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フランクミュラーでお勧めの時計はどれ?カサブランカやロングアイランドなど売れてるモデルを大公開
最終更新日:
フランクミュラーの創業は1992年と、決して老舗というわけではありません。しかしながら今や世界有数の人気ブランド。芸能人や一流スポーツ選手の愛用者も非常に目立ちます。
そんなフランクミュラーの時計が気になっている、という男性陣は多いことでしょう。日本でフランクミュラー人気に本格的に火が付いたのは2000年代半ばでしたが、近年ではパティスリーやインテリアなど事業の多角化にも乗り出しており、メディア露出が増えるにつれ、さらに知名度を向上させることとなりました。
一方でかなりシリーズが豊富で、デザインやサイズも多岐に渡っており、いったいどの時計を選んでいいかわからない、というお問合せをいただくことがあります。
そこでこの記事では、東京 銀座の高級時計専門店GINZA RASINのスタッフが、ロングアイランドやカサブランカ・ヴァンガードなど、フランクミュラーの中でオススメしたい時計をご紹介いたします!また、当店での人気売れ筋モデルも併せて掲載しております。
スイスきっての人気ブランドが織りなすオシャレでエレガントな時計を、ぜひ腕元で感じてみてください。
※掲載する定価や価格情報は2019年11月現在のものとなります。
目次
フランクミュラーってどんなブランド?
フランクミュラーは同名の天才時計師によって創業されたブランドです。冒頭でも述べた通り1992年誕生と、100年単位での操業が当たり前の時計界にとってはまだまだ「新参者」と言えるでしょう。
ただ、この天才時計師は、「ブレゲの再来」とも称されるほどの男でした。時計学校在学当時からその天賦の才を発揮しましたが、卒業後はどのメーカーにも属さず、独立時計師として活躍します。ちなみにロレックスの誘いを断ったとか。
フランク・ミュラー氏のような経歴を持つ職人は時計業界にはたくさんはいませんが、かと言っていないわけではありません。実際、彼と同窓のアントワーヌ・プレジウソ氏を始め、自身の工房を持ち、自分の作りたい作品をほぼ受注生産で製造していく独立時計師が少数ながら存在します。
ただ、フランクミュラーが創設後にたどった稀有な経歴は、今では世界規模ともなるブランドに成長したこと。しかも、スウォッチグループやリシュモン、LVMHなどと言った巨大コングロマリットのどこにも属さず、独立したままそれを成し遂げてしまったのです。
むしろ、ピエール・クンツやクストスなどと言った小規模ブランドを傘下に加えて、多角経営を成功させています。
このように華やかな社史を持つフランクミュラーですが、その時計製品もまた輝かしいものがあります。
フランクミュラーの時計を一言で表そうと思えば「オシャレ」につきます。デザインが本当に見事なのです。実際、TOKIOの松岡昌宏さんや元SMAPの中居正広さん・稲垣吾郎さん。俳優の山本耕史さんやアナウンサーの軽部真一さん。一流スポーツ選手の香川真司さんやクリスティアーノ・ロナウドさんのようなハイソなメンズたちに愛されてきました。
例えばフランクミュラーのラインナップに、オーソドックスなラウンドケースはあまりありません。代わりに樽のようなトノー型とレクタンギュラー(長方形)型ケースを二本柱に、どの時計ブランドとも異なる独創的なデザインを生み出しています。しかしそこに変に目立った奇抜さはなく、むしろエレガント。既存のどのデザインとも異なるのに、高級感やクラス感は損なっていないところが特徴です。
また、ロレックスやオメガなど人気ブランドにありがちな「他人とのモデル被り」がないのも嬉しいところ。
フランクミュラーがなぜここまで人気が出ているのかと言うと、この点が大きいように思います。
通常、ブランドは一つのシリーズでターゲットを決めています。男性女性どちら向けか?年齢層は?どんなファッションを好むのか?と言った具合です。そのため同じ属性に位置する人間同士で、所有する一本が被ってしまうことは珍しくありません。派生モデルが少なければなおさらです。
しかしながらフランクミュラーは一つのシリーズ内でターゲットを決めていないのではないか?と思われる製品展開をします。メンズ・レディースの区別すらしていないのではないか、と。
例えば「トノーカーベックス」という代表シリーズがあるのですが、この中には様々なサイズ・デザイン・素材が展開されています。例えばビジネス向けのモデルを探している男性であればステンレススティール×シンプル文字盤の一本を。オフのカジュアルスタイルに合わせたい男性であればデカ厚で派手めのデザインを・・・
シリーズ全体では幅広いターゲティングを行い、その中のデザインなど細かな部分でそれぞれのライフステージやライフスタイルに合致したモデルを販売する。つまりデザインが豊富で、自分の好みだけにドンピシャな一本を見つけやすい、というメリットがあるのです。
こういった、どの時計ブランドもやってこなかったブランド戦略を採ることで、30代~40代のファッショニスタを中心に絶大な人気を博すようになった、というのがフランクミュラーの強みでしょう。
ちなみに女性からの評価も高く、女性芸能人やモデルの愛用者も目立ちます。つまり、女子受けも抜群ですよ!
