時計のガラスには様々な種類が存在します。
一般的によく使用されるのはミネラルガラスです。硬度はそれほどありませんが、安価に製造できるため多くのカジュアル時計に使用されています。
逆にロレックスなどの高級時計にはサファイアガラスが使用されることが多いです。天然宝石のサファイヤと同等の硬度をもち、傷が付きにくいという特徴をもちます。
またアンティーク時計だとプラスチックが使用されていることが多いですね。
さて、では今回紹介するプレキシガラスは一体どのようなガラスなのでしょうか?
今回はプレキシガラスについてご説明をさせて頂きます。
目次
プレキシガラスとは?
プレキシガラスはプラスチックの一種である「アクリル」を使用して作られるガラスです。
アクリルの化学名はポリメチルメタクリレート(PMMA)。
このPMMAを用いて作られたガラスがプレキシガラスということになります。
ユンハンス マックスビル クオーツ 041/4463.48
プレキシガラスという名称こそ名づけられていますが、「アクリル=プラスチック」なので、プレキシガラスもプラスチック風防の一つに分類されます。
素材が安価であり、加工がしやすく、1940年から1960年頃にかけて様々な腕時計に採用されてきました。
プレキシガラスの特徴
プラスチックにはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンといった様々な種類があります。
そのため、プラスチック風防は使われる素材によって特徴が異なります。
ユンハンス マックスビル クオーツ 041/4817.00
アクリルの特性は粘性と弾力性。そして立体感を出しやすいこと。
強度が高くないため、傷が付きやすいことは否めませんが、他のプラスチック素材よりも透明度に優れるため、時計のガラスとしては非常に向いています。
また、強い弾力性により例え割れても破片が飛び散らないのも特徴で、安全性が高いのも大きなポイントです。
細かなキズを消すことができる
硬度の高いガラスは一度キズがついてしまうと取り除くことが難しいですが、プレキシガラスは基アクリル素材なので、細かなキズであれば研磨することで綺麗にすることができます。
オーバーホールに出した際に風防磨きの依頼をするのも良いですが、技術者でなくともある程度のキズまでなら自力で研磨することも可能です。
プレキシガラスの修理について
衝撃に弱いプレキシガラスは不慮の事故によって破損してしまうことがあります。
細かな傷であればそのまま使うのもありますが、もし割れてしまったりヒビが入ってしまった場合はメーカーや修理店で交換する必要があります。
なお、高級時計であればメーカーに依頼することが多いかもしれませんが、安価なプレキシガラスに関しては民間修理業者へ持ち込むほうがお勧めです。
優良業者に頼めばリーズナブルに新しいプレキシガラスに交換してもらえ、費用に関しても1万円以下で済むことが多いです。
プレキシガラスが使われた高級時計
プレキシガラスは高級時計においても使用されています。
最も有名なのはドイツの名門時計ブランド ユンハンス。
フラグシップモデルであるマックスビルシリーズのガラスに採用されています。
マックスビルはバウハウスデザインを継承する著名なプロダクトデザイナー マックス・ビルによって生み出されれ、プレキシガラスの特性を見事に生かした設計が定評を集めています。
美しいドームシェイプに独特な個性。
クォーツ・クロノスコープ・ハンドワイドなど、様々なモデルに採用されているので、興味があれば是非お手に取ってみてください。
ユンハンス マックスビル エディション2017 041/4762.00
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:38mm
ムーブメント:クォーツ
全重量:33g
防水性:3気圧
定価:96,120円
白文字盤にカーフベルトを組み合わせたスタンダードなモデル。
こちらのエディション2017は、シンプルな正面のルックスとは対照的に、裏面にはマックスビルが1930年代に手がけたアート作品「バリエーション1」がプリントされており、まさに表裏で“巨匠マックスビル”を楽しめるモデルです。
ユンハンス マックスビル 027/4701.00M
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:38mm
ムーブメント:機械式(自動巻き)
全重量:37g
防水性:3気圧
定価:169,560円
こちらは黒文字盤にバーインデックス、メッシュベルトを組み合わせたモデル。メッシュベルトが繊細な文字盤デザインの印象を崩すことなく調和しており、革ベルトとはまた違った良さを持ち合わせます。
また、アラビア数字ではなくバーインデックスが採用されていることも特徴です。よりシンプルな美しさが引き立っています。定価は約19万円ですが、並行輸入店であれば8万円台から購入することが可能です。
ユンハンス マックスビル クロノスコープ 027/4501.01
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:40mm
ムーブメント:機械式(自動巻き)
全重量:66g
防水性:3気圧
定価:285,000円
マックスビルのオリジナルの雰囲気はそのままに、クロノグラフを搭載した“マックスビル クロノスコープ”です。シンプルで視認性の高いダイヤルが特徴的で、こちらも通常のマックスビルに負けないほど人気のあるモデルです。メッシュベルトも非常に似合うので革ベルトとどちらを選ぶか悩ましいモデルでもあります。
定価自体は28万5000円と高価ですが、並行輸入店であれば約10万円台から購入することが可能です。
ユンハンス マックスビル ハンドワインド 027/3701.00
素材:ステンレススティール
ケースサイズ:34mm
ムーブメント:機械式(手巻き)
全重量:32g
防水性:3気圧
定価:118,800円
027/3400.04はシャープなベゼルとドーム型風防、ブラックダイアル上に3針とアラビアンインデックスを配したシンプルな印象を与えるモデルです。控えめな気品を纏いながらも視認性を追求した美しいデザインとなっており、男女問わずお使い頂けるサイズ感となっています。
当記事の監修者
廣島浩二(ひろしま こうじ)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチ コーディネーター
一級時計修理技能士 平成31年取得
高級時計専門店GINZA RASIN 販売部門 ロジスティクス事業部 メンテナンス課 主任
1981年生まれ 岡山県出身 20歳から地方百貨店で時計・宝飾サロンで勤務し高級時計の販売に携わる。 25歳の時時計修理技師を目指し上京。専門学校で基礎技術を学び卒業後修理の道に進む。 2012年9月より更なる技術の向上を求めGINZA RASINに入社する。時計業界歴19年