メンテナンスの流れ
中古の腕時計を安心してご愛用頂くために、当店では入荷後にきめ細かなメンテナンスを行っております。
今回は当店の「プレミアムクオリティ」を実現するメンテナンスの流れをご紹介致します。
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1.入荷
中古商品の主な調達ルートは「卸業者からの仕入れ」「業者間オークション」そして「個人のお客様からの買取」です。
買取した時計を全て小売りで販売するのではなく、メンテンナンスを施すことで、社内で定めた厳しい生産品質の水準を満たすことができる個体のみを小売りで販売します。 -
2.動作・精度・外装チェック
入荷した腕時計の動作や精度確認を行います。
リューズ操作や運針といった基本機能はもちろん、カレンダーディスクの切り替え、クロノグラフ、GMTといった各種機能を確認する他、専用の歩度計測器を用いて、精度やテンプの振り角を確認します。
併せて外装のコンディションもチェックします。傷や打痕、退色の具合はもちろん、針ずれ、針サビ、ダイアルの腐食、ガラス欠け、ブレスのよれ、革ベルトの状態などを入念にチェックします。 -
3.内部点検
時計修理技師が裏蓋を専用オープナーで開きムーブメントの状態を点検します。
「点検」と一口に言っても、その項目は多岐に渡ります。
「歯車や各パーツに汚れや欠けはないか?」「潤滑油の残量は十分か?」「潤滑油の汚れ・乾きは見受けられないか?」等々… ムーブメントの直径は、せいぜい3センチ強。ルビーの穴石やアンクルの爪といった細かな部分にも目を走らせなくてはならないため、内部点検は修理技師の腕の見せ所の一つです。
なお、この内部点検で異常が見られたり、潤滑油が足りなかったり、精度不良が見受けられる個体は、オーバーホールが必要となります。
クォーツ式時計に関しては電池交換の他、回路の電気特性や残留磁気もよくチェックします。 -
4.オーバーホール
内部点検で異常が見つかった個体はオーバーホールを行います。オーバーホールとはムーブメントを分解して洗浄し、新たに潤滑油を与え、組み立て直す一連の作業を指します。
オーバーホールの流れ
緻密に設計されたパーツを一つひとつ分解していく。細かなパーツをブラシを使って下洗いする。さらに一切の歪みやズレを生じさせずに、潤滑油を塗布しながらパーツを元の通りに組み立ててゆく…こちらも時計修理技師の腕の見せ所です。
腕時計が末永く愛され続けていくために、オーバーホールは絶対不可欠。熟練した時計修理技師がオーバーホールを行うことで、腕時計にまた命を吹き込むと言えるでしょう。 -
5.外装仕上げ(外装研磨)
仕上げの工程としては、傷の確認、外装の分解、下洗い、傷取り、仕上げ磨き、洗浄、組み立ての順に行います。
外装仕上げの流れ
まず最初に傷の位置、深さを確認をします。その後にムーブメントを取り出し、ベルト、ベゼル、ガラス、プッシュボタンなどを取り外します。 そして分解したパーツを超音波洗浄で汚れを落としてから研磨を始めます。 最初に荒バフを使用して傷を消し、その後ヘアラインや鏡面など仕上げの種類ごとに磨いていきます。 研磨が終わったら、磨いた際にこびりついた汚れを超音波洗浄で落とします。 洗浄が終わったら、水分を完全に乾燥させ、組み立てて完成です。外装研磨によって再び新品のような輝きを取り戻すことができるのです。また、併せて防水検査も行っています。
尚、ガラスのように研磨ができないパーツに目立つ傷がある場合は新品に交換します。 -
6.ベルトのクリーニングまたは交換
革ベルトはクリーニングや洗浄を施すことで、また綺麗な状態でお使い頂くことが出来ます。
革本来の美しさを取り戻すため、専用オイルやトリートメントを用いることもあります。
クリーニングを施しても再生が困難なベルトについては、新品のベルトに付け替えます。 -
7.最終検品
全てのメンテナンスが完了したら、プレミアムクオリティまであと一歩。店頭に並べる前の厳格な最終検品を行います。
改めて動作確認や精度確認を行い、また外装コンディションについてもチェックを行います。
この時、通信販売でご購入頂くお客様のために、どういったメンテナンスを施したか、傷はどの程度あるのかといったテキストを作成します。 -
8.時計保護のためのラッピング
商品は店頭に展示されることになるため、万が一にも傷がつかないよう、専用のビニールラップで保護します。
腕時計のもともとのフォルムや質感を損ねないため、きわめて薄く、ヨレのないようラッピングしていきます。 -
9.店頭陳列
こうして入念なメンテナンスを経た「プレミアムクオリティ」な腕時計のみが、次のお客様への手元へと渡っていくこととなります。 もちろん店頭陳列の際も、プロフェッショナルが慎重な手つきで扱っておりますのでご安心下さい!