フランクミュラーのオススメ時計①トノーカーベックス カサブランカ
前述の通り、トノーカーベックスはフランクミュラーのフラグシップです。
創業者であったフランク・ミュラー氏は現在は直接経営に携わってはいないのですが、その氏が創業以前に自ら創作していた時計ケースであり、曲線を活かした優美なフォルムを持つこと、湾曲することで心地よい装着感を実現したことなどから、今なお名作として一番人気を博しているシリーズです。
トノーカーベックスシリーズの中でも様々なバリエーションがあり、あらゆるファン層を魅了していることもまた前項でお話した通りですが、さらにその中でも最も人気の高いメンズモデルが「カサブランカ」です。
「カサブランカ」はトノーカーベックス黎明期からラインナップされてきた、同社にとっては歴史あるモデルです。
モロッコの都市「カサブランカ」および映画『カサブランカ』からインスピレーションを得た、と言います。
カサブランカは、フランクミュラー初のステンレススティールモデルを採用(今では珍しくないが、当時の同社は金無垢が主流だった)しています。
これは、モロッコ始めアフリカ東部に広がる砂漠の砂や暑さによる発汗への耐久、ひいてはバカンス旅行や日常で気軽に使用することのできる普段使いの実用腕時計を作るための試みでした。
文字盤カラーなどにバリエーションはありますが、カサブランカの特徴は中央から延びるように配された力強いアラビアインデックス。それだけで強いインパクトを与えますね。
ケースサイズにもバリエーションがあり、オーソドックスな縦45mm×横32mmサイズや大きめの縦50.4mm×横36.0mmなどがラインナップされています。「スーツにはちょっと大きいかな?」と思うかもしれませんが、トノーケースのラインが流麗なため、とてもエレガンス。
フランクミュラーを使いこなせるととてもかっこいいので、ぜひ一度ご試着ください。
なお、気になる定価は高めで100万円超えが当たり前。
ただ、フランクミュラーは正規価格と並行輸入価格の差が大きいブランドです。並行輸入とは海外正規店など、メーカーを通さず独自ルートで製品を仕入れることで、モノは変わりませんが正規価格に縛られません。そのため多くのケースで定価よりも安い金額で販売されている、という消費者にとってのメリットがあります(ただしフランクミュラーは国内正規商品以外はメーカー修理が受け付けられません。販売店の提携修理会社でメンテナンスすることになるので、購入店は時計販売に実績があり、修理ノウハウがあるところを選びましょう)。
そのため並行輸入価格であれば、30万円台~100万円以上。バリエーションが豊富なためプライスレンジが広くなりますが、ステンレス製かつ3針というシンプル機構であるため、平均的な新品価格は50万円台~70万円台。また、フランクミュラーは中古だともっとお安くなるので、予算を抑えたい方は状態の良い中古製品を探す、と言うのも手ですね。
トノーカーベックス カサブランカ 人気モデル
カサブランカ サハラ 5850CASA SAHARA AC
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:縦45mm×横32mm
重量:56g
駆動方式:自動巻き
防水性:日常生活用防水
当店でのカサブランカ一番人気はこちら!革ベルトで非常にシックにまとめ上げた一本です。
ケースはトノーカーベックスと呼ばれる流麗なケースで、縦45mm×横32mmとちょうどよい大きさのためスーツの袖口からもオシャレな存在感を発揮します。
このラインの中にもいくつかの文字盤バリエーションがあるのですが、カサブランカと言えば灼熱のサハラ砂漠をイメージしたこの「サハラ」。モロッコに広がるこの砂漠の、日に焼けた情景がモチーフです。
マット仕上げの文字盤に夜光が焼けた、最近流行りのヴィンテージ感も味わえる一本と言えるでしょう。
なお、定価は100万円超えと、かなり高価格と思うかもしれませんが、ご安心ください。
フランクミュラーは正規価格と新品並行相場でかなり価格に差があるブランドで、実勢相場は54万円前後~。中古であればさらにお安く40万円をきる価格で手に入れることも可能です(コンディションによる)。
カサブランカ 5850CASA OAC
