「グランドセイコーって何がすごいの?」
「グランドセイコーの魅力や代表モデルについて詳しく知りたい」
日本が世界に誇る時計ブランド・グランドセイコー。
装飾品としては地味、渋い、派手さがない。
そんなイメージがあることもまた事実です。
しかし、スイスを始めとする時計大国の牙城に喰らいつき、脅かし続ける日本の獅子・グランドセイコー。
シンプルなボディの中には、高度な技術と日本ならではの妥協を許さない職人魂が込められています。
そんなグランドセイコーの魅力や代表モデルについて知りたいという人は多いのではないでしょうか。
グランドセイコーはコンスタントに話題の新作を発表し続けているブランドです。
この記事ではグランドセイコーの魅力や代表モデルについて、GINZA RASINスタッフ監修のもと紹介します。
レディースモデルの紹介もしますので、グランドセイコーに興味がある方はぜひ参考にしてください。
目次
1.グランドセイコーとは?
1-1 グランドセイコー誕生
明治維新を迎え、急速に近代化が進んでいた日本。
時計産業界も黎明を迎えていましたが、もっぱら海外からの輸入品に依存していました。
1881年、輸入時計の販売・修理のお店である服部時計店が創業。
のち、1892年に精工舎として掛時計の製造を開始し、国産時計の市場を開拓していきました。
精工舎は「精巧な時計を提供する」ことを理念に、新しいブランドSEIKOを立ち上げます。
出遅れていた日本の時計産業は、SEIKOの誕生により大きく変化します。
時計大国スイスを始めとする欧米諸国に追いつけ・追い越せとばかりにその技術を躍進させました。
そんな精工舎(現セイコーホールディングス株式会社)が、さらなる世界への挑戦として、SEIKOの最上位ブランドを1960年に立ち上げます。
それがこちら、グランドセイコー。
実用時計の最高峰を目指し、やがて世界中で高い評価を得る日本の人気ブランドのうちの一つとなっていきます。
2-2 グランドセイコーのコンセプト
SEIKOの最上位ブランドとして誕生したグランドセイコー。
最大の目的は、国産初の高級腕時計を生産することでした。
しかし、目指していたのは、他ブランドをただ模倣・追随することではありません。
そのコンセプトは、「最高の普通」「実用時計の最高峰」。
高い時間精度、見やすさ、使いやすさ、耐久性。
腕時計本来の在り方を追求し、決して華美ではないものの、永く愛される高級腕時計を目指しました。
とりわけ評価されるのが、精度の高さ。
世界トップクラスの厳格さで知られるスイス・クロノメーター規格を上回る独自の“GS規格”―現在さらに高い精度基準となる新GS規格―を設け、より厳しい検査に合格したハイクオリティなムーブメントのみを採用しています。
また、視認性や使いやすさを重視したシンプルな外観は、ともすれば地味と思われがちです。
しかし、優秀な職人による計算のうえで設計された着け心地や適切な重量感は高い評価を得ています。
まさに「最高の普通」に相応しいグランドセイコーの実用時計は、海外展開から比較的歴史が浅いにもかかわらず、世界中の腕時計愛好家から人気を博してきました。
2.世界中で高評価!グランドセイコーが誇るムーブメント
グランドセイコーの技術の結晶は、そのムーブメント―動力機構―にあります。
-
- ・スプリングドライブ
- ・クォーツ
- ・メカニカル
大きくわけて以上3つのムーブメントがあり、そのいずれにも“9”を冠しています。
これは「究極」の“9”。
100年以上にも及ぶマニュファクチュール(ムーブメントの自社一貫製造のこと)の歴史を持ち、こだわりぬいた品質を約束しています。
9Rスプリングドライブムーブメント
出典:https://www.seiko-watch.co.jp/gs/movement/springdrive.php
20年の歳月を費やし、1999年、満を持して発表されたかつてない新機構「スプリングドライブ」。
高級腕時計のムーブメントのほとんどは機械式です。
機械式時計とは、巻き上げたゼンマイがほどける力を利用した仕組みで、内部の歯車などを動かすことによって時間を刻みます。
細かい多くのパーツが大変に入り組んでおり、製造には技術者の熟練した技と魂が必要。
それゆえの高価格帯ではありますが、そこには腕時計ならではのロマンが内在しています。
しかし、日に数十秒ずれてしまうなど、精度の向上は常に機械式時計の課題でした。
スプリングドライブは、ベースは機械式―自動巻き―ムーブメントでありながら、クオーツ並みの精度を誇る革新的なシステムです。
