腕時計の革ベルト。買い替えの際、どのブランドを選んでいますか?
「メーカーの純正ベルトが最も良い」というわけではありません。また、必ずしもメーカーで交換対応してもらわなければならない、ということもありません。
革ベルト業界には皮革専門メーカーが多数参入しております。リーズナブルで、純正品にはないカラーや仕様もラインナップ。こういった多彩なベルトを、まるで洋服やアクセサリーを替えるように気分で付け替えることができれば、より毎日が楽しくなりますね。
全ての腕時計愛好家の皆さまに、適切な革ベルトの選び方と、手軽にできるベルト交換方法をご紹介いたします。
多くの時計は「バネ棒」でケースとベルトを繋いでいます。これは、スプリング(バネ)を円筒型金属に内蔵し、その両端に突起を取り付けたもの。ベルトにバネ棒を収め、飛び出ている突起を時計ケースラグの受け穴に入れることで繋ぎます。
ベルトのご購入の際に最も気をつけたいのが「サイズ」。時計はケースのボリュームによってラグ幅がまちまちのため、適切な一本を選ぶには正確なサイズ測定が欠かせません。時計に対して大きすぎるベルトは破損や傷の原因になるし、逆に緩いと不安定になってしまいます。正しいサイズ計測を解説いたします。
購入したベルトに付属している尾錠をそのままご使用いただく場合や、Dバックルも一緒に購入する場合はこちらの項目の測定は不要です。メーカー純正品やこれまで使っていた尾錠・Dバックルをご使用になる場合はサイズを測りましょう。ベルトを挟み込む部分の幅を、ノギスまたは定規で測定します。
以上で計測した幅(サイズ)を基に、ベルトを選びます。
ラグ幅・尾錠幅で選択しますが、この時サイズに「20-18」「22-20」といった表記が用いられることがあります。これは、前がラグ幅、後ろが尾錠幅を表しており、
■例1 「20-18」:ラグ幅20mm/尾錠幅18mm
■例2 「22-20」:ラグ幅22mm/尾錠幅20mm
このように読み取ることが可能です。
この表記を確認し、マッチしたベルトをお選びください。なお、「気に入ったベルトがあるのにピッタリのサイズじゃない」など、やむを得ない場合には1mm大きいサイズを選びましょう。
ベルトの素材によって一長一短があり、ユーザーに合うものは異なります。代表的なベルトの素材4つについてご紹介いたします。
レザーベルト(革製)
時計ベルトの定番。あらゆる年代の方やシーンに使用されてきた、生物由来の伝統素材です。ブレスレット
「コマ」と呼ばれる金属板を繋げて構成される、レザーに次ぐベルトの定番です。ラバーベルト
ゴム製バンド。丈夫で長持ちするとあって、近年多くのブランドがラインナップしています。ナイロンベルト(布製)
洋服にも使われるナイロン素材などを活かした、機能性・ファッション性に優れたベルトです。代表的な4種のベルト素材。それぞれの特徴やメリット・デメリットをまとめてみました!
革ベルト | ブレスレット | ラバーベルト | 布製ベルト | |
---|---|---|---|---|
着け心地 | ◎軽やかでしなやか。腕になじみやすく、一日中着けていても疲れません。 | ずっしりと重量感があり、着け始めは疲れる方もいるでしょう。 | ◎レザーに次ぐ軽やかさ。それでいて頑丈ですが、密着性に富むため汗で蒸れてしまうことも。 | 非常に軽く、かつフィット感に優れているため、長時間使用していても疲れを感じさせません。 |
デザイン | ◎高級感があり、天然由来の独特な風合いが何よりの魅力。カラーやステッチ、仕上げ、装飾などこだわりのデザインも楽しめます。 | ◎スーツにもカジュアルにもマッチするデザインながら、金属特有の高級感も楽しめます。 | カラーやデザインが多彩。カジュアル・スポーティー寄りとなるため、使うシーンが限られるケースがあります。 | 革やラバーとは全く異なる質感、カジュアルさが特徴です。カラーやデザインが豊富で、ファッションを楽しみやすいでしょう。 |
デメリット | 寿命があること。また、汗や水に弱く、手入れを怠ると劣化や悪臭の原因となることです。 | ◎長寿命な一方で傷つきやすく、仕上げによっては目立つことも。また、金属アレルギーのリスクを有します。 | 頑丈ですが亀裂が入ると避けやすいこと。また、意外とゴミが付着しやすく、手入れが欠かせません。 | カジュアルすぎるため、大切なビジネスシーンやフォーマルには不向き。また、高級感は薄れてしまいます。 |
革ベルト | ブレスレット | ラバーベルト | 布製ベルト | |
---|---|---|---|---|
装着感 | ◎ | △ | 〇 | 〇 |
デザイン | ◎ | ◎ | 〇 | 〇 |
耐久度 | × | ◎ | 〇 | 〇 |
ベルト選びでサイズ以外に、もう一点注意したいこと。それは、ブランド・モデルによっては、サードパーティー(社外品)に対応していないものがある、ということです。こういった時計は、純正ベルト以外はご利用いただけないことがほとんどです。実際にベルトの取り付けができない例をご紹介いたします。
ケースとラグが一体化しており、サードパーティーのベルトでは対応できないものがほとんどです。
こちらのモデルもまた、ケースとラグが一体化し、特殊な造りになっているため純正ベルトでの対応となります。
ブルガリ ディアゴノ/ロジェデュブイ エクスカリバー/カルティエ ロードスター/フランクミュラー ヴァンガード/ヴァシュロンコンスタンタン オーヴァーシーズ/リシャールミル
ラグが特殊な形状でない限り、ほとんどのブランド・モデルの時計のベルト交換・取付が可能です。また、ブレスレットタイプのモデルであっても、付け替え可能な場合もございます。
ブレスレットタイプであっても、写真のようにベルト取付幅が十分に確保できるラグであればお好きなベルトが取り付け可能です。
特殊なラグでない限りは、多くの時計で様々なベルトをお楽しみいただけます。
ラグの形状は一般的でも、ケースからラグ穴までの距離が短い場合など、純正ベルト以外対応できなかったり、選べるベルトが限定されたりするケースがございます。
画像のように、ケースとラグ穴間に距離がない場合、お好きなベルトの取り付けができない場合がございます。ベルトの厚みが収まりきらない可能性もあるためです。
画像のように、ケースとラグ穴の間にしっかりと距離があるものは、ほとんどのベルトで対応可能となります。
ラグ幅に対して、ベルトサイズが小さい場合。バネ棒が見えてしまい不格好なうえに、ケースがしっかりと安定しません。
ラグ幅に対してジャストサイズのベルトであれば、見た目も安定性もしっかりします。
ラグ幅に対して太すぎるベルトはご使用できません。無理に取り付けてそのままお使いになっていると、ベルトがすぐに傷んだり、バネ棒が外れて時計が落下する原因となります。
ラグ幅に対して、細いベルトであれば取り付け可能です。ただしあまりにも細いものだと、ベルトが横にスライドしてしまい、結果としてバネ棒が一緒に動き、時計本体から外れてしまう危険性があります。こういったリスクを回避するためにも、ラグ幅にしっかりと合ったベルトのサイズを選びましょう。