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:縦45mm×横32mm
重量:127g
駆動方式:自動巻き
防水性:日常生活用防水
同じくカサブランカの、ステンレスブレスレットタイプの逸品です。
革ベルトもエレガントですが、フランクミュラー独自の5連ブレスレットもまたドレッシーな印象大。
コマが小さいと着け心地も良いですし、革ベルトほどクラシックすぎないので、20代~30代のアクティブなメンズにはこちらの方がいい、というご意見もあるかもしれませんね。
ちなみにオーソドックスな白の他、黒やサハラ文字盤も人気があります。
こちらも定価は高いですが新品並行相場は68万円程度~。中古だとさらに安いラインナップとなります。流通量が豊富ですので、状態の良い中古品を探すことはそこまで難しくないでしょう。
フランクミュラーのオススメ時計②ロングアイランド
ロングアイランドもまた、トノーカーベックスと並んでフランクミュラーを代表するシリーズです。
レクタンギュラーフォルムがわずかに湾曲しており、非常に優美。また、「ビザン数字」と呼ばれる、独特なシルエットのアラビア数字がダイナミックに文字盤上を彩るのもまたロングアイランドを特徴づける一幕です。
ちなみにロングアイランドはレディースが非常に豊富。上質なゴールドがケース素材となったもの、ハイグレードのダイヤモンドがセッティングされたものなど、まるでジュエリーのような華やかさを持つと話題です。そのためカップルやご夫婦で、お揃いで着けてもいいかもしれません!
出典:https://www.instagram.com/franckmuller_japan/
メンズに関して言えば、ケースサイズは縦43.0mm×横30.5mm,縦45.0mm×横32.5mmと、トノーカーベックスよりも小ぶりなラインナップとなります。また、クォーツを搭載したモデルも多く、上品な薄型が特徴的。そのためスーツスタイルやパーティーシーンのタキシードなど、フォーマルスタイルにもよく似合う時計として仕上がりました。
こちらも価格帯は非常に幅広く、40万円台~100万円以上。ただ、中古だともっとお安くなり、ゴールドモデルであってもリーズナブルに手に入るものもございます。
文字盤デザインの他、後述するヴェガスやクレイジーアワーズなどと言った複雑機構が搭載されたモデルもありますので、ご自分の好みにマッチした一本を選んでくださいね。
ロングアイランド 人気モデル
ロングアイランド 1150SC DT AC
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:縦45mm×横32.5mm
重量:82g
駆動方式:自動巻き
防水性:日常生活用防水
ロングアイランドの最もオーソドックスな一本が、ステンレススティール製×自動巻きムーブメント搭載のこちらです。
フランクミュラー製品にはかなりド派手なデザインやゴージャスでギラギラしたモデルも存在するのですが、こちらはどこまでも上品。ただ、上品な時計ほど作り込むのが難しいもの。
このロングアイランドは、文字盤ベースに丁寧にギョーシェが彫られており、かつ青く彩られたスペード針のセッティング本当に上質。
カルティエのタンクフランセーズやオメガのデヴィルなどにも言えることですが、「独創的」と「気品」を両立できた、とても稀有なシリーズと言えるでしょう。
ちなみにこちらのモデルのブレスレットバージョンも大変人気の逸品です。
フランクミュラーはブレスレットのコマ一つとっても実はとても工夫がこらされており、細かなリンクが連なる様は見た目の麗しさのみならず、心地よい装着感を実現します。
自動巻き搭載モデルですのでお値段はややお高めで、新品の並行相場は100万円以上。ただ、中古であればコンディションにもよりますが50万円~60万円ほどで手に入れることも可能です。
ロングアイランド カラードリームス 1200SC COL AC
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:縦45mm×横32.5mm
重量:79g
駆動方式:自動巻き
防水性:日常生活用防水