仕組みは、精度を司るパーツにテンプやガンギ車が使われている自動巻きに対して、誤差の少ない水晶振動子―クオーツ―を採用したもの。
駆動原理が自動巻きのまま精度を高めることに成功したグランドセイコーだけの技術です。
また、巻き上げられたぜんまいは針を動かすと同時に発電し、水晶振動子を備えた調速機構を動作させる為、クオーツとは違い電池交換や充電が不要。
まさに自動巻きの味わい深さとクォーツ式の精度と、いいとこどりを叶えた夢のようなムーブメント・スプリングドライブ。
この機構は時計産業界に衝撃を与え、グランドセイコーの名が世界を席巻・高評価を得る大きな所以となりました。
現在はベーシックな3針だけでなく、より複雑なGMT機能やクロノグラフなどを付したものやダイバーズモデルなどの多彩なラインナップを展開し、高い評価と人気を誇っています。
9Fクォーツムーブメント
出典:https://www.seiko-watch.co.jp/gs/collection/detail.php?pid=SBGX085
今までのクォーツの概念を覆すクォーツ。
もともと精度が高いクォーツですが、さらなる高精度、そして自動巻きに負けないパワーの両立を実現しました。
1969年、SEIKOが世界初のクォーツ腕時計“セイコークオーツアストロン35SQ”を発表。
クォーツの一般化に伴い、腕時計は安価で量産型のものが増えていきました。
各国の機械式時計メーカーは打撃を受け、この出来事をクォーツショックとまで呼ぶことがあります。
グランドセイコーも例外ではなく、製造中止。一時代が終焉したかと思われました。
しかし、1988年、グランドセイコーはそのネームバリューを再興させます。
95系クォーツ搭載モデル・95GSを発表。
年差±10秒という精度の高さを誇り、他ブランドと一線を画した評価を得ます。
また、耐温・耐湿・耐撃性において非常に優れた水晶振動子を使用しており、普段使いの時計として劇的な飛躍を遂げました。
さらにその5年後、今なお最高峰クォーツムーブメントとして時計界に君臨する9F系キャリバーを搭載した9F8シリーズを展開。この機構は精度だけに留まらず、数々の新しいチャレンジを可能とします。
例えば、ツインパルス制御モーター。
これまでのクォーツは小型軽量化が進み、大量生産が可能であった一方で、自動巻き独自の「重み」に欠けました。
強いトルクがないため、どうしても繊細な針を採用するしかなかったのです。
しかしこのモーターの開発により、自動巻き時計のように滑らかでありながら太く精悍な針を動かすことを実現。
従来のクォーツが成しえなかった、メンズ腕時計の威厳を取り戻しました。
9Sメカニカルムーブメント
出典:https://www.seiko-watch.co.jp/gs/movement/mechanical.php
設立当初より、極限まで「実用時計であること」を突き詰めてきたこのブランドは、機械式に対しても例外ではありません。
一つひとつのパーツが匠の技で組み立てられ、精緻極まる複雑機構を展開する。
そのロマンとステータス性は高級腕時計の何よりの魅力。
そんな自動巻き時計を実用―高精度・高性能―として究めること。
それはグランドセイコーの長年の挑戦でした。
グランドセイコー設立から8年後の1968年、メイドインジャパン初の自動巻き10振動モデル・61GSを発表。
約40年の月日を経て、再び10振動モデル・9S85を誕生させます。
ただの復活ではありません。
さらなる高精度ムーブメント―9Sメカニカル―として生まれ変わったのです。
自動巻き時計の精度を司る「テンプ」という部分の、振動数の高さが精度の高さに比例します。
9S85は、1秒間に10回、1時間に36,000回の振動を誇るハイビートメカニカルムーブメント。
ハイビートに必要なトルクと持続性を実現した動力ぜんまいや耐撃・耐磁性に優れたひげぜんまい。
まさに100年以上にも及ぶマニュファクチュールによって培われた技術が結集した復活でした。
グランドセイコーのメカニカルモデルは現在もさらなる進化を遂げています。
より正確で、より永く愛される自動巻き腕時計を求めて。
2010年には、性能はそのまま、GMTの複雑機能を加えた9S86シリーズを展開。瞬く間にメカニカルウォッチとして人気を得ます。
グローバル化が進む現在に特化し、ニーズに応えていく。その進化の歩は留まるところを知りません。
3.グランドセイコーの高い技術力を証明するコレクションの数々
スプリングドライブ クロノグラフ マスターショップ限定 SBGC003
9Rスプリングドライブムーブメントを搭載した、グランドセイコー初のクロノグラフモデル。
