていない状態です。一部モデルで予約受付を開始したようですが、すぐにいっぱいになってしまったとか。
通常、各社にとって新作がその年の売上に占める割合は、決して少なくありません。そのため従来のモデルも通常と同じように生産して、新作のファーストロットも年内に行う、というのは現状難しいでしょう。
また、売ろうにもブティックが休業しているため、販路を確保できないことを意味します。
しかしながらパテックフィリップなどは、一部の業者のみにeコマース(通信販売)を開始しました。これは、パテックフィリップ史上初のこととなります。
また、watchpro.comの報道によると、イギリス国内で大きなシェアを誇る「The Watches of Switzerland Group」(スイス時計をメインに販売するショップ)は、6月末には何とか事業再開にこぎつけたい、と話しているとのこと。
もちろん今後の新型コロナウイルスや各国の動向によっては予定が変わってきますが、早く猛威を振るう感染症が収束し、また時計業界が盛り上がってほしいものですね!
まとめ
ロレックスとチューダーが4月7日付で発表した、2020年新作発表の無期限延期について、および7月10日付で新たに発表されたロレックスの新作情報解禁について商法いたしました。
9月時点で社会情勢がどうなっているか、不確実性の高い昨今、予測が困難です。
しかしながら、暗いニュースばかりではありませんね!
現在の、未曾有の世界的な危機の収まりを祈るとともに、ロレックスからの発表を待ちましょう!
当記事の監修者
田中拓郎(たなか たくろう)
高級時計専門店GINZA RASIN 取締役 兼 経営企画管理本部長
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
当サイトの管理者。GINZA RASINのWEB、システム系全般を担当。スイスジュネーブで行われる腕時計見本市の取材なども担当している。好きなブランドはブレゲ、ランゲ&ゾーネ。時計業界歴12年