「カラードリームス」は必ずしもロングアイランドからラインナップされている、というわけではないのですが、その華やかなデザインからとても人気のある一大コレクションです。
フランク・ミュラー氏が休暇中、「この世で最も美しいビーチで戯れる若い男女」を見て、デザインインスピレーションを得たとのこと。様々なカラーで彩られたビザン数字が、とても賑やかでみずみずしい印象を受けますね。
ちなみにカラードリームスもまたバリエーションに富んでおり、予算や使用シーンに合わせてお選びいただくことができます。
また、ロングアイランドのみならずカラードリームス自体が女性陣からもとても評価が高いので、パートナーとペアで着けても楽しいですね。
ロングアイランド 1002QZ AC
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:縦43mm×横30.5mm
重量:54g
駆動方式:クォーツ
防水性:日常生活用防水
予算面に制限がある方にお勧めしたいのが、クォーツ搭載機です。自動巻きに比べてイニシャルコストが安く済むだけでなく、メンテナンスの手間が比較的かからないため、ランニングコストもまた低いと言うメリットがあります。
特にフランクミュラーは正規店での購入製品以外は正規メンテナンスが受けられないため、何かあった時を考えるとクォーツの利点が活きてくるでしょう。電池が切れるまではゼンマイを手動で巻いたり、時刻合わせをほとんどしなくていいという「扱いやすさ」もまた高級時計初心者には嬉しいところですね。
前述の通り、ロングアイランドはクォーツモデルが豊富に出回っているので、こちらからお選びいただくと良いでしょう。
もともとロングアイランドは上品ですが、通常の自動巻きと比べてさらに厚みが抑えられているため、薄型でさらに気品が高まります。
ただし中古品を購入する際は、「いつ製造されたか」「電池交換はいつしたか」をしっかり確認しましょう。電池交換が直近でなされていないと時計が止まってしまい、交換のためにメンテナンスに出さなくてはならないためです。
フランクミュラーのオススメ時計③ヴァンガード
今、トノーカーベックスやロングアイランドと言った、既存のフランクミュラーのフラグシップを抑えて高い話題性と人気を博しているのがヴァンガードです。
2014年に発売された新コレクションで、トノーカーベックスに代表される樽型フォルムケースをダイナミックにした、ということで話題になりました。
実際、ケースサイズは基幹モデルで縦53.7mm×横44.0mmと、既存のトノーカーベックスなどと比べると一回りほども大きくなっています。また、ラグが取り払われベルトとシームレスになることで丸みが強調され、視覚的なインパクトが強まりました。
左:トノーカーベックス / 右:ヴァンガード
さらに言うと、文字盤も「エレガント」「優美」と言った印象から、どちらかと言えば幾何学的で「カッコイイ」寄りのデザインに。とは言えインデックスをアプライドにしたり、針を丁寧に仕上げたりすることで、フランクミュラー特有のクラス感は失われていません。ちなみにミニッツサークルに方位角が記されていますが、これは人生の時間を航海に例えたフランクミュラーの哲学とか。
もう一点ヴァンガードが既存のフランクミュラーと大きく一線を画す部分として、モデルにもよるのですが、ベルトにラバーあるいはケースにチタンなど、新素材を積極的に採用していることも挙げられます。ただ、ラバーベルトとは言え革ベルトの素地にコーティングしている形なので、フランクミュラーらしい高級感は損なわれていません。
現在、ロレックスを中心にスポーツモデル人気に火が付いており、その需要の高さと言うのは目を見張るものがあります。そんな時勢ですから、ヴァンガードもまたオシャレメンズから人気が出ないわけがありません。
出典:https://www.instagram.com/franckmuller_japan/
なお、トノーカーベックスやロングアイランドなどと異なり、ヴァンガードはメンズ・レディースでかなりテイストが異なります。
メンズヴァンガードはダイナミックでカッコイイことに対して、レディースヴァンガードはピンクなどと言ったパステルカラーを使うことでどこかフェミニンに。