垂直クラッチ式の動力伝達方式というグランドセイコー独自の技術によって計測精度を向上させ、スプリングドライブと相まって非常に信頼性の高いクロノグラフウォッチ。
厳選されたショップのみで取り扱われるマスターショップ限定モデルのため、数が少なく人気のあるモデルです。
スプリングドライブ GMT マスターショップ限定 SBGE015
出典:https://www.seiko-watch.co.jp/gs/collection/detail.php?pid=SBGE015
こちらも9Rスプリングドライブを搭載した人気のGMTモデル。
通常とは異なるゴールドの各針とロゴが特徴であり、さらに黒いダイアルに映える赤いGMT針が、高い視認性に加えてエレガンスな雰囲気を実現させました。
また、ケースとブレスレットの素材にブライトチタンを採用しているので、スプリングドライブでありながらも大変軽い仕上がりであることも高評価。
マスターショップ限定販売。
クォーツ SBGV017
出典:https://www.seiko-watch.co.jp/gs/collection/detail.php?pid=SBGV017
1967年に発表され、セイコースタイルを確立した“44GS”の造形を現代的に解釈し復刻された人気モデルです。
「ザラツ研磨」という下地処理を施すことで、歪みなく平面を多用するケース形状、際立つ立体感、そしてスプリングドライブやメカニカルにも劣らない力強い針などが、美しい輝きと高い視認性を確保しています。
10気圧防水が施されているため、まさに普段使いの実用時計として高評価に納得の逸品です。
メカニカルハイビート36000 マスターショップ限定 SBGH039
歴史あるマニュファクチュールの結晶・名ムーブメント9Sメカニカルを搭載した人気モデル。
1967年に発売されたグランドセイコー初の自動巻き“62GS”を復刻させたヒストリカルコレクションです。
基本的なデザインはオリジナルを活かしながら、現代風のテイストを取り入れました。
4時にあったリューズは3時に移動し、ケース径を広げたことで視認性が向上。
さらに、36,000振動のハイビートで、メカニカルでありながら格段に精度はアップ。10気圧防水と合わせて自動巻き時計の実用性をさらに追求しています。
マスターショップ限定で700本のみ販売されたモデルです。
4.現代を生きる女性からも愛される実用時計を
実用時計でありながら、同時に高級時計でもある。
味気ないと思われがちなグランドセイコーがレディースの分野でも評価されている理由は、実用時計では終わらない気品や高級感を備えていることにあります。
レディースの高級時計を挙げると、カルティエやシャネル,ヴァンクリーフ&アーペルなど、ジュエリーやファッションブランドのモデルが有名です。
しかし、やはり究極を尽くすグランドセイコー。
実用としての時計かつ女性らしさの両立を追求し、様々なレディースウォッチを展開しています。
キャッチワードは「女性の腕に美しい日本の時計を」。
グランドセイコーの時計は耐久性に優れているためボディは分厚いものが多いですが、レディースにラインナップされているモデルは、華やかさと軽やかさを実現しています。
出典:https://www.seiko-watch.co.jp/gs/ladies/quality/#detail
そこにはグランドセイコーの技術も健在。
レディースは華奢なモデルの人気が高いため、小型軽量なクォーツが主流です。
当ブランドが誇る視認性の高いダイアルやメカニカルムーブメントなど、メンズに引けをとらない最高のレディース実用時計を数多く製造しています。
グランドセイコーレディースモデル STGR007
出典:https://www.seiko-watch.co.jp/gs/collection/detail.php?pid=STGR007
ムーブメントは9Sメカニカルでありながら、ブレスレット部分の幅は華奢でレディースらしい、まるでアクセサリーのような逸品。
ケースはやや大振りで、視認性の高さと自動巻きの味わい深さがあります。
普段使いから特別な外出まで、どんなシーンにも対応できることから、幅広い年代から高い評価を得るレディースモデルです。
グランドセイコーレディースモデル STGR209
出典:https://www.grand-seiko.jp/collections/STGR209/
グランドセイコーが誇るメカニカルの、レディースモデル。2017年の新作です。
こちらもやや大振りながら、すっきりしたシルエットに、放射型打パターンがあしらわれたシャンパンゴールドダイアルがレディースらしい優美さや上品さを感じさせる一本。
