クォーツ式腕時計の場合は、数年に一度定期的な電池交換が必要となります。どの修理店でやっても電池交換は同じ・・・というわけではないのでご注意を!
当店ではただ電池交換を行うのみならず、動作や防水性,回路を同時に確認させて頂いております。また、交換後もランニングテストをしっかり行ったうえでお客様のお手元にお戻し致しますので、メンテナンスを兼ねた心強いサポート体制となっております。
まず始めに、リューズを使ってリューズの操作性や運針,日付の切り替わりといいった動作チェックを行います。この時に気になる点があれば、電池交換と一緒に入念に調べていくことになります。同時に外装のコンディションも確認していきます。
空気圧検査装置で、防水性能も併せてチェック!空気厚検査装置とは高気圧・低気圧を時計にかけることで、気密性の確認ができる時計修理店必携の機器となります。この時点で想定される防水性能に満たない場合は、パッキンの劣化などが考えられます。必要に応じて、お客様には交換を提案させて頂きます。
専用機器を使って、裏蓋を開封します。
時計の裏蓋は使っているうちに外れることなどがないよう、しっかりとはめ込まれています。また、高防水や高耐磁性能を有したモデルはスクリューバック式であったり、ケース内部にさらにインナーケースを備えていたりと、特殊構造になっていることも。そのため一般のお客様や修理ノウハウのない業者が開封することは絶対にお勧めできません。また、裏蓋の開封時に傷や擦れを付けないよう、慎重な作業が求められます。
当店の電池交換は、冒頭でもご紹介したように、メンテナンスも兼ねていると自負しております。とりわけムーブメントの確認には目を光らせます。
クォーツ(水晶振動子)の振動を電気信号に変換させ、正確な運針へと繋げる回路はこのムーブメントにおいて「筋肉」のような役割です。ここに不具合があると、性能や精度に著しい影響を与えます。
チェックの大まかな流れとしては、クォーツ式時計専用の歩度測定器を用いて精度チェックを行い、回路の電気特性もよく確認します。電気特性をきちんと見極めないと誤った電池を適用してしまうことに繋がるため、修理技師の高度な知識が求められます。
また、回路に磁気が残ってしまっている場合は、脱磁も行っていきます。
リューズやパッキンのスムーズな取り扱いのために、シリコングリス(シリコン製液状潤滑油)を塗布していきます。
厚く塗りすぎると周辺パーツに干渉してしまい、少なすぎると本来の性能を発揮しない・・・シリコングリス一つとっても、繊細かつ確実なテクニックが求められるのです。
なお、この時汚れやホコリが各パーツに見られた場合は、超音波洗浄を行います。
いよいよ電池を交換していきます!
多くのボタン電池はほんの数ミリの微小なもの。ピンセットを用いた、繊細かつ慎重な作業が求められます。他の地板やパーツには、絶対に傷・指紋を残せません。一方でムーブメントへの異物混入を防ぐために、スピードもまた大切な要素です。
電池交換後もしっかりと精度や電気特性チェックを行います。
万が一きちんとした精度が出ないとなると、何らかの不具合が生じていることを意味するためです。もちろん熟練の技師の手に狂いはありませんが、厳格な検査の手を止めることはありません。
計測が完了したら、裏蓋を素早く閉じていきます。
改めて、リューズ操作や運針,日付合わせに問題がないかを実際に動かして確認します。この時、同時に時刻合わせも行いますが、クォーツは高精度が大きな魅力。そのため秒単位までしっかりと合わせることとなります。
最後に改めて空気圧検査装置で防水性をチェックしたら、電池交換は完了です!
これだけ厳格かつ何重ものチェック体制を敷いていることに、驚かれるお客様もいらっしゃいます。もちろんお客様のお手元にお返しする直前にも検品を行いますので、安心して大切なお時計をお預け頂ければと思います。