この、メンズ・レディースのターゲティングを明確に区別し、全く異なるシリーズとして展開していると言うのもヴァンガードがフランクミュラーにとって新しい挑戦と言われる一つのゆえんです。
ヴァンガード 人気モデル
ヴァンガード V45 SCDT TTシリーズ
素材:チタン
ケースサイズ:縦53.7mm×横44mm
重量:素材による
駆動方式:自動巻き
防水性:日常生活用防水
ヴァンガードにもいくつかの種類はありますが、最も人気が高いのはチタンを使ったモデルです。
チタンはステンレススティールなどと比べても軽量で、にもかかわらず堅牢性を有することから近年腕時計に人気の素材。ヴァンガードのような大型ケースでもチタンを使うことで軽やかに着けこなすことができますね。ちなみに金属アレルギーを起こしづらい素材でもあります。
そんなチタン製ヴァンガードにもさらにバリエーションがあり、最近の流行りはPVDコーティングによってオールブラックテイストを実現した一本です。
また、「エルガ」という素材を使ったヴァンガードも高い注目を浴びています。
次項でご紹介するコンキスタドールから使用が始まったのですが、これはF1カーや航空業界などでも用いられる最先端素材です。極めて軽量でありながら非常に堅牢、耐久性・耐衝撃性に優れていること。また、任意のカラーに着色しやすく、独特の艶感を持つことが特徴です。
赤く彩られたエルガを使うことによって、ヴァンガードにF1カーのような強靭さ・軽量さ、そして男性が憧れるかっこよさが備わりました。
新品並行価格は50万円台~。
ヴァンガード ヨッティング V45 SCDT YACHTING
素材:ステンレススティール,ゴールドなど
ケースサイズ:縦54mm×横44mm
重量:素材による
駆動方式:自動巻き
防水性:日常生活用防水
発表されて間もないコレクションながら、着々と人気を上げているヴァンガードシリーズ。2017年には待望の新作「ヨッティング」がそのラインナップに追加されました。
ヨッティングシリーズはフランクミュラーとイタリアン シーグループとの独占パートナーシップに基づいて開発されました。文字盤には羅針図を描き、大型クルーザーで航海する世界観をイメージしています。また、これまでのヴァンガードにはなかったリューズガードを設けることで、よりスポーティに進化しました。
ヨッティングにもバリエーションがありますが、最も人気が高いのが爽やかなブルー文字盤。ヨッティングの大海原を思わせる、爽やかな味わいを感じられますね。
新品並行相場は70万円台~。
また、価格は上がりますが、ヨッティングはクロノグラフ搭載機も存在します。近未来的なデザインのヴァンガードにはクロノグラフがよく似合うと話題です。
その他トゥールビヨンや「グラビティ」と称したミステリーウォッチなど、超絶コンプリケーション搭載機もラインナップ。このように、機構面においてもフランクミュラーの新境地が垣間見える逸品となります。
フランクミュラーのオススメ時計④コンキスタドール グランプリ
コンキスタドール グランプリは前項のヴァンガードよりも前に誕生した、フランクミュラーの新ラインであり新境地です。
もともとは1994年、トノーカーベックスを立体的にした「コンキスタドール」としてローンチされました。このモデル名はスペイン語で征服者を意味します。「前人未到の時代を切り開く」という名目のもと、製造されたと言います。
ベゼル部にステップを付けて二層構造を採用したこと。そしてクラシックなデザインが多かったトノーカーベックスよりも、文字盤をスポーティーに仕上げたことが特徴ですが、当時は大きな定番とはなりませんでした。
※無印のコンキスタドール
このコンキスタドールの後継機であり、かつ当シリーズ人気の火付け役となったのが、「コンキスタドール グランプリ」です。
2009年、同社初のスポーツウォッチとして誕生しました。
前年に開催されたF1シンガポールグランプリに敬意を表したシリーズで、レーシングテイストに加え、さらにダイナミックにスポーティーになったデザインから、「新世代のスポーツウォッチ」として一世を風靡することとなります。
まず目に入るのが文字盤デザインでしょう。
フランクミュラーの象徴でもあるビザン数字がアプライドされていることをはじめ、各パーツが巧みに組み合わさり、立体的なフェイスを表現しています。