パワーリザーブ約72時間、日常生活用強化防水(10気圧)と実用性も抜群です。
グランドセイコーレディースモデル STGF308
出典:https://www.grand-seiko.jp/collections/STGF308/
バーゼルワールド2017でも発表され、その華麗さからまたグランドセイコーの評価を高めることとなったレディースモデル。
グランドセイコー自身も、「日本人女性のために生み出された、美しさと機能美を兼ね備えたハイエンドモデル」と自負します。
ケース径26mmとボリュームが抑えられているため、フォーマルシーンにもお使いいただけます。
グランドセイコーレディースモデル STGF100
出典:https://www.seiko-watch.co.jp/gs/collection/detail.php?pid=STGF100
18Kゴールド製でありながら、スクリューバック採用によって10気圧防水が施された実用時計としてのラグジュアリーレディースウォッチ。
注目はケースのゴールドにさらに華を加えるダイヤ入りダイアル。リューズにもダイヤを添えて、スペシャリティを演出します。
グランドセイコーならではの機能美と女性らしさを見事に両立したエレガントな腕時計です。
マスターショップ限定モデル。
5.グランドセイコー 2017年新作 おすすめモデル
最もオーソドックスなグランドセイコーの外装に、9F82クォーツムーブメントを搭載した2017年新作。
ダイアルからSEIKOのロゴは消え、GSのみとなりました。
ケース径40mm厚さ10mmと、さらにオールシーンで使いやすくなり「最高の普通」の具現化が強まったような一本です。
やや緑がかったブルーダイアルが、爽やかな印象を醸し出しています。
600ダイバー ハイビート36000 リミテッド SBGH257
バーゼルワールド2017で発表された、当ブランド初となる飽和潜水用メカニカルダイバーズウオッチ。
高精度10振動メカニカルムーブメント「キャリバー9S85」を搭載し、深度600mまでの飽和潜水に対応。
圧倒的な気密性と水密性を備えた、本格ダイバーズモデルです。
回転ベゼルには厚いダイビンググローブを着用した状態でも確実にグリップできる独自のローレット(滑り止め加工)を採用。
ダイアルは、輝きながら上昇していくバブル群を表現したドットパターンがデザインされています。
500本限定モデル。
グローバル社会を戦うメンズに向けて贈られたGMT機能付きスプリングドライブモデル。
ブライトチタン製ボディは軽量で強靭。日常使いを邪魔しません。
ブラックダイアルにゴールドとGMT針のレッドが良いアクセントになっていますね。
9Sメカニカル 初代グランドセイコー リミテッドコレクション SBGR305
初代グランドセイコーが有したコンセプトを受け継ぎつつ、現代テイストのデザインとブリリアントハードチタンという新たな素材を用いて復刻した、「懐かしくも新しい」一本。
ケース径40.5mmにもかかわらず、スタイリッシュなフォルムはボリュームを感じさせません。
自動巻ムーブメント「キャリバー9S68」を搭載、シースルーバックからその精緻な動きを鑑賞いただけます。72時間パワーリザーブ。10気圧防水。世界限定968本。
まとめ
グランドセイコーは今なおコンスタントに話題のモデルをリリースし続けています。
ニーズに合わせた複雑機構の搭載や技術の改革…弛まぬ企業努力によってそれらを成し遂げる、日本らしい職人魂の存在が、国内外から高評価を得る所以でしょう。
現在、そして未来を生きる実用時計のために、進化し続ける日本の獅子。
GINZA RASINでは、今までもこれからも自信をもっておすすめできる当ブランドの人気商品をご用意していきたいと思います。
当記事の監修者
南 幸太朗(みなみ こうたろう)
(一社)日本時計輸入協会認定 CWC ウォッチコーディネーター
高級時計専門店GINZA RASIN 買取部門 営業企画部 MD課/買取サロン プロスタッフ
学生時代に腕時計の魅力に惹かれ、大学を卒業後にGINZA RASINへ入社。店舗での販売、仕入れの経験を経て2016年3月より銀座本店 店長へ就任。その後、銀座ナイン店 店長を兼務。現在は営業企画部 MD課 プロスタッフとして、バイヤー、プライシングを務める。得意なブランドはパテックフィリップやオーデマピゲ。時計業界歴14年。
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