このデザインのベースとなるのはヌーベルバーグ(サンレイギョーシェを波打つようにデフォルメしたもの)がエングレービングされた文字盤。これにより立体感が際立つとともに、どの時計とも違った個性を持つに至りました。
一部を肉抜きした大ぶりの針や、ミニッツインデックスを配したベゼルもまた、コンキスタドール グランプリの独創性を際立たせるのに一役買います。
また、ヴァンガードのところでも言及したように、「エルガ」素材を時計に採用したのもコンキスタドール グランプリの成功の秘訣です。
前述の通りハイテクかつデザイン性にも優れた素材と言うことで、ただのスポーツウォッチではなく、「まるでF1カー」といった様相を呈することとなりました。
ヴァンガード同様にコンキスタドールも大振りですが、グランプリであればエルガのような軽量素材を使っているため、その装着感は心地よいと話題です。
コンキスタドール 人気モデル
コンキスタドール グランプリ エルガ 8900CCJ ER
素材:エルガ×チタン
ケースサイズ:縦57.4mm×横38.2mm
重量:123g
駆動方式:自動巻き
防水性:10気圧
コンキスタドール グランプリの中で一番人気はこちらです。フランクミュラー全体で見ても、当店での売れ筋として支持を集めています。エルガを随所に使うことで、エレガンスの中にもレーシングテイストが入れられていますが、クロノグラフ機構を追加することでさらにその印象が強まりました。
コンキスタドールらしくベゼルが二層構造になっているので立体感にも優れており、非常にダイナミック。
フランクミュラーはエレガントゆえにスペック的には日常生活用防水に留まっていることも少なくありませんが、こちらは10気圧防水なのも嬉しいところですね。
まさに「新世代のスポーツウォッチ」と言えるでしょう。
コンキスタドール グランプリ エルガ 8900SC DT GPG ER
素材:エルガ×チタン
ケースサイズ:縦57.4mm×横38.2mm
重量:100g
駆動方式:自動巻き
防水性:10気圧
クロノグラフが着いていない、スッキリとしたコンキスタドール グランプリです。
とは言え大きさはクロノグラフモデルと変わらないため、存在感は抜群。
こちらもエルガを搭載しているため傷や衝撃に強く、また独創的なデザインを楽しむことが可能です。
ちなみにエルガを使わずチタンのみのモデルもラインナップされており、様々なカラーリングを楽しむことが可能です。
フランクミュラーのオススメ時計⑤トノーカーベックス クロコ
トノーカーベックスは上品なデザインが多いのですが、何度か申し上げているようにバリエーションが豊富。そのため、「ゴージャスな一本が欲しい」「人と全く違ったデザインの時計が欲しい」と言った場合には、こういった派生モデルを選ぶことがオススメです。
特にこのクロコ。数あるフランクミュラー製品の中でもハイエンドテイストを秘めた人気作となります。動物モチーフはブルガリやカルティエなども自社製品に採用していますが、独特の格調高いクラス感が本当に素敵ですよね。こちらは20代のお若い方と言うよりも、30代、40代を迎えて大人として熟成してきた男性にぜひ身に着けていただきたい逸品です。
出典:https://www.facebook.com/FranckMullerJapan/
時計全体がクロコダイルの同じパターンで構成されているため、遠目で見てもその仕様を確認できるのが嬉しいところ。
55.5×39.5mmという大型ケースも相まって力強い存在感を放つデザインもまた特徴です。
「トノー型モデルが好きで尚且つ、一線を画すデザインが欲しい」と感じている方は是非一度お手に取ってみてください。
ただ、製造本数がそこまで多くはないので、本当に欲しい方は見つけた時にご購入されることをお勧め致します。
一方で生産終了モデルも結構流通しており、中古市場からお探しいただくのもまた、お勧め。状態の良い個体も比較的多く出回っているので、信頼できる時計店で購入しましょう。
トノーカーベックス クロコ 人気モデル
トノーカーベックス ブラッククロコ 8880SC BLK CRO AC
素材:ステンレススティール(PVDコーティング)
ケースサイズ:縦55.5mm×横39.5mm
重量:104g
駆動方式:自動巻き
防水性:日常生活用防水
PVDコーティングによって精悍な黒基調となったケースに、クロコ仕様を施した逸品です。
こちらもトノーカーベックスの中はもちろん、フランクミュラー全体で見てもとても人気があります。2011年初出で現在は生産終了しているにもかかわらず、今なおフランクミュラーTOP10人気に入る、というのは本当にすごいこと。それだけこちらの製品が完成されていることを意味します。
相場はだいたい50万円台~。
なお、ゴールドやダイヤモンドをあしらった、ゴージャスなクロコモデルも出回っています。
フランクミュラーのオススメ時計⑥クレイジーアワーズ
出典:https://www.facebook.com/FranckMullerJapan/?ref=page_internal
デジタルにしろアナログにしろ、通常1時~12時に整列された数値を、針が順番にそして連続的に移動し時を刻むことが時計にとっては常識だと思います。
しかしながらクレージーアワーズは、その当たり前を大きく覆したモデルです。バラバラに並べられたインデックス上を、針が瞬時にジャンピングしながらその時々の時刻を示す、などと言う仕様なのです!
バラバラとは言っても、実際には長針が1回転すると短針が5時間分一気にジャンプ!
この仕組みは、150度ジャンプする時針が4回移動で1周となり、そして元の位置にまた戻る、といったもの。
ジャンピングアワーという機構の応用で、今までなかったものではありません。
しかし、ブレゲやジェラルドジェンタなど一部の天才時計師によってわずかながら製造されていたもので、その複雑さゆえの繊細さ・故障の際の修理の難しさから、あまり一般的とは言えない手法です。
フランクミュラーが従来のブランドと複雑機構の扱いが異なるのは、これをトノーカーベックスやロングアイランドの中でシリーズ化してしまった、ということ。しかも、この複雑機構をデザインアイデンティティの一環としており、「バラバラにしたインデックスのそれぞれを別の色で彩る(カラードリームス)」「グラデーションをつける」などの工夫を凝らしているのです。
時計の趣味性をとことん追求し、それを製品の強みにする。クレイジーアワーズからは、そんなフランクミュラーの気概を感じられます。
クレイジーアワーズ 人気モデル
クレイジーアワーズ 1200CH CD AC
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:縦44.7mm×横32.3mm
重量:77g
駆動方式:自動巻き
防水性:日常生活用防水
インデックスの一つ一つが華やかにカラーリングされた一本です。また、文字盤上にもアラビア数字が浮き彫りになっており、インパクトのあるデザインを実現しました。
コンプリケーションですがトノーカーベックスらしい上品なケースに収められているため、野暮ったい厚みは感じさせません。
なお、機構が複雑なため価格は高め。定価だとステンレススティール製にもかかわらず300万円以上もするのです。
中古であれば100万円を切る価格で販売されているので、ぜひご検討くださいませ。
トノーカーベックス カラードリームス クレイジーアワーズ 5850CH OAC
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:縦45mm×横32mm
重量:130g
駆動方式:自動巻き
防水性:日常生活用防水
クレイジーアワーズはロングアイランドに搭載されることが多いのですが、少数ながらトノーカーベックスでもラインナップされています。
ロングアイランドよりもポップな印象となり、スーツもイイですがオフのカジュアルスタイルにも合わせたい逸品となりました。
ただしこちらも価格帯は高めですので、状態の良い中古を購入するのがお勧めです。
フランクミュラーのオススメ時計⑦ヴェガスやマスターバンカーなど特殊機構
クレイジーアワーズ以外にも、フランクミュラーのコンプリケーションはかなり豊富。もともと創業者のミュラー氏は複雑機構の製造で名を馳せた経緯があります。
しかも、ただ難易度の高い機構を製造していただけではありません。従来の複雑機構を応用して独自性を出したり、時計には全く必要のない機能を付加することで大人の遊び心を加えたりと、自社の独自の強みにすることに成功しています。
代表的な特殊機構としては、まずヴェガス・カジノ。これこそまさに「時計には全く必要のない」機構であり、同社の粋を感じられるモデルです。
ラスベガスのカジノからインスピレーションを得た、と言われるこちら。文字盤中央にルーレットを設け、リューズに組み込まれたプッシュボタンを押すことによってルーレット専用の針がものすごいスピードで回転。さらにプッシュボタンを離すとルーレット上の数字に針を止める、といった仕組みです。
ルーレット機能に動力を別途設けはせず、リューズと同軸とするところにフランクミュラーの設計力の高さを感じます。
出典:https://www.facebook.com/FranckMullerJapan/?ref=page_internal
この全く実用性のない機能。しかし、フランクミュラーによるあるコンセプトが仕掛けられているのです。
それは、時計の「正確性」とルーレットの「偶然性」という相反する二つの要素を文字盤上におさめた遊び心。
1999年に発売されるやいなやこれが大ウケし、カサブランカやコンキスタドールと並んでフランクミュラー人気の火付け役を担いました。
現在は、トノーカーベックスやロングアイランドなどフラグシップシリーズに搭載された「ヴェガス」が主流となり、同社にとって特別な存在として君臨します。
次にご紹介するのは、マスターバンカー。
簡単に言うとGMT機能のことなのですが、他社とちょっと一味違うのが、このGMTの見せ方です。
と言うのも、多くのメーカーが「GMT」を採用する時、メインとなる時針の他に24時間針や回転ベゼルを設け、そこから第二時間帯、第三時間帯を読ませるようになっています。しかしながらフランクミュラーのマスターバンカーは、同軸上に別途二つのインダイアルを儲け、そこで別の地域の時間を確認できるような仕様にしたのです。
つまり、一個の時計に三つの文字盤が存在している、ということになります。
しかも、なんと一つの自動巻きムーブメント、つまり一つのリューズで全ての時刻合わせ操作を担うのです。
ちなみにこの独自機構はフランクミュラーの特許技術となります。
誕生は1996年と、フランクミュラー創設から10年目。友人の銀行家―バンカー―から「世界の金融市場の時刻をすぐに確認できる時計がほしい」という要望に応えて開発したと言います。
グローバル社会が進み、日本国内でもGMTやワールドタイムは一躍人気の機能となりました。
通常、一つのリューズでメインの時針のほか、GMT針を動かして別途時間帯を確認できるものが一般的ですね。しかし、マスターバンカーでは2つの文字盤そのものを一つの時計に収めてしまったようなもの。
リューズを1段引き出し、右方向の回転で12時位置の時刻調整を、左方向で6時位置の時刻調整を行います。そしてメインの時刻はリューズを2段引き出して操作するのです。
ヴェガスやマスターバンカー以外にも、文字盤上を二枚のディスクで構成し、それぞれスピードの異なる速さで回転させることで第二時間帯を確認できるダブルミステリー、表裏で全く異なる文字盤を持ったダブルフェイスクロノグラフなどがあります。
高い製造技術を持ったメーカーだけが成しえるこういった機構に加え、フランクミュラーらしいデザイン性として特別なこの一本をお楽しみください。
まとめ
フランクミュラーの各オススメシリーズをご紹介するとともに、人気モデルやその魅力について解説いたしました。
トノーカーベックスにロングアイランド、ヴァンガードにコンキスタドールなど、デザインやコンセプトは違えど、フランクミュラーらしい独創性とデザイン性を楽しめるものばかり。また、本項でもご紹介しているようにそれぞれのシリーズでバリエーションが豊かで、他人とかぶらず自分のお気に入りの一本を楽しめる、というのもフランクミュラーならではのだいご味となります。
一方でバリエーションが膨大で、なかなか一つの記事では紹介しきれない側面も・・・まだまだたくさんのフランクミュラー製品をご用意しておりますので、ぜひ一度当店を覗いてみてくださいね。
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴13年。